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支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第二部〜屈辱のオリエンテーション開始

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第23話〜疑惑という名の火遊び、沈黙に潜む主の足音〜

 「あんた、あいつの特別じゃないんじゃん」

食事、と入浴を終え、居室に戻ると陽子が今日も絡んできた。鬱陶しい。

「は?なんの事?」

「凜人とかいう偉そうな教師のことに決まってるじゃん。あんたバカなの? 」

えっと……。バカはどっちだろうね。こんだけ徹底管理されてるんだから、浴室以外にも隠しカメラや盗聴器があるってなんで分からないかな?ちょっと煽ったらどうなるだろう。もしかしたら、お兄ちゃんがお仕置きに来てくれるかもしれない。ちょっとやってみよ。


 「あんたなんてすぐにテストから脱落してたじゃん。あんな簡単なこともできないなんて、馬鹿はどっちなんだろうね」

ちょっと煽っただけなのに顔がタコみたいに真っ赤だ。

「あんなこと出来たってなんの役にもたたないじゃないの。逆にあんな下品なことを簡単に出来ちゃうあんたの方がどうかしてるんじゃないの?」

もう泣きそうになってる。弱い犬ほどよく吠えるもんね。大きく見せたいんだね。あーかわいい。

「そうよ。担任変更も知ってたみたいだし、調子にのらないでよ」

「捨てられたくせに。可哀想」

取り巻きまで加わって来ちゃったよ。めんどくさ。


 「はぁ?おにっ…凜人様はそんな酷い人じゃないから。何も知らないくせに黙ってくれる?」

「あ。今鬼って言いかけたでしょ。告げ口してやろ」

引っかかった。いつもの癖で『お兄ちゃん』って言おうとしたわけじゃない。監視カメラや盗聴器が仕掛けてあるかもしれないのにそんなヘマするわけない。

ほら、早足でこっちに向かって来る足音が2つしてる。

「なに?図星?なんか反応しなさいよつんぼ」

つんぼはあんた。なんでこの音が聞こえないの?


 その時、居室エリアの扉が開く音がした。

「え?」

これは聞こえるんだ。この足音、お兄ちゃんじゃない。1つは多分由羅様だよね?もうひとつは誰だろう?


 「15番、16番、17番、18番何を騒いでいる」

ほら、やっぱり悠羅様が来た。もう1人は光也様か。光也様の足音も覚えた。


 私は何故か昔から耳がいい。単に聴力がいいだけでなく、1度聞いた音は忘れないし、他の人には分からない音の違いが解る。


 お兄ちゃんじゃないのはちょっと残念。でも、どうせお兄ちゃんにも報告いくんでしょ?今日の特別カリキュラムはお仕置きかな。ワクワクしてるのは、決してお仕置きが楽しみな訳じゃないよ。お兄ちゃんに会いたいだけ。お兄ちゃんになら、どんな酷いことされてもいい。

「全員懲罰室行きとする。13番と14番もだ」


 「お待ちください。由羅様。麻衣ちゃんと琴音ちゃんは何もしていません」

「れいなちゃん」

琴音ちゃんの慌てた声がしたけど、私は右手をあげ、琴音ちゃんを静止する。

「誰が喋っていいと言った?お前は商品だ。勝手な行動は許さないと言いたいところだが、懲罰の前に事情を聞いてやろう。全員第五服従姿勢」

光也様が居室の鍵を開け、由羅様と共に入室した。

由羅様が話のわかる人で良かった。これがあの人だったら……考えないでおこう。気持ち悪くなってきた。


 「ありがとうございます、由羅様。本日私は自主練習時間に光也様から柔軟指導を受ける予定でした。ですので、居室で光也様のおこしを待っていたら、自主練習時間だというのに、陽子…さんが絡んで来たんです。」

「光也、本当か?」

「はい。15番は身体が硬すぎるので、今日柔軟を教える予定でした」


 「そうか。15番。16番になんと言われたんだ?」

「『おに』の特別じゃないんじゃんって。『おに』ってのは凜人様のことらしいです。『偉そうな教師』や『あいつ』とも言ってました」

「何言ってるの。おにって言ったのあんたじゃん」

「は?私は凜人様が『お兄ちゃん』に似てるから『お兄ちゃん』って言いかけただけだし」

嘘はついていない。似てるんじゃなくて本人なだけ。だから苦笑いはやめてください。おふたり共。バレない程度に睨んでおこっと。……光也様に睨み返された。大人しくしておこう。


 「今後、許可なく発言する事は許さない。もし破ればどうなるかわかっているな」

「かしこまりました、由羅様」

バシーン

私、琴音ちゃん、そして麻衣ちゃんが返事をすると乾いた音が空を切った。

由羅様が返事をしなかったアホ達の頬を順番にはたいたのだ。本当にアホだね。

「16番、17番、18番、分かったのか?」

「かしこまりました、由羅様」


 「それでいい。15番続けろ」

「はい。それで私も絡まれたことにイラッとしてしまって、口論してたら、百合さんと紗奈さんが陽子さんの援護を初めたんです。騒がしくして申し訳ございませんでした」


 本当は絡まれたことにイラッとした訳じゃない。今日感じた事を他人に言われて再認識したからだ。私ってお兄ちゃんのなんなんだろう。妹?いやもしかしたらただの駒なのかもしれない……。お兄ちゃんに限ってそれは無いよね?だって、お兄ちゃんいつも『いい子』って頭撫でてくれるもん。

「だいたいの事情は分かった。裏取りができるまで全員懲罰室待機とする。全員第一拘束姿勢。光也、お前はれいなを連れて行け」

「承知しました」

「かしこまりました」


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