呼び出された内容と演技と……
お城に来たのはいいのです。
ですが、話はずれて本題が聞けていません。
私を呼び出した理由はなんなのでしょう?
別な部屋へ案内され、そこにいるのは私、ゼフィア、ファリス、アレイシアさんの四人です。
豪華な部屋ではありますが、ここはどこなのでしょう?机や椅子にも豪華な装飾があります。窓も大きく、陽の光が入ります。あそこにソファーがあれば、お昼寝に最適……こほん。今はそれではないのです。
「私をお城に呼び出したのは何故ですか?」
あれだけの騒動の後なので今更な気がしますが、これが本来の内容ですからね。
私には呼び出される心当たりがないのです。
「要件っていうか、ただ俺が会いたかっただけだが?」
ゼフィアがしれっと言いました。私に会いたいためだけに、あのような馬車を使用したのですか……。少々頭が痛くなるのを感じます。同時に怒りも少し。ふふふ……。
「私もお姉さまに会いたかったです!」
「私も会ってみたかったのは本当よ?」
ファリス、アレイシアさん親娘がはしゃぎながら言います。それでも、手紙などで呼び出せばいいのにと思いましたが、あえて言わずにいましょう。
「ま、それは冗談でな」
「冗談ですか。良かったですね、ゼフィア。ふふふ……」
「わ、悪かったよ!だから、その笑い方やめろ!お前やアルテナのその笑い方だけは洒落にならん……」
別に普通に笑っただけですよ?アルテナのこの笑い方は確かに怖かったですが。アルテナはとても優しい家族なのですが、怒らせると……ダメです、言いたくありません……。
「本題は何なのですか?」
「城の兵達を見てもらいたいんだよ」
「兵隊さんをですか?」
私は兵隊さんを見ても何も感想はないのです。お城を守っている立派な人達ですから。
「普通の兵隊ではないんだよ。王都守護隊と魔道隊だな」
「王都守護隊の方たちは、港の騒動で会いましたね。あと、お迎えに来てくれた、ザインさんです」
「そうだな。ファリスもそうだ」
兵隊さん達を見るですか。やっぱり、不思議ですね。見るということは訓練か何かだと思うのですけど。でも、稽古をつけるなら、ゼフィアが適任だと思います。魔法は私の方がよいとは思いましたが。
「まぁ、見ればわかる。ザインを除いて、ひよってるからな……」
「ひよってる?聞いたことがない言葉ですが、面倒なことに巻き込まれている気がします……」
非常に面倒な予感がします。雑談して帰りましょう。そう思っていたら……。
「ファリス、ルリさんが剣の腕を見てくれるそうよ」
「お姉さまが!?」
まさかのアレイシアさんからの援護攻撃でした。ファリスは嬉しそうに跳ねていますね。
椅子に座ったまま、「逃げ場はないぞ?」とゼフィア。にこにこと笑顔を浮かべならのアレイシアさん。
「お姉さまに剣を見てもらえる!見てもらえるんだー!」と、子供の用に大喜びのファリス。
「逃げ場無しですか……」
私は諦めることにしました。いいですよ、剣を見るぐらい。あれ?魔法もあるのですよね?兵隊さんの。私のがやることではない気がしますけど、内容が多いですよね!?
ゼフィアとファリスに案内されて、お城の外にある、訓練場という場所に着きました。兵隊さんの数は多いですが、それよりも訓練場の広さに驚きました。以前、セシリーとシエラさんが喧嘩をした『リヴィア学園』の武道場がありましたが、それの数倍の大きさはありますね。武道場も外にありましたから、沢山の人が同時に居ても問題ないのですよ?
「兵の様子はこれなんだがな。ルリはどう思う?」
「様子ですか?」
大声が響き、激しい剣戟、そして、魔法の音がしますね。ですが……。
「何かが足りません」
真剣なのは真剣です。手抜きは当然ないでしょう。ゼフィアの国の兵士ですからね。迫力もありますよ?ですけど、何かが変です。
「そうだな。ここにいる兵士は凶悪な魔物と戦ったことがない。平和だって考えればいいことなんだが……。港の騒動とかが今後起きたりすると、役不足になる。まともに戦えるのってザインだけかもしれん」
「お父様、私はダメでしょうか?」
ファリスが不安そうに言います。実力は見ていませんから、私からは何も言えません。
「ダメだな」
「そう……ですか……」
ゼフィアは容赦なくいいました。ファリスは肩を落として落ち込んでいますね。でも、団長なのですよね?ザインさんが副団長でしたし。ゼフィアが親馬鹿なのか、伸びしろがあると見込んでのことか。ファリスにとっては大きな課題になりそうですね。剣を捨てて、王女としてだけ生きるのも道でしょう。
「そこで、ルリだ」
「私ですか?」
何故、私なのでしょう?まさかとは思いますが、兵隊さんたちに何かを教えろというのですか!?
