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暇です

 暇な日が続いています。

 することがないのです。

 どうしましょう……?

「ルリお姉ちゃん、だらしないです……」


 ソファーで丸くなっていると、レティアから呆れた声が聞こえました。


「暇なのです」


 三人に魔力増加の訓練方法を教えてから、約一カ月が経ちました。三人とも順調といえば順調です。シエラさんは少し悩んでいた時もありましたが、目標ができたようなので、毎日頑張っています。それに最近では魔力枯渇で倒れることもないので、各々で練習しているようです。私の出番はありません。


「暇だからといって、お昼からソファーで丸くならなくても……」

「暇には勝てないのです」


 本当に暇です。宿の受付もギルドの受付も、ゼフィアに休めといわれましたのでお休みです。休みすぎ?受付をしようと思って行ったら、怒られたのですよ……。


「ルリお姉ちゃんの気持ちはわかります。でも、そのままでは太りますよ?」

「太る?」

「そうです。食べて、寝てだけだと太るのです」

「そうですか」


 とくに興味がなかったので、適当に返事をします。


「そんな適当に……。まさかもう!?」


 レティアが近づいてきて私の横腹を掴みます。くすぐったいです。


「普通です。いいなぁ……」


 レティアの言葉は最後が小声でした。聞こえていますけど。いいことなのでしょうか?


「ん―――」


 丸まっている状態からソファーに腰かけます。日差しが気持ちいいので丸くなる方がいいのですが、レティアが困りそうなので止めです。


「何をしましょうか」


 起き上がったところで、することがないというのは変わりません。


「お買い物はないのです?」

「この前、皆で買い物に行った時に終わっています」

「遊びにいかないのですか?」

「皆で行かないとつまらないです」

「普通に外にお出かけは?」

「皆といない時は人込みは嫌いです」

「………」


 レティアが黙ってしまいました。


「はぁ……。ルリお姉ちゃんが一人で外に出ても楽しいと思うのですけど。色々と人も集まるでしょうし」

「知らない人に集まられても面倒です……」

「ルリお姉ちゃんの残念美人!」

「………」


 今度は私が黙ります。レティアにまで言われました……。


「拗ねないでください」

「拗ねてません」

「拗ねてます。なんですか、この可愛い姉は……」


 レティアの方が可愛いのです。そう思っていると、ドアが開きました。


「ルリ、レティア居る?」

「セシリーお姉ちゃん、順番が逆だと思います」

「あ、ごめん……」


 いつものように、セシリーが部屋に入ってきました。お昼も過ぎていますから、ドアの鍵は最初から開いています。


「ルリはどうしたの?」

「ルリお姉ちゃんが拗ねてしまいまして」

「拗ねてません」

「これは拗ねてるわね……。何があったの?」


 セシリーにまで拗ねていると言われました。ご希望通り、拗ねてあげます!


「ルリお姉ちゃんが最近ずっとだらしなくて」

「ルリがだらしないね。あ、こら!ソファーで丸くならない!」

「だらしない姿をしているだけです」

「あ、ダメだわ……。完全に拗ねた」

「拗ねましたね」


 二人に背を向けて丸くなります。いいのです!私はだらしがないのですから!


「こんにちはーって、二人ともソファーの前に立ってどうしたの?」


 シエラさんもやってきたようです。部屋に入って早々に驚きの声が聞こえました。


「ルリが拗ねたのよ」

「です」

「ルリさん、拗ねてるんだ」

「拗ねているのです」

「認めたわね……」


 セシリーから諦めの声がしました。


「拗ねている、ルリさんを起こすね。これで起きるか……な!」

「シエラ!?」


 シエラさんが踏み込んできたのはわかっています。拗ねているので避けませんよ?防げばいいのです。


「やっぱり、ダメだった。拗ねてるのに綺麗に防がれるよ……」


 シエラさんの拳が当たる直前に魔力で背中を覆いましたからね。そう簡単には当たりません。


「それじゃ、これはどうかしら」


 セシリー、嬉しそうに魔力を集めないで……風属性の魔法で丸くなっている私を打ち上げようとしてるのは酷いですよね?


「あ、空間魔法に入れられたわ。いいじゃない、少し打ち上げられるぐらい」

「セシリーお姉ちゃん、容赦ないです」

「もう少しで、巻き添えになるところだったよ……」


 レティアのいう通りです。今のは危ないですよ?


