戦って証明するもの
またも訓練場です。
別にいいのですけど。
一人なら……。
「どうして、こうなったのでしょう?」
訓練場を訪れてから、1週間程経過しています。
ここに足を運ぶのは構わないのですが、問題は私一人ではないということです。
私以外に、セシリー、シエラさん、レティアといつものメンバーが揃っています。ファリスは学校らしくいません。
「私としては珍しいものが見れて嬉しかな」
シエラさんは興味があるようです。先日の話をした時は楽しそうにしていましたからね。
「私は出来れば遠慮したかったわ」
セシリーは顔を手で覆っています。「また厄介ごと?」と言いたいのを我慢しているようです。
「フェイマスの兵は、この様な訓練をしているのですか」
レティアは真剣に観察しています。何か、見方が違いますね。
「よう。来たか」
私たちより少し遅れて、ゼフィアが訓練場に来ました。
「来たかではありません。私だけならわかりますが、皆もというのは何故ですか?」
私自身、嫌な予感がしているので、少し怒っています。
「怒るな怒るな。前にルリに見てもらってから、こいつら急にやる気を出してな。頑張っている姿を見てもらいたいんだと」
「そうですか。………本音は?」
「ルリの友達にいい姿を見せたいらしい」
「なんですかそれは……」
さすがに呆れます。というより、私のお友達を巻き込まないでください!
追い込み方が足りなかったのでしょうか?
「学生時代の実力は城にも届いてるから、俺はわかってるんだが……」
ゼフィアが三人を見ます。
「今はルリが関わってるからな」
「「「あはは……」」」
三人が困っています。私は自分を守れるように教えただけです。私が居なくなっても大丈夫なように。
「俺も実力が知りたいというのはある。別に兵に欲しいというわけじゃないぞ?純粋に、ここにいる兵達と比べたら、どうなるか気になっていただけだ。……既に兵が負ける姿しか思い浮かばないがな。ルリ、何を教えたんだよ?」
「魔力の上昇方法と制御方法。空間魔法、あとは個別に色々と?」
「おまえ……」
ゼフィアが俯きながら「やりやがった……」というのが聞こえました。何か失敗しましたか?
「セシリー、シエラ、レティア」
「「「な、なんでしょう?」」」
ゼフィアが真剣な声で言ったので、三人が驚いています。
「ルリのせいで大変だったと思う。すまなかった」
「あ、謝らないでください!私は納得してですから」
「私も」
「ルリお姉ちゃんに守られてばかりは嫌なのです」
別に失敗というわけではないじゃないですか。心配して損をしました。
「いい娘たちだからいいが、ルリも気軽に教えるなよ?お前の知っていることは殆どが秘術と呼ばれるものだからな」
「わかりました」
「ならいい。それじゃ、三人には誰と戦ってもらうかな」
「「「え……?」」」
三人が綺麗にはもります。
「私も初めて聞いたのですけど?」
「言ってなかったからな。伝えてたら、来なかっただろう?」
「……怒っていいですよね?」
「許せ。ま、兵達にやる気をさらに出してもらわないと困る」
「そうですか。あ、ゼフィア」
「なんだよ?」
「最近、色々ありすぎて、翼が一部だけ赤くなっている気がするのですが、心当たりはありませんか?」
笑顔で言うとゼフィアは。
「……すまなかった!」
その場で土下座しました。
「はぁ……。やっぱり、巻き込まれたわね……」
「だね」
「大丈夫でしょうか……」
三人が不安そうにしています。私達四人は兵隊さん達とは違う方で待機中です。兵隊さん達の方にはゼフィアが支持を出しています。
「大丈夫です。何かあれば、ゼフィアごと私が何とかしますから」
「ルリお姉ちゃん、王様相手でも容赦なしです……」
「私は三人も大事ですから」
「照れもなく言うわね」
「ほんと」
四人で笑いながら話をしていると。
「これから、魔法、物理、混合の三試合を行う。ルリの方は役割決まったか?」
「その三種なら、魔法はレティア、物理はシエラさん、混合はセシリーですね」
「ちょ、ちょっとまって!?」
セシリーが内容を聞いて慌てています。大丈夫ですよ?
