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複雑な気分、ところにより分析、のち激怒

自分の今の状況はバカげてる。

でも、決まったことだ。

ほんとにもう……。

 私の目の前には、ゼフィア王の次に強い人が立っている。

 名前をザインさんと言うらしい。

 剣を構えているから、騎士とは思うけど、今から行われるのは混合戦。

 つまり、魔法と物理的な攻撃手段が入り混じるということ。


 その強い人と相対するのは私、セシリー・ミューズ。

 『ミューズの安らぎ』の経営者よ。

 ルリから色々教えてもらってはいるけど、さすがにこれはないわよね……。

 だって、わかるでしょ?

 色々教わったとしても、私は宿の経営者。

 つまり、ザインさんを相手にできるわけがないのよ!



「はぁ……」


 自分の現状に呆れて、ため息がでる。周りは城の兵隊達。しかも、普通の兵じゃないからね。


「セシリー、頑張ってください」

「頑張れー」

「セシリーお姉ちゃん、勝ってくださいねー」


 ルリ、シエラ、レティアから可愛い応援が聞こえるのはいいの。でも……。


「普通に考えたら、この状況はないわ……」


 考えると頭が痛いわね……。今の状況が終わったら、この順番を決めた、ルリに仕返しをしよう!ええ!あの赤い瞳がうるうると涙を浮かべて謝るまで!

 ……あ、ダメ。想像したら、こっちがいたたまれなくなってきた。あの娘、色々と反則よね……。


「どうしたものかしら……。はぁ……」

「ため息ばかりついておられますね」


 声をした方を見る。心配そうに声を掛けてはくれるが、剣は構えたままだ。

 ちなみに、試合は始まっているわよ?


「あ、ごめんなさい。試合中なのに」

「お気になさらず。私もこの試合は本音で言いますと、乗り気ではありません」

「ですよね。私は強くはありませんから、ご期待に応えられないと思います」

「そのようには思ってはいません。ルリアルカ様のご友人ですから。気を抜くなんてありえませんよ」

「ルリアルカ様?」


 ルリって王族にはなってないわよね?でも『様』って?


「私がそう呼んでいるだけです。不思議なものです。王族以外に敬意を込めて様をつけて呼ぶ方ができるとは」

「はぁ……」


 ルリってやっぱり、とんでもないわね。だって、この人は王家からも信頼があるのだろうし。


「あの娘が、ご迷惑をかけました?」

「いいえ。これから先も色々な人が助けられると思います」

「そうですね。ルリは色々なことに首を突っ込むと思います」


 ルリの事は少しわかったとは思う。まだまだ、秘密は多いだろうけど。出身が出身だしね。


「それがあの方の良いところだと思います」

「否定はしないけど、心配する方の身にもなって欲しいわ……」


 ほんと、心配で泣く方の身になってみなさい。

 ……何だかイライラしてきたわね。


「お前たち、試合は始まってるんだが……」

「あ、王様」

「これは失礼しました」

「お前らなぁ……」


 ゼフィア王が呆れていた。


「やるしかないのよね……」


 勝てるとは思ってない。あえていうなら、怪我をせずに終わって欲しいとは思うわね。


「参ります」


 ザインさんが告げると同時に斬りかかってきた。上から下へ剣を振り下ろすような動きね。

 壁を作るようにイメージする。魔法が展開されると同時に、振り下ろされた剣が止まった。


「これは見事としか言えませんね」


 剣を振り下ろした瞬間というのが正しいのかしら?振り下ろす角度の一番上で壁を作って止めたのよ。

 斬りかかる角度がわかればそこに壁を作ればいいから。


「ありがとうございます」


 返事と同時に、風属性魔法を撃ちこむ。大きさは小さなボールぐらい。


「これもまた見事です」

「簡単にかわされてますけどね」


 止めることなく風属性魔法を撃ちこむが、一撃も当たったりはしなかった。


「詠唱もなく、ここまで的確に魔法を続けて放つ。魔法隊にも見習ってもらいたいものです」


 ふと、ザインさんの気配が変わった気がした。え?これって殺気よね?


「っぁ!?」


 足が後ろに下がる。


「……何ともない」


 見えたのは、剣で胴を貫かれた光景。実際に刺されたと勘違いしたし……。殺気で今のように見えたのかしら?


