変わりゆく家族
ゼファーラさんに姉達を紹介して、村の案内をしてもらいながら移動。みんなを家へと招き入れてくれた。
「あの…魔王様もこちらに来てくださるとうかがっていたのですが…」
「ああ。少し遅れてくるだけだから大丈夫だ」
「わかりました」
ユナ姉がゼファーラさんにそう答えていたけど、お母さん忙しいんやろうか。
お茶とお菓子を出して姉達をもてなしてくれてるゼファーラさんは、オレの幼い頃のこととかを色々と聞き出してる。
自分の話をしているのを聞かされるのは恥ずかしいんやけど…。
あ、ちょうどいいや。今のうちにノーラに話を聞いておきたい事もあるし確認しておこう。
「ノーラ、ちょっと聞きたいことがあるんやけどいいか?」
「ん?妾にわかることなら答えてやらんでもないのじゃ」
「えっとな…」
ノーラは茉莉花の事は知っていた筈だから説明するのも楽だ。
「ふむ…。別にレイアがあ奴に協力するのはなんの問題も無いのじゃ。他の者もダンジョンへは入り込んでおるんじゃしな」
「そらそうやろうけど、あのダンジョンはノーラの住処やし、一応確認しておくべきかなって」
「律儀なやつじゃ。レイアが落ちてきて妾と会った場所は、普通にダンジョン攻略をする過程では辿り着けるものではないんじゃ。ごく稀にお主のように迷い込んでくるものはおるが、仮に妾に刃を向けるようなら対処するだけじゃし、そうでなければ追い返してきたんじゃよ」
「つまり、ダンジョンをクリアするってなってもノーラと戦うとか、迷惑はかからねぇんだな?」
「当然じゃ。 というかじゃ、レイアは妾のダンジョンを最下層までたどり着き、クリアできるとでも思っておるのか?」
どうなんやろ…。一度や二度でクリアできるなんて楽観視はしてない。茉莉花だって何度も挑んでるくらいだからな。
姉達なら余裕で辿り着くんだろうが、オレにはそこまでの実力はないし。
「きたえてあげようか…?」
「いいのか?セーラも忙しいんじゃ…」
「いいよ…? ノーラをびっくりさせてあげよう…?」
「そうだな、頼む!」
「レイア、お主本気か!?セーラ姉様の訓練は過酷なんじゃぞ!」
「そうだとしてもだ。いつも姉達に守られてばかりじゃ情けないだろ?逆に守れるくらいになりたいんだよオレは!」
ケガをしたユナ姉の姿が忘れられねぇんだよ…。他の皆にだってケガなんてしてほしくない。
だったら守れるくらいにオレが強くなるしかねぇだろ。
「ん、任せて…?」
「ノーラ姉様も少しはレイアを見習って訓練したらいいのよ」
「フォーラも妾とさして変わらんじゃろが!」
「どうかしら。そろそろあたしは人化できそうよ?」
「嘘じゃろ…!?」
「へぇー。フォーラも人化したら美人になりそうやな。セーラもすっげー美人やし、姉妹ならやっぱり似るんやろ?」
「期待してるといいわ!」
「多分…? 属性による特徴はあると思うけどね…?」
フォーラって水だっけ。じゃあやっぱり髪の色とかが今のボディ色に似て水色とか?
ノーラなら茶髪で見慣れた普通な髪色になりそうだよな。
ノーラ達とそんな話をしていたら、お母さんを連れたイリエル様が到着。
普段は絶対に見ない豪華な黒いドレスを着てる。うちのお母さんって背が高いからよく似合ってるな。
「お母さん! ドレス姿初めて見たけど似合ってるよ。綺麗でかっこいい!」
「そうか…?ならいいんだが…。色々とあってな、やむなく着替えたんだ」
お母さん本人は渋々着たって感じか。多分イリエル様か、ポチョムキンのおっさんに言われたんやろうな。
少しいつもと雰囲気の違うお母さんをゼファーラさんに紹介。
難しい話をしているけど、そのまま近くにいようと思ったのにイリエル様に呼ばれて離れた。
「二人は少し大切な話があるからレイアちゃんはこっちにいなさい」
なんて言われたら逆らえないし。
姉達もみんな離れてるからな。
イリエル様はしばらくしたらまた来るから〜って居なくなってしまったけど。神様は忙しいんやな。
入れ替わるようにオレの前に来たのはリオ姉とミミ。
「レイア、一週間たったけど、こっちで学校の勉強は大丈夫そう?」
「うん。元の世界と違う部分も面白いから勉強も楽しいし。 リオ姉とミミも今日は休みなのか?」
「そうだよ。 ねぇ、レイア。今度はちゃんと守るから…。一緒に学校行こうね?」
「ああ! リオ姉こそ大丈夫なのか?相変わらず言い寄られてるやないん?」
「大丈夫。もうそういうのは徹底的に潰したから」
「リオ先輩ね、レイアちゃんがまた通うのなら〜って完全に学校を掌握してしまったんだよ」
何したんだようちの姉は…。恐怖で支配されてるんやろうか。茉莉花みたく、顔を見るだけで道を開けられるみたいな?
「退学とか謹慎になるような事しないでくれよ?」
「するわけ無いでしょ!」
「どちらかというと前と違って正攻法だから大丈夫だよ」
どういう事だよ…。リオ姉が実力行使以外で物事を収めたのを見たことがねぇし、想像つかねぇ…。
「リオも成長したって事だよレイア。大丈夫」
そういって頭を撫ぜてくれたユナ姉。
「ユナ姉がそう言うなら…」
学校に行ってみればわかるか。
「話は終わった…? 今のうちに鍛えよっか…?」
スーッと寄ってきたのはセーラ。長い黒のドレスを引きずるようにしてるのに足音さえしない。さすがドラゴン…。
「今からか?もっと時間ある時のがいいんじゃ…」
「大丈夫…?任せて…?」
素早くセーラに抱きかかえられてしまい、抵抗する間もない。
「ちょっと! アリサをどこへ連れて行く気!?」
「本人が望んだ…?貴女達を守りたいから強くなりたいって…?」
「アリサ、本当?」
「ああ。セーラに頼んだのはオレだから。アリスとアイナにも力をもらったのに、守られてばかりだからな。ちゃんと強くなりたいんだ」
「……ん、わかった。 アリス?」
「はぁ…。アイナ姉様もいいのならわかったわよ! でも変なことするんじゃないわよ!?」
「……鍛えるためだから平気…?」
変な間があったな?何されるんやオレは…。
「すぐ戻る…?」
セーラのそのセリフと共に視界が真っ黒になり…。
次の瞬間には別の部屋にいた。
「手早くいくね…?」
「よろしくお願いします!」
セーラはこれから師匠みたいになるんやろうか。
でも、どうしてこんな寝室みたいな部屋なんやろう?疲れたら休むためとか?大きなベッドもあるし。
あ、きっとここは拠点か何なんやろうな。きっと外では厳しい修行が…。




