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ルリの逆鱗と新しい家族

城内で島の家族クレイことゼフィア・フェイマスと再会した、ルリアルカ。

人のために怒ることはあっても、逆鱗に触れたものはいない。

 クレイ、いえ、ゼフィアの手紙の内容は予想を超えて凄い内容でした。

 私が王族になって、しかも王位継承権が一位……?

 ですが、私の答えは決まっています。


「ゼフィア」

「どうした、ルリ?」


 手紙の内容を読み終えて、さも嬉しそうな顔をしたゼフィアです。


「私は王族にはなりませんよ」

「なぜだ?」

「私は普通に過ごせればいいのです」

「普通か……。ルリにできるとでもいうのか?」


 確かに、私は普通の人とは言えません。家族に言われるとちょっと痛いですね。


「島で何があったのかはわからん。だが、大変な目にあったというのだけはわかる。ルリ、危ない事とかはもうしなくていいんだ。これからは静かにここで暮らせばいい」


 ゼフィアなりに気を使ってくれているようです。


「それでも、私はなりません。島の家族も守れない者に、都を守る資格は当然ありませんから」

「お前が守れないか。でも、妙だな?」


 ゼフィアが考えていますね。何が妙なのでしょう?


「あの島で何かがあったとしても、皆がいるだろ?ましてや、長がいる。……歳でボケたのか?」

「………」


 空気がきしむ音がしましたね。


「ル、ルリ、少し落ち着きましょう?」

「そ、そうだよ、ルリさん」


 セシリーとシエラさんが二人で私の両腕を掴み。


「そうです。ルリアルカさん、落ちつ……あぅぅ……」


 レティアが私の正面から抱きつきます。そんなに怯えなくてもいいと思いますよ?


「ル、ルリ!今のは言い間違えだ。長だって長生きなんだから、少しぐらい……」

「昔からの友人としていうが、お前はいつも余計なことを言うな……」


 ウェイスさんは呆れたようで、椅子に座ったまま言いました。


「セシリー、シエラさん、レティア」

「「「は、はい」」」


 三人の声が綺麗にはもります。


「私はゼフィアにすることがありますから、離れていてくださいね」


 笑顔でいいます。ええ、笑顔ですよ?三人は怯えてますけど。


「ルリアルカさん、ここは通しません!」

「……どきなさい」

「ひぅ!?……はい、お姉さま……」


 ファリスもトボトボと三人のところへ歩いていきました。


「さて、ゼフィア」

「ル、ルリ!話を……」

「覚悟はできてますよね?私を悪く言うのはかまいません。ですが、お爺様を悪く言うのだけは……」


 空間から取り出したのは、刀身のない剣。ええ、武具屋さんにあったのと同じ物です。


「そんな物騒な物出すなよ!?」

「あなたが悪いのです」


 問答無用で斬りかかります。王様相手に?家族ですから、これは喧嘩なのです!


「あぶな……。無属性だと思ったら、光かよ!」


 ゼフィアも同じ武具で受け止めました。ゼフィアは無属性ですけどね。


「光とは言ってませんよ?」


 斬撃の度に属性を変えます。


「あつっ!あぶね……つめた!?ルリ、ちょっとは手加減ぐらい……」

「手加減してますよ?ふふふ……」

「おまえ、その笑い方!」


 ゼフィアの顔色が青くなりましたね。ですが、許しませんよ?


「お父様が子ども扱い……」


 ファリスが呆然といいます。


「ねぇ、シエラ……」

「なに?」

「普通に見たら、王様の最後よね?」

「だと思う……」

「どうしたら止めれるのでしょう……」

「はぁ……」


 色々聞こえますが、聞き流します。今は喧嘩の最中なのです。


「まったく!俺の作った武具をここまで使いこなすのは嬉しいが!」

「そうですね。確かにゼフィアの作った武具です。ですが……」

「くっ!」


 ゼフィアの使っている武具を弾き飛ばします。「カラン!」と音を立てて、剣が転がりました。


「私が使っているのは、お爺様が私専用に改良してくださったものです」

「あのじじい、余計な……」

「……制限解除」


 剣から膨大な魔力が発生し、室内から悲鳴が聞こえます。刀身の出力が数倍に増えただけですよ?