「ルリさんはどうして拗ねてるの?」

「暇なのです」


 背中を向けたまま言いました。


「暇だからって拗ねることはないと思うかな……」


 シエラさんまで呆れた声を出しました。


「買い物も終わってます。遊びに行く予定もありません。魔力の訓練も順調です。私はゼフィアに休むように言われているので受付のお仕事もありません。逆にお手伝いしようと思うと怒られます。だから暇なのですよ!もー!」

「確かにやることないわね」

「ギルドの方にも王様から言われてるし」

「ルリお姉ちゃんが外に出かければ問題はないのですけど……」

「むー」


 これだけ色々言われたりしているのです。少し反撃しましょう!ふふふ……。

 ころりと転がり、三人を見ます。


「あ、機嫌なお……」

「最近、皆さんは魔力枯渇を経験してませんよね」

「そ、そうね……」


 セシリーがマズイという顔をしながら、一歩後ろに下がりました。


「レティアも頑張っていますしね」

「う、うん……」


 レティアも続いて一歩下がります。


「シエラさん、最近は悩み事はないですか?」

「な、ないかな……」


 シエラさんも続きます。


「久々に私の血でもいかがです?初心に戻るのもいいことですよ?」

「逃げるわよ!」

「は、はい!」

「わかった!」


 三人は揃って部屋を飛び出しました。本気で逃げなくてもいいじゃないですか。


「反撃したつもりが、少し傷つきました」


 私はまた背を向けて、丸くなるのでした。

 三人が食堂から『氷菓青ルリ』を持ってくるまで。

 別におやつ目当てで丸くなったのではありませんよ?本当ですよ?



「ルリさんは何か魔法の訓練はしないの?」

「してますよ?」

「え!?」

「セシリー、そんなに驚かなくても……」

「私もびっくりしました」

「レティアもですか……」


 もう一度、拗ねるとおやつが追加されるのでしょうか?なんですか?子供みたい?私だって拗ねたい時があるのです。


「ルリさんはどんな訓練してるの?」

「三人と一緒ですよ。魔力放出で魔力量の増加の訓練です」

「いつやってるのよ?」

「今もですよ?」

「全然、わかりません……」


 レティアが首を傾げています。


「私はごく僅かの魔力を使い続けているのですよ」

「それって訓練になるの?」


 セシリーが疑ってます。嘘ではありませんよ?


「なります」

「私とシエラで15分ぐらいは可能になったけど。レティアはどれぐらい?」

「私は集中していれば20分ぐらいです」

「レティアの方が凄いね。ルリさんはどのぐらいなの?」

「眠っている時以外ずっとです」

「「「え?」」」


 三人の声がはもりました。


「起きている間はずっと訓練してます。こうやって、三人で会話しているときも」

「ルリの魔力が膨大なのはわかるけど、それって可能なの?」

「可能です。魔力は多いと色々と便利ですけど、多くなりすぎても大変なことになりますからね。魔力を扱う方法も覚えないとダメなのです」

「ルリさんで魔力のコントロール訓練?必要ない気がするけど?」

「私もそう思います」

「確かに必要はありませんが、癖みたいなものですから。放出量を増やして魔力量の増加を。ごく少量を使い続けて、魔力の扱い方を。その他にも色々ありますけど」


 魔力が増加しても扱えなければ意味はありません。

 例えるなら、ぎりぎりまでお水の入ったコップですね。この状態からお水を足すと『溢れる直前』と『溢れて流れ出した状態』の二つになります。

 お水が溢れないようにするにはどのようにすればよいか?

 答えの一つに器を変えるという方法があります。解りやすい答えではありますが、同時に問題もあります。理由は溢れて流れ出したままでは器を変えても、意味がないということです。最後は溢れてしまいますからね。

 つまり、お水こと魔力を制御できるようにならないとダメなのです。そうでなければ、暴発や暴走を引き起こしてしまいます。危ないのですよ?


「ルリでも訓練するのね。意外といえばあれだけど、あれだけ扱えるのなら訓練なんて必要ないと思ってたわ」

「訓練をサボるからといって魔力量が減るということはありませんからね。でも、私の日常ですから」

「こういうのも含めて、ルリさんの強さなんだね」

「ルリお姉ちゃん、凄いです」

「でも、暇なことには……あ」


 空が光ったのが見えました。直後、雷が落ちました。大きな音です。


「「「きゃ―――!」」」


 室内に三人の悲鳴が響きます。雷ってそんなにも怖いものですか?


