王の証明、喧嘩再び
いつ来てもお城は大きいです。
それでも、今は入り慣れた建物です。
さぁ、ユキを認めてもらいましょう!
何度もお城に来ると、目的地は直ぐにわかります。
お城の通路にも慣れました。
「お帰りなさいませ」
と、お城で働いているメイドさんからも挨拶されるほど……。
「……『お帰りなさいませ』って言われたわよね?」
「……私の家は『ミューズの安らぎ』にある部屋です」
私はお城に住んで居ません。
どうして、『お帰りなさいませ』という言葉が出たのでしょう?
「……そういえば、私の部屋がお城にあると以前聞きました」
「それなら、間違いではないかもしれないわね」
「……お城のお風呂は豪華ですけど、住むには不便な気がします」
「ルリは本当にお風呂が好きね」
「……安らぎは大切ですから」
セシリーと二人で会話をしながら歩いて行く。
挨拶される内容は『お帰りなさいませ』という言葉が目立ちました。
嬉しいのは間違いないですけど。
「王位継承は考えなおしたりしないの?」
「……それはありえません」
私がそう答えると、何故か周囲を歩いている人が残念そうな声を出しました。
「人望もあるようよ?」
「……嫌なものは嫌なのです」
私は一般人がいいのです。
普通じゃない?酷いこと言わないでください。泣きますよ?
「……ここには家族に会いに来るだけのことです。仮に王位継承権を持っていたとしても、それは変わりません」
ここには大切な家族がいるのです。
(……『お帰りなさいませ』というのは嬉しくなります。ですが……)
お城は窮屈な気がします。
でも、お風呂は豪華です。食事もとても美味しいです。ベッドも……。
「どうしたの?」
「……お城は私をダメにするのです」
私にとってお城とは誘惑の多い場所であることに、気が付いてしまいました。
「ルリか。セシリーもよく来たな」
謁見の間に通じる扉が開くと同時に、ゼフィアの声が聞こえました。
「……今日は用事できました」
「そうか。用事と言わずにいつでも気が……る……」
ゼフィアの声が徐々に小さくなりました。
「王様、心中お察しします」
と、横からセリシーの声が聞こえました。
別に酷い事はしてませんよ?
「……私の用事は……」
「……認めん」
内容を言う前に拒否されてしまいました。
「……まだ伝えてませんよ?」
「言わなくてもわかる」
ゼフィアが少し焦りながら言いました。
「……さすが私の家族です。伝えなくてもわかるのですね」
「……そうだな。家族以前に目の前の光景を見ればわかることだが」
「……では」
「だから、認めん!」
「……私はあの時のことを忘れてはいませんよ」
「……ちっ」
舌打ちしましたね?
あの時のことに対して舌打ちですか……。
「……容赦はしません」
「どうするつもりだ?」
「……少し、ゼフィアに痛い目にあってもらうだけです」
「どんなことがあっても、俺は認めるわけにはいかん!」
ゼフィアとのにらみ合いが始まるのでした。
「ある意味、劇よね……」
目の前でルリと王様がいきなり争い始めた。
あれだけ否定された挙句、昔のことを舌打ちで流されると頭にくるのはわかるけど。
「……ユキ、あの人が私達家族の中を引き裂く元凶なのです。一緒に戦いますよ!」
「わん!」
ユキもご機嫌でルリの頭の上で尻尾振ってるわね。
……本当に犬に思えてきた。
「犬を使うなんて卑怯だぞ!」
王様が叫んでいる。犬が怖い王様ね……。
……ダメ、笑いをこらえないと。
「……これは家族との共闘です。卑怯ではありません」
「家族と言うが犬じゃねぇか!」
「……立派な家族です」
「犬は犬だ!」
子供の喧嘩みたいな会話になってるわね。
でも王様、残念なことに、ユキは犬じゃないのよ。
「家族は人同士がなるものだ!犬が家族には入ることはありえん!」
「……………今、何と言いました?」
王様がルリの逆鱗に触れたみたい。
ルリの声が物凄く低くなったし。
(もう見慣れた光景な気もするけど)
ルリが頭の上から、ユキを下して翼を広げた。
(これは危険よね……)
ユキはルリの足元で待機している。巻き込まれる位置よね。
仕方ない。
「ユキ、こっちに来なさい。そこは危なくなるから、ここで見学するのよ!」
「わん!」
ユキが私の足元にやってきた。
やっぱりこの子、頭がいいわね。さすが白狼。
「結果はわかってるけど、待ちましょう」
ユキを抱きかかえる。触り心地がいいわね。
「あ、こら」
胸元に抱きかかえると、器用に登り始め。
「わん!」
と、私の頭の上で吼えた。
「ほんと、器用よね」
頭上に居るユキを撫でる。少し後ろで尻尾が振られている音が聞こえた。
「……あなたがそこまで酷い人とは思わなかったです」
「ああ……、いや、その……な?」
「……残念です。ええ、とても残念です。ゼフィアが初めから認めてくれていれば良かったのですが、先ほど酷いことを言いました。本当に残念です。………………いえ、残念ではありませんね」
ここまで言われたのです。
私だって本気で怒りますよ!もー!
