港の騒動の終結。そして再会
魔物となったものを撃退し、王女様を助けた、ルリアルカ。
倒したのも束の間、王都守護隊に狙われる。
「まったく、なんだこりゃ?」
「大事になってるな」
後ろの物陰から声が聞こえました。エインとシューですね。
ですが『大事になってる』とは聞き捨てなりません。あなたたちが最初に起こしたことですよね?
「目立ちたくねぇんだが」
「そうだな」
二人が私たちのところへ来ます。
「警戒しろ!賊の数が増えた!」
凛とした声が響きます。命令を出している方ですね。少し幼い感じがしますが女性の声です。女性の兵士さんですか。
「で、どうするんだ?」
「王女様を守ることには変わりません」
「そっか。でも、俺らは引かせてもらうわ」
「え?」
エインの発言内容に少し驚きました。
「ちょっと、エイン!?」
「カーラ、俺たちは目立つわけにはいかねぇだろ?」
「それはそうだけど……」
「納得しろ。島の皆の為にもなる」
「………わかったわ」
私の発言の合間もなく、三人はこの場を後にすることを決めたようです。
「王女様、返すわね」
カーラが私の足元に王女様を寝かせました。周囲がざわめいていますが、無視しましょう。
「少しの時間とはいえ、一緒に王女様を守ったのに薄情ですね」
「言わないでよ……。自分でも思ってるんだから」
「いいですよ。そちらの理由もありますし」
そう言いながら、空間から古い財布を取り出します。空間魔法により周囲で叫び声が上がりますが、それも無視です。
「これを一人に1枚ずつ」
私は三枚の古金貨を取り出し、財布を空間にいれまいた。
「空間魔法まで……。五属性だけじゃなかったのね……」
「本気で敵に回したくねぇなぁ……」
「同意だ」
三人の返事を受け流しつつ、渡し終えました。
「その金貨は古金貨と呼ばれるものらしくて1枚で今ある金貨最低でも200枚の価値があります」
「にひゃっ!?うぅ……」
カーラが驚いて嚙みましたね。涙目です。
「なんで俺たちに?」
エインから質問がきました。
「島が食料等で困っているのでしょう?なら、それで買えばいいのです」
「だが………」
「裏の仕事はしなくていい……と言えばわかりやすいですか?」
エインの動きが止まります。
「同情か?」
声色が変わりました。
「同情なんてしません。私も魔島出身です。それに、失うのが辛いことというのはよく知っています」
「お前……いや、詮索はやめだ」
エインが大切な物を扱うように、金貨を握りしめました。
「受けた恩は返すと言いたいが、俺たちは魔島の人間だ。再会できる保証なんてねぇ」
「気にしないでください。それで島が家族が助かるのでしょう?」
「すまない」
シューも大事そうに握りしめながら言います。
「あなたって神族よね?」
「人ですよ」
カーラはまだ疑っているのですね。
「話し合いは終わったか?」
声が響きます。
「………」
三人に視線を送ります。直後、小さなお礼と共に三人は立ち去りました。早いですね。
「賊が逃げた!追え!」
一部の兵隊が三人を追いかけましたが、速度的に追い付くのは無理でしょう。
「で、残ったお前は何をする?」
兵隊の間から私よりも少し背の高い人が現れました。この人が部隊の指揮官なのでしょう。
「別になにもしませんよ」
実際、なにもする気はありません。そうですね、宿に戻ってお風呂に浸かりたいというのはあります。
「……足元の子供、怪我をしているのか?」
指揮官の方が王女様の服が血で濡れているのに気が付きます。
「怪我は治しました」
「なら、そこで拘束されている者はなんだ?」
指揮官の方が視線を魔物の方に向けます。
「その魔物が王女様を刺したのですよ」
「魔物?人ではないのか……?それに王女?」
指揮官の方が悩んでいますね。
「エネディアナ皇国の王女様と聞いてます」
王女様の国の名前を言い終えると足元に剣が刺さりました。何をするのですか?
「剣を投げた者を捕縛しろ!」
指揮官の方は狼狽えずに言いました。兵隊さんの一部が騒がしくなりましたね。
「は、放せ!そいつを殺したら一生楽に!」
両腕を縛られた一人の兵士が連れてこられました。
「お前は賊かもしれない連中とはいえ、他国の王女の命を奪おうとした。反論は認めない。今この場にいる王都守護隊の皆が証人だ。そして、お前が今言った内容は偽りだ!名誉ある王都守護隊の一員が、でまかせに踊らされるとは問題以前だ!」
今、偽りと言いましたよね?