「雷だけはこの年齢でも慣れないわ……」

「不意打ちだからね」

「私はお城に居た時に、目の前で兵士の方に……」

「「まって、レティア!」」


 セシリーとシエラさんが慌てて、レティアの口を押さえました。確かに、楽しい内容ではないですね。


「雷ですか」


 雨が降ってきたので、椅子から立ち上がり、ソファーの近くにある窓を閉めます。


「そうです、雷です」


 空を眺めます。雷がピカピカと光っていますね。構造はわかりませんけど……。雨と関係あるのでしょうか?えっと、山を登ったりして空に近づくと気温が下がりますよね。空の上の方になれば更に下がると考えると、雨ではなく氷ですか。氷と雷に関係があるとは思えませんけど。でも、暇つぶしにはなりそうです。


「シエラ、嫌な予感がするんだけど?」

「私も同じ」

「私もです。ルリお姉ちゃん、物騒なこと考えてませんよね?」

「酷い言われようです。久々に魔法の研究でもしようかなと思いまして。これなら暇も解消されますから」

「「「研究?」」」


 三人揃って首を傾げないでください。私だって色々とするのですよ?


「雷を再現できれば、魔法の種類も増えるかなと思いまして」

「聞かなかったことにするわ……」

「私は興味あるかな」

「私もです」


 セシリーは頭を抱え、シエラさんとレティアは楽しそうにしています。


「簡単にはできません。少しずつ手探りですからね。でも、見ていたのでこれぐらいは」


 魔力を集め、光だけ再現します。一瞬ですが室内がピカ!と明るくなりましたね。


「きゃぁ!ルーリー!」

「ルリさん、心臓に悪いよ……」

「きゅぅ……」


 レティアは驚き過ぎて、ぐったりしてしまいました。


「音も付ければ、レティアは起きそうですね」

「そんなことは許しません!」

「ダメだよ!」

「はい……」


 怒られてしまいました。でも、研究はしますよ?



 翌日


「うまくいかないです」


 私は早速、研究を始めました。空の上には雨ではなく、氷があると想定して目の前には大量の氷が浮いています。水属性の魔法の温度を下げて作った氷ですよ?


「原理がわかればいいのですけど……」


 氷を上から下にまとめて移動させます。足元に空間魔法を配置しているので、床にはぶつかりません。


「ルリお姉ちゃん、おはようです。朝から何をしているのですか?」


 氷を上から下に降らし続ける私をみて、レティアが不思議そうにしています。


「雷の研究です。空の上だと雨ではなくて氷になっていると思ったので降らせてみているのですけど。何も起きません」

「本当に再現するのですか……」


 「あんな危険な物は魔法にならなくてもよいのです」と、レティアが呟いていました。


「魔法の種類が増えることは悪い事ではありませんよ?自然に発生する雷もかなりの威力がありますし」

「それはそうですけど。ルリお姉ちゃん、まさか攻撃魔法にするつもりなのですか!?」

「はい。完成すればですけど」

「普通の魔法でもかなりの威力があるのに、更にですか……」

「これも必要な事なのです。知らない魔法ということは、防げないということです。言い換えると、切り札になります」

「切り札ですか。そういわれると、大事な気もします」

「完成したら、覚えてもらいますからね」

「……覚えられるでしょうか?」


 その後、セシリーとシエラさんも部屋に集まりましたが、私は一人で黙々と研究です。


「ルリが黙って真剣な顔して考えてるわね」

「かっこいいよね」

「です」


 三人の意見を聞き流します。研究が大事なのです。


「なんていうのかしら?小さい子が真剣に勉強してるみたいな感じ?」

「ふ……あはは……」

「っ!」


 シエラさんが笑い出しました。前にもありましたね。レティアはぎりぎり堪えているようですが。


「セシリー、ルリさん真剣なんだ……あはははは!」

「く……ふ……ふふ……あはは」


 レティアまで笑い出したじゃないですか……。これでは研究ができませんよ!