「ルリ、少し落ち着け。な?」
「……落ち着いてますよ?あまりに怒りすぎて、逆に考えが冷めた気がします。……ふふ……ふふふ」
「落ち着いてねぇ!?」
「……では、始めましょうか」
翼を広げると同時に羽を数本引き抜き、握りつぶします。
羽の数?覚えてませんよ?
「いやいや、その数はダメだろ……」
ゼフィアが戦闘態勢に入りましたね。
「……あなたは酷いことを言って、さらに私に刃を抜けるのですね」
羽の魔力を使えば、一時的に以前のように使えるのです。
ですから、解放するのも可能ですよね?
「さすがにそんな魔力を身に纏われるとな……」
「……そうですか。…………魔力解放」
自分を中心に暴風のように魔力が吹き荒れました。
「いや、マジで洒落にならんからなそれ……」
ゼフィアから余裕というものが消えました。
背後から「こら、ルリー!」と聞こえましたが、聞こえなかったことにしましょう。
「……そうさせたのは、ゼフィアです。……ふふ……あははは」
「怒らせたことは素直に謝る。だから、少し魔力抑えてくれ」
「……ダメです。今回ばかりは譲れませんから!」
言い終えると同時に、その場から駆けます。
「あぶね!」
ゼフィアが立っていた場所から慌てて飛びました。
「……マジで洒落にならんぞ?」
「……この程度でやられる人は私の家族ではありませんから」
「まぁ、そうだな!」
ゼフィアが剣を抜いて、こちらに振り下ろしてきました。
「……それに、そんな斬撃では私は倒せません」
左腕を斬撃に合わせて振り上げます。
左腕は『ガン!』と音を立て、そのまま剣を受け止めました。
魔力を纏うとこのような事もできるのです。
「結構、力入れたんだけどな……。避けると思ったのに、受け止めやがったし」
「……避けるまでもないからです」
そのまま左腕を外に払うように動かして剣をはじき、勢いをつけたまま、右足をゼフィアに向けて振り上げます。
「当たると死にそうな蹴りだな……」
「……当たらなければいいのです」
「速度もかなりあったんだが?」
「……当たらなければいいのです」
「……いや、だからな」
「……当たらなければいいのです」
ゼフィアが私の背後に視線を向けました。
セシリーに助けを求めるのですか?
「そんな場所に介入できる程、私は強くないですから!」
と、セシリーが叫びました。
「……はぁ」
ため息がでました。
私の家族はそんなに弱い人でしたか?
私の大好きな家族はそんな酷いことをする人でしたか?
「……考えるのは止めましょう」
「考える?」
「……もういいです。倒れなさい」
右腕を頭上に上げ、一気に振り下ろします。
「何を言って……うぉ!?」
ゼフィアが立っていた場所には大きなヒビが入っていました。
「……どうして避けるのです?」
「避けないと危なすぎるだろ!」
言い返すのは当然という反応でした。
「……別に当たっても死なないです。とてつもなく、痛いというだけです」
「それ、下手したら死ぬよな!?」
「……それが?」
「ちょっとまて!……お前、ほんとにルリだよな?」
「……ルリですよ?」
おかしなことを言いますね。
私が他の誰かに見えるのでしょうか?