「なにか言いたい事はあるか?」
「そいつをこ……」
兵士の方が言い終える前に、指揮官の方が剣で殴りましたね。
「恥を知れ……。連行しろ!他国の王女が相手だ、極刑は免れんと思え」
指揮官の方の命令と共に、剣を投げた兵士さんは連れていかれました。
「部下が失礼をした…というのも、賊を相手に言うのは変……」
指揮官の方が私の方を見ます。私を眺める人って多いですよね?希少生物ではありませんよ?と何度も何度も……。
「なぜ服を着ていない?」
「そっちでしたか」
「そっち?」
いけません。思っていたことが口に出てしまいました。
「なんでもありません。私も大怪我をしましたから。えーと……」
周囲を見渡します。私の服は……ありました。
「これが証拠です」
指をさしたのは血だまりの中にある服でした。誤解を招きそうな状態ですね……。
「その出血量、死んでいると思うが……」
また私の方を見ます。指揮官の方が女性とわかっていますが、そんなにじろじろと裸を見るものではありませんよ?
「傷跡もない。だが、その翼……。神族なら生きていても不思議ではないか」
「賊を取り逃しました」
少し平和になっていたところに間の悪い兵士さんがきました。少しは空気を読んで欲しいです。あと、私は人ですよ?
「逃がしたか」
「下がれ」と言いながら、こちらを向きます。
「神族であろうと賊に加担している可能性は否定はできない。素直に連行されるならよし。抵抗するなら強硬手段を取らせてもらう」
「連行されるとういのも嫌なのですが……」
セシリーとシエラに迷惑をかけそうです。それに王女様も気になります。
「なら強行しか……」
「王女様の身の安全が約束されるのなら、仕方ありません」
「王女の安全は約束しよう」
「話がわかる人で良かったです」
王女様は大丈夫ですね。単純?酷い事言わないでください。
「あとは………っ!」
私を見て舌打ちしましたよね?話の分かる方だとは思うのですが……。
「私の服では合わない。変わりにこれを羽織っておけ」
「?」
指揮官の方が着けていたマントを外し、私の方へ近づいてきます。
「お前の様な身体は兵の目に毒……いや、その辺りに居る男全員に猛毒だ。もう少し恥じらいとかはないのか?」
「恥ずかしいと思わないのですが」
「恥じらいを持ちなさい!」
「……はい」
怒られました。泣きますよ?……あれ?何か違和感が?
「城へ戻る!」
違和感の正体は指揮官の方の口調でした。
「……で、お前はあの港の騒動に関しては?」
「騒動を止めに入ったとしか言えません」
お城の牢屋ではなく、少し大きい部屋で話をしています。部屋にいるのは私と眠ったままの王女様、机を挟んで指揮官の女性の方です。指揮官の方は少し楽そうな服になっています。私の服ですか?妙に豪華な服を着せられました。真っ白といいますか、装飾もあちこちにあります。正直にいいますと、派手すぎるので着心地は悪いです……。
「爆発や火災が起きてから、上空から何かが落ちてきたという報告もある……」
「空の方が見やすいですから」
「……あとは火が消える前に雨が降ったというのも……」
「雨だと広範囲を消すのは便利です」
「………」
指揮官の方が呆れた顔をしてますね。なぜでしょう?
「神族だからできることか……」
「人ですよ……。皆、疑ったままですけど」
「ふざけています?」
「いえ?」
あれ?口調が?
「ふざけていますよね!人があんな事できるわけありません!神族以外にできるのは魔族……魔族?」
口調はもういいようですね。
「あなた、魔族ですか!?」
「……人ですよ」
色々な意味で疲れてきました……。
「身分証を見せてもらってもいいかしら?」
「身分証ですか」
セシリーとシエラさんに身分証にならないと言われた私のギルドカードですね。身分証にならないと言われたので、空間に入れましたよ?
「これですね」
仕方がありません。提示した方が楽そうです。
「ルリアルカ・トゥルーエンド……。ルリアルカさんね。種族は……」
あれ?固まりましたね。なんと書かれていたのでしょう?私は見ていませんよ?
