表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/60

私だって怒るんだ!

 誰だって怒るよね?

 ありえないことが起きると、尚の事。

 自分でも信じられないぐらい。

「で、セシリーはなんで、ルリさんにあんなことしたの?」


 私は怒っている。異常な事態が起きているのもわかってる。

 でも、やってもいいレベルを超えていたのは見過ごせない。

 ベッドで眠っている、ルリさんを見る。頭、右腕、左足に包帯が巻かれている。頭は裂傷、右腕と左足は骨が折れているらしい。診てくれたのはお父さんだ。下手な医者より信頼できる。


「何も言わないつもり?ルリさん、こんなにもボロボロじゃない!どうして、こんな酷いことができるの!」

「私だって好き好んで、やったわけじゃない!」

「だったら、なんで!」

「ルリの翼が深紅に染まったら、無差別に破壊をするって聞いたからよ!」

「なにそれ!?そんな馬鹿なこと言ったの誰よ!」

「王様よ!」

「王様が……?」


 へぇ……。王様が言ったんだ。セシリーはそれを信じたってことだよね?


「ふーん……。セシリーは真に受けたんだ?」

「仕方ないじゃない!王様が昔、深紅の翼をしたルリに殺されかけたことがあるって言ったんだから!」

「そう言われて信じたんだ。……ありえない!ルリさんと王様、私達はどっちが付き合いが長いと思うの!?王様じゃない、ルリさんでしょ!私は間違ったことは言ってないよ!」

「そ、それは……」

「何?言葉に詰まる必要ある?私だったら信じない!親友のルリさんの方を信じるよ!」


 こればかりは言い切れる。王様ではなく、ルリさんを選ぶと。誰が何と言おうと、私はルリさんを信じる。


「私だって!私だってルリを……」

「うるさい!信じきれなかったくせに!」

「っ……」

「信じてあげれないのに親友?……ふざけないで!あんなにも優しい人が……自分の命すら平気で投げ出す人が……その程度のことで変わるわけないでしょうが!王様が昔殺されかけた?ルリさんが小さいころの話でしょう!今はそれが制御できてるとか考えなかったの!?」

「私だって……」

「もういい!聞きたくない!」


 私はセシリーの返事を遮った。同じ内容の返事なんて聞きたくもない!


「少し頭を冷やしたらいいよ。今のセシリーは幼馴染として、親友として目に余るから。それぐらい、セシリーの取った行動は許せない」

「だって……」


 セシリーが泣きながら、崩れ落ちた。

 それが本音でも許さない。

 今の私だと許せない。


「レティア」

「は、はい!」


 部屋の隅で震えていた、レティアに声を掛ける。

 ごめんね。怖がらせるつもりなんて、なかったんだよ?


「ルリさんをお願い。私はちょっとお城に行ってくる」

「……シエラ、何をするつもり?」

「殴り込み。王様を殴ってくる」


 本気だよ?殴ってやらないと気が済まないから!


「シエラお姉ちゃん!?」

「いい子だから、ルリさんをお願い」

「シエラ!」

「うるさい。きちんと反省しないと、二度と口をきいてあげない」


 私は部屋に空いている穴から飛んだ。なんでそんなことをするのか?時間が惜しいからに決まってる。それぐらい、私は怒っているんだ!




「……行こう」


 私は今、お城の前にいる。何をするのかはさっき言ったとおり。

 ルリさんの家族なのに、ふざけたことを吹き込んで……。殴るだけじゃ気が済まないかもしれない。

 そう考えている間に、門番のところに着いた。


「王様はいる?」

「シエラさん、今日は珍しく一人ですか?あ、ギルドマスターも先ほどお城に来ましたし、待ち合わせですか?」

「別の用事。通らせてもらうね」


 すんなりと通れて、少し拍子抜けした。安全面、大丈夫かな?

 少し慣れた道を歩く。今からする事と、この静けさ。不釣り合いすぎて、少し笑いそうになった。


「シエラじゃない。ウェイスと入れ違い?」


 前から歩いてきた、ファリスに声を掛けられた。やり過ごせばいいよね。


「別にお父さんに用事はないよ。用事があるのは王様」

「お父様に?珍しいわね」

「ちょっとね。それじゃ、またね」

「……待ってください」


 ファリスの低い声が響く。時間が惜しいのにまったく!