「だが……」
「……小さな時にあなたに胸を触られた、ルリアルカですよ?」
「その言い方、悪意がありすぎだろ!?」
「……一緒に暮らし、一緒にお風呂にも入り、一緒に眠ったこともありますね」
「ルリであってるよな……」
当然です。
「……服を脱がされて、裸にされたこともあります」
「……それ、ルリが池に落ちた時のことだよな?」
「……お風呂に入っているといきなり背後から抱き着かれたこともあります」
「それはお前が背中を洗ってくれって言った時に、床で滑ったときだな」
「……そんな気もします」
「事実だ!」
それでも、慌て方が普通じゃないです。
何かやましいことがあるのでしょうか?
「……眠っていた時に、気が付くとゼフィアの手が私の胸の上にあったことがあります」
「寝相のことまで言われると俺はどうしようもない……」
「……さらに『この身体がいずれは俺のに……』とか『幼いうちから手を付けておけば……』や『今のうちに身体に覚えこませれば』と言っていたこともあります」
「そんなこと言った記憶すらねぇよ!?てか、後半は人間的にダメだろ!」
叫ぶゼフィアに。
「……王様がとことん屑だというのがわかったわね」
と、ゼフィアを非難するセシリー。
「ルリ、頼むから誤解を生む嘘は止めろ……」
「……一部は事実です」
「やばい、マジで覚えがない……」
「……屑王ゼフィアの誕生かしら?」
「その言い方はないだろ!?」
セシリーの言葉に、ゼフィアが激しく反応しました。
「……でも、それ以上に」
私の声にゼフィアが反応して、こちらを向きました。
「……あなたは私に酷い嘘を吐きました」
「俺が?」
「……あなたは待っていても……来なかったのです!」
「何を言って……ぐっ!」
ゼフィアとの距離を一気に詰めると、胸元を掴み力任せに巻き込んで地面に叩きつけ、その上に座りました。
「……私が願っても、あなたは来なかったのです!」
「何を言っているのか俺にはわからねぇよ!」
「……私の勝手な思い込みかもしれません。でも、それぐらいなら、すがってもいいはずです!」
ゼフィアにまたがった状態で右の拳を振り下ろしました。
「ルリ……」
「……もういいです」
俯きながら立ち上がります。
「……ゼフィアは言いました。人同士でないと家族にはならないと。ユキは家族には入らないと」
「それはだな……」
「……でしたら、家族の血を得て本当に人なのかわからない私も含まれますよね?」
「なんでそうなる!?」
「……私はなんでしょうね?人の姿をした化け物?人の真似をしている化け物ですか?」
考えがまとまらなくなってきました。
思い出したくない過去を思い出したからでしょうか?
「……フェイマスを出ましょう。ここは私のいる場所ではないようです」
「……え?嘘よね!?」
セシリーが悲鳴に近い声で叫びました。
「……ここではユキは認めてもらえないみたいですから。ここではないどこかで一緒に暮らせば問題はないのです」
「ちょっと、王様!ほんとにルリが出ていきそうなんだけど!」
「あ、ああ……」
地面に転がったままのゼフィアをこちらに向かって走って来た、セシリーが引っ張り上げていました。
「しっかりしなさいよ!ルリの家族なんでしょ!」
「………」
ゼフィアは呆然としています。
反応が鈍いですから。
「……それでは。ユキ、行きますよ」
「わん!」
セシリーの頭上から飛び降り、私の元にユキがやってきます。
「……島の唯一の家族だと思っていましたけど、私の慕う人はもうこの世にいないのですね」
そう言って、部屋を出ようと歩きだそうとした時。
「……なんですか?」
私は背後から、ゼフィアに抱きしめられていました。
それも、かなり力強く抱きしめられているので少し痛いです。
あと、いきなりの出来事に驚いた、ユキがゼフィアの足に噛みついています。
「……俺が悪かった」
「……何に対して謝っているのですか?」
「色々だ」
「……それは何に対して謝ればいいのかもわからないという証拠です」
「……否定できん。だが、お前がいる場所はこの街だ」
「……ここではあなたがユキを認めません。私の居場所ではないのです……んっ」
抱きしめられている力がさらに強くなりました。