「最近、湖で黒狼まとめてやっただろ?」
「私が黒狼を?」
シエラさんしか知りません。どうして、ゼフィアが知っているのでしょう?
「隠そうとしてもわかる。あんな芸当、今の王都だと俺か、ルリしかできないからな」
「はぁ……。せっかく、隠し通すつもりでしたのに」
「湖の報告を聞いたらな。……その場に何匹いたんだよ?」
「夜中でしたからね。目視できたのは三十四匹ですよ」
「つまり、気配だけならそれ以上か。数が異常だな……」
ゼフィアがため息をついています。
確かに多いとは思いました。黒狼は群れていても、多くて十匹ぐらいです。でも、湖ではその数倍の数でした。赤狼が増えているのと関連があるのかもしれません。黒狼とは赤狼がさらに魔力を蓄えて変貌したものですからね。赤狼が増えていると、増えてもおかしくはありませんが、それでも妙です。
「ギルドで受付のお仕事をしていて気が付いたのですが、赤狼も増えているのです。何か心当たりはありませんか?」
「赤狼まで?心当たりはないが、思ったよりも深刻かもしれんな……。なぁ、ルリ」
「なんですか?」
「ここの兵達、黒狼に勝てると思うか?」
改めて兵隊さんを見ます。いわゆる、型というものでしょうか?動き、太刀筋は綺麗です。兵隊さんの連携も優れていると思います。魔法隊と呼ばれた方達の魔法も、ここは訓練場ですから威力を落としているのでしょう。丁寧な魔法です。全て、丁寧なのです。
「はっきり言うと、無理です。ザインさんは大丈夫でしょうけど、他の兵隊さんは全員ダメですね。連携を取っても無理だと思います。人が相手なら何も問題はありません。ですが、相手が凶悪な魔物では通用しません」
「そうか」
ゼフィアは腕を組んで目を瞑りました。自分の国の兵隊さんが強い魔物に遭遇しても勝てないという事実を痛感しているようです。
「優秀なんだが、やっぱり魔物はダメか。……一度、追い込んでみるか」
「追い込むですか?」
なんでしょう?私の方が嫌な予感がしてきました。ゼフィアは何を思いついたのでしょう?
「集まれ!ルリとファリスは横にこい」
ゼフィアの声に兵隊さん達が目の前に集まります。沢山いますね。
「最近、魔物の数が増えているのは知っているな?湖では深夜に黒狼の群れを見たという報告まで出ている。追加でギルドから報告された内容には、赤狼も増えていると。はっきり言うと、こんなことは経験したことがない」
「王様、一つ聞いてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
皆さんが私を見ています。かなりの視線です。私は希少動物ではありませんよ?
「王様の隣にファリス様がいるのはわかっていますが、そちらの黒い服の少女は」
「こいつか?家族だよ」
ゼフィアの言葉に兵隊さん達から驚きの声が上がりました。黒い服は、被って袖に腕を通すだけの物です。長さは足首ぐらいまであり、右側にはデザインらしく、歩きやすいように腰ぐらいまで切り込みがあります。これがなければ、歩くのも面倒です。被って袖に腕と通すだけとはいえ、歩きにくければ着ませんよ?
「王様の家族?ファリス様の妹ですか?」
「私の妹ではありません。お姉さまです」
驚いていた兵隊さんが一斉に黙りました。悩んでいるというべきかもしれません。
「今、噂されている王様の隠し子?」
その発言に周囲がまた、慌ただしくなりました。ザインさんがいますが、目線が合った途端、横を向かれました。拗ねますよ、もー!
「隠し子じゃない。大事な家族だ」
「側室ですか?」
側室って、王様や貴族がお嫁さん以外にもお嫁さんを貰うことでしたか?
私はゼフィアのお嫁さんではありませんよ!