「内容的に混合ってなると、魔法と武器の両方よね!?」
「そうですね」
「私、武器はちょっと……」
「大丈夫です。当たらなければよいのです」
「無理よ!絶対無理!それに相手を挑発するようなことを言わないで!」
セシリーは大慌てです。シエラさんはその様子を見て笑っていますね。レティアは心配そうな顔をしています。でも、大丈夫です。
「怪我をしても、私が治します」
「で、でも……」
「魔力枯渇をしたら血を上げますからね」
「うぅ……。やればいいんでしょ、やれば!」
諦め気味に言いました。
「それでは、最初は魔法戦だ」
ゼフィアの声を聞いて、レティアが恐る恐る、前へ出ます。
「レティア、頑張ってねー」
「怪我しないようにね」
セシリーとシエラさんの応援の声が響きます。
レティアの相手の方は……あれ?あの方は魔法隊の隊長さんですよね?その横に居る方は、以前、私に攻撃をかすらせた人です。三人目は混合ですから……ザインさん?
慌てて、ゼフィアの方を見ます。何でしょう?腹が立つ笑顔ですね……。
「レティア」
「ルリお姉ちゃん?」
「遠慮なんてしなくていいのですよ。全力で仕留めなさい」
「は、はい!」
私が少しだけ笑っているのに気が付いたみたいでした。
「ルリ、怒ってるわよねあれ……」
「王様、何か謀ったんだろうね……」
私は二人の声を聞き流します。
さぁ、ゼフィア、後悔すればいいのですよ!
「魔法戦、開始!」
ゼフィアの声を合図に始まったのでした。
「えっと、よろしくお願いします」
「よろしくね。こんな小さな娘が相手なんてって普通は思うのでしょうけど」
私の前にいる女性の方がいいます。魔法を使いますというように杖を持っています。
「ルリちゃんの妹だから、手加減できないわよ」
そう言って、静かに構えました。
「私は、ルリお姉ちゃんに教わったことを頑張るだけです」
私には構えはありません。武器らしい物も持っていませんから。
「それじゃ、いくわよ!」
「はい!」
女性の方が魔力を集めます。ルリお姉ちゃんと比べると小さなものですが、それでも普通の方よりは多いです。
「土の牢獄!」
叫ぶと同時に私の周囲が土に覆われました。囲んでから何か撃ち込むというものでしょうか?回避行動を取らせずに撃つ。戦い方では正しいと思います。
「火の槍!」
私の方からは見えませんが、声は聞こえます。周囲から「あんな小さい娘に大人気ない!」と聞こえました。土の壁で視野を奪い、火の魔法を撃ちこんで、壁ごと吹き飛ばすといったところでしょうか?火属性だけでも威力はあるはずですし、土も同時にぶつかると考えると、確かに大人気ない気はしますね。
「ルリお姉ちゃんはいいました。全力で仕留めなさいと」
風属性の魔法で目の前の壁を吹き飛ばします。土の壁がなくなると、目の前は火でした。
「だから、お姉ちゃんに恥をかかせないように頑張るだけです!」
魔力を集めて、目の前に水柱ができるようにイメージして魔法を発動させます。飛んできた火の槍は水柱によってかき消されました。
「なんて魔力量!」
女性が警戒します。魔力量は確かに増えましたけど、扱いはまだまだなのです。ルリお姉ちゃんにはゆっくりと制御できるようになればいいと言われています。
「反撃させていただきますね」
イメージするのは大きな海で発生する波のような物。魔力を集めて、一気に発動させます。
「え……?波!?きゃぁぁ―――!」
女性が波にのまれて流されていきます。ですが、これでは一時的に動きを封じただけです。次にイメージするのは、ルリお姉ちゃんが作った雷です。水を被ったりすると痺れやすいと聞きました。
「こちらはまだ難しいです」
掌に雷属性の球を作ります。バチバチと音を立てていますね。
「えい!」
波によって、びしょ濡れになっている女性にぶつかるように投げます。女性は悲鳴を上げて、崩れ落ちましたね。これで行動はできません。あとは……。
「ルリお姉ちゃんが言う通りにすると」
眩く光る槍を数本作り上げます。私の適正の光属性の槍です。それを、身動きが取れない女性の頭上へ動かし待機させます。
「そこまでだ!」
ゼフィア王が慌てて、止めに入りました。そんなに慌てなくても、撃ち込んだりしませんよ?
