表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
支配された帝国【番外編】、淑女養成学院  作者: 鎖乃れいな
第4章〜神の器として〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/116

第109話【器・転Ⅹ】〜不浄のイタリアン・アリア〜

 「さて、おふざけはここまでだよ、001号」

部屋の扉が閉まった途端、アラン様の顔からお祭りを楽しむ青年の色が消えた。静寂が支配する自室。さっきまで外で鳴り響いていた爆音の行進曲が、耳の奥にこびりついて離れない。


 アラン様は、私の自己紹介の内容を頭の中で反芻するように、ゆっくりと私の周りを歩き始めた。

「君の自己紹介が事実か確認させて貰うよ。第二服従姿勢」

「仰せのままに、我が主」

アラン様が指を鳴らすと、控えていたさらさが、トレイに載った二本の薬剤を差し出した直後、二本同時のノズルが、言い訳を許さない強引さで私を貫いた。


 「ひ、あ、ぁぁぁ……っ!!」

「しっ、静かに。アラン様は静寂の中で、君の内臓が奏でる音を楽しみたいのだから」

さらさが、私の耳元で氷のような声で囁く。体内へと一気に流れ込む大量の薬剤。内臓が風船のように膨れ上がり、猛烈な排泄衝動が脳を灼く。そこへ、再び『栓』が力任せに突き立てられた。


 "Now, introduce yourself in Italian. If you can say it with proper pronunciation, I'll let you release it."

(さあ、イタリア語で自己紹介してごらん。完璧な発音で言えたら、出してあげるよ)

「……っ、ぁ、かしこまり……あぁっ……ました」

 私は、噴き出す汗と涙にまみれ、震える唇でイタリア語を紡ぎ始めた。

「Sono il campione numero 1...(私は検体番号1番です……)」

発音が甘ければ、アラン様は楽しそうに笑いながら規律棒を振った。


 私がイタリア語で恥ずかしい告白するたび、アラン様は「Wonderful!」と喝采を送り、さらさは「アラン様は、その色をビンテージワインのようだと言っているわ」と、どうでもいい情報を無機質に通訳する。


 自室という密室で繰り広げられる、美的な通訳と、醜い排泄の攻防。


 ようやく辿り着いた最後の一節。私はアラン様の足元に顔を伏せ、排泄の許可を乞うた。

アラン様は、時計をチラリと見ると、満足げに微笑んだ。

"Well done, No. 001. Your Italian is almost as beautiful as your despair."

(よくやったね、001号。君のイタリア語は、君の絶望と同じくらい美しいよ)

「……ですが、アラン様は一点だけ、お気に召さないようです」

「『口の躾』を希望するのなら、今この場で、わたくしたちに見守られながら排泄しなさい。……一滴もこぼさず、エレガントに。それができれば、アラン様があなたに最初の『教育』を授けてくださるそうです」


 (これは、お兄ちゃんが準備した、偉大なる大元帥閣下に捧げる器になるための儀式...。お兄ちゃんにこれ以上見放されたくない...恥ずかしくても頑張らないと...)

私は、逃げ場のない羞恥の中で、さらなる地獄の門が開く音を聞きながら、不浄をはきだした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