「そこのお前とそっちの、前に出てこい」
ゼフィアが兵隊さん達に指をさしていいました。この二人が発言の大本ですか……。あれ?ゼフィアから妙な殺気が出てますね。
「こいつは嫁とか側室とかそういうものとは関係ない。それ以上の存在だよ」
「それは王妃様よりも格が上ということでは……」
「今、発言したやつも前にこい」
さらに一人が追加されました。
「並んだな……」
ゼフィアが目を細めた瞬間、一番左の兵隊さんに左の拳を打ち込み、真ん中の兵隊さんには、踏み込んで右の拳を。残った右端の兵隊さんには飛び上がって身体を回転させながら、叩き落とすような蹴りを入れました。
「こいつを使って、いやらしい想像してんじゃねぇ!自国の兵でも叩き切るぞ!」
ゼフィアが言い終わると同時に地面に倒れている三人が運ばれていきました。しばらくは起き上がれないでしょうね。
「よく見たら、ギルドで受付をしている、ルリちゃんじゃないか?」
ふと、聞いたことのある声がしました。ギルドに素材を売りにきたことがある人です。
「『ミューズの安らぎ』に酒を飲みに行くと、見かける可愛い娘だ。この娘を見るのが楽しみで何度も足を運んでるんだよ。会える方が少ないけど」
「それ、宿とギルドに現れる、謎の受付だよな?」
「あの噂の!?」
あちこちから声が上がります。私は思った以上に覚えられているそうです。本当に、ただの噂だと思っていました……。
「ルリ、お前って有名だったんだな……」
「私は受付のお仕事をしているだけですよ」
「今度、お姉さまが受付をしている時に行ってみます」
あちこちから上がる声の中に「あんな可愛い娘が王様の独り占めかよ!」や「俺の楽しみを返せ!」など、王様にする発言ではないものが増えました。思った以上に自由ですね。
「なんか悪かったな……。って、俺が謝る必要なんてねーだろうが!お前ら、そんなに斬られたいのか?死にたい奴から前に出ろ!」
ゼフィアは完全に怒ってしまいました。私が説明するしかないようですね……。ですから、ゆっくりと剣を抜かないでください。
「私が幼い頃に暮らしていたところへ、ゼフィアが旅で辿り着いたのです。その後、一緒に暮らしていた日々があるので、家族という意味です。私からすると兄みたいなものです」
「確かにそうなんだが……兄って言われると複雑だな」
少し冷静になったようです。兄といったのは、皆さんが納得しやすいようにですけど。ファリスが娘なのにおかしい?細かいことは気にしてはいけません。
「お父様……」
あれ?今度はファリスの方から、穏やかではない感じがします。
「お姉さまに兄と思われると複雑……?やっぱり……やっぱり、お姉さまの身体が目当てだったのですか!この可愛らしくて美人で、温かく柔らかい、お姉さまの身体を!」
「なんか色々増えてるが、そんなわけあるか――――――!」
ゼフィアの絶叫が響きました。誤解を解くのは大変そうです。
「今後は凶悪な魔物に遭遇する確率が大幅に増える」
誤解も解けたので安心です。ゼフィアは「無駄に疲れた」と呟いていますね。私も少し疲れました……。
「凶悪な魔物に遭遇するのはわかりました。ですが、この場にルリアルカさんがいるのは何故でしょう?」
「ザイン、お前ならわかるんじゃないか?」
「まぁ」
ザインさんが私を見ています。さっきは目を合わせたら横を向いたのに……。今度はこちらが横を向いてあげます。
「なに拗ねてるんだ?」
私が横を向いたことに気が付いたみたいです。真横に居ますから、わかりますよね。
「気にしないでください。ゼフィアは続けて説明するのがよいのです」
「……わかったよ」
ゼフィアは正面に向き直りはっきりと告げました。
「お前たちじゃ、その凶悪な魔物に勝てない。解りやすく言ったら、確実に殺される」
先程の言い合いが嘘のように、訓練場が静けさに包まれます。内容が内容です、優しさは逆に危険です。
「腕が悪いわけじゃない。そのことは、王の俺が良く知ってる。魔法も優れているとは思う。だがな、それは人に対してだけだ。魔物相手じゃない。人間相手だと相手は当然考える。だが、魔物は基本的に本能だ。その差でやられるんだよ。何だお前ら?信じてないか?別に信じないなら、それでかまわん。その時は残念だが、魔物と遭遇したときにそいつとはお別れだ」
訓練場の空気が重くなってきましたね。ゼフィアの言った通り、魔物は基本的に本能で動きます。
説明しますと。
喉が渇いたから水を飲む。お腹が空いたから食べ物を食べる。眠くなったから寝る。
などです。だらしない人と同じ?確かに似ていますが、重さが違います。
なんですか?私がそうじゃないか?酷いこと言わないでください!私はそこまで酷くありませんよ!
