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支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第3章〜学院の生徒として〜

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第50話【隷属モーニングルーティンⅠ・前編】〜朝露に濡れる深紅、沈黙のスクワット〜


 翌朝4時ちょうど、今日もケタタマシイサイレンの音が鳴り響く。私は飛び起きて、まずはノートパソコンの画面を確認する。よし、全員起きてる。流石にこのサイレンの中、誰も寝てられないか。私も急いで制服に着替えます。


 「おはよう1番」

大和様が入ってきた。

「おはようございます。大和様」

「『商品』は毎朝、気合い入れのお尻叩きを受けることになっている。今日はここでしてやるが、明日からは2階の雑居房で他の班員と一緒に受けろ。第二服従姿勢」

 「かしこまりました」

私が四つん這いになり、お尻を高くあげると、大和様の『雨』でなく『冷たい声』が降ってきた。


 「今日は鞭で20発叩く。数を数え、1発毎にお礼を言え。声が小さかったり、数え間違えたら1からやり直しだ」

ビシッと鞭が振り落とされます。

「1、ありがとうございます」

オリエンテーション中から癒えることなく、毎日のように更新されている、背中の赤黒い痕を消すように、大和様が服の上から『雨』を降らす。


 「……20、ありがとうございます」

「よし。体育着に着替え、玄関ロビーに行け。高強度トレーニングを行う。ブルマーは遠隔でパルスを流せるタイプで体操服はピタッとしたタイプのものが指定されている」

「かしこまりました」


 2階にいるみんなはもうロビーに向かっているはずだ。急がなければ班員全員お仕置きされてしまう。


 「各班長、班員のリモコンを回収しろ」

ロビーに行くと、由羅様の声が響き渡った。私は慌てて、2階から降りてきたさらさ、響、陽子、優里の四人から、それぞれの肌に近いベージュのリモコンを受け取った。

「……1番、遅い。これだから素人は」

不敵な笑みを浮かべた陽子が、すれ違いざまに肩をぶつけてきた。私はそれを無視して、回収した五台と私の分のリモコンを由羅様へと差し出した。


 「1班、全員揃いました。リモコンです」

「よろしい。今日は初日だ。お前たちの腐った根性を叩き直す指導役を紹介する」

由羅様が指し示した先、ロビーの階段の上から、冷徹な美しさを湛えた上級生たちが静かに降りてきた。彼女たちの首元で鈍く光るのは、最高位に近い青色の首輪。Aランク――この学園で数年も生き残り、支配の美学を骨の髄まで叩き込まれた『完成された商品』たちの証だ。


 「今日から8時まで、みっちり基礎を叩き込むわ。まずは『懺悔の伏臥』からよ」

青い首輪の先輩が、私の目の前でピタリと止まった。彼女の視線は、私の胸元で揺れる『1番』のプレートを射抜いている。


 「1番、手本を見せなさい。腕立て伏せの姿勢から、肘を曲げて停止。顎だけを床につけ、身体は一直線よ」

言われるがまま、冷たい大理石の床に手を突く。ピタッとした体操服が、早朝の冷気を吸って肌を刺した。


 「……くっ」

「声を出さない。1番、お前が乱れれば班員全員やり直しよ」

先輩の冷たい言葉と同時に、由羅様の指先がリモコンのスイッチを押しました。

ビリリ……!

下腹部に仕込まれた機械から、不快で鋭いパルスが流れた。内腿の筋肉が反射的に跳ね、姿勢が崩れそうになる。


 「179番、180番、膝が曲がっているわ。……1番、あんたの班員でしょう? ちゃんと教育しなさい」

顎を床に押し付けたまま、私は横目で彼女たちを必死に追う。優里はすでに涙目でガタガタと震え、陽子は憎悪を押し殺しながら歯を食いしばっている。


 「次は『宣告の蹲踞』よ。全員起立」

休む暇もなく次の地獄が始まった。中腰の姿勢で、手のひらを上に向けて静止する。太腿の筋肉が焼け付くような熱を持ち、股間の絶え間ない振動が神経を逆なでしていく。


 「8時まで、まだ2時間以上あるわ。……1番、班員全員の姿勢が一度でも崩れたら、朝食の『餌』抜きを覚悟しなさい」

「かしこまりました」

先輩の青い首輪が、朝日に照らされて鮮やかに輝いている。私は燃えるような脚の痛みに耐えながら、何も掴めない手のひらを虚空に差し出し続ける。


 これが、この学園の『朝』。

私は自分の震える指先を見つめながら、班長として、そして商品として、逃げ場のない一日の始まりを絶望と共に受け入れるしか無かった。


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