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久々の大陸

 暇だわ。

 本当に暇。

 ここ、本当に人がくるのよね?

「誰もこないわね」

「そうだな」


 カイが魔島を作ると言ってから、数ヶ月が過ぎた。

 この島に訪れた人はいない。


「暇よね」

「私は気楽に過ごせるからいいがな」


 話をしているのは、島のほぼ中心にある家。私とカイが住んでいる家だ。

 カイというのはカイレイス。おとぎ話にも出てくる英雄その人である。……同時に私の思い出をぶち壊した人でもある。

 私は誰か?私の名前はアルテナ。カイとちょっとあって、魔島作りに協力してる。


「気が付いた者だけがくるだろう。並みの者では、この島は見えんがな」

「……人が来ないのってそれが原因じゃない?」

「かもしれん。だが、簡単に来られても困る」

「無茶な注文よね……」


 呆れながら言った。並大抵の強さではダメだということね。魔島でも疎まれるほど強い人じゃないととか、余計に無理な気がする。


「ところで、数ヶ月経っても人が来ないのは置いておいて、この先も人が来なかったら?」

「その時は、私とアルテナの二人だけのままだな」

「ふた!?」


 顔が一気に赤くなるのがわかる。


「何もせんぞ」

「わ、わかってるわよ!」


 この数ヶ月で何もなかったんだから、大丈夫なのはわかってる。でも、「二人」と改めて言われると意識しないというのが無理よ……。仮にも異性なんだから。

 ……一つ屋根の下で数ヶ月過ごしてるけど、何も起きてない。女性としてはどう考えればいいのかなこれは?


「……私って魅力ない?」


 声が出ていた。


「ごめん。気にしないで。なに言ってるんだろ私……」


 一人で考えて、一人で呟いて、一人でへこんで。

 私ってこんなのだっけ……。

 この数ヶ月、思い出してみても楽しいことの方が多いはずなのに。


「魅力はあるだろう」

「……え?」


 予想もしない言葉が聞こえた。


「アルテナ、お前は強い。外見は子供の様な姿はしているが、不思議な魅力もある。……歳を重ねてるせいか?」

「余計な言葉を足すな!……でも、ありがと」


 カイは不思議な人だ。龍族という謎に包まれているのもあるが、言葉も足りない人でもある。簡単に言えば、誤解を招きやすい。これは数ヶ月一緒に過ごしていて、納得したことでもあった。

 英雄であり、コミュニケーション能力も高いとなると、それこそ、国単位で凄いことになっていただろう。ある意味、この足りないのが、丁度いいのかもしれない。


「素直なのかよくわからん」

「乙女心は複雑なのよ」

「……その歳で乙女心?」

「もう、うるさい!精霊と魔族のハーフなんだから、300歳ぐらい乙女よ!」

「よくわからん理屈だな」

「しらない!」


 私がテーブルに頭を付けて拗ねていると。頭の上に手が置かれた。


「本当に子供だな」

「……うるさい」


 子供をあやすのは慣れてるって言いたいの?毎回毎回、人の頭を気軽に撫で……。

 カイが僅かに笑みを浮かべている?なんで!?いつも表情を変えないくせに、いきなりなに!?


「どうした?」

「な、なんでもない」

「そうか」

「うん……」


 なんだろう。優しく撫でられるのが安心する。


「ねぇ、カイ」

「なんだ?」

「気分転換ってわけじゃないけど、久々に大陸に行ってみない?」

「また唐突だな。私達が大陸に行っている間に、ここに辿り着いた者がいたらどうする?」

「私達がいなくても、来ないかもしれないじゃない」

「……仕方がない。たまには大陸に足を運んでみるか」


 ため息を吐きながら、言わなくてもいいじゃない。


「それに、ここに住むのに相応しい人がいるかもしれない、と考えたら楽しそうじゃない?」

「それは考えたことがなかった。いい考えだ」


 「よくやった」と言いながら、私の頭を激しく撫でる。私、そこまで子供じゃないんだけどね……。

 とりあえず、数ヶ月ぶりに大陸に行くことになった。何か変わったことでもあればいいけど。




「………」


 目の前の光景は呆れるとしか言えない。どうしてかって?