「何か見えましたか?」

「……ええ」


 涼しい顔をして言ってくれるわね……。


「ただの娘に対して、大人気ないと思いますけど?」

「今のが見えたということは、ただの娘ではないということですよ。さすが、ゼフィア様が兵に考えていたお方です」

「複雑な意見ね……」


 これは手加減とかしてくれなさそうよね……。かといって、私はシエラみたいには戦えないし。レティアの時みたいに、相手も魔法主体じゃないから困ったわ。


「セシリー、私が言ったこと忘れてませんかー!」


 ルリの声が聞こえた。ルリが言ったことね。


『セシリーは魔法の扱いが上手ですから、身に纏って使う方法がいいのです。それが、ザインさんに勝てる方法でもあります』


(魔法を纏うね)


 試しに火属性の魔法を手に纏ってみよう。

 イメージは手を覆うようにかしら?


「あっつ!?」


 魔法を発動させると同時に、火傷しそうになった。

 これ、かなり難しいわよね……。


(思った以上に大変なことをしないと勝てない……。まぁ、勝てなくてもいいんだけど)

「セシリーが勝たないと、私が殲滅できないのです!」

「あの娘はもう……」


 ルリの発言により、あちこちから悲鳴みたいなのが聞こえる。

 この前、色々やったと聞いたわね。トラウマになってない?


「あの娘の殲滅ってシャレにならない気がするんだけど、どうしたものかしら……」


 別に勝つつもりはない。でも、勝つとルリによる殲滅戦が始まる。立ち直れない兵隊は間違いなくでるわよね。かといって、わざと負けたりすると、私がルリに恨まれそうだし。ルリに恨まれても別に怖くは……。


(寒気がする……?)


 なんとなく、ルリの方向を見てみた。試合中に余所見って?見ないと怖いからよ。


「………」


 ルリは何も言っていない。何も言ってないんだけど……。


「………」


 あの目はダメ。表現するのが難しいけど、あの目は絶対にダメ!物凄く嫌な感じしかしない!


 ルリについてわかっていることをいうわね。

 まずは


 『ルリ』:これはそのまま、普通のルリね。大人しくて可愛い状態。最近は髪型もあって、ふわふわしてる感じかしら。


 『拗ねルリ』:こっちは文字通り、ルリが拗ねた状態。膨らんだり、丸くなったりと可愛い状態ね。まだ、マシな状態。


 『泣きルリ』:これも文字通り。ルリが泣いている状態。魔島出身のせいもあって、泣くときは子供みたいに泣くわ。この姿を見ると、胸が痛んだりする。気を付けないと抱きしめて慰めたくなるような魅力があるのが危険。


 『守ルリ』:呼びにくいけど、「まもるり」と名付けたわ。自分の命すらも気にせずに人を助ける状態。立派な行動なんだけど、私が何度泣くことになったか。あとは服ぐらい着なさいと言いたいわね……。 


 でも、この四つの『ルリ』はまだいいのよ。問題は……。


 『蕩ルリ』:「とろるり」ね。なんていえばいいのかしら?色っぽさが危険?蕩けたような反則的な笑顔が代表的かしらね。周りの人にすら影響がでるし。基本的にあの笑顔は禁止してるけど、どこで出るかはわからない。ある意味、回避不能かもしれないわね。意図的に見たいのなら、とても美味しいものを与えると見せてくれるわ。餌付けじゃないかって?否定しきれないわね……。だって、ルリはとっても可愛いのよ!……たまには見たいじゃない?って、何言わせるのよ!


 『黒ルリ』:こっちは本当にダメ。凶悪さでいえば、『蕩ルリ』の比にならないわ。例えを上げるなら、妖艶な笑みを浮かべながら近づいてきて……って、思い出しちゃうじゃない!あー、ダメ、顔が熱いわ……。こほん……。その他にも、物凄く嬉しそうに笑いながら、とんでもないことをするわね。兵隊の悲鳴って、きっとこれに遭遇したんだと思う。「うふふ」とか「あはは」って、子供みたいな笑みを浮かべながら(でも艶っぽい)、殲滅したりとか……。王様も斬りかかられてたわよね。発言まで物騒になるし……。


 とにかく!『蕩ルリ』と『黒ルリ』は危険なのよ!

 最上級魔法が可愛く思えるぐらい。どこかでセーブしてるみたいだけど、もしも、その枷が外れたりしたら……。考えるだけで、顔が青くなるのがわかる。考えるのは止めましょう。


 これが現在、わかっているルリの種類よ(私が思ってるだけだけど)。

 とにかく、『蕩ルリ』と『黒ルリ』にあったら、逃げること!運が良ければ逃げれる……はず……多分、きっと……。



「この試合は私かザインさんのどちらか一方が勝たなくても大丈夫だと思います」

「同じ意見です。ですが、ルリアルカ様が殲滅戦を仕掛けるとなると……兵の半数が使い物にならなくなると思われます」


 ザインさんも考えていることは同じだったみたい。打開策は何かないかしら?