「魔族……。エネディアナ皇国の王女を手に入れ、さらにフェイマスにまで?」
「カチャ!」と音が聞こえた直後、私の目の前に剣が向けられました。
「答えなさい!あなたの目的はなに!」
「旅ですけど?」
「……旅ですって?」
「旅です。今は友人ができましたので王都で暮らしています」
「友人?その友人も仲間なの?複数で潜んで、王都を陥落させにきた……?」
どこかで聞いたセリフですね。そんな物騒なことはしませんよ?
「私の旅は一人旅です」
言い終わる間際に「パキン」とギルドカードから音がなりました。何か変わったようです。
「え……?人族?でも、ギルドカードはさっき魔族だと……。身分証よね?……なにこれ?」
なんと言われてもよいのですが、できれば剣を下げて欲しいです。目の前でゆらゆらしていると気になります。
「ギルドカードの詳細は私にもわかりません。でも、証言してくれる人達はいます」
セシリー、シエラさん、ウェイスさん、巻き込んでごめんなさい。
「だれ?」
「『ミューズの安らぎ』のセシリー、ギルドの受付のシエラさん、ギルドマスターのウェイスさんです」
「セシリーにシエラ?それにギルドマスター?」
「はい」
「……少し待って」
机の上にある装飾が施された水晶玉に触れてますね。何か映ってきたような?
「『ミューズの安らぎ』のセシリー・ミューズ、ギルドのシエラ・エルナンド、ギルドマスターのウェイス・エルナンドに城に来るように。ルリアルカ・トゥルーエンドという少女について話が聞きたいと」
伝え終わると、私の方を向き。
「少し待ちましょう。疲れてきました」
「私も疲れました」
「だれのせい!……コホン、三名がくればわかります」
視線が王女様の方へ向きます。
「怪我もして眠りから覚めない……。王女は大変な目にあったのね」
「早く目が覚めるといいのですけど」
私は横で眠っている王女様を撫でるのでした。
「ルリ!」
「ルリさん!」
私の名前を呼ぶと同時に、セシリーとシエラさんが部屋に飛び込んできました。
「お前たち、お城の中を走るなと……」
続いて、ウェイスさんも入ってきます。
「来ましたね。あなた達はこの少女、ルリアルカさんの知り合いだと聞きました」
指揮官の方が三人に向かっていいます。
「「ファリス?」」
セシリーとシエラの声がはもります。
「二人とも久しぶりね。ウェイスは先日会ったばかりだけど」
指揮官の方の名前はファリスさんというそうです。三人とも知り合いのようですね。
「数日ぶりです。ファリス様」
ウェイスさんがファリスさんを「様」といいましたね。身分の高い方なのですね。
「なんでルリがファリスといるのよ?しかも、兵士が馬で来るとか」
「私も驚いたよ」
「来てもらったのは、このルリアルカさんが港を襲撃した賊の疑いがあるからよ」
「「え?」」
ファリスさんの返答に二人が驚きます。
「港の騒動についてはギルドにも話は。ルリアルカさんはなぜ賊と思われて?」
「彼女が騒動の中心の港にいたからよ。港には彼女、ルリアルカさん、そして横で眠っているエネディアナ皇国の王女、途中で立ち去った三名、それと、王女を刺した魔物がいたの。報告書はこれよ」
ファリスさんが三人に紙の束を渡しました。
「なにこれ……?」
「もしかして、また……?」
「むぅ……」
内容を見た三人が各々、考えているようです。
「この内容を見て、彼女が賊でないと証言できますか?」
ファリスさんが三人を見ます。
「ルリ……またやったの……?」
「ルリさん……」
セシリーとシエラさん、二人とも笑顔が引きつってますよ……。
「またとは?彼女は賊で間違いないと?」
「「そんなわけない!」」
セシリーとシエラさんが叫びました。
「ルリ!」
「は、はい」
セシリーが睨んできます。怖いですよ……。
「無茶はしないでって言ったわよね!」
「言われました」
「あなたが凄い人というのも理解してるけど、自分からこんな危険な場所に行くなんて……」
「ごめんなさい。でも、爆発とかが凄かったのです。それに、大規模な魔力反応も」
「だから無茶したの?」
セシリーの後に続いてシエラさんからも鋭い声が……。