「私は興味がないと言っている……」


 わかっていたことなんだけど、まさか本当になるとは思わなかった。


「放せというのが聞こえてないのか?」


 カイが若い女性に囲まれているのだ。周囲の男性が羨ましそうに見ているのがよくわかる。

 カイの姿ってどんなのか説明したことなかったわね。

 簡単に説明するわ。


 背は180以上あるかな?髪の色は白。長さはそこまで長くないけど、後ろ髪を括ってるわね。ここはおとぎ話とか、伝承のまま。服装は真っ黒な服。シンプルな服ね。細身というのが良くわかる。瞳の色は黒よ。整った顔立ちに長身。もてるのはわかるわね。

 以上簡単な説明!まぁ、補足するなら……。


(カイって1000歳超えてるんだよね……)


 それをこの騒いでる女性、成人前後もいるわね。彼女たちが知ったらどういう反応をするのだろう?少し気にはなるけど。


(おとぎ話を木っ端微塵にされるのは私だけで………くっ!)


 そう、私のおとぎ話は音を立てて瓦解している。今は平気だけど、当時はかなりショックを受けた。

 それにしても、街に入って早々でこれだもの、先に進めそうにないわね。


「カイ、先にいくわよ」


 暫く、囲まれて困っていればいい。ちょっと魔が差した。


「ま、まて!この状況で!ええぃ、放せと言っているだろう」

「それじゃ……」


 私が数歩進んだ時に、声が聞こえた。


「あの女性は?」


 と。


「な、なに!?」


 振り返ると、カイの周囲にいた女性たちが一斉にこちらを見ていた。別に怖くはないけど、妙な威圧感がある。


「あの方とはどのようなご関係で?」


 女性の一人が、カイに尋ねている。これは今の間に逃げろと教えてくれているのだろう。

 そう思い、またも歩き出そうとした時。


「妻だ」


 「ズサァ!」という音が耳元で聞こえる。

 あれ?痛い……。こけてるの私じゃない!


「………」


 周囲の女性から、値踏みするような感じで見られてる……。

 なによ!私は希少生物じゃないわよ!


「……この方なら仕方ありません」


 女性たちはすごすごと立ち去っていった。男性陣は妻帯者がざまあみろという感じで見ている。


「立てるか?」

「……大丈夫」


 カイの手を掴んで立ち上がる。

 見上げると、カイと視線が合う。


「……なんで妻なんて嘘を言ったのよ?」


 横を向きながら言う。照れ隠しとかいうな!


「この場を乗り切るのに、一番いいと判断したからだ」

「無茶苦茶ね……。私がその場で否定してたら、どうしたのよ?」

「それは考えていなかったな。そうか、そういうこともあるのか」

「っ――――!」


 カイの手を振りほどいて先を歩いていく。


(べ、別に妻って言われて嬉しくなんかないんだから!それになによ、否定されるってことを考えてなかったとか……。え、私って妻って思われるぐらい大事にされてる……?)


 調子が狂う。

 悪い方向で狂うわけじゃないから、そこまで嫌じゃないけど。


(ちょっと本気にしちゃうじゃない……。って、何考えてるのよ!)


 私は別に結婚など考えたことはない。理由は私の生い立ちにある。

 精霊と魔族のハーフ。寿命もわからない特殊な生まれ。

 私が一人で旅をしているのは、そういう理由もある。


『誰かを好きになったとしても、私がその人と共に歩める人生は、ほんの僅かな時間しかない』


 このことは割り切ってる。だから、私は誰かを好きになったりはしない。

 でも……。


(カイは違う。彼もまた、いつ人生が終わるかすらわからない長寿の人)


 ふと、閉じ込めていた思いが顔を出す。


 彼となら末永く幸せに過ごせるのではないか?

 一人で寂しく生きるのを止めて、共に暮らす伴侶を得たのだと。


 そんな堅苦しい言葉ではないものがある。


『また、恋をしてもいいんだよ?』


 真っ直ぐで簡単な言葉。それだけに、響く。


「立ち止まってどうした?」


 カイがいつの間にか私の横に立っていた。


「……なんでもない」


(カイなら、私とずっと一緒に……)


 そんな言葉が頭を過る。


「……私はお前が思っているような、いい奴ではない」


 ふと、現実に引き戻された。


「……私の考え読んだの?というより、そんな魔法あるの?」


 かなり、きつく睨んでいると思う。


「そんな便利な魔法はない。ただ、そうだな……」


 カイは言葉を選んでいるようだった。


「アルテナが幸せそうな顔をしていた。だが、私はそこまでの事をできる人ではないと伝えたかっただけだ」

「人の幸せなんて他人に計れないものよ」


 私は再び歩き出した。


(なによ……。少しぐらい、夢見たっていいじゃない!ほんと、カイは容赦な……ん?)


