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支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第3章〜学院の生徒として〜

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第58話〜外国語、検品者の言語学〜

 五時間目、英語の授業。教室に現れたのは、彫刻のように整った顔立ちをした金髪の男だった。彼は教壇に立つと、冷徹な青い瞳で私たちを見下ろした。その傍らには、首輪を嵌められ、薄いワンピースと薄いヴェールを纏った一人の美しい女性を連れている。

"Nice to meet you, my new livestock."

(「初めまして。新しい家畜諸君」)

"I am Alan, and I will be your instructor for English. By the end of this semester, you are required to be capable of introducing yourselves in three languages: English, French, and Italian."(君たちに英語を教えるアランだよ。君たちには、前期終了までに英語、フランス語、イタリア語の三ヶ国語で自己紹介できるようになってもらうよ)」

 アランの声は低く、心地よい響きを持っていたが、その内容はあまりに非情だった。

「"Your self-introduction must cover nine categories: Name, Erogenous zones, Height and weight, Three sizes, Cup size, Training history, Thresholds, and the hierarchy of your orifices."(自己紹介の内容は名前、気持ちいい場所、身長、体重、スリーサイズ、カップ数、躾履歴と現在の状態、身体の閾値と反応、使用可能な穴の序列と用途の九項目だ。これらを二週間で覚え、その後二週間で自己紹介をできるようになりなさい)」


 全部聞き取れたわけではないけれど、聞き取れた単語だけでもあまりに屈辱的な『商品スペック』の開示要求だ。教室が静まり返る中、隣に座るさらさの顔色が、見る間に青ざめていくのが分かった。彼女は語学が堪能らしい。だからこそ、これから自分たちが何を口にさせられるのか、その重みを誰よりも理解してしまったのだろう。


 「"You there. Translate what I just said. Now."(そこの君。僕が今言ったことを訳せ。今すぐにね)」

アランの鋭い視線がさらさを射抜いた。彼女は震える唇を噛み締めながら、流暢な英語で、そして絶望を込めた日本語で、その悍ましい九項目を正確に訳してみせた。

「"Excellent. You seem capable. Come here and give us a demonstration."(素晴らしい。君は出来そうだね。前へ来て見本を見せてくれ)」


 アランに促され、さらさは泣きそうな顔で教壇の前に立った。彼女は震える声で、自らの名前、スリーサイズ、そして三日前に捧げた純潔の履歴まで、完璧な発音の英語で『自己紹介』を披露した。


 「"Pass. From now on, you will assist me in this class."(合格だよ。そうだ、君に授業のサポート役をやってもらおう)」


 アランは満足げに頷くと、傍らに跪かせていた家畜の顎を強引に掴み、その口を大きく開けさせた。

「"Today, we begin with the basics. Look at her mouth."(今日はとりあえず基本からだね。彼女の口を見て)」


 アランは性奴隷の舌を指で弄りながら、医学的かつ卑猥な単語を並べていく。

「"Repeat after me. Vaultio. G-spot. Clitoris. Urethra. Anus."(私の後に続け。ボルチオ、Gスポット、クリトリス、尿道、アナルだ)」

 「"Anus!"(アナル!)」


 アランの要求する発音は極めて厳しかった。RとLの区別、Vの唇の噛み方。彼は性奴隷の口内に指を突っ込み、舌の位置や形を矯正しながら、私たちに何度も連呼させた。


 「"No, it's 'Clitoris'. Vibrate your tongue more. Like this."(違う、『クリトリス』だ。もっと舌を震わせろ。このようにだ)」


 アランがリモコンを操作すると、性奴隷の身体が激しく震えた。彼女の苦悶に満ちた発声こそが『正しい発音』だと言わんばかりに。


 眠剤の影響で重い私の頭に、卑猥な英単語が強制的に刻み込まれていく。愛理様に身体を暴かれ、海斗様に肉体を叩かれ、そして今、アラン様によって言葉までもが『商品』へと作り替えられていく。


 さらさは、サポート役としてその屈辱的な単語を黒板に書き連ねていた。彼女の震える背中を見ながら、私は何度も、何度も、自らの気持ちいい場所の名を英語で唱えさせられた。


 「"Good. Tomorrow, there will be a pronunciation test, so make sure to practice. Those who mispronounce will be punished. That is all for today's class."(よろしい。明日発音のテストをするから練習しておくようにね。発音を間違えた者はお仕置きだよ。今日の授業はここまで)」


 アラン様が家畜の鎖を引いて教室を去ると、重苦しい沈黙と、耳に残る卑猥な発音の残響だけが教室に取り残された。


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