距離感
ダンジョンから一瞬で外に出られるアクセサリー。
シノ姉からもしもの為に持っておくようにと渡されたのが役に立った。
戻ってきたのは丁度入り口を入ってすぐのところ。ここから出ればギルドの受付とか飲食スペースのある一階部分になる。
「さすがBランクになるといいもの持ってんな…」
「姉から貰っただけやけどな」
ギルドの受付で帰還報告をして、素材とかの買取も…。
あ、そうだ…。
「なぁ茉莉花」
「ん?」
「これ貰ってくれ。プレゼントくれたやろ?あれのお礼」
手渡したのはさっきオレが射抜いたヴィーヴィルってやつの頭の宝石。弓を当てたから割れてるけど、ユリノ姉に言わせたら価値があるものらしいしな。
「お前…。これがどれくらい価値があるかわかってんのか!?」
「多少はな。お礼としてのオレの気持ちなんだから素直に受け取ってくれ…」
「……わかった。そこまで想ってもらえてるってなら受け取る」
「ああ。オレのがたくさんもらったしな!」
正直価値とかわかんねぇけど、素材に価値を見出してる茉莉花になら渡しても嫌がらせにはならんやろうし。
別の受付で手続きしてた楓花達も合流し、アヤさんも一緒に学園の敷地に入ったところで解散することになった。
「お疲れ。週末はオレはここに居ないから、また週明けにな」
「そうなの!? さみしいなぁ…いっしょに温泉とか行きたかったのに」
「レイア様はどちらへ…?」
「迎えが来るんだよ。週末は絶対に帰ってくるようにって言われててさ」
ゼファーラさんがそう言ってたし…。
姉たちもあの大陸に居るから会えるやろうしな。
「しかたないのぉ…」
「そうですわね…」
「レイア。今日の話、もう一度よく考えておいてくれ。頼む」
「ああ。わかった」
ノーラにも会えるやろうから、色々確認しておきたい。
アヤさんと寮への帰り道。
「ダンジョンはいかがでしたか?」
「んー楽しかったかな。敵は気持ち悪かったりするけど、友達と行くのも悪くない」
「ご無事に戻られてホッとしました」
心配かけちまったか…?
どんな敵と戦ったかーとか話しながら寮へ帰ってきたら、入り口に待ち構えてるのはゼファーラさん!?もう来てたのか…。
「レイアちゃん! 迎えに来たのに、街へ遊びに行っていると聞いて…」
「ごめんごめん。迎えに来るのは明日の朝かと思ってたんだよ」
「そのつもりでしたが、待ちきれなくて…。さあ里に帰りましょう?」
いや、オレ今ダンジョンから帰ったところなんやけど?まぁでも別に荷物を部屋に取りに戻るとかする必要もないしいいか…。
「アヤさん、ありがとう。また日曜の夜くらいには戻ると思うから」
「はい。皆には伝えておきますね」
特にメイドのカティアさんにはちゃんと伝えてくれるように頼む。じゃないとまためちゃくちゃ叱られかねない。
ゼファーラさんに抱きしめられるようにしてワープ。
こっちはもう紅葉が真っ赤だな…。
オレがここを立つときにはまだ青かったのに。
「おかえりなさい、レイアちゃん」
「ただいま!」
「すぐに食事にしますね」
「手伝いたいんやけど、ダンジョンから出てきたばっかりやから、先にお風呂行ってもいい?」
「…ダンジョン…?」
なんかまずかったか…?
ゼファーラさんはオレの身体を触ったり抱き上げたりと全身チェック。
「怪我とかしてませんね?」
「大丈夫やって。もし怪我しても治せるし…」
「あまり危ないことはしないでください…」
心配性やな…。でも娘も帰ってこないし、旦那さんも亡くしてるから無理もないか…。
「気をつけるよ」
「はい。ではお風呂に行ってきてください」
「わかった! でたら手伝うから!」
早めにきれいにして上がろう。
お風呂場に行き、服を脱いでシャワーを浴びる。
この木に直接ついてる蛇口も久しぶりかも…。
「レイアちゃん…」
「ん? うぁぁ!? ちょ…ゼファーラさん、なにしてんの!」
背後にタオルだけ巻いて立ってたらビビるって…。ホラーかよ。
「本当に怪我がないか心配で…」
「大丈夫やって!」
そう言ったのに信じてもらえず…。全身確認されながら洗われた……。
「傷なんてなかったやろ?」
「ええ…。安心しました」
やっとか…。
「折角です。一緒にお風呂に入りましょうね」
「えー…」
「嫌…ですか?」
そんな悲しそうな顔しないでくれ…。
「嫌とかやなくて、ゼファーラさんもきれいなお姉さんにしか見えないんやから困るって…」
「ふふっ…こんなおばさんにありがとうございます」
年齢とか知らんけど、見た目はうちの姉たちとそう変わんないくらいだからな?
ほんと、うちの姉達やユリノ姉といい、アリス達といい、女の人の距離感がわかんねぇ…。
オレも見た目だけは女になってるけど、全っ然理解できねぇ! 普通なのかこれ?
色々と諦めたオレは、ゼファーラさんとあまり広くない浴槽に抱きかかえられるようにして浸かった。
…ほんとなんやこれ!?