「なにこの魔力?」

「アルテナも気が付いたか」


 カイも気が付いたらしい。人族の魔力じゃない。


「……あの建物からか」


 カイが指を指した。あれってもしかして……。




「やっぱり、そうよね……」


 私は建物に掲げられている看板の文字を読む。


「ギルド、ファニエスタ支部」

「ギルドとはなんだ?」

「……知らないの?」


 カイの言葉にびっくりした。ギルドを知らない?ギルドが作られたきっかけは、カイじゃない!


「ギルドって簡単に言うと、冒険者たちが出入りする場所。人の役に立つことをしてる人が沢山いるのよ」

「ふむ、それはいいことだ」


 自覚はないわよね。これも知らない間に作られた出来事なのかな?……あれ?


「ねぇ」

「警戒されているな」


 ギルド内から私とカイを警戒するような気配がする。相手も気が付いたってことか。


「中に入ればわかるわね」


 私はギルドの扉を開けて中に入った。


「ようこそ、ギルド、ファニエスタ支部へ!」


 受付の人かな?満面の笑顔で歓迎してくれるのはいいけど。


(顔が引きつってるじゃない……)


 魔力の持ち主は彼女だ。笑顔で迎えてる割りに、警戒しまくりだし……。


「本日はどの様なご用件でしょう?」


 丁寧に話してくれる。でも、冷や汗酷いわよ?


「用事があるのは、こ……」

「カイは黙って。私達は貴女に用があるの」

「………」


 あら?黙ったわね。


「……私に……かまわないで!」


 そう言い残して、ギルド内から飛び出していった。


「なにあれ?」

「わからん」


 二人で首を傾げていると。


「アルシェの知り合いの方ですか?」


 やり取りを見ていたのだろう。というより、見えるわね。受付の女性が話しかけてきた。


「知り合いというか、なんというか……」

「話をする前に逃げられたな」

「ですよね……。見ていた私が言うのもあれですが、あれはアルシェが悪いです。あ、申し遅れました」


 受付の方が姿勢を正して。


「私はライアと申します。ここ、ファニエスタ支部で受付をしております」

「ご丁寧にありがとう。私はアルテナ、こっちはカイ」

「アルテナさんとカイさんですか。宜しくお願いします。アルシェの事なのですが……」


 ライアさんが少し言いずらそうにしているわね。何か知っているのかもしれない。


「ライアさん、どこか話ができる部屋あるかな?」

「はい。話し合いなどに使われる部屋があります。そちらで宜しいでしょうか?」

「ええ。カイもいいわね?」

「任せる」

「ライアさん、お願い」

「はい。どうぞ、こちらへ」


 ライアさんの案内の元、私とカイは一つの部屋の前に案内された。ライアさんが鍵を開けて中に入っていく。


「どうぞ、こちらに座ってください」


 部屋の中から、ソファーに手を向けられた。座り心地がよさそうね。

 私とカイも部屋の中に入っていく。背後で「バタン!」と音を立ててドアが閉まった。


(謀られた?というわけではなさそうね)