 ふと、審判をしている、王様に目が向いた。


「王様がいるわね」

「ゼフィア様がいますね」


 私とザインさんが王様をじーっと見ている。


「なんだよ?……なんか悪いこと考えてないかお前ら?」

「悪いことでしょうね」

「そうですね」


 私とザインさんが互いを見ます。ザインさんが頷いた。

 それなら、大丈夫よね。


「この試合、お互いに棄権をして、次の試合に移したいと思います」

「次の試合……?」


 固まること数秒。王様は意味が解って、慌てだした。


「ちょっとまて!お前ら、俺とルリを戦わせるつもりだろ!?」

「はい。ゼフィア様とルリアルカ様の試合でしたら、兵の励みになりますから」

「ザイン、ルリは殲滅戦を望んでるんだぞ!?」

「それは、ルリアルカ様に謀をしかけた、ゼフィア様の自業自得です」

「お前も巻き込まれるんだぞ!?」


 王様がそう言った直後。


「ルリアルカ様、私は少し調子が悪いみたいですので、手合わせは後日お願いできますか?」


 ザインさんはしれっと、ルリに言った。横では王様が口をパクパクと動かしているのが見える。


「……そうですか。ザインさんとの手合わせも楽しみにしていたのですが、お身体の具合が悪いのでは仕方がありません。きちんと治してくださいね」


 ルリがトコトコとこちらに近づいてくる。ふわふわと揺れている三つ編みが死神の鎌のように見えるのは気のせいかしら?


「お気遣い、ありがとうございます」

「ちょ!ま、まて、ザイン!」

「ゼフィア」


 ルリが王様に近づいていく。


「可愛がってあげます。それはもう、大事に大切に」

「そ、そうか……。まだ、だいじょう……」

「ヒビの一つもないグラスがヒビだらけになっても割れないように」


 あ、ダメだ。これは間違いなく、『黒ルリ』だ。しかも、普段よりも酷い黒っぽさだと思う。


「ええ、ええ……とても大切に、愛おしく思い、優しく丁寧に可愛がってあげます。……ふふ……うふふ………あはは………あははははは!」

「ル、ルリ、少し落ち着こう!」

「落ち着いてますよ?ふふ……」


 ルリの顔が少し赤いわね。あれ?これってまさか……。


「ふふ……。ゼフィア、可愛がってあげますからね」


 物凄い幸せそうな笑顔をしてる。『蕩ルリ』も混ざってるみたい。

 王様の命、本当に危ない気がしてきたわ……。


「ゼフィア、愛しています。今では島で唯一の家族です。ええ……愛さないわけがありません。女性からこのように言われるのは嬉しい事らしいですが、残念なことに私が愛しているというのは家族としてです。ですから……」


 ルリは人を倒せるような笑顔を浮かべながら、王様に更に近づいていく。


「ボロボロになって歩けなくなったとしても、優しく抱きしめてあげます。聖母のように優しく包み込んであげます。だから、遠慮なんていりません。私にやられて、私の胸の中で眠りなさい。いいえ、私の胸の中で果てなさい」


 ルリは両腕を広げながら言った。怖すぎるわ……。


「家族の愛が重すぎるわ!」

「何を言うのです!家族の愛は大事な物です!」

「お前の言っていることはわからなくは……いや、わかんねーよ!?お前の家族愛は重すぎるんだよ!」

「そ、そんな……」


 ルリが呆然と固まったわね。あら?フルフルと震えてる?


「ゼフィアは私のことが嫌いなのですね……。そうなのですね!私のことなんて嫌いで、どうでもよくて!だから、こんなにも私に嫌がらせをして………う……うぅ……ゼフィアは……ゼフィアは私の事なんて、どうでもよいと思っているのですよ!……うう……ううぅ……ひっく……うわぁぁん!」


 ルリがボロボロと泣き出してしまった。大泣きね。周りの兵隊からも「王様がルリちゃんを泣かせた!」って、声が上がっているし。でも、何か嫌な予感がするのは気のせいかしら?