え?ルリお姉ちゃんにそっくり?嬉しいです!
「魔法戦はレティアの勝利!……ルリのやつ、こんな小さな娘にとんでもないことを教えてるな……」
とんでもないは心外です。ルリお姉ちゃんのようになれるなら、その程度は軽いことなのです!
「少し休憩を入れて、物理戦だ」
ゼフィア王の声が響きました。いつも思いますが、ゼフィア王の声は凛としているので飽きません。
「レティアお疲れさまー」
「シエラお姉ちゃん、ありがとうございます」
レティアは魔力量が多いので、私にはできないことを平然とする。
少し羨ましいかな。
「魔力量だけなら、ルリの次だもんね」
「制御は全然です。セシリーお姉ちゃんの制御は凄いのです」
「そ、そう?」
「はいはい。セシリーも照れないの。それに魔力の自慢ばかりするなら、拗ねるよ?」
冗談を混ぜながらいうと。
「シエラは魔力量なんて関係ないじゃない」
「ルリお姉ちゃんの次に拗ねると怖いのです……」
「拗ねてもいいよね……」
「私のセリフ……」
ルリさんがぽつりと呟いた。
「「「……ぷっ……あはは!」」」
ルリさんの言葉で、私を含め、セシリーとレティアが大笑いした。
ダメだよ、ルリさん。それは反則。
「ル、ルリ、ダメよ、そんなこと言っては……。あははは!」
「ルリお姉ちゃんの言い方、可愛すぎます。あは……あははは!……はぁはぁ……可愛い姉は反則です……」
「ルリさんのセリフとったわけじゃ……あははは!」
「いいですよ、もう!」
ルリさんが拗ねちゃった。本当に可愛いなぁ。
「楽しそうに笑ってるところ悪いが、物理戦始めるぞ?」
「あ、はい」
「シエラ、頑張ってきて……ダメ、笑いすぎてお腹痛い……」
「シエラお姉ちゃん、頑張ってください……あはは……」
「……頑張ってください」
ルリさんはしばらくの間拗ねてると思う。こんなにも可愛らしい人が私たちの中で一番強い。不思議なものだよね。
「頑張ってくる。勝ったら、ご褒美はルリさんと一緒にお風呂だよ?」
「え……ええ!?」
ルリさんの慌てる声が聞こえた。背中越しだけどね。
私はセシリーやレティア以上に学ばないとダメなことが多いから。
勝ったら、またあの湖の近くで教えてもらおう。お風呂もあるからね。
(それじゃ、集中しないと)
対戦相手だろうと思う人の前に歩いていく。幅の広い大きな剣を持ってる人だなぁ。大きすぎて、動きにくそうだけど……。言っちゃダメだよね。
「あなたもルリアルカさんの友人ですか」
「うん。よろしく」
「先ほどの少女はルリアルカさんの妹で次は友人。最後の人も友人?」
「そうだね」
剣を構えながら、男が考えている。何を考えているのだろう?
「……あなたが一番、頼りなく見える」
「それは自分でも思うかな。でも、私はルリさんの横に並んで大丈夫と胸を張って言えるよ」
「お前ら、戦う前から喧嘩気味になってんじゃねーよ」
「「王様……」」
思ったよりも熱くなってみたい。だって、ルリさんの友達にふさわしくないって言われてるみたいだから、腹が立つし!