「おい、ルリそれ!」

「ゼフィアが最終的にできればいいなと言っていたものです」

「マジかよ……」

「ふふ……ふふふ……」


 ゼフィアの顔が引きつってますね。ですが、ゼフィアが悪いのです。お爺様を何度も悪く言うから。


「ゼフィア」

「な、なんだ?」

「王都を陥落させます……」

「洒落にならんことをいうな―――――!」


 ゼフィアの叫び声が城中に響きました。



「お父様が土下座した姿、初めて見ました……。お母さまにもしたことありませんし」

「ファリス、家族でも怒らないとダメな場合があるのです」

「はい、お姉さま!」


 ファリスが元気よく返事をします。私の呼び方はお姉さまで定着したようです。


「本当に、凄い光景をみたわ……」

「忘れそうにないよ……」

「凄い光景でした」

「私は王都が終わったと思ったよ……」


 さてと、皆の言っていることは聞き流しながら、気になっていることを尋ねましょう。


「『極光の魔島が姫』というのはなんですか?」


 お爺様からも聞いたことがありません。


「聞いたことないのか?」

「はい。初めて聞きました」

「そうか。長の得意な系統魔法は知ってるな?」

「光ですね」

「そうだ。あの魔島は長が作ったようなもんだ」

「お爺様が?」


 お爺様が作った?あの魔島を?


「確認が取れている魔島は七つ。各系統に特化した魔島だな。あとは公にはされていないが、存在する魔島が1つある」

「それが私のいた魔島ですか?」

「そう。光の魔島の主よりも強大な光属性を扱う者が作った魔島。だから、極光の魔島と呼ばれている」


 そういう事ですか。でも、それなら他の属性もあってもおかしくないような気もします。


「ルリが思っていることは間違いじゃないぞ?」

「え?」

「顔にでてる。他の属性もありえるってことだ。でも、それはない」

「どうしてですか?」

「その属性の人達が島にいたからだよ」

「ということは……」

「そうだ。お前の家族皆がそれにあたる。それ以外もいるけどな」

「びっくりです」


 本当にびっくりしました。島にそのような秘密があったのですね。


「これって、私達一般人が聞いていい内容じゃないわよね?」

「だよね……」


 セシリーとシエラさんが静かにいいます。


「私も気軽に知っていい内容ではないと思います」


 レティアも続きます。


「私は情報の一つとして、判断の材料にしよう」


 さすがギルドマスターのウェイスさんです。


「大丈夫だ。普通に話したら法螺話と思われるか、バカのように見られるぐらいだ」

「「「それは世間的に嫌です!」」」


 セシリー、シエラさん、レティアの三人は気が合いそうですね。


「あと一つ、一番大事な話があります。これはゼフィアにではなく、レティアにです」

「私ですか?」


 首を傾げながら、レティアが返事をします。


「レティアは一人ですよね?」


 真っ直ぐに言いましょう。下手な優しさは良くありません。


「そう……ですね……。一人になりました。祖国もありません。この先、どうしましょうか……」


 乾いた笑みを浮かべながらも答えてくれました。苛めていませんよ?


「助けられた命を大事にするのは当然ですけど、命を狙われるのにも疲れました。裏切られることにも……」

「こんな小さい子の命を狙う人がいるんだ……」


 シエラさんがレティアの頭を撫でながらいいます。


「ろくでもないのが狙うのね……」


 セシリーも頭を撫でています。レティアは嬉しそうにしていますが。


「国が滅んでいたとしても王族だからな」

「「え!?」」


 セシリーとシエラさんの手が止まりました。レティアが少し寂しそうです。


「ご、ごめんなさい。知らなかったとはいえこんな……」

「ごめんなさい……」

「お気になさらないでください。王女だったというのが正しいですから」


 さらに寂しそうに言うと。


「お父様が余計なことを言うから!」

「でも、王族だろう」

「そういうことじゃないの!」


 ゼフィアがファリスからお説教を受け始めました。あちらは置いておきましょう。


「私と一緒に来ますか?」

「ルリアルカさんと?いいのですか!?あ、でも……私は狙われていますよ?」


 レティアは本当に嬉しそうですが複雑そうな表情をしています。


「私は気にしません」

「ルリアルカさんがまた……大怪我するかもしれませんよ?」

「治せばいいだけです」


 私が怪我をすることは些細なことです。口に出していると、二人から正座させられそうでしたけど……。


「あと、あと……」

「レティアはどうしたいのですか?」

「……本当にいいのでしょうか?」


 レティアが遠慮気味にいいます。遠慮なんてしなくていいのです。


「はい」

「まて」


 ゼフィアの鋭い声がしました。お説教は終わったのですか?


