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才能と裁縫

 島に住人が増えたわ。

 嬉しいことよ。

 これからの生活が楽しみ。

「ねぇ、カイ」

「なんだ?」


 私、アルテナ・フィエルは隣にいるカイに声を掛ける。


「これって才能よね?」

「才能だな。……不思議な事もある」


 目の前で二人が魔法を撃ちあっている。

 一人はアルシェ。アルシェ・クローイン。神族の娘。


「ううぅぅぅ」

「これで!」

「うわ!?」


 悲鳴を上げた方が、アルシェよ。そして、撃ちあっていたいたもう一人は。


「今回も私の勝ちよ」


 勝ち誇ったように言うのは、ライア。フルネームはライア・ミーネンツ。こちらは人族。

 人族なんだけど、魔法の才能がかなりある。今も、アルシェに勝ったしね。


「手加減してよー」

「しません。アルシェのためにならないからね」

「うぅ……。アルテナー、ライアが酷いよー!」


 私にアルシェが泣きついてきたわね。

 アルシェは私よりも少し背が高い。髪は綺麗な金髪ね。ショートより少し長いぐらい?瞳の色も金色。これが見事に綺麗なのよ。

 なに?アルシェのスタイル?……また変なことを聞くのね。言ったでしょ、背は私より少し高いって。細身で着やせ……胸が邪魔ね。平均よりも大きいってことだけ言っておくわ。


「あなたが悪いのよ。神族でしょ?人族よりも優れているのに、ライアに簡単に打ちのめされるとはね」

「アルテナまで酷い!?」


 そう、才能が凄いのはライアだ。


「アルシェ、アルテナさんを困らせてはいけません」


 ライアもこちらに向かって歩いてくる。ライアは人族に多い、黒い髪をしている。長さは私と同じぐらいかな。瞳の色は、人族にしては珍しい、薄い銀色をしているのよね。面倒だから先にいうわよ。彼女の身長は私と同じぐらい!胸の大きさは私の負け!以上よ!……皆、私よりも大きいのね。


「本当、こればっかりは才能よね」


 ライアはアルシェを微笑みながら撫でていた。


「見事だな」

「でも、こういう人族もいるんだって、改めて思ったわ」

「魔力量で劣る部分を知恵で補っているんだろう。本当に見事だ」


 今、この島で生活しているのは私、カイ、アルシェ、ライアの四人。

 家はまだ一軒しかないから、四人で暮らしてるわ。

 二人が来る前にひと騒動あったけど……。




 2ヶ月前。


「お別れは済んだ?」

「うん。皆、残念そうだったけど、また会えるからって納得してもらったよ」

「私はギルドマスターに泣きつかれました……。『二人も女性職員がいなくなるのが困る!』と……」

「……それはどうなのよ」

「自分も女性なのに『職員は女性の方がいいんだ!』という人ですから」

「いっそのこと、滅ぼそう」


 私は笑顔でいった。そんな、ろくでもないやつがいる事が問題でしょ!


「だ、ダメですよ!あんなのでも、人の役に立つんですから!」

「なかなか言うわね……」

「私も被害は色々ありましたから」


 ライアが肩を落として言う。すごく疲れた顔をしてるわね。


「ギルドマスターって抱き付いてくるんだよね。抱き付いた後で、体中をぺたぺた触りだすし」


 ……アルシェ、あなたが悪気がないのはわかる。物凄く純粋みたいだし。

 でも、それは色々とダメな人よ。


「私に抱き着いても楽しい事もないはずなのに、とっても嬉しそうにしてるし。それに私の胸触って大喜びしてたから不思議だよね」

「「!?」」


 私とライアが言葉に詰まった。これはさすがに有罪じゃない?いえ、同性であっても有罪よね?

 横を見ると、ライアも似たような感想みたい。


「癒されるとか、気持ちいいとかいって、大はしゃぎしてたなぁ。人の胸触ったり、もんだりして何が楽しいのかな?」


 ええ、確定よ。完全有罪!慈悲はない!


