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説明と訓練の始まり

 守るためになら力は惜しみません。

 それで守れるのなら。

 失わないためにも。

「説明しますね」


 場所は『ミューズの安らぎ』の一室。私とレティアのお家です。

 私の前にセシリー、その横にシエラさん、レティアは私の横に座っています。

 テーブルの上にはお水だけです。果実水が欲しいですね。


「レティア」

「は、はい」


 私が思っていることを伝えましょう。レティアが傷ついたとしても、レティアのためになりますから。


「あなたはまだ狙われる可能性があります。そして……」


 セシリーとシエラさんに視線を移します。二人とも少しビクッと動きましたね。


「セシリーとシエラさんはレティアと関わったことによって狙われるでしょう。当然、私もです」

「なんで!?」


 レティアが叫びました。そうなりますよね。


「私と関わったから……?セシリーお姉ちゃんとシエラお姉ちゃんが狙われる?ルリお姉ちゃんも……?」


 レティアの目から涙が流れます。


「そんなの嫌です!お姉ちゃん達が狙われる原因が私!?なんで!私が生きているから……?私はやっぱり生きていては……。私が居なくなれば、お姉ちゃん達には……」

「ダメですよ」


 レティアの言葉を遮ります。


「ルリお姉ちゃん……?」


 虚ろな目をしたレティアが私を見ています。『嘘』を伝えて、それが『嘘』とわかった時、レティアはもっと悲しむでしょう。だから、私は包み隠さずに言うのです。


「自分を大切にしてください。あなたは生きていいのです」

「私の存在は……お姉ちゃん達を……うぅ……危険な目にあわせるのですよ?ルリお姉ちゃんは大怪我もしてます……」

「そうですね。確かに私は傷を負いました。ですが、それは些細なことです。私はレティアを助けたいと思って動いたのです。ちょっと失敗しましたけど」

「それでも……」

「私とルリは許せないのよ」


 セシリーの声が部屋に響きました。


「私はレティアのような小さい子の命を狙うというのが許せない。元王族とかは関係ないわ。でも、私はそれに対抗する力がない……。だから、ルリに教えてもらうのよ。レティアも自分も守れるように」

「そっか……そうだよね。狙われても不思議じゃない。うん、私もルリさんから魔法を教えてもらう。私も許せない。レティアみたいに可愛い子の命を狙うなんて何考えてるんだろうね」

「セシリーお姉ちゃん、シエラお姉ちゃん……」


 私はレティアが座っている席の後ろに移動し、後ろから抱きしめました。


「レティアが傷つくのはわかっていました。ですが、私は守りたいのです。悲しませてごめんなさい」

「私は……」

「お姉ちゃん達に任せなさい」

「ええ」

「うん」


 セシリーとシエラさんも続きました。


「ありがと……ありがとう!」


 レティアに笑みが戻りました。私はレティアが本当に安心して暮らせるように頑張るだけです。傷つき、血にまみれようとも。可愛い妹のためです。でも、穏便に済むのが一番です。無益な争いは私も嫌いですからね。



「皆さんは魔法についてどのように考えています?」

「どのようにってどういうこと?」

「例えば、属性とかです」

「属性って魔法は光、闇、無、火、水、土、風の七属性しかないよ?」


 シエラさんが答えてくれました。普通はそういう認識で間違いはありません。ですが……。


「空間魔法はどうします?」

「空間魔法?」


 シエラさんが悩み始めました。


「ねぇ、ルリ」

「なんですか?」

「空間魔法って無属性よね?」


 セシリーが困惑しながら言いました。


「空間魔法は空間魔法ですよ」

「「?」」


 セシリーとシエラさんが首を傾げています。


「空間魔法は七属性とはまったく関係ない魔法……?」

「レティア、正解です」

「「「………」」」


 三人が黙ってしまいました。予想はしていましたけど。


「ルリ、ちょっとまって……。属性って七つじゃないの?学校ではそう習ったけど?」

「私もちょっと納得できないかな」


 セシリーとシエラさんは納得ができないようです。


「何かいい説明方法があればよいのですけど」


 そうです。説明ではなく、見てもらいましょう。その方が理解しやすいですからね。


「私の手を見てください」


 三人が私の手を見ます。


「まず光属性です」


 右手の掌に輝く球を作り出します。わかりやすくていいですよね。そのまま、闇、無、火、水、土、風と同じように球を作り出して浮かべます。


「同時に全部の属性って……」

「あはは……。これは凄いを通り越して呆れるね……」

「凄すぎです……」


 三人が呆れ果てたような顔をしています。失礼ですよ?