「あのまま放置していると、王都自体にかなり影響がでると思いまして……。セシリーやシエラさんに何かあっても嫌でしたから。実際、止めないと大変なことになっていたと思いますし」
「そんなこと言われたら、怒れないじゃない……」
「だね……」
セシリーとシエラさんは少し呆れながらいいます。
「彼女は賊ではないと考えていいかしら?」
「大丈夫よ。ルリは自分が大怪我するかもしれないとわかっていても、目の前の少女を助けにいく娘だからね」
「私とセシリーはそれを目の前でみたし」
「目の前でみた?」
ファリスさんが首を傾げます。
「ファリス様、先日起きた孤児院の魔力暴走覚えていますか?」
「報告は聞きました。少女が助けたと……まさか、彼女が?」
「「「………」」」
声は出さずに、三人が頷きます。
「なら賊は立ち去った三人?いや、あの魔物?」
ファリスさんが悩んでいます。
「三人は王女様を助けるのを手伝ってくれました」
少し嘘をつきます。でも、助けるのを手伝ってくれたのも事実ですから。最初に港を襲ったのは三人ですけど……。
「なら、どうして立ち去ったの?」
「詳しくは知りません。私もあの場所で初めて会いましたから。王女様も」
「……王女を刺したのは魔物といいましたね?」
「はい」
「なら、賊は魔物だけと。色々腑に落ちない所もありますけど」
「ところで、あの魔物は?」
魔物も連行されたはずです、何かわかるはず。
「死にました。意識が戻り、尋問しようとしたところ、舌を嚙み切って」
「そうですか」
あれだけの事をしておいて、自害で済ませたのですか。
「………んぅ」
ふと、隣で眠っていた王女様に反応がありました。
「ここは……?」
王女様がきょろきょろと部屋を見渡し、横にいた私に気が付きました。
「あなたは……。すみません、あの後、どうなったのか教えていただけませんか?」
「覚えているのですか?」
「……はい。爺に刺されたところまでは」
「そうですか。あの後、お爺さんは魔物に変わってしまいましたので魔物といいますね。魔物と戦闘になりました」
「魔物……?」
王女様が驚いています。
「あれ?私は刺されたのにどうして?」
王女様が刺された場所を見ます。服はファリスさんのご厚意により、王女様の服も新しい物になっています。
「治しました」
「そうですか……。でも、あなたなら納得できます。あのような神と信じてもおかしくない御業。奇跡と称しても違和感がありません」
「……失礼します。エネディアナ皇国の王女。あなたは彼女を港の騒動の賊ではないと言えますか?」
「え?」
王女様は一瞬固まりましたが、直ぐに言いました。
「彼女は私が死ぬであろう瞬間、私を庇って大怪我をしました。それこそ、死んでもおかしくないような怪我を負いました。その命の恩人を賊というのですか?」
明らかに王女様は怒っていますね。
「無礼な質問、ご容赦を」
「彼女にも謝罪を」
王女様がファリスさんにいいました。
「疑ってしまい、申し訳ありません」
「いえ。状況が状況でしたから。信じてもらうのも大変だと思っていましたし」
誤解は解けた様です。
「えっと、今更な気もしますけど、お名前をうかがってもよろしいですか?」
「ルリアルカ・トゥルーエンドといいます」
「ルリアルカさんですか。この度は何度も危ない所を助けて頂き、誠にありがとうございます」
深々と頭を下げられました。
「えっと王女様は……」
「レティアです」
王女様の名前はレティアというのですね。
「レティア様は……」
私がそう呼んだ時、レティア様は首を横に振りました。
「レティアで。命の恩人に様呼ばわりされるのは、むずがゆいですから」
「レティアはこの後はどうするのですか?」
「そうですね……」
明らかに困惑しています。ですが、静寂を破ったのは他の方でした。
「神族の少女がなにやらもめていると報告があったから、顔を出してみたんだが」
扉から一人の男が現れました。
「「「王様」」」
セシリー、シエラさん、ウェイスさんが王様と呼ばれた方に頭を下げています。この方が王都フェイマスの王、ゼフィア・フェイマスですか。……あれ?よく見ると見覚えのある顔です。間違いありません!
