第32話【断絶の9日間Ⅶ】〜老執事の表と裏、聞こえてくるシンフォニア〜
「15番、約束通り『強制器具』を付けている『商品』を見せてあげましょう」
そういうと真冬様は白衣のポケットから、何やら怪しげな『漆黒の冷たいガラス板』を取り出した。
「これは、ゲルマニア連邦の技術力によってもたらされた『最新の管理端末』です。ゲルマニア連邦では、『軍人候補生の管理』に使っているそうですよ。」
そこに映し出されていたのは、やっぱり16番、陽子達だった。
そこに琴音ちゃんや麻衣ちゃんが居ないことに安堵する。
「寮のあちらこちらに隠しカメラと盗聴器が仕掛けられていることはあなたももう気づいてますね?同じように、学園にもついているのです。」
…っ。まさか、わざと騒動をおこしたことバレてる?
「安心なさい。わざと騒動を起こした事、及び起こした理由については黙っていてあげます。特に御当主様にはね。ただし、1つわたくしのお願いを聞いてくださいませんか?れいなお嬢様」
「れいなお嬢様?」
「えぇ。わたくしの格好を見たらわかるように、わたくしは龍雅院家の執事でございます。貴方様は現当主の妹であられるれいなお嬢様でございましょ?」この人、全部知ってるんだ。何者?
「この商品たちは、全然反省していないのです。そこで、今晩あなたにこの商品たちと一緒に懲罰を受けてもらいたいのです。そうすれば、あなたのような従順なこ…っ『商品』になるかもしれないでしょ?」
従順な『駒』か。ついに私は商品ですら無くなってしまった。これが私に与えられた罰なのだろう。
「かしこまりました、引き受けます」
「ありがとうございます。では、あなたにとって有益な情報を教えてあげましょう。明日、御当主様は、大事な妹であるあなたが復帰するというのに本家の大事な用でオリエンテーションを欠席されます」
あぁ。やっぱりか。私、お兄ちゃんの『特別』じゃなかったんだ。お兄ちゃんも私の事『利用』してたんだね。
どこかで何かが壊れていく音がする。なんの音だろう。
「そんな顔をしないでくださいませ、れいなお嬢様。1つ御当主様いや、お兄様の本当の気持ちを確かめる方法があります。」
「なんですか?」
「自主的に、『廃棄手続き』をすればいいのです。安心してくださいませ。『受理』させていただくのはわたくしの従順なこ…部下です。そこまでしてなお、彼が動かないのであれば……そこまでの男だったということです。ですが、もし彼がすべてを投げ打って駆けつけたなら、それは真の愛でございましょう?」
その通りだ。
「教えて下さい」
「かしこまりました。明日のオリエンテーションでは、学校案内が行われます。『管理棟』にある、『家畜管理課』に行き、『廃棄処分申請書』を貰って来てくださいませ。それを『わたくしが決めた日』に提出してくださいませ。廃棄処分実行は処理の関係上、提出した3日後となります。」
とんでもないこと言い出したよ。この老執事は。
どういたしますか?実行なさいますか?」
「やります」
お兄ちゃんを信じたい。お兄ちゃんならきっと助けてくれる。
「ありがとうございますれいなお嬢様。では、夜にまたお迎えに上がります」
真冬様がうつむく。少し笑った?気のせいかな。
「寮に戻るぞ。15番、第一拘束姿勢」
顔を上げた真冬様は私を『お嬢様』としてみる龍雅院家の執事ではなく、『家畜』
としてしか見ていない学院の管理者、真冬様だった。




