第46話【断絶の9日間XVI】〜家畜の衣装と断絶の証明〜
「全員揃っているな。明日の入学式だが、『執事・女中養成学校』、『淑女養成学院』、『紳士養成学院』の三校合同で我が学院で行う。家畜共寮のロビーに8:30に集合だ。遅れるなよ。では、配布物を配布する。検体番号順に取りにこい」
私たちが配られたもの。それは、制服、体操服、そして、水着だった。どれも『服』や『水着』とは呼べないような代物だけど、この学院にはピッタリな物だった。
「本来はランクを示す首輪も配るのだが、今年はなんせ、問題児が多すぎるためまだランクを決めかけている。よって、明日の朝配布する」
…こっちを見ないでください。由羅様。問題児は、私でなく、16番です。
「これでオリエンテーションを終了する。全員今配布した制服に1分以内に着替えろ」
「かしこまりました。」
私たちが着替えた制服は上半身は、襟以外の部分は、網の目が非常に細かいメッシュ生地で、うっすらと、肌が透け、ようやく『胸の先端』が判別できる胸がギリギリ隠れる丈のシースルーのセーラー服で、スカートは紺の股下5cmのスカート。前後ともに中央部分に根元までスリットが入っていた。これでは動いたら、股間が前後から丸見えになっちゃいそう。これをオリエンテーション開始時に配られていたら、誰も着替えることが出来なかっただろう。だけど、オリエンテーション中に『人間としての尊厳』を踏みにじられ、『従順な商品』として作り替えられた私たちは全員指定時間に着替えることができた。
「よし。着替えたな全員第二拘束姿勢。パートナーを拘束後解散。15番は前へ来い」
「かしこまりました」
由羅様の冷徹な号令に、教室中がパートナーを拘束する鎖の音で満たされた。
大和様が私の細い手首に無機質な手錠をかけ、短く持ったリードで私を教卓の前へと連れ出す。動くたびに、スリットの入ったスカートから、数十分前にパルスに貫かれたばかりの秘部が外気に触れ、そのあまりの無防備さに全身が粟立つが、羞恥を口にする権利など、今の私には一欠片も残されていない。
「15番は、これより理事長室……龍雅院凜人様のもとへ連行する」
由羅様の言葉に、教室の同級生たち、そして養成学校の男子生徒たちの視線が一斉に私へ注がれた。
「……大和、連れて行け」
「はっ」
大和様は私を一度も振り返ることなく、まるで『汚れた荷物』でも運ぶかのようにリードを引き、私はその異様な制服を揺らしながら、廊下を這うようにして歩かされました。
重厚な扉が開くと、そこは静寂に包まれた凜人様の執務室だった。デスクの奥には凜人様が、そして傍らには撮影機材を手にした真冬様と、腕組みをして待つ光也様の姿があります。
「……連れてまいりました」
大和様が私のリードを凜人様へ差し出し、そのまま背後に下がる。私は一人、部屋の中央に膝をつき、呼吸を整えることさえ忘れて固まった。
「15番、まずは仕上げだ。真冬、頼む」
凜人様の事務的な命令に、真冬様が待っていましたとばかりに最新型の管理端末を私の目の前に突きつけた。
「……あ、あぁ……っ」
そこに映し出されていたのは、先程グラウンドで行われた、私の貫通式の映像だった。
「学院全土と顧客に配信済みです。養成学校の連中、お前のこの無様な『納品』の姿を見て、もう次の使用計画を練り始めていますよ。ほら、お前の今のそのシースルー姿も、もうすぐカタログに載せてあげますからね」
「うぅ…」
「……何を絶望している?15番、こっちへ来い」
凜人様がデスクの椅子に深く腰掛け、脚を組みました。私は羞恥に震えながら、泥にまみれた膝を引きずり、お兄ちゃん――凜人様の足元へ這い寄ります。
「……っ、凜人……様……っ」
「お兄様、だろう?」
お兄ちゃんは私の頭を優しく、かつての愛おしさを込めて撫でながら、その靴先で、私のお尻を、ぐいと踏みつけた。
「ひ……ぅ、あぁぁッ!」
「妹として扱うと言ったのは、嘘ではないよ。……だが、俺にとっての『妹』とは、こうして足元で鳴き声を上げるだけの、従順な『愛玩動物』のことだ。……ほら、俺の靴を舐めて綺麗にしろ」
「……っ、は、はい……」
私は、お兄ちゃんの靴の冷たさを感じながら、タブレットから流れる自分の絶叫を聞き続けていた。
断絶の9日間。私が夢見ていた『普通の幸せ』は、一滴の残滓もなく消え去った。あるのは、痛みを快楽と履き違え、兄の足元で悦びに咽ぶ、一匹の家畜としての私だけ。
「……良い子だ、15番。お前は最高に可愛い俺の『妹』だよ」
お兄ちゃんの冷たく甘い声に包まれながら、私は深い、深い絶望の淵へと沈んでいった。




