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異世界に弟を奪われた姉達の奮闘記 〜なお弟はTSしても異世界を気ままに満喫中〜  作者: 狐のボタン


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元勇者はご先祖様



「わかった、じゃあこうしよう? 私が刀を収めて離れたところに置く。それでどう?」

「…その刀をパッと引き寄せたり、一瞬で取れたりしない?」

「………」

「やっぱ降りない。 話ならここからでもできるやろ」

「はぁ…もう! 私の子孫がこんなに可愛げが無いなんて!」

悪かったな。どーせオレは可愛げなんてねぇよ。


「まあ?私は大人だからね。譲ってあげるよ。 何を聞きたいの?」

「…誰?」

「名乗ったよね!? 君のご先祖だって! 聞いてた?」

「ちゃんと話を聞いてたから訊いてんねん」

「はぁ!? いや、どういう事よ…」

どうもこうもあるかよ。仮にほんまにご先祖様やったとして、どうして生きてここにおんねん。

別に足のない幽霊でもあらへんしやな…。怨念か?なんてボケかましてる場合でもないしやな…。


「ごめん、信じる要素が何もないわ…。疑う理由なら山ほどでてくるんやけど」

「私そっくりな見た目してるくせに可愛くねぇー…」

「別にオレは可愛くねぇだろ」

「それは遠回しに似てる私も可愛くないと言ってるのと同義だからね!? これでも剣術小町とか言われてめちゃくちゃモテたんだから! 勇者の時にも嫁がいっぱいいたんだから!」

「あ、それは絵本で見た! ハーレムで女侍らせてたサイテーな勇者の話」

「サイテー!? 可愛い子が周りにいっぱいいたんだから仕方ないでしょう? それに子孫をたくさん残すのも私の役目だったの!」

「ほーん…」

「関心持てよ!」

あ、そうだ。あれを聞けばいいんじゃね?


「なぁ、アンタの話を信じれるかまだわかんねぇけど、一つだけ答えてくれ」

「信じなさいよ! …それに答えたら信じる?」

「ちゃんと答えたらな」

「…いいよ。なに?」

「こっちに…異世界に連れてこられた時、何を持ってた?」

「えーっと何だったっけ…。木刀は持ってていいと言われてしばらくはつかってたね。あと…他に持ってきちゃって置いていくよう言われたのは、道着とサラシ、お財布とお守り…は今持ってるか。 あっ! 梅干しつけてる最中だったからそのツボ!」

本物やん…。だって異世界に梅干しのツボ持って呼ばれるようなやつ居てるか!?って思ったんやし。ちゃんと謝らねぇと…。


「え、降りてきた!」

「疑ってごめんなさい」

「急に素直!?信じてくれたの?」

「うん。 その梅干しのツボ、今はオレが持ってるんだよ」

「ほんとに!? 見せて見せて! いい感じにできてた?」

「真っ黒やったけど、ちゃんと梅干しになってて美味かった」

これは大切なものやって言われてたからしっかり仕舞ってる。


ポケットからツボをだしたらひったくられた…。動きが一切見えんかったぞ。怖っ…。

「ほんとだ! これうちのツボ! どれどれ…。 うわ…真っ黒…これ食べたの?」

「イリエル様が食べても平気って言ってたからな。しょっぱかったけどちゃんと梅干しやった」

「イリエル様が…なら大丈夫か」

一つ摘むとぱくっと口へ放り込むご先祖様。

「ん〜〜! しょっぱっ!! でも美味しいかも…」

「せやろ? 見た目の色だけはすっげーヤバそうやけどな」

「ほんとにね。でも白米欲しくならない?」

「それな? やっぱ梅干しには白米だよな。 あ、そだ。 颯真の里で収穫祭の時に貰ったおにぎりが一つだけ残ってるけどいる?」 

ゼファーラさんのところでもらったおにぎり。美味しかったから一つだけ大切にとっといたんだよな。

「いいの? ちょーだい! 颯真の里かー、懐かしいなぁ。エルフの子たちは元気なのかな」

「元気やったぞ。 そこでしばらくお世話になったんだよ。すっげー紅葉のきれいなところでさ」

「そうそう! あれを見た時は感動したなぁ。絶対にこの世界を守らなきゃって思って。もう一度見たいなぁ…」



話しながらおにぎりを手渡したら、半分にして返してきた。

「ほら、一緒に食べよ。美味しいものは一人で食べるより誰かと一緒のがいいでしょ」

「ありがと…」

オレも梅干しを一つもらって半分になったおにぎりと食べる。


「ん〜〜。やっぱり梅干しにはおにぎりだね!」

「うん。間違いないわ」

ご先祖様いい人やな。初めはいきなり攻撃されたから意味わからんかったけど…。



「え、この子達何してるの!?」

「仲良くお昼ごはんかしら?」

この声…。


「イリエル様! と…イリエル様のお姉さん?」

「オリエル様だよ!」

真っ白なところで一回だけ会ったな。優しいお母さんみたいな人やなぁと思ったっけ。


「秋乃、レイアちゃんを見極めるように言ったはずだけど、どうだった?」

「いい子ですよ。一つしかないおにぎりを躊躇いもなく渡してくれましたし!」

「判断基準そこなの…? 一番大事な吸血衝動については?」

「見ての通りです。血の匂いも自分で乗り越えてましたし、今も意思はしっかりしてます。衝動に振り回されたりもしてません」

「咄嗟に力を使ったりは?」

「それは…いきなり斬りかかった私も悪かったというか…」

「秋乃…あのね?私がお願いした内容をちゃんと理解してる?」

「えーっとはい、多分?」

「はぁ……」

ご先祖様、お説教されてねぇか?