「ルリ、簡単に言うがお前が思っている以上に簡単じゃないぞ?それに元王女だとしても政治的に使えるからな」


 王族の生活がどういうのかはわかりません。ですが、政治的に使える?道具扱いですか?

 レティアは物ではありません。人ですよ?女の子ですよ?


「昼夜問わず狙われる可能性も当然ある。ルリが今までどうやって過ごしてきたのかはわからんが、それすらもダメになるかもしれん」

「今が維持できないのなら、また旅に戻ればいいのです。私は元々旅をしていましたから。それなら、迷惑をかける人はいません」

「ル……」


 シエラさんがセシリーを止めました。首を横に振りながら、セシリーの手を掴んでいます。


「それ以外にもあるな」

「まわりくどいですね……。何が言いたいのです?」


 さすがに怒りますよ?


「城に住めばいい。なんなら、俺の養女でもかまわん」

「養女?」


 先ほどの政治的に使えるという言葉を思い出しました。


「レティアを政治の道具にしようと考えているのですか?」


 私の声に感情はありません。


「あなたは私の敵ですか?」

「……敵じゃない。そんな心配はしなくていい。ルリ、今の敵って言ってたらためらわずにやっただろ?」

「とうぜんです」

「はぁ……。あんなに可愛かった娘がこんなにも恐ろしい娘に育つとは……」


 ゼフィアががっくりと肩を落としながら言いました。 


「誰が恐ろしいですか」

「だってなぁ?小さい頃に俺の名前を呼びながらトコトコ歩いてついて来てたのとか考えたらさすがに……」

「一時期、ついていくことを止めれられたことがあります。オリヴィアとアルシェと他にも。内容は女性の胸を断りもなしに触る変態にはついていくな……でしたか」

「あ、あいつら!ルリになんてことを吹き込むんだよ……。しばらく近寄ってこない日があったのはそれが原因か!まて、お前たちなんだその目は!?」


 私を除く全員がゼフィアを見ています。


「お父様……」


 ファリスは遠い目を。


「王様がそんな人だったなんて……」

「ありえない……」


 セシリーとシエラさんは信じられないと。


「王としてダメだろう……」


 ウェイスさんは呆れ果て。


「フェイマスの王にそのような悪癖が……」


 レティアは少しずつ離れて行きますね。


「言っただろう!ルリに助けられた時に、ふらついてルリの胸を触ってしまったことがあると。それしか思い当たる節がない!」

「島の人たちはルリを守るのなら、家族であろうと、容赦ないのね……」


 セシリーは「ルリの島は思っていた以上に、ルリを溺愛していると」と納得したようでした。



「ルリ、レティア元王女をどうするんだ?連れて行くのはいいが、素性がばれる可能性はあるぞ?」


 ゼフィアがレティアを見ていいます。真っ白な長い髪は目立つだろうと。


「私は髪を染めても……」

「「それはダメ」」


 セシリーとシエラが間髪入れずに言いました。


「それだと余計に目立つから、そのままの方がいいわよ」

「服装や髪型を変えたりで……?」


 シエラさんが私を見ます。何か思いついたのでしょうか?


「レティアって、白いルリさんみたいだね」

「確かに!」


 シエラさんの意見にセシリーが手を叩いて頷きます。白い私ですか?


「話し方も同じよね。ルリの妹になれば大丈夫なんじゃない?」

「私の妹ですか」


 レティアが私の妹。うまく言葉にできませんが、今までと違う日常が始まりそうですね。


「レティア、名前は変わっても大丈夫ですか?」

「私の名前ですか?」


 私とレティアの会話を聞いた途端、セシリー、シエラ、ファリス、ゼフィアが笑いました。笑うようなことは言ってませんよ?至って真面目な話です。


「名前だけでも狙われるのはありますね。ルリアルカさんと共にいるのに名前を変えることが必要なら、変えましょう。王族は私一人しかいませんが、今は亡き国です。復興を望む気もありません」