 ライアさんが申し訳なさそうな顔をしている。やはり、何か事情を知っているのだろう。


「カイ、座りましょ」

「そうだな」


 二人で並ぶようにソファーに座った。テーブルを挟んで、ライアさんがソファーに座っている。


「驚かないんですね。私の方が驚きました……」

「まぁ、これでも人生経験豊富だから」

「私もそうだな」

「……そうですか」


 ライアさんは真剣に何かを考えている。


「アルテナさんとカイさんは……アルシェを知っているのですか?」


 真剣な言葉だ。だったら、こっちも嘘は吐けないよね。


「知らない。ただ、アルシェって人の魔力が人族ではないというのはわかったわ」

「!?」


 ライアさんは明らかに驚いていた。


「……あの小娘は、きっと神族だろう」

「な、なんでそれを!?」


 ライアさんの動揺が酷い。確かに神族というのは珍しい。


「あの魔力には覚えがある。表だっては出てこないが、人々を支えるために動く種族だ」

「そこまで……。カイさんは……いえ、お二人は何者ですか?」

「何者って言われても困るんだけど。簡単に言えば、アルシェと同じ境遇って言えばわかるかな?」

「アルシェと同じ境遇……?」


 半信半疑という感じね。


「私は精霊と魔族のハーフよ」

「精霊と魔族のハーフ?そんなのありえません!敵対する種族同士の子供なんて!」

「……私の存在を真っ向から全否定しないでくれる?」


 ライアさんの言う通り、精霊と魔族は仲が悪い。敵対というのは大袈裟だけど。何か起きてもせいぜい、大人数の喧嘩よ。戦争?そんなことにはならないわよ。お互いの種族が本気でぶつかったら、ただじゃ済まないし。それがわかってるから、喧嘩までなのよ。


「す、すみません……。ですが、本当に?見た目は小柄な女性にしか見えませんが」

「326歳」

「え?」


 ライアさんの目が点になる。そうなるよね……。


「326歳、それが私の年齢よ」

「さ、さんびゃ……」

「嘘じゃないわよ」

「証拠となるものは……」


 重要な内容だけあって、ライアさんも慎重だ。


「証拠ねぇ……。私は旅で色々な場所に行ってたから証拠と言われると困るのよね」

「400年前、この街の王が周辺国に多大な税をかけて国民を虐げていた時、周辺諸国から謀反が起きた。その時に、何が原因かも知らずに謀反を起こした周辺諸国の民を倒し続けたのが私だ」


 カイが淡々と告げた。ここに来たことあったんだ。


「400年前……周辺の村の謀反……?あなたは……?」

「私は何も知らずに戦った愚か者だよ」

「それが事実なら、そんなことはありません」


 ライアさんはカイの言葉をはっきりと否定した。


「文献通りなら、カイさんが戦ったことにより、周辺諸国は負けました。ですが、カイさんが国を出る前に、国を腐敗させた人々を全員処罰したというような記載もあります。そのおかげで、周辺諸国の意見も通りやすく、王は良い人物と入れ替わり現在まで、安寧の日々が過ごせるようになったんです」

「それはただの結果論だ」

「ですが!」

「はいはい。話を元に戻そうね。アルシェの内容が進まないから」

「すまん」

「ごめんなさい……」


 とりあえず、二人に落ち着いてほしかった。

 カイの昔のことが聞けたのはラッキーだったけど。




「とまぁ、私とカイの事は納得できた?」

「悪いことを考える人達ではないというのはわかります」


 説明を細かくするとなると、やっぱり面倒よね……。納得できない所も多くでるだろうから。やっぱり、生きている時間の差かな?そこ、年増とかいうな!


「それでいいと思うわ。一度で全て納得してもらえるとは思ってないし」

「……そんなにも軽い感じでいいのですか?」

「そんなに呆れた顔しないの。私とカイの存在を簡単に信じるのは難しいでしょ?」


 精霊と魔族のハーフにおとぎ話に出てくる英雄。一度に出てきて信じられるわけがない。……片方でも信じにくいよね。とくに、カイは……。


「さてと、アルシェは居なくなったままだし……。どうしよう?」

「あの娘なら大丈夫ですよ。もう直ぐ帰ってきます」

「連絡を取る手段があるのか?」


 カイが興味あり気に尋ねるが。


「いつものパターンですから。そろそろ、そこのドアから入って……」

「ライア、今日のおやつはなぁに……って、まだ居た!?」

「ごめんなさい、失礼な娘で……」

「気にしないで」


 頭を下げながら言う、ライアさんに対して、アルシェは逃げる方法を探している。真逆とは言わないけど、バランスが取れてる気がする。


「小娘」

「ひっ!」


 カイが言葉を掛けると、アルシェが後ろに下がっ……こけたわね。


「いったぁ……。もう、なんなのよ!?私にかまわないでって言ったよね!それがなに?ライアまで巻き込んでまだいるとか、何がしたいのよ!」


 ……逆切れした。


「ライアもライアよ!どうして、こんな変な人達と話を!…………ライアが裏切った?」


 アルシェが急に青い顔をして震えだした。何もしてないわよ?