「なにかな?」

「そんな殺気立って、お父様に用事ですか?穏やかではないですね」

「かもね。通してくれる?」

「通せません」


 ファリスが静かに剣を抜いた。


「ごめん、ファリスを相手にしている暇はないの」

「あなた……何を考えているの?」

「王様を殴りにきただけだよ。手加減はできそうにないけど」


 返事を聞いた、ファリスが目を丸くしていたが、直ぐに目を細めてこちらを睨んできた。


「余計に通せません」

「それでも通してもらう」

「何を怒っているのですか?」

「ファリスには関係ない」


 ファリスの横を通ろうとした瞬間。


「今のあなたは通せません」


 私の首元に剣が向けられた。


「在学中の時の私と比べないでください!私だってあれから……」

「邪魔!」


 叫ぶと同時に右手を外側に全力で振り抜く。

 「パキン!」と金属音が響くと、折れた剣の半分が宙を舞っていた。

 言ったよね?邪魔って。


「え……?」


 ファリスが呆然と固まっている。


「あんまり怒らせないで。ただでさえ、冷静じゃないんだから」


 ファリスの横を歩いていく。


「ま、まって!」


 ファリスから慌てた声がする。まだ邪魔をするつもり?


「なに?」

「……どうしてそこまで怒っているんですか?」

「ファリスには関係ない」

「お姉さまに何かあったのですか?」


 思わず身体が反応した。それでも、何事もなかったかのように歩き出す。


「……止めれそうにありませんね」


 ファリスが呟いたのが聞こえた。

 そうだね。止まれないよ。




 ファリスとのやり取りを見ていた人が騒ぎだし、なかなか前に進めなくなってしまった。

 そうまでして、私の邪魔をしたいの?


「落ち着いてください!このままでは、私達も剣を向けなければなりません!」


 この人は、前に訓練場で戦った人か。


「向けるならさっさと向けて欲しいかな」

「正気ですか!?」

「何を慌ててるの?向けないとダメって言ったのはあなたでしょ?」

「一体何があったのですか!前に試合をした時、あなたはそんな人じゃなかった!」

「うるさいな……」


 私の冷めた声が響く。あなたが私の何を知っているというの?


「私だって、ここまで怒ったことなんてない!だから……そこを通してくれないかな!」

「仕方がない!取り押さえろ」


 私を囲むように兵隊が動き、一斉に飛びかかってきた。


「私の邪魔をするな!」


 魔力を集め、全身に纏う。あとは順番なんて関係ない。全員まとめて吹っ飛べ!

 その場で一回転。足に魔力を集中させて、まとめて蹴り飛ばした。


「……試合の時とはまったく違う」

「かもね。あの時も怒ってたけど、今はもっと怒ってるから」

「そのようですね……」


 相手が気を失ったのを確認してから、進み始めると。


「ルリアルカ様以外にこの様な芸当ができる方がいて驚きです」

「……ザインさんも邪魔をするのかな?」


 ザインさんがこちらに向かって歩いてきた。王座のある部屋の近くだし、不思議じゃないか。


「内容によります」

「ザインさんを納得させればいいの?」

「ある程度は予想が付いてはおります。あなた自身の事で怒っているわけではない。なら、ルリアルカ様の事でですよね?」

「そうだよ」


 さすがというべきなんだろうね。よくわかってるとしか思えない。


「はぁ……。通って下さってかまいません」

「いいの?」


 私は戦っても仕方がないと思ってたんだけど。


「あなたは、ルリアルカ様のために心の底から怒っている。それは簡単にできることではありません。ゼフィア様を気絶させるぐらいなら許します。自業自得みたいですから」

「気絶で済まない場合は、どうすればいいのかな?」


 これは本気。気が済まなかったら止まれそうにないから。


「……生きていればいいです。そこまでの事が起きているのですね」

「わかりました」


 ザインさんの横を通り過ぎる時に。


「私が怒っている理由は、直ぐにわかると思うよ」

「なら、私は兵達の対処をしましょう。お気を付けて」

「ありがと」


 王様よりもザインさんの方がルリさんの家族みたい。不思議な事もあるんだね。




「やっと着いた」


 王座のある部屋の目の前に辿り着く。扉の横にいる二人の兵達は明らかにこちらに敵意を向けていた。


(当然だよね。私がここに来るまでのことは知られてるはずだし)


 二人を交互に見る。腰が引け気味だけど、逃げるつもりはないらしい。

 ……気絶させて、さっさと入ろうかな?