「ねぇ、ライア?」

「なんですか?」

「罪状は?」

「無垢なのをいいことに、わいせつな行為をした……ですね」


 ライアも庇う気はないみたい。当然よね……。


「え?ギルドマスターって悪い事してたの!?」

「アルシェ、あなたはそのままでいなさい」

「そうですね。そのままのあなたでいてね」

「どういうことかわからないよ!」


 わからなくていいのよ。あなたから純粋さを取ると……ごめん、何でもない。


「さて、島に渡る前にやることができたわね」

「そうですね……」

「私だけ除け者……」


 アルシェが拗ねちゃったわね。先にカイの所へ行ってもらいましょうか。


「アルシェ、街の北にある酒場にカイがいるから、何かご馳走してもらいなさい」

「いいの!?わーい!先に行ってるね!」


 アルシェは駆け出していった。うん、今のままでいて欲しいわね。


「さてと、どうしましょうか?」

「長距離魔法で打ち抜きましょう」

「思ったより過激ね……。ライアって大人しい人と思ってたけど?」


 これは本当に驚きだ。こんな優しい雰囲気をしているのに、発言が過激すぎる。驚かない方が無理よ。


「アルシェに悪いことをしたんです!それでも優しいぐらいです!」

「……わかったわ」


 ライアはアルシェが本当に大事なのね。そうよね、誰でも親しい人が害意を向けられたら腹が立つし、普通の事かしら?


「とはいえ、長距離魔法ね……。使えるけど、ここじゃ目立つわね」


 周囲には人が歩いている。街中だから当然だけど。それに、今は静かだけど、ライアもアルシェも街中では有名みたいなのよね。あちこちから声掛けられてたし。どうしようかな?


「空でも飛べるなら、上空から狙撃できるのでしょうけど」

「……空ね。じゃぁ、そうしましょ」

「え?」


 ライアの驚いた声は無視。周囲の視線は……こちらには向いてないわね。一気に上空に上がれば、気が付く人はいないはず。


「いくわよ」

「アルテナさん、一体なにを?きゃ!」


 ライアの腕を掴んで引き寄せてから、翼を広げて一気に空へ飛び上がる。

 飛び上がると同時に声が聞こえないように、周囲に風属性の魔法で覆うのも忘れない。


「きゃあああぁぁぁ!」


 ライアの悲鳴が耳元で響く。私にしがみついてるからそうなるのは仕方ないけど……。


「少しは落ち着きなさいよ。ただ、空を飛んでるだけでしょ?」

「ふ、普通は空なんて飛べません!しかも、こんなにもたか…………」

「あ、こら!気をしっかり持ちなさい!アルシェが受けたことに対して仕返しするんでしょ?」

「そ、そうでした……。アルシェの仕返しをしないと……」


 ライアがしがみついているのをやめて、ギルドがある方向へと向き直る。


「足場はないから、私が支えてるわ。気兼ねなくやりなさい」

「はい。日ごろの恨みも込めます!」


 ……ここのギルドマスター、本当に滅ぼさなくていいの?出会って、数日だけど、ライアがここまで怒るのってあんまりなさそうだし。


「で、長距離魔法はどうするの?」

「風属性の非殺傷レベルの物を最高速で打ち込みます。痛いのは一瞬ですよ」

「そう」


 非殺傷だけど、当たったら気絶はするわね。


「魔法の制御は得意なんです。今の時間なら、自室から外を眺めているはず……」


 ライアがギルドを見据える。自室というのはギルドにある部屋の事だろう。


「見つけました」


 ライアの視線をたどると、窓から女性が顔を出していた。あの人がここのギルドマスターか。何か言ってるわね。


「気楽に顔を出していたのが、あなたの運の尽きです」

「ちょっとまって。何か言ってる」

「え?」

「口を読んでるだけよ。でも、あなた達の事を何か言ってるわ」

「私たちの事を……。そこまで気にかけて下さったんですね……」


(ライアがいなくなって、アルシェもいなくなって、私の心の癒しが無くなったわ……。どうすればいいのよ!あんなにも優しくて可愛い娘が二人も一気に!)


 不純だけど、ちゃんと大事にされてたようね。

 これなら、別に……なんですって?


(アルシェはもう少し、餌付けとかしていたら、楽しい事になったかもしれないのに……。ライアはもっと触りたかった……。もう!私の楽しみを奪ったのはどこのどいつよ!私の癒しを返せ!)


