上から数えて
お母さんに会えたのも嬉しかったけど、オレたちがお世話になった和桜の国の女王様や、ゼファーラさんと仲良くなったみたいで、それがなにより嬉しい。
難しい話とかもしてるから半分以上は聞き流してるけど、和やかに話ができてるのならそれでいいよな。
食事も終わり、女王様は国へ帰っていった。色々と話が進んだから国へ帰ったら纏めてまた会議だーとか言ってたな。
お母さんも難しい顔をしてるから、何か考えてるのかもしれない。
「零、ちょっといいか。詩乃達もこい、大事な話だ」
お母さんにそう言われ、一瞬で連れて行かれたのは別の場所。これってキューブの中か?ユナ姉のとはちょっと違うけど…。どこやここ…。
連れてこられたのはオレと、シノ姉、ユナ姉、リオ姉、それにミミ。
「お母さん?なんでオレらだけ…」
「今後について大切な話があるからだ。 関係あるのはお前たちだけだからな。他の奴らに説明するかはお前達に任せる」
このメンバーでってなると、現実の方の話か?
「そろそろ零も戻る目処が立つ頃だろう? だから幾つか話しておかなくてはいけないことがあるんだ」
「学校のこととか?」
「それも含めてだ。 いいか、零は学校や世間へは長期入院しているという事になっている」
なんか姉達がそんな話してたような気もするな…。
まぁゲームを始めたら異世界へ行っちゃいました、なんて誰も信じないやろうし。仕方ねぇよ。
「お母さん、学校への書類とかどうするの?長期入院で休学とかになると証明書とか必要でしょ?」
「だからそれを話すっつってんだろ。終いまで聞け由乃。 京の姉がな、元々会社として医療機器を納品していた病院を買収した」
「はぁ!?」
「うるせぇ、由乃! まだ話の途中だ。 あいつらも自分のところのゲームで可愛い甥っ子をこんな目に合わせた負い目があるんだろう。書類等の用意は全部任せていいんだとよ」
「助かるけど〜大丈夫なの〜?それ……」
「一応、あちらへ戻ったら零は一度検査入院だから覚えておけ」
マジかよ…。嫌やなぁ。
「うちらとしてもちゃんとした病院で一度零くんを診てもらいたいとは思うけど、本当に大丈夫なの?」
「あいつらも心配だからだろ。こんな事普通は起こり得ないからな。ついでにお前たちも全員診てもらえ。料金はあちら持ちだからこの際徹底的に検査してもらってこい」
「姉たちも一緒なら不安もないしいいか」
一人だけだったらちょっと心細かったし…。
「それとな零」
「ん?」
「髪と目の色が変わった程度ならなんとか神の力かなんかで有耶無耶に出来るらしい。ただ、性別までは流石にどうにもならないからバレないように気をつけろ」
「髪と目がいけるんやったら性別もなんとかしてくれよ…」
「私もそう言ったんだが、他へのしわ寄せが大きくなりすぎるとか言いやがったんだ…。 だからな理乃、ミミも悪いが零のこと気にかけてやってくれ」
「任せて。今度こそちゃんと守るから」
「私はクラスも同じですし、出来るだけ力になります!」
「リオ姉、ミミ…悪いな。オレも気をつけるけど、よろしく」
正直何に気をつけたらいいのかわからんけど、なんとかなるやろ。
「学校側へは説明をしておくが、休学する期間のが長くなると最悪退学って可能性も出てくる。そっちもあいつらが手を回すとは言ってたが、可能性として覚悟しておけよ」
退学か…。確かにあちらへ長く留まれないのなら仕方ないんだけど、せっかく入った学校だ、ちゃんと卒業したかったな…。
「いいか、零。 性別が変わろうが、見た目が変わろうが、どうなってもお前は私と京の大切な子だ。それだけは忘れるな」
「ありがとうお母さん。うん、そうだよな。そっちでもし退学になってもこっちの学校にちゃんと通うよ」
「それもありだな。…いっそ魔の国に学校を作るか…」
お母さんが滅茶苦茶なこと言い出したな。本気になったらすぐに現実にしてしまいそうだけど…。
和桜の国の学校もほぼ完成してるって話だし、女王様ってすげーよな。
「話はそれだけだ。またあちらへ戻ったら改めて説明するが、心づもりだけはしておけ」
「わかった」
お母さんが頷くと同時に、またあっという間に元いたゼファーラさんの家に戻ってきた。
「アリサ!? もう、いきなり消えるからびっくりしたわ! 大丈夫!?」
戻ると同時に、またアリスに肩を掴まれる。だから力つええんだって。そんなガクガクと振り回されたら脳震盪起こすわ。
「大丈夫やって…。お母さんから大事な話を聞いてきただけだから」
「内容は聞かせてくれるのよね?」
「別にいいけど、アリス達にはあんま関係ない内容やぞ?」
「それでもよ! アリサの事は全部知っておきたいのよ…お願い」
そんな悲しそうな顔しないでくれ。アリスとは繋がりがあるからかこういう悲しい感情とかがやたら伝わってくる気がするんだよ。
「アリス、大丈夫だ。レイアを離してやれ。 みんなも気になるだろうからうちらがちゃんと話してやる」
「わかったわ。 全く…話してくれるなら初めからアタシ達にも聞かせてくれたらいいじゃない」
「人数が多いと煩いし面倒くさいからな。特にアリス、お前が」
「腹立つわね…! アリサ、魔王になんとか言ってやって!」
「なんとかって…どないせーいうんや」
「アリスが煩いのは事実…。少しおちつけ」
「アイナ姉様まで!」
そういやアイナはこういう時詰めてきたりしないよなぁ。だいたい真っ先に来るのはアリス。
「アイナは毎回大凡を察しているようですよ。つまり、アイナが焦るような事になったら本当にマズい状況ということです」
「ユリノ姉、そういうのをフラグって言うんやぞ。どーすんだよ、アイナが焦るような事態になったら」
「私の責任ではないですよね?」
そうなんやけど、フラグってそういうもんやし。
「大丈夫…。アリサの事は把握できてる…何も心配ない。アリスが未熟なだけ」
「確かにアイナ姉様にはかなわないけど! くっ…アリサ、慰めて。みんながアタシをイジメるわ」
いじめてるっていうのかこれ…。
「私達の加護もある…?心配ない…?」
「妾達のでは心許ないかも知れんが、セーラ姉様の加護なら余程大丈夫じゃろうて」
「そうね。唯一危ない相手もここにそろってるわけだし」
そういやこの世界でトップクラスにヤバい人達だったな、ここにいるのって。
魔王のお母さんにうちの姉たち、それにアリスとアイナ。セーラたちドラゴン…。
「なぁ…ここにいるメンバー、ヤバくね?」
「今更よ。なぁに?怖気づいたの?」
「いや、そうじゃねぇけど…」
ゲームで言うなら、各地にいるはずのボスとラスボスと裏ボスがぜーんぶ集まってるようなもんやろ、これ…。
「すべての中心はレイアですけどね」
「オレは一般人やぞ、ユリノ姉」
「………」
心底呆れた顔してため息をつくのやめてくれ…。結構傷つくぞそれ。
ちなみにユリノ姉もボス格の一人やからな?
心を読んでドヤ顔する事ではないと思うんやけど、ユリノ姉本人が嬉しそうならいいか。