 そう思っていると。


「通せ」


 部屋の中から、王様の声が聞こえた。王様の言葉に従い、兵が扉を開けてくれた。


「よく来たな」

「当然」


 王様は俯いていた。


「要件を聞こうか」

「簡単に言うと、王様を殴りに」

「また、ストレートだな。ウェイスから、ルリが大怪我をしたと聞いたが、何があった?」


 王様は普通に訊ねてきただけだろうけど、その内容にカチンときた。


「何があった……?王様のせいでルリさんが大怪我したことだよ!」

「俺のせいで?細かく話してくれないか?」

「……ルリさんが寝込んでから、いつも心配で……呆気なく二週間が過ぎて。……今日もお見舞いに行こうと思って家から外に出たら、セシリーの叫ぶ声が聞こえてきて……その後、『ミューズの安らぎ』四階のルリさんの部屋、ルリさんがお気に入りにしているソファーがある場所。そこで、ルリさんは攻撃性の風魔法を受けて……部屋の壁を突き破って外に投げ出された」


 感情も何もない。淡々と答えていく。


「大怪我をしているというのは聞いたとこだが……」

「さっきも言ったように、大怪我の原因は王様だから」

「………」


 王様が原因なのにそこまで驚くの?


「王様、セシリーに言ったんだよね?『ルリを殺せって』」

「まさか!?」

「私は空から降ってきた、ルリさんを受け止めたよ。その時のルリさんの翼の色は深紅。でも、ルリさんはいつもと同じだったよ?」

「……そう……か」


 王様は俯いたままだった。


「私はね、王様。怒ってるんだ」

「………」

「幼馴染をたぶらかして、ルリさんにあんな事をさせたなんて……。他の人が許しても、私は許さない。許すなんてできない!」

「なら、どうする?」

「言ったでしょ?私は王様を殴りにきた。そのためにお城に来たんだよ」

「よくやるな」

「呆れた?」


 呆れられようと、私には関係ない。


「大した根性だよ」

「馬鹿にしてない?」

「全然。ただ、相手が悪かったな」


 そりゃ、この国の王様だからね。最初からいいとは思ってない。


「シエラ、お前がやろうとしていることは国家への反逆だ。ここでお前が目的を果たしても、お前に待つのは死ぬよりも酷い事だ」

「そうなんだ」

「ああ。敗残兵の女性の扱い、聞いたことはあるか?」


 戦時に人権も何もないことがあったとか聞いたことある。

 確か内容は。


「昼夜問わず、慰み者にされ、奴隷のように扱われる。死ぬことも許されない。自害できないように拘束され、何年も飼い殺しにされて、全員が飽きた後、急所を外しながら、剣を1本ずつ突き立てていき、気がふれるかどうかまで追い込んで、最後に焼けた鉄を飲み込ませて殺すんだったかな?凄い内容だよね」

「……詳しいな」

「これでも、ギルドの受付だからね。そういった知識は自然と覚えたよ」

「そうか」


 王様の眼光が鋭く光る。


「シエラ、お前が俺に手を出した瞬間、お前はこの国において人権を失う。その覚悟はあるんだろうな?」

「聞かれるまでもないよ。王様は私をここまで怒らせた。ルリさんを家族と言っておいて、セシリーに殺させようとした。親友の私が怒っても不思議じゃないよね?それに、今の私は怒りすぎて、完全に振り切れてるの。王様を殴り飛ばすことだけしか考えてない。後から私に何が起ころうとも、そんなことは知らない。私は……」