「では、これはなんでしょう」


 私は全ての属性を宙に浮かべたまま、お水の入ったコップを手にします。


「コップね」

「コップだね」

「コップです」

「確かにコップですが、これを見てどう思いますか?」


 コップを放り投げます。水はかかりませんよ?テーブルの中央に向かって投げましたから。え?投げるものじゃない?そんなことはわかっています。これは教えるために必要なのです。


「コップがわれ……ない?え?」

「どういうことなのかなこれは……」

「お水がこぼれるはずが……いえ、こぼれていますが、落ちてきません」


 コップの周囲を空間魔法で覆いましたからね。コップを中心に箱状の空間をイメージして作りました。


「これが空間魔法ですよ」

「無属性で覆ってるんじゃないの?」


 セシリーは「無属性にしか見えないわ」と言っています。シエラさんも同じような感想でした。レティアは考えているようです。


「セシリー、そのコップ取れますか?」

「嫌よ!ルリの強烈な魔法に手を突っ込むなんて」

「セシリー、酷いです……」


 さすがに少し傷つきます。泣きませんよ?


「でも、ルリさんの魔法に手を触れるとか勇気いるよね」

「私も少し怖いです」


 出力も最低限で安全なのですけどね。仕方がありません、強制です!


「セシリー、痛くないので大丈夫です」

「待って!心の準備がまだ!」

「ダメです」


 コップをそのまま、セシリーに向かって移動させ、止めました。


「ねぇ!ルリってば!本当に大丈夫なのよね!」


 セシリーがバタバタと手を動かして叫んでます。


「大丈夫ですよ?」

「今、言葉濁したわよね!?」


 いつも怒られているお返しです。え?後が怖いんじゃないか?失敗した感じが物凄くありますね……。


「大丈夫ですって……えい」


 セシリーの額に向かって移動させます。


「いたっ!」


 コップを覆っている空間魔法がセシリーの額に当たり小さな音がしました。


「痛いじゃない……」


 セシリーがジロリとこちらを睨んできました。怖くありませんよ?怖く……。


「でも、変な感じだったわね。箱に頭をぶつけたような感じだったわ」


 セシリーが悩みながら、コップを手に取ろうとします。ですが、コップを覆う空間に手が当たり、コップはそのまま、シエラさんの方へ移動していきました。


「ちょ、ちょっと!セシリー、危ないことしないでよ!」

「危険はありませんよ」


 疑われたままです。拗ねますよ?


「……箱よね。コップ自体には触れないわ。だから、水もその空間の箱というのかしら?そこにあるからこぼれない?」

「そうです」

「それが空間魔法?」


 シエラさんが両手で掴みましたね。あれだけ怖がっていましたのに。


「箱だね。叩くとちょっと堅いかも」


 シエラさんが空間を叩いてます。それぐらいでは割れないので大丈夫ですけど。割れたとしたら、シエラさんが水を被るのですよ?


「ルリお姉ちゃん、空間魔法をわかりやすくなるように、見える状態にしたのですか?」

「「!」」


 冷静なレティアに対して、セシリーとシエラさんは悩んでいた顔を慌てて起こしました。


「そうです。わかりやすいですよね」


 コップをテーブルの中央に移動させます。その周囲に私の頭上に待機させていた各属性の弾を移動させます。


「空間魔法は見えるようにするとこのようになるのですよ」


 光属性をぶつけると一瞬だけ空間の形が見え、闇属性をぶつければ空間の大きさがわかります。無属性は見た目は変化はありません。火属性は空間の周りを炎で覆い、水属性も同じで空間を覆います。土、風も当然同じです。