こほん、脱線してしまいました。重さが違うというのは、先ほどの三つがこうなります。
喉が渇いたから、手段を択ばずに喉を潤す。
お腹が空いたから、奪ったり、殺したりしても空腹を満たす。
眠くなったけど、周りに邪魔なものが存在するから、滅ぼしてから眠る。
というように、物騒なものになってしまいます。考える魔物もいますよ?そちらも本能はそのままですが、欺き、騙したりするような行動もとったりしますので、たちが悪いです。
つまり、魔物とは強い弱いは関係なく、本能的に動きます。人と違って、ためらいがないのです。
それが綺麗な動作や丁寧な魔法で倒せると思いますか?はっきり、言って無理です。ここが人と魔物の違いであり、致命的な隙を生む瞬間なのです。
「薄情とか言うなよ?それはそいつが判断した結果だからな。仮に理解してないやつが一人だけだったとしても、やられた時にはそこが隙になる。そこから総崩れなんて起こしてみろ、下手したら全滅だ。個人が強いからって何とかなる問題じゃない。お前たちは人の命を守る側だ。それぐらいはわかるよな?」
納得するしかないという雰囲気ですね。さすがに複雑そうですけど。
「死ねとは言わん。自信がなけりゃ先に報告しろ。その時は王都自体の守りの兵士になってもらう。降格とかじゃないぞ?誰だって死ぬのは嫌だろ?」
「報告をした人が抜けた場合はどうするのですか?」
言葉を出したのは、ザインさんでした。ザインさんしか、発言する余裕はないかもですね。
「別の誰かが入る。名乗り出るやつかもしれないし、目に留まったやつかもしれん。勘違いするなよ?自分が抜けたからといって、後から入るやつが弱いとは限らないからな。そこで、ルリの登場だ」
全員が私を見ます。この雰囲気で見られるのはさすがに辛いですよ……。
「私は何をすればよいのですか?」
「こいつらと戦え」
「また極端ですね……」
さすがに呆れますよ?
「なんだ?こんな少女に負けるはずないって顔してるな」
「ルリちゃんは受付ですから」
一部から声が上がりました。受付ですよ?
「まぁ、一応な。でもなぁ……」
ゼフィアが私の腕を引っ張って、前に立たせました。
「こいつ、俺より遥かに強いぞ?」
静かになること、数秒。驚きの声が響き渡るまでの時間は少なかったです。
「ということで、ルリに頼みだ」
「このタイミングでお願いとか鬼ですか……」
静かに暮らしていたい、私の日常、完全に壊れましたよね!?
「こいつらをぎりぎりまで追い込んでくれ。絶対に殺すなよ?」
「そうですか……。兵隊さんたちを追い込めですか。ふふ……ふふふ……」
せいぜい、憂さ晴らしをさせてもらいましょう。しばらく、恐怖で動けないほどに。
「ああ、ルリの秘密を暴露したやつは極刑な。見かけたやつは密告してくれたら、確認が取れ次第、褒賞をやるよ」
「私の日常は守られるのですか?」
「ああ。だから、その笑い方をやめろ。俺が怖い……」
「でも、私が追い込むのはいいですが、兵隊さんたちにご褒美みたいなのはないのですか?」
「褒美?そうだなぁ……確かに徹底的に追い込むしな。何かこいつらのやる気を出すようなものがいるよなぁ……。そうだな、ファリスを抱かせてやろう」
「ちょっ!?お父様!?」
爆弾投下というのが優しすぎる言葉が出た気がします。父としてそれはどうなのですか……。
「ん?ああ、言い間違えた。抱きしめさせてやる。抱いたりしみろ、後悔しか残らん人生送らせてやるよ」
ゼフィアは親馬鹿で間違いありません。ファリスにお婿さんは来るのでしょうか?少し心配になりました。
「ファリス様を?」
「なんかなぁ?」
兵隊さんたちの反応がいまいちです。何故でしょう?