 半身になって構え、魔力を両足に集める。


「ルリさんを傷つけた人を殴るためにここに来たんだ!」

「ならば、相手になろう!」


 王様の声を合図に全力で踏み込む。


「ルリさんの苦しみを……」


 距離が詰まるのは一瞬。


「その身で味わえ―――――!」


 私の絶叫と同時に、王様の顔に右の拳が直撃する。避ける動作もなかった。

 王様は殴り飛ばされ、王座に続く階段から転げ落ち、何度か地面をバウンドしながら、ゴロゴロと転がり、やがて止まった。


「はぁ……はぁ……」


 使える魔力、ほぼ全部込めた一撃だけど、死んではいない。ルリさんが味わった辛さ、心に負ったであろう傷を考えると、死ぬなんて許さない。


「……気は……済んだか?」


 ふらふらとしながらではあるが、王様が立ち上がる。


「……満足したよ。それじゃ、私はこれからは奴隷であり、慰み者なんだよね?最初の相手は王様になるのかな?それとも、その辺りの兵士たち皆一斉?」


 虚勢じゃないよ?私は自分のやるべきことをやって満足したんだ。後悔もなにもない。ただ、心残りはルリさんにもう会えないことかな。考え無しに突っ込むからそうなるんだ?親友の為に自分の命を懸けれない親友じゃない!


「ルリは深紅の翼だけど、いつもと同じと言っていたな」

「そうだよ」

「そうか……。制御できるようになったんだな……よかった」

「一人で納得されても困るんだけど?」

「そうだな。ルリに関しては問題はない。あいつが制御できるのなら、大丈夫だからな」

「それで王様は、ルリさんに対してしたことを、無かったことにするの?」


 軽蔑した目で王様を見る。見られて当然だよね?家族を知り合いを使って殺そうとするとか、人道的じゃない。何が英雄だよ、卑怯者だよね?


「それは後日、ルリに謝りに行く」


 王様が簡単に言ったので、簡単に教えてあげよう。

 どれだけ酷い状況なのかを。


「ルリさん、頭から血を流して、腕と足の骨が折れてた」

「そんなに酷いのか!?」

「……今の私からすると、演技にしか見えない」

「演技じゃねーよ……。あいつ、そんな大怪我したのかよ。ウェイスのやつ、細かい内容まで言ってなかったくせに」


 王様は思った以上に驚いている。だけど、私には関係ない。


「で、王様」

「なんだよ?」

「私はここで裸になって、王様の言いなりになればいいの?」

「ちょっとまて!」

「私にもう人権はないんでしょ?奴隷なんでしょ?慰み者なんでしょ?」


 上着を脱ぎ、穿いていたズボンを脱ぎ捨てる。だから、下着しか纏っていない。恥ずかしくない?人権がないのに、そんなの気にしても仕方ないよね?


「だから!」

「なに?さっさと裸になればいいの?」


 上の下着に手をかけた時。


「そんなことはしなくていい。何の罪にもしない」

「そう」


 私は脱いだ上着とズボンを身に纏った。


「ところで、王様はルリさんの親友の覚悟を見てから、脅して半裸にさせて、楽しんでいたんだよね?」

「……何か話がずれてねーか?」

「うるさい。もう一回、吹っ飛べ!この女の敵!」


 私の飛び蹴りが王様に炸裂した。




「ゼフィア様、自業自得です」

「わかってるよ……」


 王様が腫れた頬を冷やしながら言う。


「シエラ、容赦なかったようね……」

「当然。王様は兵達の目の前で私を慰み者にして、そこから奴隷のように扱って楽しむ予定だったんだよ?ルリさんにもわからないように私を隠して、何度も何度も……ダメ、これ以上は言えない」


 私の発言を聞いた、ファリスとザインさんが固まった。

 女の敵は少しぐらい痛い目に遭うのがいい。王様相手に?関係ないよ。


「……お父様?」

「ゼフィア様、ルリアルカ様の親友に対して、そのように接しようとするのはいかがなものかと……。それ以前に王としても問題が」

「脅しただけだよ!本気でやるわけないだろ!」

「それって、シエラが脅しに屈していたら、そう扱っていたということですよね?」


 ファリスの発言で室内がシーンと静かになる。


「王様、本気だったんだね。やっぱり、そういう目で見てたんだ。……ルリさんにも報告しないとダメだよね」

「まて!それだけは洒落にならん!」


 王様の慌てようが普通じゃない。でも、自業自得だよね。


「シエラ、報告していいわよ」

「ルリアルカ様に報告してくださいませ」

「俺の味方はゼロかよ!?」


 王様が叫ぶが。


「お父様!今回の騒動の元凶は誰が何と言おうと、お父様です!なぜ、もっと詳しく確認しなかったのですか!」

「そりゃ、昔の経験からしてだな……」

「お父様が魔島にいた時から何年経っていると思っているのですか!」

「……すまん」


 王様が全ての非を認め、この騒動は終わりを告げた。

 後日、ルリさんから激しいお仕置きをされたとか、されなかったとか?

