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 二日目が始まりました。私達が参加した一回目と比べても遥かに多くのプレイヤー達が集まっているのが分ります。これだけいるとモンスターと戦闘すること自体が難しそうです。

 「それじゃあ私は前回と同じようにするから。りっちゃん、あとよろしくね」

 「分ったわ」

 そういってサクさんは門のほうへと歩いていきました。前回と同じように全体バフをかける事に専念するそうです。サクさんを除いた4人でこれからのイベントを乗り切るのです。前回よりもモンスターの強さが上がっていることは確実。苦戦の兆しが見えます。

 「それじゃ前と同じように行くわね」

 パーティーの並びも前回と一緒です。変えようがありませんし。

 がしゃりがしゃりと金属がぶつかる音を鳴らしながら動く鉄鎧。その周りには剣を持った細身のエルフや日傘を持った女性などが闊歩している。これまでにないほどごちゃごちゃに混ぜられた鍋のように雑多な集団のなかを私たちは歩きます。人の密度が薄い場所へと流れ流れていきます。

 「来たぞっ!!」

 少し、息の付けそうな広さの空間にたどり着いたと思った瞬間、誰かの叫ぶ声が聞こえました。

 思わず人ごみの向こうへと視線をやります。

 もうもうと立ち上る土煙。人混みの中、距離も相当あるはずなのにくっきりと見えるその狼煙はこれから襲いくる災いの大きさを示していたのか。どちらにしろ私達にとって難敵が現れることだけははっきりしていました。



 がしゃがしゃといくつもの足を動かしながらそれは動いた。

 「【白癒】!! みんなこっち下がって!!」

 白い輝きがあやめちゃんを包む。身体のいたるところに現れている傷跡が消えていく。

 「【パワースラッシュ】!!」

 みいこちゃんがアーツ名を叫ぶ。

 唸りとともに振り下ろされる剣はそれに確かに当たったが、それはぐらりと揺らめくだけであり攻撃が効いているようには見えなかった。

 「つ、よ過ぎっ!!」

 悪態を吐きながらみいこちゃんは叩き付けた衝撃を利用して後ろへ飛び退る。みいこちゃんが後ろへ下がったその数瞬、先ほどまで彼女がいた空間を何かが貫く。

 「あっぶな~」

 みいこちゃんが一瞬前までいた空間を貫いたのはモンスターの口から突き出している二本の杭の様ななにかでした。きちきちという音と共にそのモンスターの口にあたる部分へと収納されていくそれを見ながら、軽口を叩いたみいこちゃんの顔には脂汗がにじんでいました。

 「硬すぎ……」

 「それに早い。絶対こんな段階で出てくる敵じゃないっす」

 私達が対峙しているそれはなにかの動物の骨に八つの足がついているような見た目でした。

 「……スカルヘッドって見た目まんまの名前ね」

 スカルヘッドはその骨の様な外骨格の通りとても硬かった。そして、見た目以上に動きが素早かったのだ。辺りには何体かのスカルヘッドが今にもポリゴン化し始め消滅しようとしていたが、ただの雑魚モンスターのはずが、一体倒すだけでもぎりぎりの戦いを強いられたのである。

 「見た目通り硬くて、見た目より早い。面倒ですね」

 恐らく、この防御力を突破できるのは魔法か、鉄鎧の攻撃でしょうか。みいこちゃんやあやめちゃんの攻撃では軽すぎてどの程度ダメージを与えられているのか判りにくいです。いえ、表示されているHPバーを見ればわからないこともないのですが、どうも減り方がまちまちで判りにくいのです。