「……頼むからここに居ろ。足に噛みついてる、犬も認めてやる」
「……そうですか」
認めてくれたようです。
「王様がユキを認めたのはいいことね。でも、今は別の問題よ……」
セシリーが横から低い声を出していました。
「……そうですね。確かに問題かもしれません」
「大問題よ!王様はいつまで、ルリの胸掴んでるのよ!」
「……胸?ああ、この柔らかい感触はそうか」
「……確認することですか?」
ゼフィアが何度か手を動かしているのは見えていますから。
「いちいち確認しなくても、わかるでしょ!」
セシリーがゼフィアを風属性の魔法で弾き飛ばしました。
ユキは魔法に巻き込まれる前にゼフィアから離れていましたね。
「ユキ、やりなさい!」
「わん!」
セシリーの声に合わせて、ユキが走り出しました。
「まて!俺が悪かったから………いってぇ――――!」
ユキはゼフィアが言い終える前にゼフィアの頭に噛みついているのでした。
とても器用に一気に頭まで登ってましたよ。
「その犬、ユキのことを認める」
ゼフィアがそういうと、書類を一つ私に手渡してきました。
「それはルリが持っていろ」
「……なんですかこれは?」
「ユキが王家公認の動物という証明書みたいなもんだ。首輪には金色の細工が入るから、それで俺が認めたということがわかるだろう」
「……そうですか。今は確認できませんけど」
ユキのいる方向へ視線を向ける。
ユキはファリスとアレイシアさんに大喜びで歓迎されていました。
「お姉さま!この子、すっごく可愛いです!」
「この子犬をゼフィアが怖がったとか……バカよね」
「バカとはなんだよ……」
ゼフィアがアレイシアさんに睨みながら言いましたが。
「しかも、ルリさんを本気で怒らせて、もう少しでフェイマスから出ていくところだったそうね」
「それは……だな……」
「これをバカと言わずに何というのかしら?愚か者?ねぇ、ルリさん、酷い嘘を言うゼフィアってどう思う?」
不意にこちらに話を振られてしまいました。
素直に答えましょう。
「嫌いです。情けを掛ける必要も慈悲もいらないぐらい嫌いです」
「……ゼフィア」
「な、なんだよ?」
アレイシアさんが低い声で言いました。
「本当にどうなっても知らないわよ?今は少しは反省してるみたいだけど……ルリさん、相当怒ってるはずよ。いつもみたいに大人しくしてくれてると思って安心してると、痛い目見るわよ?」
「そうだな……」
ゼフィアの元気がありません。
「お姉さま、この子犬はどこで拾ったのですか?」
ふと、ファリスから尋ねられました。
ユキを拾った場所、正しくは保護した場所になりますね。
「……王都から少し離れたところにある湖周辺です」
「湖周辺ですか?以前に黒狼の群れがでたと報告書では見ましたけど……。この子はそんな危険な場所にいたのですね」
「……あの時は黒狼よりも人の方が危険だと知りました」
「どういうことですか?」
ファリスが首を傾げながらいいました。
「……この子、ユキの親たちはシエラさんの予想だと試し斬りで殺されたという話になりました」
「なんですかそれ!」
「私からしても耳を疑う内容ね……」
「……実際、助かったのはユキだけです」
「酷い話ですね……」
ファリスがユキを抱きかかえ、撫でていました。
「これからはお姉さまが守ってくれます。安心して暮らすのですよ。……え?」
ファリスが言い終えると同時ぐらいにユキがファリスの頭上に登って行きました。
「頭の上が好きなのでしょうか?珍しい子犬ですね」
「珍しいというより、器用としか思えないわ」
アレイシアさんがファリスの頭の上に乗っているユキを撫でています。
「ルリ、そろそろ話しなさいよ」
「……黙っていてはダメですか?」
「遅かれ早かれわかる話だから。早い方がトラブルも減るわ」
「……そうですか」
ユキが子犬ではなく、白狼の子というのを説明しないとダメなようです。
犬でいいじゃないですか。
「……犬嫌いな王様が途中で正体知ったら、討伐するとか言うかもしれないわよ?」
「……それだけは阻止しないとダメです」
正直に言いましょう。
「……ゼフィア」
「……なんだ?」
「……ユキの事なのですけど」
心ここにあらずというのでしょうか?