「そんなことはない!俺はお前を大切な家族と思っている。嫌がらせなんて、するわけないだろう!」

「でも!でもー!」


 ルリは髪を振り乱して泣いているわね。ここまで泣いてるのは初めて見る気がするわ。ちょっと、可哀そう。


「落ち着け!俺がお前のことを大事に思わないわけないだろうが!」


 王様がいやいやと首を振り続ける、ルリの両肩を掴んだ。

 やっぱり、王様は行動力があるのね。


「うぅ……本当ですか……?ぐすん……」

「嘘じゃない!お前は大切な家族だ!家族としてだが、愛している!」


 王様の発言に兵士たちからも声が上がる。


「ゼフィアー」


 ルリが王様の胸に飛び込んだ。……あれ?今のは見間違いよね?

 ルリが王様に抱き着いている。うん、別におかしなところは……!?

 見えてしまった……。抱きしめている王様の腕の下から見えた、ルリの口元が……。


「ザインさん、見えました?」

「見えてしまいました。ルリアルカ様はとても素晴らしい人です。ですが、本当に怒らせると大変なことになる……」


 笑っていたのよ……。


「ゼフィア!ゼフィアー!」

「ルリ!ルリ!」


 ルリと王様が抱きしめ合っている最中、ルリが呟いた。


「ゼフィア……」


 優しいルリの声が聞こえる。いいわよね。


「壊したいほど、愛おしい……」


 うんうん。壊したいほ……あれ?聞き間違い……よね?え?聞き間違いじゃない……?え?ええ!?

 慈愛に満ちているといっても過言ではない笑顔をルリは浮かべている。

 でも内容は……物騒という言葉が優しすぎるように思えた。


「これは何ルリなのかしら……?」

「国葬の準備が必要かもしれませんね……」


 逆らえる人は誰もいない。つまり、成り行きを見守るしかない。


「ゼフィア……」


 ルリが王様の名前を告げると同時に翼を広げた。あれ?翼が薄い赤色になっているような気が?


「お、お前、その翼!?」

「私を大事に扱わないからダメなのです……」

「それとこれとは別だ!その翼はまずい!」


 王様の慌て方が尋常ではないわね。ルリの赤い翼には何かあるのかしら?


「大丈夫です。これぐらい、私はなんともありません。だから……」


 ルリは抱きしめる腕にさらに力を込めて抱き付いたみたい。


「私の胸で果てなさい。ね?」

「ま、まて!ル、ルリ!?ぎゃあああああぁぁぁ―――――」


 ルリは激しい雷を全身に纏い、暫く抱き着いていた。

 王様、生きてるわよね?



 ルリが激しく怒った後も、一騒動あった。

 レティアが盛大に勘違いしたのよ。勘違いとも言い切れないけど、勘違いであって欲しいわね……。


「……私もルリお姉ちゃんを怒らせたりすると、あのようになるのでしょうか?」

「そんなことはしませんよ?」


 ルリは普段通りに言うけど。


「やっぱり、ルリお姉ちゃんを怒らせると、ゼフィア王のようになるのです!」


 レティアの言いたいことはわかる。


「ルリ、気絶した王様の胸倉掴んだまま言っても説得力ないわよ……」


 言葉通り、説得力は皆無だったの。


「大丈夫です!レティアにはそんなことはしませんから!」

「「あ……」」


 私とシエラの声が重なる。理由は……。


「気絶したゼフィア王をそのまま投げ捨て……きゅぅ………」


 レティアはルリの行動に青ざめたまま、気を失ったのよ。気が付いてからも、落ち着かせるのに大変だったし。もちろん、ルリには反省してもらったわよ?ルリにもストレスがあったのはわかったけど、レティアまで勘違いさせるのはちょっと。……私も注意しないとダメかしら。



 そして、現在。私は王座のある部屋に居たりする。王様と二人で。


「悪いな、急に呼び出したりして」

「それはいいのですが……お身体は大丈夫で?」

「……魔島だともっと酷い目にあったことはある」

「そうですか……」


 ルリって、元々やりすぎる傾向があるのかしら?そう思っていると。


「セシリー」

「は、はい!」


 王様の雰囲気ががらりと変わった。背筋が自然と伸びる。王様ってこんなに迫力あったのね……。


「今日のルリの翼を見てどう思った?」

「今日の翼……。あの赤い色をした翼でしょうか?」

「そうだ」


 騒動の時にも王様は言っていたわね。「その翼はまずい」と。


「ルリに翼があるのは以前、見たことがあるので知っています。でもそれは真っ白な翼でした。今日みたいに赤い翼には何かあるのでしょうか?」

「あいつには色々な血が混ざっている。正しくは魔島の家族の血を得ているといった方が正しい。そのことも知っているな?」

「はい」


 そうなると、家族の血が影響をしているとしか思えないわね。


「魔族の影響が強くでると、翼が赤くなるんだよ」

「……え?」


 魔族の影響が強くでると赤く?それって、思ったよりも危険な気がするけど。でも、ルリだし大丈夫よね?


