第47話〜査定の残響、最底辺の連帯〜
「……では、第一学年のランク確定会議を始める。大和、15番を配置しろ」
凛人様の冷徹な号令が、会議室の重厚な空気を切り裂く。大和様にリードを引かれ、私は凛人様のデスクの下へと潜り込まされた。指示されたのは、第二服従姿勢。そこは、私を家具として見せびらかすための『特等席』だった。
「15番、これをつけていろ。……真冬、再生しろ」
凛人様の手で大型ヘッドホンが装着され、耳元で私の悲鳴が爆音で炸裂する。
(あああああッ!! やだ、凛人……様ぁッ!!)
自分の声に意識を削られながらも、私は爆音の隙間から、凛人様と教師たちが交わす『密談』を必死に盗み聞きした。
「……さて、15番の査定だが。文句なしのHランク、そして学年成績が1位だ」
凛人様の声と共に、腰に重い感触が伝わる。凛人様が私の突き出したお尻を『フットレスト』として踏みしだいたのだ。
「明日の入学式で、全生徒にランクと新管理番号を公表する。15番は今日を最後に、『学年1番』として管理する。……呼び方と首輪の更新は、その場で行わせろ」
「承知いたしました。……では、彼女の第1班の構成案です」
由羅様が、意地の悪い笑みを声に乗せて続ける。
「Hランクの13番(麻衣)。そして、本家からの推薦枠である10番を加えましょう。……問題は、彼女たちの『足枷』です」
由羅様が提示した名簿には、私の血の気が引く名前が並んでいた。
「Jランクのワースト……179番、陽子。そして、180番優里……オリエンテーションで15番と衝突していた問題児共です」
(陽子……それに、優里……っ!?)
ヘッドホンの絶叫の合間に聞こえた名前に、指先が凍りつく。あの二人が、最底辺のJランクとして私の『連帯責任』の対象になる。
「くくっ……最高だ。1位のれいなが、最底辺のゴミ二人の尻拭いをさせられるわけか」
凛人様が私の背を、慈しむように、そして残酷に靴先で踏みにじった。
「1番、お前がその『深紅』の首輪を汚さずにいられるか……。陽子や優里が失態を犯すたびに、お前のその純血を失ったばかりの体で、たっぷりと不足分を購わせてやる」
「……10番の動きにも注目ですね。彼女がどう『1番』を揺さぶるか」
真冬様の楽しげな声が聞こえる。10番――凛人様は本家の監視役だと信じているが、真冬様だけはその『正体』を疑い、獲物を待つ蜘蛛のように目を細めている。
「……よし、これで決定だ。……15番、聞こえていたか」
凛人様がヘッドホンを外した。静寂。だが、私の耳の奥にはまだ自分の悲鳴がこびりついている。
「……っ、は、はい……凛人様。……何も、聞こえませんでした……」
「そうか。なら、明日の式を楽しみにしていろ。お前に相応しい『王冠』を用意してある」
私は、凛人様の足元で震えながら、明日から始まる終わりのない地獄を予感していた。最高位の私と、最底辺の陽子たち。そして、微笑みの裏に毒を隠したスパイ。私は、凛人様が作り上げたこの残酷な箱庭の中で、どこまで正気を保っていられるのだろうか