「だって、小さい子が真剣に頑張ってるように見えるからつい……あれ?ルリは?」


 私を見失った、セシリーが焦っています。シエラさんはセシリーの背後に私が一瞬で移動していたのに驚き、レティアは何が起こったのかわからないという状態です。


「セシリー」

「きゃ!?ル、ルリ!?いつの間に後ろに」


 後ろからセシリーに抱き着きます。


「ちょ、ちょっと!?ルリ、恥ずかしいから離れて……」

「セシリーは優しいのと激しいの、どちらが好きですか?」

「え……?ちょっと、シエラ、レティアどうして離れるのよ?」

「巻き添えになりたくないから」

「ごめんなさい、セシリーお姉ちゃん」


 シエラさんとレティアは少しずつ離れていきました。


「ね、ねぇ!ルリ、冗談よね!?」

「本気ですよ?」

「ごめん!ごめんなさい!だから、離して!離してよー!」

「許しません」


 セシリーから大量の魔力を抜き取ります。放出ではありませんよ?


「な、なに今の……?」

「セシリーの魔力に干渉して奪ったのですよ。続きは今からですけど」

「ま、まって!」

「待ちません」


 追加で魔力枯渇まで抜き取ります。セシリーは私が支えているので椅子からは落ちませんよ?


「ル、ルリ……これ、また血よね……?」


 魔力枯渇に慣れてきているので、以前よりも話しやすそうです。


「血の方がいいのですか?」


 少し意地悪をします。


「ち、違うわよ!?」


 セシリーが顔を赤くして横を向きました。


「大丈夫ですよ。今回は私の血ではありませんから」


 抜き出した魔力に私の魔力を混ぜます。


「抜き出した魔力を一気に戻すだけです。私の魔力を追加してますけど」

「それ、元より多いわよね!?」


 セシリーの声を無視して一気に戻しました。


「あれ?何ともない」


 セシリーが驚いていますが、ここからが本番ですよ?


「え?あれ?身体がピリピリする……。ちょ、ちょっと、ルリ!何よこれ!?」

「自身の現在の魔力量は決まっていますが、それを超えて回復すると身体がピリピリしたりするのです」

「そんなの初めてき……ふっ……あは……あはは……」


 セシリーが笑い出しました。思った通りの結果です。


「だ、だめ……くすぐった……あはは!……けほっけほっ……あはははは!」


 魔力の超過回復は地味に苦しいのです。


「ルリさん怖いね……」

「普段は優しいお姉ちゃんなのです……」


 この日は研究になりませんでした。



 四日後


「もう少しで何とかなりそうですね」


 氷を宙に浮かべるのではなく、少し大きなコップをテーブルに置き、その中に氷を一定距離で浮かせながら弾いている状況です。「カンカンカン」とリズムよく氷が跳ね返っています。コップは割れませんよ?その辺りのコントロールはばっちりです。


「今日も研究ですか?」

「はい。もう少しで何かがわかりそうなのです」

「ルリお姉ちゃんは真面目な姿がいいです」

「ソファーで丸くなるのもいいものですよ?」

「猫みたいで可愛いですけど、それはだらしないのです……」

「そうですか」


 そう言われても、私はお昼寝の時はソファーで丸くなります。普通に横になっても十分な大きさですが、丸くなる方が気分的にいいのです。


「?」


 一瞬、コップの中が光った気がします。気のせいでしょうか?一定間隔で弾いていますから、氷も削れますし。不自然な弾き方の方がいいのでしょうか?それとも速度?


「んー」


 氷の弾き方を不自然に変えてみます。不規則に跳ね返ると違って見えますね。


「これを早くすると……」


 不規則に跳ね返る氷の速度が上がります。音も激しく響きますね。


「それ、大丈夫ですか……?」


 レティアが心配そうに見ています。


「大丈夫だとは思いますけど」


 直後、コップが光りました。


「これは正解なのかもしれませんね」


 これを続けていれば、雷がわかるかもしれません。もう少し続けてみましょう。


「ピカピカと光っている気がします」

「雷の時と似たような気がします」


 コップを手に持って見てみます。氷は小さくなりながらも跳ね返り続けています。これぐらい小さい物で続けるといいのでしょうか?