「なら、レティア・トゥルーと。ゼフィア、私の名前はお爺様にフルネームで何と聞きました?」

「ん?ルリアルカ・トゥルーだなトゥルーエンドが正式みたいだが、トゥルーで通ってるんだろ?何かあった時だけ、トゥルーエンドと正式に名乗ればいいんじゃないか?」

「レティアは今日からレティア・トゥルーと名乗ればいいのです」

「レティア・トゥルー……。はい、ありがとうございます!ルリお姉ちゃん」


 レティアが満面の笑みで言いました。ルリお姉ちゃんですか。嬉しいですが、少し恥ずかしい気もしますね。慣れていないからかもしれません。


「それじゃ、改めて自己紹介しましょうか」


 セシリーの提案です。いいですね。


「それじゃ、先に私とシエラから自己紹介ね」

「どうして?」

「部屋にいるメンバーで一番、目立たないから先にね……」

「あー……」


 シエラさんが何か納得しいるようです。目立たないのは私のはずですけど……。なんですか、ゼフィア?お前が一番目立つに決まってる?ありえないことを言わないでください。


「私は王都にある『ミューズの安らぎ』を経営しています、セシリー・ミューズです。レティアがルリの妹になるということだから、レティアちゃんって呼ぶ方がいいのかな?

「そ、そこはレティアでお願いします……」


 顔を真っ赤にしながら、レティアが答えました。レティアちゃん、可愛いですよね?


「次は私。シエラ・エルナンドよ。そこにいるのが私の父のウェイス・エルナンド。父は王都フェイマスギルド支部のギルドマスターよ」

「私の自己紹介はする必要はなくなったな」


 「まぁ、いいか」と呟くウェイスさん。


「セシリーお姉ちゃんにシエラお姉ちゃん。ウェイスおじさまですね」

「「「!?」」」


 三人が驚いています。が……。


「ええ。それでいいわよ」

「うん。私にも妹ができたみたいで嬉しいよ」

「私だと……いや、止めておこう……。レティアでいいのかな?私の事はそのように呼んでくれて大丈夫だ」

「はい。えへへ……。家族が沢山増えたみたいです」


 王族という建前がなくなり、レティアは一気に女の子という感じになった気がします。この方がばれにくいですし、いいと思います。


「私はファリス・フェイマス。セシリーとシエラとは同じ学校で私が飛び級生。だから学年は同じなんだけど、二人がいきなり学校を止めて……。私がどれだけ退屈でしたか……」