「なんだ不満か?」
「私のことは無視ですか!?」
「いえ、ファリス様は騎士団での行動を見ていますと、ご褒美というより、後に罰ゲームになりそうで……」
「私を抱きしめる事が罰……ゲーム……?」
ファリスが膝を抱えて丸くなりました。「罰ゲーム、罰ゲーム……」と呟いているのが聞こえます。かなり落ち込んでますね。
「ファリスがダメか。だったら、ルリしかないよなぁ……」
「私に追加で厄介ごとをふるのですね……」
ですが、このままでは王都周辺、下手をすると王都内にも被害がでるかもしれません。面倒ごとは嫌いですけど、状況が状況です。
「では、私を倒した人は今宵限り、私を自由にしてくれていいです」
訓練場が今までで一番、静かになりました。真剣に聞いてくれているのはよいのですけど、ほぼ全員、邪な考えなのでしょうね。
「今宵ってお前、意味……」
「わかってますよ。この国の緊急事態ですし、レティアにも影響があります。セシリーやシエラさんにも。それを防げるのなら、私の身体ぐらい……」
私が俯いて言うと。
「ま、まて!早まったことをいうな!だから、落ち着け!」
「いいのですよ。私の身体で済むなら安いものです。それに、たかが一晩です。この国の未来のために捧げましょう……」
演技ですよ?私にも演技ぐらいできるのです。受付のお仕事をしていて密かに身に着いたものなのです!
負ける気なんてありません。このように邪な感情がないと上達しないのなら、徹底的に追い込んであげます!
そう思っていると。
「お姉さまは私が守ります」
ファリスが真剣な目をして私を見ていました。
「お姉さまを守り切って、一晩、私の抱き枕になってもらいます!」
「えぇ……」
この発言は私も予想していませんでしたよ。
「抱き枕か……。しかも、ルリが?……俺も参加しよう」
「ゼフィア!?」
「抱き枕だ。抱きはしねーよ。俺は死にたくないからな」
「あなたまで参加したら意味がないでしょう……」
「兵達を生きるために強くするのは確かに大切だ。だがな、お前を一晩、抱き枕にできるとなったら話は別だ!」
言い切りましたよ……。さすがに、怒りが抑えられませんね。いいでしょう……。本気で相手をしますよ?ふふ……ふふふ……あはは……。
兵隊さん達はやる気十分。不純なので手加減の必要はありません。
ファリスは私を守るために。抱き枕はあれですけど……。ついでにファリスの腕も見ましょう。
ゼフィアは……今日の全ての騒動の元凶です。慈悲はありません。
ふふ……ふふふ……。ダメですね笑みが止まりません。
「私から皆さんに言いたい事があります」
全員がこちらを見ています。言いやすいですね。
「命のやり取りとは、一瞬で決まる。躊躇った者から散り、躊躇わなかった者は先に進める。これは私の大好きなお爺様の言葉です」
意味が解った方達は顔色が青いですね。
「だから、全力で兵隊さん達を追い込ませてもらいますね。ゼフィアは追い込むよりも、さらに酷い状況になりますが。ふふ……ふふふ……あははは!」
「やばい……。ルリが切れた……」
「お姉さまが本気で怒ると、どうなるのでしょう?」
「死なない程度にボロボロにされる……」
二人の会話を聞き流しながら、満面の笑みを浮かべ、そして告げます。
「それでは、始めますね」
この方に人柱になってもらいましょう。一番、だらしない顔をしていますし。
私が立っているのはゼフィアの前、兵隊さんの場所までは結構な距離はあります。ですが、こんなのは距離でもなんでもありません。
「え?」
兵隊さんの驚いた声が上がりました。そうでしょう。私が目の前にいますからね。遅れて周囲も驚いています。
「戦いとは始まった時から最善の手を打たなければ、追い付けません」
兵隊さんの両足を勢いをつけて払います。綺麗に宙に浮くように。そのまま背中を向けるように回りながら姿勢を低くし、身体を一気に伸ばして蹴り上げます。それ死んでない?ですか?蹴る場所には空間魔法を配置するので、ダメージは無しです。衝撃は別ですが。ある程度浮いている位置で、私も地を蹴り追撃に追いかかけます。兵隊さんの意識はもう無いようです。でも、容赦はしません。人柱ですからね!
「はぁぁ!」
声を出して城壁目掛けて蹴り飛ばします。吹き飛んでいる姿を見ながら。
「おまけです!」
少々大きめに作った火属性の魔法を全力で投げます。着弾した途端、激しい爆発が起きました。空間魔法で覆っているので大丈夫ですよ?あとは激突する壁は軟化させて。
直後、「ベタン!」という音が響きました。あとはそのまま拘束です。綺麗に壁に貼り付けになりましたね。
「ふふ……ふふふ……さぁ、次は誰にしましょうか?」
私の言葉を聞いた途端、全員が走って逃げました。逃がしませんよ?
ルリだって当然、怒ります。
今回はストレス発散の方が大きいですが……。
戦い方って表現難しいですよね(うまく書けてる自信はありません)。
次回の更新は書き終わり次第となります。




