第62話〜家庭科、自ら縫いあげる羞恥の器〜
8時間目、家庭科の授業。場所はホームルーム棟1階の被服室だ。
「お前たちに、家庭科および被服製作を教えることになった、龍雅院家女中の志乃よ。この授業では、一週間かけて『奉仕用礼装』のリメイクと、調教道具を運ぶためのトートバッグを製作してもらうわ」
志乃と名乗った女性は、女中らしく隙のない所作で、黒板に製作の『必須要件』を書き連ねていく。
【製作必須リメイク項目】
襦袢: 極限まで薄く仕立て直し、自分の体温と恥ずかしさが丸見えになるようにする。
着物(二部式): 極限まで薄く仕立て直し、座った瞬間に畳の感触がダイレクトに伝わる仕様。
構造: ご主人様が瞬時に懲罰できるよう、紐ではなくマジックテープおよびスナップボタンへの換装。
バッグ: 移動時に『口に咥える』ための専用の持ち手加工。
「今日はそのデザイン案を仕上げ、私の許可を取りなさい。許可が出ない限り、一歩もこの部屋から出すつもりはないわ。……始めなさい」
私は震える手で、自分の体の寸法を測り始めた。(私の身長は152cm……でも、胸だけは無駄に大きい。商品としては目立ちすぎるくらいの欠陥だわ……)
私はその『欠陥』をあえて強調するデザインを描いた。その欠陥が目立つよう、その周りに刺繍を施し強調する。二部式の着物は、上衣の丈を極端に短くし、帯を締めた際、胸の膨らみが下から溢れんばかりに見えるように計算した。
バッグは、お兄ちゃんから与えられるであろう重い調教道具に耐えられるよう、帆布を三重に重ね、持ち手には口に含んだ際、歯を傷めないよう柔らかい革を巻くデザインにした。
「志乃様、デザイン案ができました」
私はデザイン案を差し出す。
「……甘いわね。これでは、お前のその、無駄に大きい果実の形がくずれるわ。やり直し」
1回目のリテイク。果実の形を崩さないよう、ワイヤーを縫込んでから刺繍するデザインに変える。
「不合格。バッグの持ち手が長すぎるわ。これでは口に咥えた時、バッグが地面に擦れてしまう。お前は、ご主人様の道具を泥で汚すつもり?」
2回目のリテイク。屈辱に頬を染めながら、持ち手を最短まで詰め、さらに『自分の歯型』を刻むための位置を指定する。
「……よろしい。3回目でようやく、自分が『何者』であるかを理解したようね。1番、合格よ。今日の授業はここまで。残りの時間は、他の者たちの手本として、その醜いデザインを清書しておきなさい」
「かしこまりました」
ようやく出た合格。けれど、それは『自分の身体をいかに効率よく辱めるか』という計画を認められたに過ぎない。
私は、自分の手で設計した『羞恥の衣』の図面を見つめながら、これから始まる一週間の製作工程を思い、絶望に身を震わせた。