 ルリさんだから、やったんだろうね……。




「シエラ」

「なにか?」

「ルリの為に、ここまで怒ってくれてありがとう。これから先も、あいつのこと頼んだぞ」

「言われなくてもわかってます。ルリさんは私の大事な人ですから」

「そうか。気を付けて帰るんだぞ」

「はい」


 私は王座のある部屋から出た。

 今日は本当に疲れたよ……。お城に殴り込むとか、ありえないこともしたし。

 冷静になると、とても大変なことをしたと実感する。


「下手したら死んでたよね。あの状態の私だと死んでも後悔はないと思うけど」


 本当に無茶をした。きっと、二度とやらないだろう。

 でも、一番驚いたのは私がここまで怒ったことだった。自分でもここまで怒るとは思っていなかったからね。


(それだけ、ルリさんが大切なんだよね)


 拗ねたり、泣いたりと子供っぽいけど、笑顔でにこにこしていて……でも、事件とかになると真っ先に飛び込んで人助けをする。

 今は三つ編みをふわふわと揺らしながら、優しい笑顔を浮かべてる。妹のレティアをとても大切に思い、姉らしく振舞っている姿は微笑ましい。

 家族、親友をとても大切にし、包み込むような優しさで、私達を温かい気分にしてくれる。

 ソファーで丸くなっている姿を見ると和む。

 何か違うとか言わないで。


(大好きと言っても過言じゃないかな?セシリーとレティアが拗ねそうだから言わないけど)


 湖で黒狼から助けてもらった。

 魔法や技術を教えてもらった。

 なんでもできる、同じ歳の小さく可愛い娘。


(でも、今回の事でまったく、守れていないと気が付かされた……)


 守ると誓いながら、あと少し遅れていたらどうなっていたか。

 受け止めるのが間に合わず、ルリさんが地面に叩きつけられていたら……。

 一瞬でも想像しただけで、全身の血の気が引く。

 気を付けないと眩暈を起こしそう……。


(もっともっと頑張らないと……。でも、そのためには、ルリさんのことを知らないと)


 ルリさんの秘密は未だに多い。全てがわからなくてもいい。

 一緒に楽しく過ごしていける情報があるなら、手に入れたい。

 これから先も共に生きるために。

 親友として、胸を張って隣を歩けるように。


 私の目標は半分も達成していない。

 それでも、少しずつ前に進めばいいんだ。

 時間はないかもしれない。でもそれは、私の頑張り次第で変わる可能性もある。


(諦めない)


 ルリさん、セシリー、レティア、それと私の四人で楽しく過ごせる日々を末永く過ごしたいんだ。

 そのためなら、私はいくらでも頑張れる。

 ……無茶はたまになら。


 そう思いながら、家へと続く道を歩いていく。


「セシリー、ちゃんと反省してるかな」


 ずっと怒ったままだったので、すっかり忘れてた。

 セシリーと喧嘩してたんだった……。


「大丈夫だとは思うけど」


 反省してなかったら、本当に口をきいてあげない。


 幼馴染のことを考えながら歩いていく。

 あの娘が苦渋の決断をしたのもわかる。

 けど。


「親友を傷つけるのはダメ」


 これだけは絶対に覚えて貰おう。

 口論なら別に問題はない。

 でも、私達は魔法や武具が使える。

 一歩間違えると取り返しがつかない。

 丁寧に、ルリさんが教えてくれた。



 解りやすいけど、難しい


 でも、それは


 とても、大切なこと

 意外と本気で怒らない、シエラがついに怒りました。

 怒るのはルリとセシリーだけではありません(当然ですよね)。

 レティアもどこかで派手に怒るかもしれませんけど……。


 珍しい一面が見れたかも?と思ってくれると幸いです。



 次回の更新は書き終わり次第となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