「クレイ」
「ん?………ルリ……なのか……?」
クレイが驚きに目を見開きます。
「久しぶりですね」
「ああ……。ああ!」
少しずつ近づいてきた、クレイに抱きしめられます。ちょっと痛いです。
「よかった……。本当に無事でよかった……。あの島の生き残りは居ないと思っていた……。こうして、生きていてくれた事が嬉しい」
「ちょ、ちょっとお父様!?」
「ん?ファリスか」
クレイがファリスさんを居たのか、という感じでいいます。ファリスさんはクレイの娘なのですね。
「お父様はルリアルカさんと知り合いなのですか!?」
「知り合い?そうだな、簡単に言えば、家族だ」
「「「「ええ!?」」」」
「ルリは俺が魔島に居た時の家族だよ。歳の離れた妹みたいな感じではあるがね」
抱きしめられたまま、頭を撫でられます。久々の再開は嬉しいですが、恥ずかしいです。
「そうだ。ファリス、彼女がお前が憧れていた、お姉ちゃんだ」
「この方が……あのお姉さま……?」
ファリスさんが一歩、後ずさるのが見えました。
「戦闘で破れたとはいえ、衣服をまとわずにそのまま戦い続けた人が……?私の憧れていたお姉さまがあのような痴女!?」
「酷い言われようです……」
「まぁ、まてファリス。ルリ、お前が服を着ずに戦闘をしたということは、誰かが死ぬような目にあったんだよな?」
「はい」
「なら仕方がない。こいつは小さい頃から、誰かが大怪我しようものなら、服など気にせずに助けにいってたんだ。島の皆だとそんな下手はうたないがな。それでもルリは心配してきてくれたんだよ。だから、ルリは痴女じゃない。人命救助などになると、そういう常識を無視して助けるんだ」
「そう……ですか……」
ファリスさんが何とも言えない表情をしています。
「それに、俺も助けられた。助けられたあと、ふらついて、ルリの胸に触ってしまって……島の皆から総攻撃受けたけどな……。助けられた後の方が死ぬかと思ったが」
「ありましたね。島の近くにあった孤島が消し飛びましたし」
「懐かしいなぁ」
「懐かしいですね」
私とクレイが魔島のことを思い出していると。
「ルリは教育じゃなくて、人助けなら、裸でも気にしないということなのね……納得はしかねるけど……」
「でも、ルリさんって人を助ける時は全力だよね?」
「なかなかできるものではないな」
三人の会話が聞こえました。
「おっと、ルリと再会できたんだ。嬉しいのもあるが……ルリ、俺が昔渡した手紙、持ってるか?」
「はい」
空間から昔、預かった手紙を取り出します。
「ルリはこの手紙の内容、読んだことはあるか?」
「いえ。預かってくれと言われただけですから」
「そうか。ありがとよ」
クレイが手紙を受け取ります。
「あー、なんだ。ルリからしたら、クレイの方が呼びやすいかもしれんが、ゼフィア・フェイマスというのが俺の本名だ。ゼフィアって呼んでくれ」
「わかりました、ゼフィア」
私の返事に五人が固まります。
「お父様、いくらなんでも、それは……」
「なんだファリス?不満か?それにまぁ、あれなんだよ……」
ゼフィアが遠い目をしていいました。
「ルリの父となんて言ってみろ……。魔島の家族全員に殲滅級の技と魔法を撃ちこまれる……」
「あはは……」
私は笑うしかできませんでした。
「さて、手紙の内容を公表する。証人はそなたら五名」
手紙をバサッと広げ、ゼフィアが読み上げていきます。
「極光の魔島が姫、ルリアルカが我が故郷である王都フェイマスに現れたとき、ルリアルカに王族としての地位を与える。なお、王位継承権は一位とする」
「王族……?王位継承……?一位……?ええ!?」
ゼフィアのとんでもない爆弾発言でした。
私が王族の王位継承権一位?何ですかそれ?聞いたことありませんよ!?
「なんなのよ……」
「あはは……。凄い光景だよねこれ……」
「ルリアルカさんの秘密の一つがこれなのか」
「あの方は王族だったのですね……。いえ、王族となったのはたった今。なら人助けの為に自分の危険を顧みないとは、英雄そのものですね」
褒められ方が凄すぎて、逃げたくなります。でも我慢して聞きましょう。
そう思ったのも束の間、忘れていたことをふいに思い出しました。
(カーラたちの名前は聞きましたが、私は名乗っていませんでしたね……)
再開できるかは不明ですが、また会えれば、名乗る機会もあるでしょう。
そう思いながら、私は引き続き、話を聞くのでした。
王女様の名前はレティア・エネディアナと言います。
そして、ついにルリの家族が登場しました。
これから一波乱あるのか?
次回の更新は書き終わり次第となります。