 慈悲なんていらないわね。


「ライア」

「ギルドマスターはなんといってました?」


 興味津々で尋ねてくる。簡単に答えよう。


「アルシェって餌付けされてたのね」

「………」


 私の言葉を聞いた直後。


「くたばれ」


 満面の笑みのまま、ライアは魔法を撃ち放った。

 見事な制御だったわ。




「本当に綺麗よね」


 ライアの魔法の制御はわかりやすく言えば装飾かしら?

 普通の魔法を簡素な腕輪とすると、ライアの魔法は細かい模様や細工が全体にバランスよく施されている腕輪ね。それぐらい、細かな制御がされている。本音で言えば、この制御をやれと言われても私にはできない。

 優れた種族すら凌駕するもの……。少し羨ましいわね。


「私はこれぐらいしかできませんから」


 おまけに、この控えめな態度。異性なら、ほおっておかないと思うわ。


「しかし、見事だな。その制御はどうやって覚えた?」


 カイが食いついたわね。


「私も知りたいわ。今よりもまだ強くなれそうだしね」


 今よりも前に進めば、カイにまた一歩近づける。なによ?カイも覚えるから変わらない?それはわからないでしょ!


「裁縫で覚えました」

「「裁縫?」」


 裁縫ぐらいわかるわよ?ほら、生地を色々縫って……。

 何よ?やったことないんだから、細かくなんてわからないわよ!


「服とか作るのが趣味ですから。針に糸を通すのは集中しないと難しいので」

「裁縫か……。挑戦する価値はあるか」

「「「っ!」」」


 私、アルシェ、ライアの三人は笑いそうになるのを堪えた。


「カイが裁縫……。エプロンまでして、テーブルで真剣に……ふ……あは……あはは!ダメ、想像しただけで笑い死にそうだよ!あはははは!」


 アルシェはお腹を抱えて笑い……ふっ…ふふ……。ああ、もう!


「カイさんに裁縫は確かに似合いませんね。ふふ……」

「強くなるためだ」

「それはわかるけど……くっ!ふふ……あはははは!ダ、ダメ、お腹痛い……ごほっごほ……。もう、なんてもの想像させるのよ!あは……あはははは!」


 本当に笑いすぎて死にそう……。似合わなさすぎるのは本当だし……。


「カ、カイが……桃色のエプロン……」

「「―――――っ!?」」


 三人で笑い転げる羽目になったわ。

 アルシェの最後の一言は殺傷物よ……。




「あれ?」


 ライアの言う通りに針に糸を通すつもりが、糸はへにゃりと曲がってずれた。


「慣れると簡単ですよ」


 ライアはよそ見をしながら針に糸を通している。

 ただし、風属性の魔法を使って……。何か色々と間違えてるわよね!?


「そういって……ああ!またずれた!」


 この簡単そうなのに腹が立つほど難しいのが嫌なのよ!


「アルテナは下手なんだ。はい、ライア!」

「綺麗に縫えたわね。これなら、テーブルを拭くのに使えるわ」


 ライアが受け取ったのは、生地を無理やり糸で縫った物よ。


「それ、狼のつもりで縫ったんだけど……」

「「狼!?」」


 私とライアの声がはもった。だってこれ……。あ、色々な生地で動物を作ろうとしたのかしら?


「じゃぁ、この狼はテーブルを綺麗にする狼ね」

「そうなの?じゃぁ、それでいい」


 アルシェはまた何かを作りに戻っていったわ。


「……酷くない?」

「あの娘を悲しませるのが嫌ですから」


 ライアが少し視線をずらしたわね。

 だって、変でしょ?アルシェのことなのに扱いが雑だから。


「……本音は?」

「アルシェは家事全般、芸術、その他にも色々才能がなく……!?」

「そこまで酷いのね」

「今、言ったことはアルシェには……」

「言わないわよ。さすがに酷すぎるし」


 アルシェには色々覚えてもらうのがいいかもしれないわね。

 私も習う側だけど。


「で、ライアは今も裁縫をしているけど、よく縫えるわね……」


 ライアの手元は生地を持っているだけ。針は風属性の魔法で制御された物が宙を飛び交っている。これで裁縫って言われると、裁縫師が泣きそうな光景よね。

 早いけど丁寧……凄いとしか言えないわ。


「慣れですよ。今はこうやって簡単にしているように見えますが、大変だったんですよ?」

「大変なのはわかるけど……」


 ライアが扱っている針は1本だけじゃない。数本の針が飛び交っているからね。

 これで、失敗もしないとか、どれだけ制御が人間離れしてるか、わかってないのかもしれないわね。


「ライアって凄いわね」

「そんなことは……。アルテナさんやカイさんに比べたら、私なんて全然ですよ」


 そう言いながら、ライアは一着の服を縫い終えたわね。

 こんなの家事が凄いってアピールに十分使えるじゃない。料理も上手だし。

 ……お嫁さんに欲しい人ってこういう人の事をいうのが良くわかったわ。

 私だって欲しいと思うから!