「……いや……いや!あんな生活をするなんて、もういや!私はやっと自由になれたのに!あんな生活に戻るぐらいなら、いっそ!」

「落ち着きなさい」


 私の声が静かに響く。


「アルシェでいいわよね?あなたの怯え方は普通じゃない。何かあったの?」

「……あなた達、私を捕まえにきたんでしょ?ライアもきっと……」

「何を勘違いしてるのかしらないけど、ライアさんはあなたを裏切ったりはしてないわよ」

「なら、なんで!」

「もう一度、言うわよ?落ち着きなさい」


 威圧するぐらいきついく言うと「なんなのよぉ……」と、アルシェが泣きだしてしまった。

 仕方がないじゃない。これぐらい言わないと、落ち着きそうにないんだし。


「あなたはどんな生活をしていたの?」

「……奴隷に近い感じ」

「そう。詳しくは聞かないし、同情もしない。とりあえず、一つだけ。私達はあなたを捕まえたりはしないわ」

「……嘘だ!私は何度も騙されたんだ!そう簡単に信じない!」


 せっかく落ち着いたと思ったのに、一気に戻ったわね。

 どうしようかな?


「なら、どうすれば信じるの?」

「それは……」


 アルシェは困ったような顔をしている。なら、簡単な答えを上げよう。


「それじゃ、こうしましょうか。アルシェ」


 私はアルシェの方に向き直り。


「あなたを捕まえようとした人を全員、殺しましょう」

「え……」

「わかりやすいでしょ?」

「極端すぎるよ!」

「じゃぁ、どうするの?とりあえず、生きてたらいいの?生きてるだけでいいかな?」


 アルシェの顔が真っ青になっていく。


「んー。やっぱり、実演した方がいいかな?アルシェの正体をばらして寄って来たやつを適当に……」

「そんなのダメ!」


 アルシェが真っ青から立ち直り叫んだ。そういう顔もできるんじゃない。


「簡単に殺したりしちゃダメ!……私だって……私だって殺したいぐらい憎いけど……それでも、殺しちゃダメ!私がばれないように過ごしたらいいだけなんだから……。そっか……私はもうここに居たらダメなんだ……」


 今度は泣き崩れた。感情の起伏が激しいいわねぇ。


「なら、私たちの所に来る?」

「……へ?」


 今度は固まったわね。見ていて飽きないかもしれない。


「私とカイが住んで居る島」

「島に住んでるの?」

「ええ。場所はまだ教えられないけど。静かでのんびりと過ごせる島よ。………ちょっと、暇だけど」

「最後だけ、声が小さくなった……」

「気にしちゃ、ダメよ。カイもいいわよね?」


 何も話さない、島の主に声を掛ける。


「かまわん。アルテナも最初から、そのつもりだったのだろう?」

「当然よ。ギルドに入る前から決めてたんだから」

「なら、それで決まりだ。小娘……いや、ライアと言ったな。お前も島にくるといい」

「えっと、私は普通の人族ですよ?」


 そう、ライアさんは普通の人だ。でも、カイの意見には賛成。アルシェはライアさんがいないとダメだと思う。


「そのようなことは気にするな。こ……アルシェ、お前もライアが一緒の方がいいのではないか?」

「うん……。ライアは家族だから。私を拾ってくれた大事な家族だから」

「なら決まりだ。とはいえ、急に居なくなるのもあれだな。別れを告げる相手がいるなら、告げてくるといい」

「島に行くと、大陸には戻れないの?」

「暫くは戻れないわね。私とカイだって島を出たのは数ヶ月ぶりだから」

「わかった。お友達にもお別れの挨拶してくる」

「私はギルドを辞めないとダメね。……仕事とかどうすればいいのかしら?」


 普通の人の悩みだと私は思った。そう考えると私は……ううん、私とカイは随分と人と関わってなかったのかもしれない。カイだとさらにそうだよね……。


「次の……面倒ね、5日後に迎えにくるわ。準備しておいてね」

「わかった。えっと……アルテナ?」

「なに?」

「なんでもない。名前を確かめたかっただけ。男の人はカイだよね?」

「そうだ」


 私達をアルシェはキョロキョロと交互に見ながら。


「よろしくお願いします」


 微笑みながら言った。本当に、感情豊かな娘ね。


「よろしくね、アルシェ、ライア」




 こうして、私とカイの居る島に新しい住人ができた。

 これから先も増えるだろう。

 楽しみがまた一つ増えた。

 島に住人が増えました。

 この時点ではまだ、移住前ですけど。


 アルテナの心情は、どの様に動くのか?


 今後の展開は、またひょこんと投稿されます(色々と考えている話もありますので)。



 次回の更新は書き終わり次第となります。

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