「確かに、こうやって直に見ると別物の気がするわね」

「うん。こんなの学校でも習ってない」

「私も初めてみました。魔法は基礎ぐらいしかしらないですけど……」

「それでは、挑戦してみてください」


 私が気軽に言うと。


「無理よ。私の得意な系統は風属性だけなのよ?」

「私は風と火。空間魔法が別物とわかった以上、適正はないよ?」

「私は光と水です。シエラお姉ちゃんが言うように、空間魔法が別属性となるなら、私も適正はありません」


 三人揃って、無理と言いますね。使えるのですけどね。見ましたから。


「セシリー、自分のコップを私がやったように空間で覆うようにイメージしてください」

「イメージってできない物をどうやって……。あれ?見たから、なんとなくわかるかも……」


 セシリーが集中しながら、魔力を集めていますね。小さな規模ですが大丈夫だと思います。


「できた?」


 セシリーが首を傾げながらいいました。


「できた……のよね?あれ?でも、大きさが全然小さいわ。それに形が不安定な気も。シエラ、そっちに投げるわよ」

「え?って、コップ!?」


 シエラさんが慌ててコップを掴むように手を出しましたが。


「え?なにこれ!?柔らかくて気持ち悪い!」


 空間に手が触れた感触が柔らかかったらしいです。やはり、魔力が足りていませんね。


「これ触るの無理!」


 シエラさんが感触に耐え切れず投げました。「パリン」と音をたてて、コップが空間ごと割れましたね。


「私の空間魔法って柔らかいのね……」


 セシリーが肩を落としてへこむ中。


「コップ割れてしまいました」


 レティアはコップが割れたことを残念がっていました。


「こほん。このように、一度はっきりと見て、認識してしまえば、使えるようにもなるのです。イメージしやすくなりますからね」

「なんとなくわかったわ」

「私はまだ挑戦してないけど、意味は分かったかな」

「私だと魔力が足りなさすぎる気がします」


 そうです。問題は魔力の量なのです。セシリーが作った空間魔法は魔力が足りないから柔らかく、形は不安定になり、簡単に割れました。空間魔法は正確には、その空間を切り取るというのが正しいのです。覆うように作って見せたのは空間自体を認識させるためです。お水が入ったコップを逆さまにしたのは、空間内に物が収められるという証明です。つまり、空間魔法による収納とは『自分が認識する空間を切り取って、そこに物を入れる』ということなのです。難しい?難しいですよ?空間魔法は先ほどのが基礎です。見えていますからね。空間魔法に物を収納するには、先ほど説明したように自分だけが認識する空間を作る必要があります。また、収納した物がどの場所にあるのか?これも認識し、記憶しておく必要があります。そうでなければ、空間魔法から気軽に出し入れはできませんから。超上級?魔力量とイメージが明確にあるかだけで変わるのです。


「皆さんの魔力が少ないのはわかっていますので、暫くは魔力を増やす訓練です」

「魔力を増やす訓練?聞いたことないわ……」

「私もないよ。ルリさん、訓練で魔力が増えるの?」

「私も聞いたことありません」


 三人とも半信半疑といった感じでしょうか?