 ……頑張って覚えよう。


「謙遜しない。ライアのその技術はとても優れているものよ。私やカイ、アルシェも真似できない。頑張ってみるけど、覚えれる自信はないわね」

「アルテナさんとカイさんは直ぐに覚えれますよ!」


 ライアは自信をもっていうけど、そうじゃないのよ。魔法が得意だから制御が得意というわけじゃないの。

 魔法で『優れたものを使える』から天才、というのはありえない。

 魔力が『弱くても制御が完璧』こちらは天才だと私は思う。

 理由?簡単よ。

 魔法は魔力量が多ければ大規模な魔法が使える。

 制御が完璧というのは、いわば隙がない魔法ともいえるの。例えば、今日のアルシェとライアの魔法の撃ちあいだけど、アルシェは大規模魔法を使っていたわ。でも、ライアは普通の魔法よ。そして、勝ったのはライア。大規模で広がる魔法の一点を集中して突破したから打ち勝った感じかしら?

 あの精密な制御は凄いとしか、言いようがない。 


「ううん。覚えられない、可能性の方が高いわ」

「そんなことは……」

「これは、ライアに与えられた、天からのプレゼントみたいなものかしら」

「天からのプレゼントですか?」


 ライアは首を傾げている。確かに突拍子もないことを言った気もするけど、私には確信があった。

 人族でありながら、他種族を圧倒する技術を持っている。もしも、ライアが兵として国に仕えたり、戦いを好む性格だったとしたら、それこそ世界の情勢が変わったかもしれないわ。

 大袈裟?大袈裟じゃないわよ。彼女の技術はそれぐらい優れているのよ。

 ライアが島に来てくれてよかったと、心底思うわ。


「プレゼントよ。あなたは人族だから、……私達とは生きれる時間の長さが違うからね」

「あ……」


 ライアから悲しそうな声が聞こえた。苛めてないわよ!


