第52話【隷属モーニングルーティンⅡ】〜朝露に濡れる深紅、羞辱と役職
ホームルーム棟3階。廊下と階段のギミックに苛まれながら、私たちはようやく1年1組の教室へと辿り着いた。何故か、みんな教室に入らず、廊下に並んでいる。
「なんでみんな教室入らないの?」
琴音に尋ねる。
「今日から机と椅子が変わるらしくて、先輩達が座り方を教えてくれるんだって。ちなみに机の天板はガラス製になってるんだって」
「そうなんだ…」
椅子の座り方?
なんだか嫌な予感がする…
「次の班入って」
いよいよ私の番だ。
「あなたには、私が教えてあげる。あなたはHランクか。頑張ったね。まだマシな椅子に座れるよ」
まだマシな椅子…。この学校にはどうやら『身分差』が染み付いているようだ。
「この椅子はね、一見普通の椅子だけど、貴方が授業中に眠気を感じたら、内蔵された生体センサーが感知してお仕置きとして微弱な電流が流れるの。こんな風にね」
そう言って女生徒はあの管理端末を差し出した。それには、授業中に船を漕いでしまって、電流を流されている女の子が映っていた。
「そこまで。全員、席に着いたな」
教卓に由羅様が立っていた。彼の冷徹な視線がガラス越しの私たちの秘部を舐めるように動き、教室内には異様な緊張感が漂う。
「これより専門委員会を任命する。……級長、1番。前へ」
由羅様の低く響く声に、震える脚で立ち上がった。
「お前はこの1年1組、30人の『顔』だ。このクラスで起きるすべての汚れ、すべての不始末は、委員長であるお前の責任。……誰かが規律を乱せば、お前がその肉体で購え。わかったか?」
「……かしこまりました」
私はガラスの天板に手をつき、由羅様の御前で頭を垂れた。
「1限目は『法規』だ。……179番、180番。重い教本を全員分運んでこい。1分以内に終わらなければ、委員長の背中に免罪の指揮棒を5発加える」
由羅様の宣告と共に、最悪のカリキュラムが幕を開けた。私は一日の始まりを絶望と共に受け入れた。




