表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第2章〜屈辱のオリエンテーション開始

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/116

第18話〜支配の再定義、残酷な特別の終焉〜

 到着したのは、巨大な体育館だった。

重々しい扉が開かれると、そこには異様な光景が広がっていた。


 広いフロアには、補助役の学生たちと、琉雅院家の紋章をつけた黒衣の使用人たちが、整然と列をなして待ち構えていたのだ。


 私たちの足音が止まると、お兄ちゃんが短く、冷徹な号令をかける。

「……繋げ」

その瞬間、1組のメンバーを繋いでいた1本の長い鎖が外された。それと同時に、使用人たちが一斉に私たちの背後へと回り、手慣れた手つきで手錠の鍵を開けていく。


 あちこちでガチリ、という金属音が重なり、拘束から解かれた私たちの腕が力なく投げ出された。


 「動くな、検体番号15番」

私の前に立ったのは、光也様だった。彼は昨日までのような親しげな表情を一切消し、冷え切った瞳で私を見下ろしている。その手にある革製のリードが、鈍い光を放っていた。


 「……はい、光也様」

光也様は私の背後に回ると、私の手首を締め付けていた手錠を外した。解放された瞬間の激しい痺れに、私は思わず小さく息を呑む。


 自由になった腕を整える暇もなく、彼は私の首輪にあるリングに、カチリ、とリードを接続した。金属の冷たさが喉元に伝わり、私は自分が完全に『個人の所有物』として再定義されたことを悟る。


 体育館のあちこちで、同じようにリードを装着された少女たちは、補助員に引かれて所定の位置へと連行されていく。反抗的な陽子も、昨日知り合った琴音ちゃんも、今はただ一本の紐に引かれるまま、無機質なフロアの一点へと固定されていった。


 光也様も、短くリードを引いて私に指示を出す。

「こちらだ。……余計な声は出すなよ」

「……かしこまりました」

リードに引かれ、私は体育館の奥へと歩を進める。そこには、これから始まる凄惨なオリエンテーションのための、冷たいマットが並べられていた。


 「最も無防備な検体姿勢で、正面の教壇へ向かって自らの血統を一切隠さず晒し続けろ」

光也様の無機質な命令が降る。私が困惑して動きを止めると、彼は舌打ちをして私の肩を乱暴に押し下げた。


 無理やり膝をつかされると、彼は私の太ももを左右に大きく押し広げ、かかとの上に腰を落させる。

「もっと前だ。……そうだ、隠すな。手は膝の上に指を揃えて置け」

光也様は私の腰を掴んで前へと突き出させ、最も恥ずかしい場所が教壇の方へ剥き出しになるよう、執拗に姿勢を固定した。命じられるまま膝に置いた手は、震えを隠すように指を揃える。


 晒される羞恥に顔が焼けそうになるが、光也様はそのリードを床に固定された金具に繋ぎ止めた。逃げ場はない。首を振ることさえ制限された姿勢で、私はただ正面を見据える。


 そこで私は、目を見張った。教壇の上に立つお兄ちゃんの傍らには、見慣れない女性が控えていた。


 私と同じように全裸で首輪をつけられ、お兄ちゃんの足元に這いつくばっている。お兄ちゃんは、その少女のリードを当然のように握り、時折その背中を愛撫するように指先でなぞった。


 お兄ちゃんの隣は、私の場所なのに。あんな風に触れられるのは、私だけのはずなのに。


 見知らぬ少女に注がれるお兄ちゃんの慈しみを含んだ視線が、私の胸をざらついた不快感で満たしていく。胃の底が重く沈み、自分でも驚くほどの嫉妬と独占欲が、羞恥を塗りつぶしていくのを感じた。


 「準備をしろ」

お兄ちゃんの低い声と共に、補助員たちが動き出す。光也様が私の足元に膝をつくと、下着を奪われた腰周りに『卵型の機械』を取り付けた。


 「……い、っ、……いやぁ……っ」

何をされるか解らない恐怖に、私は声にならない悲鳴を上げた。


 光也様は、手元のリモコンを確認する。

「これは『生体バルス・バイオセンサー発信器』だ。……お前の意思とは無関係に、いつでもお前に『微弱な電流』や『強烈な高周波振動』を流すことができる」

光也様の指先ひとつで、私の体は翻弄されることになる。

その事実に、恐ろしさと、抗えない期待が混ざり合い、私の体は細かく震えた。


 フロアの中央、教壇の上に立つお兄ちゃんの視線が、新入生全員を等しく射抜く。

静寂に包まれた体育館に、彼の低く、絶対的な声が響き渡った。


 「これより、二日目のオリエンテーションを開始する。……今日からお前たちの体に、家畜としての『限界』を刻み込んでやる」

その宣言と共に、地獄のような一日の幕が上がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