「……あいつの翼が深紅に染まった時、理性なく周りを破壊する」

「……嘘ですよね?」


 普段、穏やかなルリが理性なく周りを破壊する?いくら王様でもそんな冗談、言わないで欲しいわ!


「昔、ルリに殺されかけたことがあると言ってもか?」

「………」


 ルリが?怒ってはいても、あんなにも家族を大事にしてるのに!?


「王様……怒っていいですよね?いいえ!怒って当然よ!そんな嘘を信じられるわけないでしょ!?しかも、私だけ王座に呼んでおいて、やりすぎにもほどがあるわ!」


 かしこまった、私がバカみたい!


「言葉が足りなかった。怒らせるために言ったわけじゃない」

「言葉が足りないですって!王様、それでもルリの家族ですか!?」

「家族だとも!そこだけは誰に何と言われようとも譲らん!……すまん、声が大きくなった」

「い、いえ……」


 王様の怒り方は本物。ルリの赤い翼には何かあるんだ。


「魔島にいた家族にアルテナという女性がいてな。精霊と魔族のハーフという稀有な存在なんだが。まぁ、アルテナいわく、ルリは血の影響が強くでるらしい。限りなく起きない事だが、過度なストレスやショックなことが起きると、ごく稀に翼が赤くなる。……今回の騒動は俺にも落ち度があるのは認める。……あいつと同じで愛情が変にでたらしい」

「家族ですね……」


 それ以外に思い浮かぶ言葉がでない。というより、似すぎでしょ!


「細かい内容は悪いが、端折らしてもらう。だから簡単にいう……」


 今、なんて言ったの?聞き間違い……よね?ルリの家族よね!?なんでそんなこというのよ!ふざけてる……バカげてる……ありえない!


「聞こえてなかったか?なら……」

「聞こえてるわよ!なによそれ!?私に……私にルリを殺せっていうの!?なんで、私に!」


 そう、王様は私に言った。「翼が深紅に染まった時は、ルリを殺してやってくれ」と。


「なんでそんなことを言うの!?ルリの家族でしょ?あんなにも大事にしておいて、殺せ!?はっきり言います。王様、バカですよね!?」

「なんて言われようとかまわん。もし、お前がルリを殺したなら、その後は俺も殺してくれてかまわない。それは家族を守れない俺の罪だ」

「なによそれ……。魔島の家族ってバカばかりしかいないの!?」

「そんなわけない!俺も皆もあいつのことを大事にしている!それこそ、自分の命なんざ、二の次だ!皆も同じように言うだろう!」


 私よりも王様が大きな声で叫ぶ。でも、とても悲しそうに。


「俺はあいつに悲しい思いをしてもらいたくないだけなんだ……。十分、悲しんだはずなんだ……。でもあいつは……今も何かを抱えてる……。だから、ルリの親友というなら、もしもの時は……頼む……」

「……王様が泣きながらいう事じゃないでしょ」


 頭を下げながら、泣いているのがわかる。握っている拳から血が流れているのが見える。本気なんだ。でも私の返事は決まっている。


「断ります」


 そんなお願いなんて、たった一言で終わり。

 受けるわけないでしょ?バカにしないで!


「あんな優しい娘を殺せるわけないでしょ?あんなにいい娘を、人助けに自分の命すらないがしろにする娘を。だから、そんな内容は聞けません。従いません。命令であっても断固拒否します。そんなことを考えるぐらいなら、そうならないように頑張ればいいだけです」

「そうか……そうだな。バカなことを言ったもんだ……」

「そうです。大バカです。反省してるなら、ちゃんと正座しなさい!」


 その後、正座して反省し始める王様を見て、慌てる私がいた。

 思い返してみても、凄いことを言ったと思う。

 でも、私は続けて。


「そんなつまらないことを考えるんじゃなく、あの娘を助けられる内容を考えませんか?」


 王様にそう言った。



 ルリが悲しまないよう、楽しく過ごせる日々を共に過ごせばいい。手伝ってあげればいい。

 答えはとても簡単だった。

 セシリーの色々なルリ分析、その後に激怒でした。

 セシリーは怒ると相手の身分関係なく、素で話します。

 そのことについては、覚悟を決めていうので、後悔はありません。


 ルリはお仕事をし始めて人の観察をしたりしているので、色々と成長しています。

 いい方向、悪い方向共に全力で。


 次はどんなルリがでるのでしょうか?



 次回の更新は書き終わり次第となります。

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