「シエラ、お前の強さは俺が知っている。まぁ、ルリに教わる前の強さだけどな。遠慮はいらん、全力でやれ。自分はルリの友人だと親友だと、ここにいる皆が認めるよう、見せつけてやれ」
「………」
王様はルリさんの家族だ。その人が私を認めてくれている。
嬉しいな……王様としてじゃなく、ルリさんの家族として認めてくれている。
「大丈夫か?」
「証明してみせます。ルリさんの親友だと!」
「それでいい」
こんなに嬉しいことはない。
「お前も女の子にあんな言い方するな。もてねぇぞ?」
「そ、そんなのはどうでもいいです!」
「そうか。まぁ、教えておいてやるが、彼女はギルドマスターの娘だ。手加減してどうにかできると思うなよ?」
「!?……わかりました」
男が構えを変えた?それが本気ってことか。
「先ほどのことは謝らない」
「そんなこと、どうでもいいよ。私は認めてもらいたい人が認めてくれれば、それだけでいい」
静かに構える。構えると言っても、半身の状態で左手を前に構えているだけ。右手は腰の位置。
「物理戦、はじめ!」
王様の声が響く。
「あああぁぁぁぁ!」
響くのは剣を持った男の声。大きな剣を持っているのに早い。剣が振り下ろされると地面を斬るように、切っ先が刺さっていた。
「わざと当てていません。降参するならいまですよ?」
剣は私の真横と言っていい位置にある。
降参?そんなことするわけない。
「するわけないよ。ルリさんの親友なら、そんな情けないことは言わない!しない!」
「そうですか。なら!」
刺さっている剣を無理やり動かして、私の方へ向けてきた。
「そんなのは避ける必要もない!」
幅の広い剣が横を向いているなら、上から踏めばいい。私は剣を全力で踏みつけた。
「剣が動かない!?」
「力に少しは自信があるんだ」
剣を踏みつけている足に力を込める。私は、ルリさんが教えてくれたように身体能力を魔力で強化してる。簡単には抜けないと思うよ?
「い、一体なにを!?」
「教えてあげない」
さらに力を込めると、剣を持っていられなくなったらしく、手から離れたのが見えた。激しい音と共に剣が地面に埋まる。
それで終わり?当然、攻撃させてもらうよ!
「私は……」
男に向かって踏み込み、右の拳を叩きつける。前に崩れ落ちるなんて許さない。吹き飛ばしてあげる!
「ルリさんの親友ってだけじゃ物足りない!」
殴り飛ばされている所を追いかける。ルリさんに練習するようにと言われたことをすればいいだけだからね。追い付くのは簡単。追い付いた所を掴んで、地面に叩きつける。鎧を着ているんだから、多少は平気だよね。
「私は!」
叩きつけた直後、その場から飛びのき、地面を蹴って飛び上がる。
「守りたいんだ!」
上空で身体を回転させながら、地面目掛けて蹴りを放つ。
「それまで」
王様の声が聞こえた。え?相手、死んでない?私の蹴りは相手の顔の前で止まってるよ?