「雷とは不思議な……」


 嫌な予感がします。直後、「バチン!」という音と共にコップが割れました。


「今のが雷の小さなものでしょうか?」

「ルリお姉ちゃん、怪我してます!」

「怪我?」


 ふと、コップを持っていた手を見ます。割れたコップの破片が刺さっていました。少し痺れていたので気が付かなかったです。


「刺さってますね」

「何をのんきに!早く処置しないと」

「大丈夫ですよ」


 テーブルにぽたぽたと血が落ちていますが、大怪我ではありません。コップの破片を抜いていきましょう。


「量が少し多いですね」


 摘まんでは抜き、摘まんでは抜きと破片を抜いていきます。破片が刺さったまま、傷をふさいでも意味がないですからね。テーブルに落ちる血の量が少し増えましたけど。


「い、痛くないの?」

「少しは痛いですよ?」

「ごめんなさい、ルリお姉ちゃん。……気分が悪くなってきました」


 レティアの顔色が少し青いですね。


「横になっていいですよ。私は治療を続けます」

「……はい。手伝えなくて、ごめんなさい」

「気にしなくていいのです」


 私はそのまま、治療を続けるのでした。



「雷の元というのでしょうか?」


 先ほどコップ内で発生したのを観察していたので、過程を飛ばして光っていた物を作り出しました。過程がわかっているのでイメージしやすいですからね。


「どの属性とも違いますね」


 目の前にバチバチと光る球を浮かべながら観察します。少し痺れるような感覚がありますね。雷は痺れたりするのでしょうか?雷による怪我というのは基本的に大怪我です。全身に激しい火傷、普通に死んでしまうこともありますね。


「雷が落ちるところも見ていますから、イメージはしやすいですけど。これが地面に落ちてもそこまでとは思えませんね」


 球のままでは当然といえば当然です。ですので、落ちるように工夫してみましょう。他の魔法も上から落とすということができますからね。雷の元らしいものも落とせるはずです。


「上空から伸びるように落下でしょうか?」


 雨の日の空から落ちるような雷をイメージします。


「これぐらいですかね」


 落とす範囲に空間魔法を展開しましょう。コップは割れてしまいましたし、覆うようにした方がよさそうです。


「では、試してみましょう」


 私は魔法を発動させます。直後、空間内が激しくきしみ、轟音が響きました。


「な、なに!?なんの音ですか!?爆発!?」


 ソファーで横になっていた、レティアが飛び起きました。


「できました」


 それなりに再現できたと思います。威力はそのうち試すとして、これは練習が必要ですね。


「今の音はなに!?」


 セシリーが部屋に飛び込んできました。大慌てですね。


「セシリー、完成しましたよ」

「完成?え、もしかして……」

「はい。雷らしいものです」

「ルリの仕業!?まったく、もう!今の音で宿屋内が大変なことになってるわよ……」


 耳を澄ますと、悲鳴や叫ぶ声がしますね。そこまでは考えていませんでした。


「……どしましょう?」

「治まるのを待つしかないわ」


 セシリーが目を瞑りながらいいました。


「ルリの研究はいいことだと思うけど、これはこれで問題になりそうね……。受付の仕事、再開した方がいいのかしら?」

「いいのですか?」

「その方が被害もすくないし。ルリが受付にいると、違う意味で被害がでるけど」

「受付のお仕事をすれば暇ではなくなります」

「仕方がないわね」


 セシリーの許可が下りました。これで暇な時間が減り……ゼフィアはどうしましょう?


「ルリの心配はないと思うわよ。…………大被害でるより安全だしね」


 最後が聞き取れないほど小さな声でした。何か失礼なことを言われた気がしますがわかりません。


「受付のお仕事が楽しみです」

「ほどほどにね」

「はい」


 宿の受付ができるのなら、ギルドの受付もできるかもしれません。さらに暇な時間が減ります。嬉しい事です。


「ルリお姉ちゃん、本当に嬉しそうです」

「あれでも、初めて提案したときは嫌がっていたのよ」


 レティアとセシリーが話し込んでいます。


「これなら、研究するものが増えてもはかどりそうです」

「早まったかしら……」

「だ、大丈夫ですよ、セシリーお姉ちゃん。……たぶん」


 不安そうな二人の声を聞き流します。

 明日から受付に立ってみましょう。

 久しぶりなので楽しみです。



 あ、雷らしきもの。雷属性?の練習は続けますよ?

 魔島では新しい魔法の作成などが普通に行われていたので、ルリも作ったり考えたりするのが好きです。

 

 最近、セシリーがよく被害にあっている気もしますが、ルリの反撃ということで……(あとが怖いですけど)。



 次回の更新は書き終わり次第となります。

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