「訓練と言っても簡単なものです。ぐったりするとは思いますけど」

「今、聞きたくない言葉があったわよね?」

「ちょっと、逃げたくなってきた……」

「あうぅ……」

「大丈夫です。死にはしませんから」


 限界まで魔力を消費するだけです。それだけなのです。


「それでは、最初はセシリーからです。その次にシエラさん、最後にレティア」

「ルリ、何をするの?」

「そうですね」


 セシリーに近づいて、胸に手を当てます。


「ちょ、ちょっとルリ!?」

「いきますよ」


 私がすることは他者の魔力の強制解放。命に関わりのない規模の解放です。


「え、なによこれ!?魔力が凄い勢いで抜けて……」


 セシリーがオロオロしています。可愛いですね。


「私が今したのは、魔力の強制解放です」

「それ、危ないんじゃ……」


 シエラさんが青い顔をしています。


「大丈夫ですよ。暴走と少し似ていますが、暴走より安全です」

「ルリ、これ洒落にならないわよ!止め……」


 言い終わる前にセシリーがふらつきます。最初はこれぐらいですよね。


「あ……あぁ………魔力が抜けて力が……」


 セシリーの身体が倒れそうになり、抱きとめます。


「ル、ルリ……」

「なんですか?」

「これは……ちょっと……やり……すぎじゃ……ない……?」


 セシリーは話すのもきつそうですね。魔力の枯渇は初めてのようです。

 簡単に説明しましょう。


 魔力は私達に宿る物です。狼などの獣、生き物にも当然あります。人達が使う物は相称して魔法、獣が用いると魔物として変化します。魔力は他にも色々なものにも宿りますが、種類が多く確認しきれていないそうです。島の家族が言ってました。


「魔力枯渇は初めてですか?」

「魔力……枯渇……?動けなくなるって……聞いたこと……ないわよ……」

「そうですか。でも、本当の魔力枯渇は、今のセシリーのようになります」

「そう……。どうしよう……本当に身体が動かないんだけど……。大丈夫……よね?」


 セシリーが不安そうな顔をしています。


「はい。今から魔力を回復しやすいようにしますから」


 私は言い終わると同時に唇を噛み切ります。


「な、なに……をする……の?」


 セシリーはなんとなく気づいたようですね。


「私の血をセシリーに与えます。魔力の回復に最適ですから」

「ちょっとまっ!んん!」


 セシリーが最後の力を込めて話しましたが、遮るようにセシリーに口付けをします。血を流し込むので少し乱暴ですけど。


「んん!んー!」


 セシリーがバタバタと暴れていますが、暫くすると、おとなしくなりました。


「ん……。これで大丈夫です」


 セシリーはぐったりしていますが、魔力の回復は始まっていますね。

 血を与えるというのは島の家族の方法では、その種族の特性と特徴、技術の継承を意味します。私が行ったのは血に魔力を込めて与えるという方法です。血に魔力が宿っていますので、与えると魔力の回復が早くなります。

 島では血を貰う時は指をナイフで斬り、それを私が吸うというものでした。唇と唇の方が継承するにはよいらしいのですが、お爺様が「ルリの唇を奪う者は塵すら残らんと思え」と言っていたので、私は他者の指から血を貰うということになっていました。

 この方法で、私は島の家族の血を受け取りました。アルテナは例外で唇でしたが。アルテナというのは私の島にいた家族の一人です。精霊と魔族の混血らしく、どちらの特性も持っていました。私の目が魔力を込めると魔法の解析ができるのはアルテナから受け継いだ「精霊の眼」というものです。魔族の特性も受け継いでいるのですが、こちらはおいそれと出せるものではありません。


「ル、ルリ……」

「はい」


 セシリーが少し復活しました。さすが私の血です。


「どうしてくれるのよ……」

「何がですか?」


 セシリーがフルフルと震えています。何か悪い事しましたか?


「私のファーストキス……」

「何ですかそれ?」


 聞いたことがない言葉ですね。そんなにも大事なものなのでしょうか?


「知らないならいいわ……。まったく、もぅ……」


 床でぐったりしているセシリーは顔を赤くして目を瞑ってしまいました。そんなにも悪い事をしたのでしょうか……?初めて聞く言葉なのでわかりませんし、考えてもわかりそうにありません。だから、次にいきましょう。セシリーがかわいそう?わからない内容で責められてもどうしようもありませんよ!


「さて、次はシエラさんです」

「わ、私はちょっと遠慮したいかな……」


 シエラさんが顔を赤くしながらいいます。


「ダメです。レティアと自分を守るために魔法を覚えるのでしょう?」

「そ、それはそうだけど!まさかあんな方法とは思ってなかったから……。私だって心の準備とか色々してたんだけど……でも、予想を遥かに超えていて」

「この方法は一般的には知られていないはずですから、私の島だけかもしれませんね」

「それって秘術とか言われてない?」


 言われていたような気もします。ですが、この方法が一番有効な訓練方法なのです。魔力の増加は日々の訓練ですから!