反応が微妙です。
「認めただけじゃダメなのか?」
「……それは感謝しています。それとは別な話があります」
「この子犬にまだ何かあるのか?」
「……ユキは実は子犬ではありません」
「「え!?」」
私の言葉にファリスとアレイシアさんが反応しました。
ユキは撫でられていた手が止まったことが残念なみたいで、尻尾を振るのを止めていますね。
「……元は黒狼の子供なのです」
「ちょっとまて。言っていることがわからん……」
「……言葉通りです」
「黒狼の子供?いや、湖周辺ならば……」
ゼフィアが考え始めました。
「黒狼の子供と言われても、子犬にしか見えないし可愛いです」
「そうね。大人しいし」
ユキを再び撫で始めるアレイシアさん。
「……なぜ白い?」
「……私の羽を食べたからです」
「………」
ゼフィアが沈黙しました。
「……ゼフィア?」
少し待っても反応がないので声を掛けた時。
「思っていることが正しければ危険すぎる。悪いが、この場で死んでもらおう」
「お父様!?」
叫ぶファリスに対し、アレイシアさんは俯きため息を吐いていました。
「そいつは白狼になったってことだよな?成長すれば脅威にしかならない。人に危害を加える前に片づけるしかない」
「……そうですか」
私は心底、がっかりしました。
「……やはり……」
「ルリ、早まらないで。大丈夫だから」
「……セシリー?」
大丈夫ってどういうことですか?
ゼフィアはユキを討伐するべきだと言っています。
大丈夫なわけありません!
「……さっき言ったわよね?痛い目見るわよって」
怒っている声はアレイシアさんでした。
どうして、アレイシアさんが怒っているのでしょう?
「アレイシア、そいつをこっちによこせ」
「……本当にバカになったみたいね」
「お前も危険だというのはわかっているだろう」
「この子が危険?ファリスの頭の上で尻尾を振って喜んでいるこの子が危険ですって?どこをどう見れば、危険と言えるのよ?」
「種族的な問題だ」
「種族?くだらないわね」
アレイシアさんがうんざりしたようにいいました。
「ゼフィア、あなた今、種族って言ったわね?私達、人という種族はそこまで偉いのかしら?」
「話を変えるな」
「変えてないわよ。少し頭を冷やしたら?どれだけバカなことを言ったかわかるわよ」
「俺は冷静だ」
「冷静じゃない人に言われても信じられないわ。ファリス、このバカを外に連れ出しなさい!」
「はい、お母様!」
「まて、話はまだ!」
頭の上に乗っていたユキを抱えて、アレイシアさんに預け、ゼフィアを引きずるように外に出て行きました。
「ごめんなさい。ゼフィアに変わって謝るわ」
「……アレイシアさんはユキは大丈夫だと思ってくれたのですか?」
「この子はまだ子供でしょ?これだけおとなしいのなら、育ちかたで変わるとしか思えないのよ」
「……そうですか」
「ルリさんはこの子……ユキって言ったわね。立派に育ててあげてね」
アレイシアさんがユキをわたしてくれました。
「……はい」
「それじゃ、私はファリスと一緒にあのバカをとっちめてくるから」
アレイシアさんが部屋を後にするように移動して直ぐ。
「そうそう、他の国で暮らすなんて考えちゃダメよ?ルリさんが他の国で暮らすぐらいなら、ゼフィアを追い出すから」
そう言って部屋を後にしました。
「……アレイシアさん、ゼフィアに対してかなり怒ってます」
「そうみたいね。大丈夫と言ったけど、ここまでとは思わなかったわ」
セシリーの予想を超えていたみたいです。
(あの時、アレイシアさんが言ってくれなければ、私は本当にこの国を出ていたと思います)
心の中で思うのでした。
ルリがお城に行くと、ほぼ間違いなく何かが起きます。
今回はルリが自分の家族に対しての事なので、本気で怒っています。
王都から違う場所で暮らすという可能性もゼロではありません。
なぜ、ゼフィアはあのようなことを言ったのでしょうか?
次回の更新は書き終わり次第となります。