 「ホント、画面見てぽちぽちするゲームのほうが簡単だったよね」

 「でも、この方が自分がゲームの世界へのめり込んで居る気がするわね」

 「……同意」

 「でも、あれに比べたらまだ楽ですよね」

 「……そうね」

 こちらを窺うように小刻みに身体を震わせるスカルヘッド。それなりに脅威といえるモンスターであることなのは確かであるが、彼女たちの視線はその後ろにあった。

 「きしゃあああぁぁあぁぁぁぁっ!?!?!?」

 「ちょっ!? 範囲攻撃は卑怯!?」

 「盾-!! 早く来てくれー!!」

 周囲の喧騒が児戯に見えるほどの地獄絵図。テンカ達の視線の先には大きなムカデのようなモンスターが群がるプレイヤー達を電撃で吹き飛ばしている光景が広がっていた。

 恐らく、今イベントで用意されたボスモンスターなのであろう。その大きなムカデのスカルヘッドに似た模様が浮かぶ身体はてらてらと鈍く光を反射している。横幅ですら人よりも大きく、体長はおそらく40m以上はあるだろう。硬い体表に加えて、その動きは早く。度々放出される電撃や周囲に群がるスカルヘッドたちを防ぐので多くのプレイヤー達は手一杯であった。

 「とりあえず、目の前の一匹を倒しましょう」

 大ムカデ周辺での惨劇から目を逸らしながら、りっちゃんさんが呟く。テンカを含めたパーティーメンバー全員の心の声が主張していた「流れ弾が来ない様に」と。

 

 「ッ!! シャアッ!!」

 みいこちゃんが盾でスカルヘッドを殴りつけた。突進しながらぶち当たった勢いでよろめいたスカルヘッドのHPバーは剣で斬りつけるよりも大きく減った。ぶつかった反動で自分もまたよろける格好となってしまったみいこちゃん。きちきちと音を立てながら口吻を射出する予備動作を取るスカルヘッド。

 一対の杭を打ち出そうとした瞬間、スカルヘッドの足の付け根に投げナイフが何本も突き刺さる。あやめちゃんの正確無比な投擲によって突き刺さったナイフに気を取られたのか一瞬だけ射出が遅れる。その一瞬をついてあやめちゃんは体勢を立て直し、安全圏へと移動。

 「【白矢】!!」

 「【ショック】!!」

 りっちゃんさんの放った白魔法があやめちゃんが傷づけた足に突き刺さる。それと同時に私の放つ電魔法が動きを鈍らせる。

 足を一本もがれ、痺れの残る身体はうまくいう事を聞かず、その場で立ち尽くすことになったスカルヘッドに悠然と鉄鎧が迫る。鉄鎧は動きが遅いのが欠点だが、繰り出させる一撃の攻撃力と防御力は随一を誇っている。当たれば、無事では済まない。その確信が私達にはありました。

 ごう、と空を薙ぐ音が聞こえた。振り下ろされた一撃はスカルヘッドの強靭な甲殻をへこませる程のものであった。文字通り潰されたスカルヘッドはその場から逃げ出そうと足をばたつかせたが、そこをすかさずみいこちゃんとあやめちゃんの剣が割れた甲殻の隙間を縫って柔らかい肉に突き刺さる。耳をつんざくような悲鳴が上がる。傷口を広げる様に突き刺した獲物を捻る様に動かすと悲鳴は一層大きくなった。

 駄目押しとばかりに全員で攻撃を加えるとHPが無くなったのかぐったりと動かなくなった。

 スカルヘッドの死体をそのままインベントリに放り込む。周囲は未だ喧騒に包まれている。

 スカルヘッドの数がそれほど多くない為ですか、一つのパーティーで大体一体を相手にするだけでも大丈夫のようです。そうといっても森の方向からまだ、何体かこちらに向かってきているのが見えますから、気を抜いてはいけませんが。

 ちらりと大ムカデとの大立ち回りを加えているプレイヤー達のほうを見やる。相も変わらず、大ムカデは派手なエフェクトを撒き散らしながらプレイヤー達を薙ぎ払っている。いくらかはダメージを与えられているのだろうが、討伐にはまだまだ時間がかかりそうである。

 「ガンさんいっけぇぇぇ!!」

 「うぉぉぉぉぉ!!」

 「放電来るぞー!! リク、セツ婆!! 頼むっ!!」

 「あいよっ!!」

 

