表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第3章〜学院の生徒として〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/116

49話〜不穏の種と、班長としての責任〜

 「れいなちゃん、麻衣だけどちょっといい?」

大和様に寮に連れていかれ数少ない荷物を整理し終えた頃、麻衣ちゃんが尋ねて来た。

「どうぞ入って。あれ?みんなも一緒?」

「うん。私たちは、オリエンテーション中から一緒だったけど、さらさちゃんと響ちゃんは違うでしょ?自己紹介も兼ねて遊びに来ちゃった」

麻衣ちゃん、本当にいい子なんだよね。私、こんないい子を『管理』しなきゃいけないのか…。これもお兄ちゃんからの罰なのかな?


 「へぇ、個室てこんな感じなんだね。クローゼットや、執務机まであるじゃん。薄いとはいえ、カーペットまで引いてあるし、私たちの部屋とは全然違うね」

確かこの子はさらさちゃんだったかな?

「色々見て回っちゃってごめんね。不躾だったよね?私、さらさ。この通り好奇心旺盛でさ、困っちゃうよね」

どうやら、とても活発ないい子そうだ。

「私は響、あなたオリエンテーションの途中からいなかったよね?何してたの?」

「ちょっと色々あって凜人様や由羅様からお仕置き受けてたの」

「そう…大変だったね。仲良くしましょ」

この子は要注意かな?

「うん」


 「ねぇ、れいなちゃん。その机にあるパソコン……それで私たちを監視するの?」

響が冷ややかな視線で執務机を指差しました。画面には、まだこの部屋には現れていない陽子と優里が、別の監房でうなだれているモノクロの映像が映し出されている。

「それは……その、役割だから」

「……ふーん。特権階級様は大変ね」

響の刺すような言葉に胸が痛む。麻衣ちゃんが慌ててフォローしようとしたその時、廊下から無機質なチャイムが鳴り響いた。

『夕食の時間だ。全生徒、速やかに食堂へ集合せよ』


 淑女養成学院の食堂は、華やかなシャンデリアとは裏腹に、徹底された身分差に支配されていた。執事・女中見習いの生徒たちがテーブルで豪華な食事を楽しむ中、私たち『家畜』は床に跪き、パートナーの足下で待機する。


 「1番、来い」

「かしこまりました」

大和様の冷淡な声。私は彼の足下の床に正座し、掌を上に向けて膝に置く『第一服従姿勢』で控えます。大和様は私に目を向けることもなく、自分の皿から一切れの肉を私の口元へ放り投げた。


 「食べろ。お前の『餌』だ」

「ありがとうございます、大和様」

惨めさに喉が詰まりそうになりながら、私はそれを必死に咀嚼しました。その時でした。


 「……あっ!」

静寂を切り裂いたのは、Jランクの優里の悲鳴でした。見ると、優里がパートナーの足下に置かれたスープ皿を、震える手でひっくり返していた。床に広がる泥水のような色のスープ。

「申し訳、ございません……! ぁ、うぅ……!」

「……不愉快だな」


 壇上の教官席に座っていた由羅様が、冷たく言い放つ。

「1班班長、前へ。……1班全員、その場に平伏せ。連帯責任だ」

「かしこまりました」

食堂の冷たい床に、私たち1班の全員が額を擦り付けた。由羅様の戒杖が空を切り、代表して私の背中に鋭い衝撃が走った。


 「班長の管理不足は、班員全員の連帯。今夜、1班の『商品』は全員、就寝時まで反省姿勢を維持させろ。……1番、お前には後ほど、大和から個別の教育があると思え」

「かしこまりました。班員の指導が出来ておらず、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした」


 夜。自室に戻された服を着たま私の手首は、壁のフックに高く吊り下げられていた。執務机に置かれたパソコンの画面には、陽子や優里たちが、独房で苦痛に顔を歪めながら反省姿勢を強いられている姿が映っている。

「1番。……画面を見ろ。お前の管理が甘いから、彼女たちは苦しんでいるんだ」

背後から大和様の声がした。彼は私の深紅の首輪に指をかけ、ぐいと顔をパソコンの方へ向けさせた。


 「管理者の自覚を持てと言ったはずだ。……今夜は、その体に叩き込んでやる」

振り下ろされた革のベルトの音が、五畳の密室に虚しく響き渡る。今まで受けてきた戒杖の無機質な痛みと違い、くい込んで熱を持つような痛みと快感で視界が滲む中、私はただ、画面の中の彼女たちへの罪悪感と、自分の無力さに涙を堪えることしかできない。

「おや?お前、痛みで快楽を感じていないか?どこか気持ちよさそうだぞ?」

「うぅっ……そんなこと……ございま……すん」

「『ございますん』?ただ噛んだだけではないだろう?正直に言わないともっと酷い事するよ?俺、ここに来る前、不浄な場所に行ってきたんだけど、これで叩いてあげようか?」

大和様が私の眼前に突きつけたのは、あの不浄な場所の、誰の物とも知れぬ黄色い染みがこびりついた、忌々しい刻印入りのスリッパだった。


「あぁっ…それだけは…お許し…ください…1番は、痛くて…恥ずかしい…のに…気持ちくて…どうか…悪い子…の…1番を…もっと…『革の雨』…を…くださいませぇぇ…お願いいたします…大和様ぁぁぁ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