第54話〜衛生美容、羞辱の検品〜
「1番、前へ。処置台に上がりなさい」
辿り着いたホームルーム棟1階『衛生美容室』。白衣を完璧に着崩し、眼鏡の奥から冷淡な視線を放つ女性がそこにいた。彼女は手に持ったカルテを無造作に机へ放り投げ、私たちを検品するような目で見据えた。
「私がこの学園の校医兼、『衛生美容』を担当する龍雅院愛理よ。凜人お兄様の妹、と言えばお嬢様方にも理解できるかしら?……もっとも、あなたたちはもう人間ではなく、単なる『商品』だけれど。ここでは、あなたたちの身体を商品として磨き上げ、同時に欠陥がないか徹底的に検査するわ。私の診断は絶対よ。いいわね?」
その美貌とは裏腹に、口から突かれる言葉は氷のように冷たい。彼女は手袋をはめ直すと、私の顎を乱暴に持ち上げた。
「第二拘束姿勢、開始」
愛理様の事務的な号令と共に、カチリ、カチリと無機質な音が響く。私の手首と足首がM字に開かれた状態で固定され、最も恥ずかしい場所が手術灯の眩い光の下にさらされた。
「3日前に、お兄様に純潔捧げたそうね。……ふん、お兄様も、ずいぶん乱暴に扱ったみたいじゃない。再生の兆候はなし。粘膜の状態も……最悪ね」
愛理様は迷いのない手つきで、私の内側を執拗にかき回した。お兄ちゃん、の名を呼ぶ彼女の口調には、慈悲などひとかけらも存在しない。
「生理の兆候もなし。周期も安定している。……けれど、商品は常に清潔であるべきよ。1班全員第一服従姿勢」
「かしこまりました」
愛理様の鋭い声が室内に響く。後ろで待機していたさらさ、麻衣、響、陽子、優里の5人が、一斉に正座し、股を肩幅に広げてその秘部をさらけ出した。
「委員長がだらしないから、班員全員が連座よ。冷却洗浄を行いなさい。各自、清潔さを証明できるまで、その姿勢で待機。一人でも姿勢を崩せば、追加でお仕置きを加えるわ」
氷のような洗浄液が、私の奥深くまで高圧で流し込まれる。あまりの冷たさと屈辱に、私は拘束具の中で身体を跳ねさせた。背後では、正座のまま足を開かされている仲間たちが、溢れる洗浄液を床に滴らせながら、必死に震えを堪えている。
検査が終わる頃には、私の身体は冷え切り、羞恥と疲労で指一本動かすのも億劫になっていた。拘束を解かれた私に、愛理様は教卓の上の小瓶を指差した。
「1番、これを飲みなさい。あなたたちは栄養状態が悪すぎるわ。これは身体を維持するための特別な栄養剤よ。……一滴も残さず、私の前で飲み込みなさい」
愛理様から手渡された、不気味な青白い錠剤。
彼女は『栄養剤』と呼んだが、私は知っている。これは、真冬様が決めた私の『廃棄処分決行日』に、私を永遠の眠りへと誘うための睡眠薬であることを。
私は震える手でその薬を口に含んだ。喉を通る冷たい感触は、死のカウントダウンのように私の内側へ落ちていく。
「……っ、ありがとうございます、愛理様」
感謝の言葉を口にしながら、私は絶望を飲み込んだ。
「よろしい。……全員、衣服を整えなさい。3限目は国語よ。3階の教室へ戻り、委員長としてクラスを先導しなさい。……遅れたら、次は本物の『│検品』をしてあげるわ」
愛理様の冷たい笑みに背中を打たれ、私たちは重い足取りで再び、あのガラスの机が待つ教室へと歩き出した。