 そんな声が聞こえるほど派手な戦闘が行われており、外縁にいるこちらへと被害が来ていないだけ不思議である。おそらくはプレイヤー達にだけ向けられる攻撃なのか、プレイヤー達が上手く攻撃をいなし続けられているのか。どちらにせよ戦闘がうまく均衡をとれているのは大ムカデ対冒険者たちという図が成り立っているからだろう。取り巻きであるスカルヘッドがあの戦いに介入しない様にする必要がありそうであった。

 「森から来るやつを狙います!! 鉄鎧を前にして進みます!!」

 阿鼻叫喚のボスモンスターとの戦闘を尻目にテンカ達は取り巻きのモンスター達を始末することに決めた。戦闘の合間に減少したHPや効果時間を終えた補助魔法やアーツを使用する。

 幸いなことに今ここに押し寄せているモンスター達はほぼスカルヘッドだけである。さっきと似たような動きで対処が可能なことを考えると対処が楽ではある。同じように取り巻きのモンスター狙いのパーティーがいくつか押し寄せてくるモンスターに向けて駆け寄っていく。

 「急いでも意味はないわ。鉄鎧は遅いし、早すぎてもモンスター達に囲まれるだけだから」

 りっちゃんさんの言葉通り、一足早くモンスターと接敵したパーティーは一度に二体以上のスカルヘッドに囲まれている。

 「でも、これなら後ろから襲い放題っすね」

 「非常事態故致し方なし?」

 そう、一つのパーティーにかまけている個体を強襲してやれば、先手を取れるためにかなり楽に戦いを始めることが出来る。戦闘の横やりはあまりよろしくないことではあるが、そうしなければそのパーティーはおそらく全滅する。危機に陥っているところへ横やりを入れるだけなら問題はないだろう。そう判断したテンカ達は狙いやすそうな個体に向けて駆けた。


 ばねのように足に力をためて飛び上がると冗談のような高さまで飛び上がれる。大ムカデは上体を起こすように曲げ、このように飛び上がらなければ頭まで届くことはない。コウショウは大ムカデの上体に向かって硬く握りしめた拳を振りぬく

 「どおりゃっ!!」

 バグナグを装着しているままに殴りつけた拳は硬い甲殻に遮られるが、大ムカデの身体は勢いに押されるかのように揺れた。

 コウショウは狼系の獣人であり、空を飛ぶことは出来ない。当然の結果として、彼は落下する。さながらジェットコースターの自由落下を体験するがごとく、ふわりとした何とも言えない感覚がコウショウを襲う。だが、飛び上がった高さの半分程度まで落ちたところで横から飛び出してきた人影に捕まえられた。

 「サンキュー、助かった」

 「うるせ。俺は男なんて抱きたくはなかったぜ」

 自由落下からコウショウを助けたのは空を飛ぶ羽根を持った翼人であった。コウショウのパーティーメンバーである彼はその機動力を生かして、大ムカデを翻弄する役割を買って出ていた。

 少し、離れたところでばりばりと空気が爆ぜる音がした。大ムカデの放電攻撃である。

 「ひえ~、マジ怖ぇ」

 大ムカデ御中心として一定の範囲に電撃が撒き散らされるその攻撃は威力もさることながら身体が痺れて動きにくくなる「雷魔法」特有の追加効果もしっかり持っているため、コウショウ達もかなり手こずっていた。

 モンスターから少し離れたところで地面へと降りる。そのまま、大ムカデの場所へと再度駆ける。離れれば大ムカデの攻撃は届かなくなるが、取り巻きのモンスター達に捕捉される可能性があるからである。

 「大丈夫かの」

 円を描くように大ムカデを取り囲んでいるプレイヤーの集団に近づくと相も変わらずニコニコと笑顔を浮かべているセツ婆に声をかけられた。大丈夫、とコウショウは返した。

 「結構削れてるみたいだね。この調子で行けば倒せそう」

 「結構な数のプレイヤーが吹っ飛んだけどな」

 HPバーを見る限りでは5割をそろそろ切るところだろうか。よくあるパターンだとHPの減少率によって行動が変化することが多いが、セカンドオピニオンではどうなのだろう、とコウショウは思った。「鑑定」スキルを持っていないコウショウはこのボスモンスターの名前すら分らない。それほど深く考えることではないとコウショウは緩くかぶりを振る。どうせ、初めて戦うモンスターなのだ。調子に乗った行動をしでかさない限りは何とかなるだろう、と。