「レイアちゃん」

「ん?」

イリエル様が手招きしてるな。


「大丈夫だった? いきなりでびっくりしたでしょ」

「んー、そうかも。 でもあのご先祖様いい人やったし」

「…さすが血族…。楽観的なところまでそっくりだわ…」 

「イリエル様、質問してもいい?」

「うん?」

「ご先祖様がどうしてこんなとこにいてるん? 幽霊でもないし…。しかもちゃんとまだ生きてるんだとしたら、オレの生まれ変わりってのもおかしくない?」

「ああ、それには深いわけがあってね。ほら、あの子勇者でしょ?魔力もすっごく高くてね。地球へと帰ってから魔法そのものは使えなくはなったんだけど、不老不死みたいな状態になっちゃってね。流石にそのまま地球にはおいておけない、かといってこちらの世界でもパワーバランスが崩れかねないくらいでね?やむを得ずここで寝ててもらったの。 生まれ変わりってのはわかりやすく言っただけで、力の継承者って事になるかな。血筋の人にはそういうことが起こりうるの」

「なるほど…?」

わからん…。

「だから生まれ変わりって説明したの! そのほうが分かりやすいでしょう?」

「うん、まぁそうかも…?」


「しかもあの子、女癖悪いから自由にさせておくと魔族が増え過ぎちゃうから、申し訳ないけど寝ててもらったのに、お姉ちゃんが起こしちゃったの!」

つまりアレか?ご先祖様は女癖の悪い超絶兵器みたいな扱いで封印されてたと。で、それをイリエル様のお姉さんの神様が封印を解いた?


「そんな感じ…。しかも私になんの相談もなしによ? レイアちゃんを攫うのだってお姉ちゃんが勝手にやったんだから!」

「聞こえてるわよ? パワーバランスが〜とかいうのはもう当てはまらないでしょう?こっちには前より強くなった吸血鬼の二人や、レイアちゃんの姉達、イリエルの眷属みたいなドラゴン達も前よりずっと力をつけてる。だったらこの子ももう自由にさせてあげて。私の世界から呼び出して勇者として利用したのはイリエルよね?」

「うぐっ…はい…」

「私はもう自由ですか!?」

「ええ。地球には連れて帰ってあげられないけど、こちらで好きに生きて楽しみなさい」

「やった! レイアちゃん、現在のこっちの事色々教えて? 後ね、私の子孫達にも会いたい! それからそれから…」

「秋乃ちゃん、自由にするのはいいけど、いくつか条件出すからね?」

「えー…イリエル様意地悪だー」

「仕方ないでしょう!? まず、元勇者だと世間にはバレないようにして。色々と騒ぎになるから。あと、性転換の魔法はもう使用禁止だからね! 女の子に手を出すんじゃないよ!」

「酷い…。私の楽しみが…」

絵本にあった勇者…つまり、うちのご先祖様のハーレムは趣味やったんやな…。ちょっと引くわ…。

「それ、レイアちゃんが言えるセリフじゃないからね?」

「なんでやねん。オレは勇者みたいにハーレムとか作ってへんのに」

「そうね?(この子の場合は無自覚に引き寄せてるからなぁ…しかも周りのが乗り気でスキあらばだし。秋乃ちゃんと違うのはそこかな)」 


「じゃあイリエル様、一人! 一人だけでもダメですか?その子相手にしか性転換魔法も使いません!」

「絶対に?二人目に手を出そうとしたらその時点でまた封印するよ!」

「はい! というわけだからレイアちゃん?私と契ろう?」

「秋乃ちゃん…アホでしょ貴女! レイアちゃんは子孫! 力の継承者! 血族!」

「いやー。今までこんな娘に出会ったことないからすっごい気になっちゃって…。勇者の私に生意気な事を言う口の悪い子とか新鮮すぎません?落としにくそうな子ほど燃えるっていうか!」

「お姉ちゃんー、コイツやっぱり封印したらだめ?」

「ダメよ〜。まぁレイアちゃんに手を出すのはどうかと思うけど」

「だよね!? ほら! わかった?秋乃ちゃ…聞けよ!」

「レイアちゃん。 お姉さんといい事しよう? 私すっごいよ?テクニックとか。何人もなかせてきたんだから」 

「ほんと人の話聞けよコラ」


「なんの話や?剣術とかの話? もう斬りかかるんはやめてほしいんやけど…」

「斬るんじゃなくて刺すほうかな?なんちゃってね?」

「それもやめろよ! 死ぬだろそんなん。 優しい人かもって思ったのに…」

「優しい! 私は優しいよ! めちゃくちゃ優しくする! 最初だけは痛いかもだけど」

刺すとか言うてる人が優しいわけあるかよ…。痛いで済むか! 流石に姉達からもそんなおっそろしい宣言されたことないぞ?


「やめろーー!」

「あははっ。イリエル、またね〜。 レイアちゃんも及第点ってところかしら。またね?荷物は返しといてあげたから」

「ちょっとお姉ちゃん、もうコイツ持って帰れー!!」

絶叫するイリエル様を無視するように笑いながらお姉さん神様消えたな…。

で、及第点って…結局オレはなんの試験をされてたんや?

というか…ご先祖様にベタベタと触られてるのはなんや!?やめっ…へんなとこさわんな!


「あぁ…その逃げ方はズルいよ! 吸血鬼ズルい!」

「変なとこ触るからやろ! 変態かよ!」

「ふふっ…この子になら罵声浴びせられるのも悪くないかも。ゾクゾクする」

なんかゾワッて寒気したぞ!?


「はぁ…………」

イリエル様はなんかすっげーお疲れやな…。また肩揉む?

「誰のせいだと……」

オレのせいではないと思うんやが…。

「ソウダネー」












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