「では、いきます」


 シエラさんにトコトコと近寄っていきます。


「逃げたいなぁ……」

「逃がしませんよ?」

「はぁ……。諦めた。レティアを助けたいのは本当だから」

「はい」


 シエラさんの胸に手を当て、魔力の解放を行います。


「うわ……本当に尋常じゃない魔力の抜け方……」


 シエラさんが呆然としています。呆れた笑みを浮かべているように見えるのは気のせいでしょうか?


「大丈夫です。魔力枯渇しても私がいますから」

「……うん。それは安心してるんだけど、私もファースト……なんでもない……」


 シエラさんが「女の子同士だから関係ない!」と言ったのが聞こえました。そんなに大事なのでしょうか?ファーストキスというものは。


「あれ?あれれ?」


 シエラさんがふらつきました。セシリーより少し遅いですね。二属性使えるので、魔力量はセシリーより多いのかもしれません。


「あ、ダメだ。倒れる……」

「倒れませんけどね」


 シエラさんが言い終える前に抱き留めます。


「ルリさん、やっぱり血なんだよね……?」

「そうですよ」

「そっかぁ……っ!」

「どうかしましたか?」


 シエラさんの顔が先ほどよりも赤いですね。何かあったのでしょうか?


「……なんでもないよ。ぱぱっとやっちゃって」

「はい」


 シエラさんに口付けして、血を流しこみます。一瞬ですが、シエラさんの身体が跳ねましたね。


「ん……」


 私は血を流すのに専念していると。


「んん……んく……」


 シエラさんが喉を鳴らして飲んだのがわかりました。


「これで大丈夫です。あとはゆっくりしていれば回復しますから」

「……わかった」


 シエラさんは少しぼーっとしている感じでした。


「最後はレティアです」

「わ、私にはあのような大人な事できません!」


 レティアが顔を真っ赤にしていいました。大人な事ですか?


「これは魔力増加の訓練です。そのような些細なこと気にしてはいけません」

「ですけど……」

「あなたが倒れたら皆が悲しみます。セシリーやシエラさんが倒れた時、レティアが悲しみます。それを防ぐ方法があるのです。受け入れるしかないと思いますよ?」

「あうぅ……」

「いきます」


 レティアの胸に手を当てて魔力の解放を行います。


「これは」


 レティアの魔力は大きなものでした。幼い年齢なのに、この魔力量ですか。成長が楽しみです。


「うぅ……」


 暫く耐えていた、レティアから辛そうな声が聞こえました。


「う……」


 パタンとレティアが倒れてしまいました。


「レティア!……気絶してますね」


 レティアは魔力枯渇で気絶しています。魔法は基礎を習ったと言っていましたが、制御に関しては習っていなかったのかもしれません。


「教えるのが楽しみですね」


 私の血をレティアに与えます。私の血を与えるだけでは魔力が増えるわけではありません。魔力回復を早める手段として用いているだけですからね。家族のように継承させれば別ですが、セシリーやシエラさん、レティアには必要はありません。三人には順を追って強くなってもらうのがいいのです。

 魔力が増加すれば、使える魔法も増えるでしょう。ちなみに、魔力の増え方には個人差があります。一気に増える人もいれば、増加が少ない人も。お爺様は「偶然でも増加させる手段を得たのに、諦めるから停滞するのだ」と言っていましたね。あと「魔力が少ない者でも日々の努力で報われる。だから魔法という」とも言っていました。思い出してみると、島の家族は凄いのだと実感します。私の誇りです。


「みんなの回復にはまだ時間がかかりそうです」


 落ち着いたからかもしれません。セシリーとシエラさんは眠ってしまいました。レティアは気絶した状態のままですね。


「床で寝かせるのもあれです。ベッドに運びましょう」


 皆をベッドに運んでから、ソファーに座りました。


「あれ?私は一度もベッドで眠ったことがありませんね。自分のお家なのに不思議な感じです」


 何故でしょう?と思いながら、私はソファーでお水を飲むのでした。

 ルリの魔法の説明とスパルタ気味の訓練が始まりました。

 ルリにとって口付けは能力の継承ぐらいにしか思っていません。

 周りの人の今後の苦労が浮かぶ光景でもあります。



 次回の更新は一週間以内となります。

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