「ルリを守るか……。難しいなんてもんじゃないぞ?」
王様は真剣だ。だから、私も真剣に答える。
「それでも、そうしたいです」
「そうか。だとよ」
「そうですか」
ルリさんがトコトコとこちらに向かって歩いてくる。
「ルリさん?」
今思い出してみると、私はかなり恥ずかしいことを叫んだ気がする。
顔が赤くなってきているのがわかる。あまりの恥ずかしさに逃げ出したくなる。
「えっと、その……」
「ありがとうございます」
慌てる私に対して、ルリさんが抱き着いてきた。
「私を親友だと言ってくれて。守ると言ってくれて」
「うん……」
「でも、私はシエラさんが知っている通りです」
「そう……だね」
ルリさんの考えは変わらない。それは知っているけど。
「それでも、いいよね?私がそうしたいだけだから」
「はい。私には止める権利はありません」
「うん。ルリさんが考えを変えてくれたら一番いいんだけどね」
「それは難しい相談です」
悲しい事なのに、平然と答える。だから、ルリさんなのかもしれない。
「頑張る」
ルリさんが万が一にでも考えを変えてくれるよう、私は守る立場になりたい。ルリさんがそうであるように。道のりは険しいのはわかるけど、そうしたいから。
「ところで、お友達というのはわかりますが、親友というのはなんなのでしょう?」
「ええ!?」
親友の意味を知らないなんて、逆にびっくりしたよ!私のせっかくの告白が無効になるよねこれ……。
「ルリ、親友っていうのはお互いが心から信頼している間柄だ。ま、友達の一歩進んだ関係だな」
「なるほど。それなら、私はシエラさんと親友ですね」
王様の言葉に納得してくれた。王様、ありがとう。
「改めて、よろしくね」
「はい。えっと、シエラさんと親友ということは、セシリーもそうなるのでしょうか?」
「そうだね。あとで言ってあげるといいよ」
「はい」
セシリーが驚いて、大喜びするのが目に浮かぶよ。
王様もだけど、私もセシリーもレティアもルリさんの事が大好きなんだなと、改めて思う。
「さて、最終戦として混合戦をしたいところなんだが、昼でも食べるか。そこから休憩を入れて、混合戦をやろう」
最後の混合戦はどうなるのかな?
セシリーが心配だけど、楽しみの方が上だよ……本人には言えないけど。
(親友と認められたなら、あとは守るために強くならないとね)
親友となったのはとても嬉しい。でも、それ以上に、ルリさんの考えを変えたい。これは親友になるよりも遥かに難しいから。
「先はまだまだ長いかな」
そう、私の目的は簡単な物じゃない。
セシリーとレティアの力も借りる必要があると思う。
それでも、この問題は解決したい。
ルリさん、頑固だからね……。
(しばらくは自力の向上かな?)
そうしないと守れないから。
先の目標に向けて進んで行こう。
一歩ずつでも確実に。
「お昼ご飯の後で休憩、その後の混合戦はいいのですが、お昼はどうするのですか?」
私はお昼ご飯が気になっていました。
「そうだな……俺たちは城内で食べればいい。兵達にも食事を食べる食堂みたいなものがあるからな。それじゃ、ルリ、セシリー、シエラ、レティアの四人はついてきてくれ」
ゼフィアが歩き出したので、私達はついていくことにしました。。
歩く時間はそれほど長くなく、大きな扉の前でゼフィアが止まりましたね。
「ここで昼を食うぞ」
扉の前の兵隊さんが扉を開ける。ゼフィアは普通に中に入っていったので、後に続いていきます。
目の前に広がったのは、とても大きなテーブルがある部屋でした。
「ここってもしかして……」
セシリーが何かに気が付いたようです。
「ん?ああ、ここは王家の人間が食事を取るところだ。ああ、そんなかしこまらなくていいぞ。気楽に座れ」
ゼフィアは定位置なのでしょう。一番奥の席、椅子が一番豪華なところに座りました。その左右の二つの席も豪華な椅子ですね。ここはファリスと、アレイシアさんの席だと思われます。
「俺から見たら右側か。そっちの席に座ればいい。直ぐに食事を用意させる」
私達は何もわからないまま、席に着いていきます。
少し雰囲気というのでしょうか?落ち着きませんね。レティアは堂々としていますが。元王族ですから、慣れているのでしょうか?