「宿を継いだからね」

「私はギルドの受付」

「ああ、やっぱりそうか!」


 ゼフィアが納得したと言わんばかりです。


「昨年、『リヴィア学園』を自主退学した風魔法の優等生はお前だったのか」

「い、いえ!そこまでは……」

「いや、話には上がっていたから覚えている。いずれ王都の魔法隊にスカウトを考えていたんだが、宿屋を継いだのか。それだと、引き抜くのはさすがにな」

「私、そんなに評価高かったの……?」


 セシリーが困惑しています。ゼフィアまで話が上がるということは、城の中でも知っている人は多そうですね。


「ウェイスの娘のシエラだったか」

「は、はい」

「お前の話も聞いている。類まれなる体術の才能があると。はぁ……。二人とも、王都の兵にスカウト考えてた若者じゃねーか……」

「「………」」


 ゼフィアは残念そうに、セシリーとシエラは何がどうしてというように。


「二人が辞められてから、学園では私が勝負を受ける立場になりましたから」

「ということは、今はファリスが一番強いんだ?」

「それは凄い」


 セシリーとシエラさんが手をパチパチと叩きます。


「手加減されても勝てない私が今では一番強いとか皮肉以外ありませんよ!どうせ、今でも本気でやると負けるのでしょうし……」


 ファリスが拗ねました。


「え?ファリスは王都守護隊の指揮官でしたよね?」

「はい、お姉さま。あと、学園在籍ですから、学生でもあります。王女でもありますけど」

「学校ですか……」


 私には縁のなかったものですね。島の皆が色々教えてくれるので学校の必要はありませんでしたけど。


「ところで、ルリ。お前、どこで暮らすんだ?」


 私の小さな悩みは質問で消えました。呆気ないものです。


「少しお金はかかりますけど、『ミューズの安らぎ』で部屋を二つ借りるか、今住んでる部屋よりも大きな部屋を借りるか悩んでいます」

「いいわよ。ルリとレティアのことなんだから、安く提供するわ」


 ニコニコと言うセシリー。その安いはとてつもなく安いですからね……。


「どんな部屋があるんだ?」


 ゼフィアが説明してくれと言っています。


「そうですね。広い部屋なので高級部屋は間違いないですが……。一番大きいのは四階にある三人部屋です」

「宿代は?」

「1日1泊2食で金貨20枚です」

「ギルドの隣にある有名な宿だし、その中で一番大きな部屋だから、妥当な金額か……」


 ゼフィアが何か考えていますね。


「ルリとレティアに提供するなら……そうね。金貨2枚なんてどうかしら?」

「わかっていましたけど、それは……」

「それはさすがに安すぎます!」


 私とレティアで抗議しますが。


「私は気にしないわよ?」

「セシリーの癖だね……」


 シエラさんは諦めています。そこへ。


「その部屋に宿泊する客はどのくらいいる?」

「多くて月1回、少なくて二カ月に1回ですね」

「そうか。ルリ、レティア、その部屋に今日から住め」

「ゼフィア、セシリーの提案した価格は聞いたのですか?」

「ああ。だが、あの額は払わんぞ?」


 当然だろ?という顔をしています。


「セシリー、その部屋をルリとレティアの専用の部屋にしてやってほしい。金は国から……いや、俺が個人的に出す。値引きの必要はない」

「で、ですが!」


 さすがにセシリーでも慌てますか。


「ルリには本当の意味では帰る場所はない。そして、レティアもだ。だから、お前の宿がこいつらの「帰る家」という風にはダメか?まぁ、俺も無茶は言っているのはわかってる。だがな、ルリは『ミューズの安らぎ』がとても気に入っているように思える。だから、ルリの帰ってくる家はここなんだという場所にしてやりたいんだ」

「ゼフィア……」

「わかりました。四階の部屋は宿に帰り次第、ルリの家となるように手配します」

「助かる。宿代は毎月金貨20枚届けさせる」

「わかりました」


 私とレティアのお家もできてしまいました。とんとん拍子に事が運ぶのが少し怖いです。


「よかったな。これでお前の家にもお友達が遊びに来るぞ?」

「ゼフィア……ありがとう……」


 私はゼフィアに抱き着いていました。家族には恵まれていると実感します。


「気にするな。というか、それぐらいさせろ。家族だろ?」

「はい」


 大きな部屋だと、セシリーもシエラさんがいても大丈夫そうです。ファリスも時々くるかもしれません。

 皆で楽しく遊びに行けるのです。


「あ、受付の仕事は続けませんと」


 私が思い出したように言うと。


「いや、お前は働かなくていい。少しゆっくり休め」

「ですが……」

「お前はずっと頑張り続けたんだ。たまには休んでも罰はあたらん」

「……そうですね。お言葉に甘えて、少し休みます。髪も切らないとダメですし」


 片方は髪留めで留めていますが、片方は切れましたからね。


「え?聞いてないわよそんなの……」

「私も」


 セシリーとシエラさんの声が怖いです……。


「えーとその、レティアを助ける時に片方がバッサリと切れてしまいまして」


 髪留めを外します。私を正面として左側の髪が斜めに雑に切られているのが目立ちます。


「お休みの間に切るしかないかなーと」

「また怪我……。ううん。そうね。それは切らないとダメよ。今度一緒に行きましょう。レティアも少し髪を整えたらどう?」

「え、私もですか?」

「そうよ。少し伸びている感じの場所もあるから、整えるのも悪くないわ」

「そうですね。あ、ですが、私はお金は持っていません……」

「私が出します。姉を少しは頼りなさい」

「うん!」


 笑顔のいい返事でした。これからの生活が楽しみです。

 ですが、何かあっては困りますし、レティアに色々教えましょう。

 もしも、私が居なくなったとしても、自分で生きられるように。

 セシリーもシエラさんもいますし、ファリス、ゼフィアもいるので心配はしてませんけど。

 

 それでも、確実に守れるというのは存在しません。

 だからこれは保険です。

 そうです!セシリーとシエラさんにも覚えてもらいましょう。

 これも保険です!同時にセシリーとシエラさんが事件に巻き込まれても大丈夫なように。



「やることが増えました」


 私は一人で呟き、クスクスと笑ったのでした。

 ルリの家族となった、レティア・トゥルー。

 年齢は13歳とルリやセシリー、シエラと4歳差があります。

 容姿は整った顔に年相応の少女の雰囲気。瞳の色は薄い蒼い色。

 長い真っ白な長髪を肩ぐらいまで伸ばしています。


 

 次回更新は書き終わり次第です。

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