「そんな顔しないの。私達は四人でここに住んで居るのよ?家族も同然じゃない」

「……家族ですか?」

「家族よ」

「家族とはいいことを言うな」


 カイも何か作ったらしく、こちらにもってき……。


「これは見事ですね」

「………」


 カイが持ってきたのは、布に丁寧に施された刺繍だった。私よりも圧倒的に上手じゃない……。


「裁縫とは、なかなか楽しい物だな。集中力もいる。これはよい鍛錬だ」

「カイさん、裁縫は本来、服などを作る技術ですからね……」

「今後も練習あるのみだ」


 カイがふとこちらに向き直って。


「……家族というのはいいものだな」


 カイがそう言うと。


「私達って家族なんだ?嬉しいな」


 アルシェがまた何かを作って戻って来た。


「家族って考えると、私が一番下になるのかな?」


 アルシェの言葉にビタリと止まる女性陣。私とライアだけどね。


「一番上はカイだよね?」

「年齢的にもそうなるな」

「次はアルテナ。私とライアよりもずっと年上だし」

「アルシェ!?」


 ライアが驚いて叫ぶ声が聞こえる。300年以上も生きてるから、ずっと年上ね。


「カイって年齢で考えると、お爺ちゃんになるよね?」

「否定はしない」

「ライアは私にとってのお姉ちゃんだし。アルテナって年齢は確か……」

「アルシェ!それから先はいっちゃ……」

「そっか、年齢的にお婆ちゃんだね」


 アルシェが言い終えると同時に、アルシェをかすめた何かが通過する。その何かは海にぶつかると同時に大爆発を起こした。


「え?あれ?」


 アルシェは困惑しながらも、徐々に青くなっていってる。


「もう、アルシェのバカ……」


 ライアは片手で額を押さえ。


「………」


 カイは遠くを見つめていた。


「ねぇ、アルシェ」

「ひっ!な、なに!?」


 アルシェが私の赤い瞳を見て、怯えたように返事をした。


「私ってそんなにお年寄りに見えるんだ?お婆ちゃんなんだ?」


 「ヒュゴッ!」と風を切る音を発し、この島から少し離れた場所にある小島に音の源が直撃する。直後、大爆発を起こして、小島は視界から消えた。

 なによ?たかが、小島が消し飛んだぐらいでしょ?気にする必要はないわ。


「あわわ……」

「何を怖がってるのよ?」


 私が一歩進むと、アルシェが一歩下がる。少し早く進むと、私よりも早く下がる。

 捕まえられないじゃない。酷いことするんじゃないか?ですって?そんなことするわけないでしょ。

 可愛がるだけよ?


「ふふ……ふふふ……あは……あはははは!」

「アルテナが壊れた!?」


 私が笑い声を上げたので、アルシェが青ざめながら叫んだ。ただ、笑っただけじゃない。


「ライア助けて!アルテナが怖すぎるよ!」

「ごめんなさい……私では助けれないわ」

「カイ!」

「………許せ」

「そんなぁ……」


 アルシェが求めた助けは、誰も動かなかったわね。薄情な人たちよね。ふふふ……。


「追いかけっこはここまでよ」

「ごめん!ごめんなさい!私が悪かったから許して!ねぇってばぁ!」

「別に怒ってないわよ?……ふふ……ふふふ」

「怒ってるじゃない!きゃぁ!」


 アルシェが後ずさりしていたから、躓いたわね。逃がしてあげませんとも!


「なによぉ……たかがお婆ちゃんって言ったぐらいで、ここまで怒らないでもいいじゃない……。酷い……酷いよぉ……」


 アルシェはぐすぐすと泣き始めた。お婆ちゃんって言われる私は酷くないの?


「だって、年齢的には間違ってないんだよ?それなのに、それなのに……うわあぁぁぁん」


 ……泣きたいのは私の方よ。

 私はまだ結婚もしたことないのよ?子供だっていない!ましてや孫なんていないわよ!片思い?こんな時にまで突っ込んでくるな!


「ほら、捕まえた……ふふ」

「ひぅ!?」


 アルシェが逃げれないように抱きしめる。青ざめたまま泣いてるとか、私が悪者じゃないの。

 ほんと、感情が豊かよね。


「もう逃がさないわ」

「た、助けて!」

「「………」」


 カイとライアは遠くを見ていた。

 ……そんなにも私が怖いのかしら?ちょっと、傷つくわね。


「泣かなくてもいいじゃない」

「無理!」

「そ、即答ね……。転んだ時に怪我はしてない?」

「え……?うん……大丈夫」

「そう」


 アルシェの顔を胸に埋めながら、頭を撫でる。


「アルシェ、言葉は人を傷つけることもあるの。だから、気を付けなさい」

「……うん。ごめんなさい」

「いい娘ね。本当に、子供より素直だわ」


 アルシェは素直すぎる。危うい意味で純粋。だからこそ、色々教えないといけない。

 取り返しのつかないことが起きた時、この娘の心は壊れるかもしれない。それぐらい、純粋。

 守ってあげないとダメよね。


「私が怒ったのは、ダメなことをしたからよ。注意しないとダメだからね」

「……わかった」


 泣き止んだのを確認したまま、頭を撫で続ける。意外と落ち着くかもしれない。


「母娘みたいですね」

「そうだな。アルテナには娘がいても不思議ではないか」


 私が撫でる手を止めた途端、アルシェは顔を真っ青にしていた。

 なに?私の笑顔に何かある?


「ア、アルテナ……?」

「アルシェはいいこにしてるのよ」

「……うん」


 私はアルシェから離れ、カイの方へ向く。ライアはすでに離れた場所に立っているわね。


「カイ……」

「どうした?何か不自然な笑顔をしているぞ?」

「そうね……。不自然かもね……」


 ゆっくりだけど、魔力を盛大に集め。


「誰のせいと思ってるのよ!私は独り身なんだから――――――――――!」


 叫ぶと同時に、カイに向かって殲滅級魔法を撃ち放った。




 簡単に防がれたわよ。

 カイのバカ……。

 アルテナは怒らせると怖いです(ライアもですが)。


 ついに魔島に住人がやってきました。

 今後、どのような生活になるのか?



 次回の更新は書き終わり次第となります。

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