「席に着いたな。食事が運ばれてくるのに少し時間はかかる。雑談でもしようじゃないか」
「そうですね。静かすぎるのも退屈です」
私がゼフィアの意見に賛成すると。
「それでも緊張するのよ……」
「うん……」
「他国の王族の席は初めてです」
レティア以外は固まり気味でした。
「気にせずにくつろげばいい。ところで、レティア」
「なんでしょうか?」
「戦った相手についてどう思った?」
魔法戦のことでしょう。確かに気になりますね。
「えっと、そうですね」
レティアは思い出しているように、目を瞑ります。
「あの方の戦い方は綺麗な定石通りだと思います。ですけど、相手の力量が上の場合は慌てると立て直せなく、そのままなし崩しにやられていると思います」
「そうか。ルリの鍛錬受けているから、負ける可能性はあると思ったが……あいつ、あっけなく負けたもんなぁ……。まぁ、いいか。レティア、そのまま精進して、自分の身に危ないことが起きても、身を守れるようになるんだぞ」
「はい」
「次はシエラか」
「は、はい」
シエラさんがゼフィアに見られて固まっています。
「見事な戦いだった。ルリから教わったのは身体能力の向上か?」
「はい。他にも色々習っているけど、身体能力の向上が向いているそうなので、そちらを優先しています」
「そうか。難しとは思うが、頑張って会得しろ。魔法は威力は強いが当たらなければどうということはない。ま、俺と同じだな。身体能力を増加させた状態で戦う。難しいのは俺もよく知っている。折れる事なく励め」
「はい!」
ゼフィアもシエラさんの様な戦い方でしたね。
島ではボロボロにされていることが多々ありました。島を出てからも鍛錬は続けていたと言っていましたし、あの時とはまた違う強さなのでしょうね。
「さて、最後にセシリーだが……」
「それについて、聞きたいことがあるのです」
「どうした、ルリ?」
「どうして、混合戦の相手にザインさんを選んだのですか?」
「あー、それな」
ゼフィアはバツが悪そうな顔をしています。やはり、企みがあるのですね!
「本音で話すと、魔法戦と物理戦は負けると思ったから、最後の混合だけは勝ち取りたかったってわけだ」
「そのために、ザインさんですか……。大人気ないにもほどがありますよ」
「あ、あの」
「どうした?」
セシリーの慌てた声が響きます。
「私の対戦の相手のザインという方は、それほどまで強い方なのでしょうか?」
「強いな」
「私が思った感じですと、ゼフィアの次に強いですね」
「……それ、私が瞬殺されるの確定ですよね?」
セシリーは肩を落としていますね。でも、そうはならないと思っています。
「ザインを当ててはいるが、勝てるという保証はどこにもない。セシリー、倒すぐらいの意気込みで当たってこい」
「はい……」
セシリーは俯きながら返事をしました。何でしょう?企み事だったので、少々腹が立っています。……そうですね。こちらから提案を出しましょう。
「ゼフィア」
「ん?」
「セシリーが勝ったら、追加で一戦設けて欲しいのですが」
「ああ、構わないぞ。誰が戦うん……ちょっとまて!」
ゼフィアの顔色が変わりました。ええ、その通りですよ。
「私が四戦目に設けて欲しいのは……殲滅戦です」
「な、なぁ、ルリ。それは止めないか?」
「嫌です。皆を巻き込んだ罰です」
「手段選ばずに勝つしかないな……」
ふと、いい匂いがすると思えば、料理が運ばれてきました。
見たことのない料理がいっぱいあります。これは美味しそうです。
「セシリー、料理を頂きながら、ザインさんの倒し方を考えましょう」
「そ、そうね」
セシリーが困惑気味です。大丈夫、私が全て決着をつけて上げますから!
「そして、ゼフィアに最後という名のプレゼントをしましょう」
「そう……え!?そんなのは望んでないわよ!?」
「俺も最後になりたくねぇよ!」
セシリーとゼフィアの叫び声が響きました。
謀をしたゼフィアが悪いのですよ?
今回は視点が変わったりする書き方となっております。
もっと、いい書き方があるとは思うのですが、初めての試みですのでわかりません…。
楽しんでくれると幸いです。
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次回の更新は書き終わり次第となります。