 「クルルルゥゥゥ!!!?!?」

 金属をすり合わせる様な声が響く。その瞬間、大地が爆発したように跳ね上がり大ムカデの身体が動き出した。

 怒号や悲鳴が飛び交う。

 急な動きに対応できなかったプレイヤー達が跳ね飛ばされてそのまま、ポリゴンとなって消えていった。

 「マジか……」

 その光景を見ていたコウショウは頬が引きつるのを感じた。一撃であった。10人ほどのプレイヤーが消し飛んだのだ。アレを食らえばどうなるのか。また、痛覚のフィードバックがどれほどになるのか。想像もできなかった。

 「コウショウさん」

 背中越しにコウショウの名前が呼ばれた。後ろを振り向くとそこには見覚えのある顔の面々がそろっていた。

 「ある程度の取り巻きは倒しました。私たちも参加します」

 そこにいたのはネアの妹である有希ちゃん、ではなくテンカちゃんであった。

 「サクちゃんは今ここにはいないけど。コウショウ君。よろしくね」

 そう言ってにっこりと笑う雨音凛さん改め、りっちゃんさん。水晶の様に透き通っている顔は綺麗なのに怪しげな占い師の様な服装のせいで不審人物に見える。

 ほかの子は自分があったことはない子ばかりだが、テンカちゃんの友達だろうと当たりをつける。

 「テンカちゃんの兄の友人のコウショウだ。短い間だろうけどよろしく」

 「みいこです」

 「あやめです」

 軽く自己紹介もそこそこにボスへと顔を向ける。

 大ムカデはその巨体を生かした体当たりを行うようになっていた。どうやら、HP残量で行動パターンが変わったようである。

 巨体を持つだけでそれは暴力となる。大きさは強さを表す一つの指標ともなる。このモンスターはその法則を判りやすく示していた。

 テンカちゃんたちのような取り巻きを倒していたメンバー達が獲物が少なくなってこともあり、ボスへの攻撃に参加し始めた。ボス戦の第二ラウンドが始まった。

 


 「コウ坊。こりゃまずいかもね」

 セツ婆がそうぽつりとこぼす。モリゾーのお里のメンバーも果敢に突撃を行い攻撃を加えているが、モンスターの苛烈な攻撃の前に苦戦を強いられている。

 「ええ、何せ。壁職が仕事できていませんからね」

 電撃を用いた攻撃や長い胴体を用いた薙ぎ払う攻撃に関しては何とか防ぐことが出来ていた壁職がここに来て役目を果たすことが出来なくなっていた。突進を行うようになったモンスターを受け止めることが出来ていないのだ。幸い、体当たりの頻度は少ない。が、そのたびに巻き込まれたプレイヤー達は一撃で散っていく。支援職の支援すら無視する高火力。コウショウのパーティーやモリゾーのお里のメンバーに被害がまだ出ていないが、それも時間の問題だろう。しかし、

 「といっても、どうにもならないんですけどね」

 「とりあえず攻撃するしかないわね」

 結局のところ攻撃するしかないのだ。そう思って突撃しようとすると

 「ううむ。ちと闘いにくくなるが、試してみようかの。全員戻れぃ!!」

 そう言って、セツ婆が手を打ち鳴らす。すると、先ほどまでモンスターに攻撃を加えていたモリゾーのお里の面々が、セツ婆の下に集まる。5人のウッドフォークが集まり、何事か話し始める。

 コウショウが何を相談しているのか疑問に思っているとおもむろに彼らは呪文を唱え始める。

 「【ソーンフェター】!!」

 「【ポールロック】!!」

 口々に唱えられた呪文の効果は目に見える形となって表れる。

 地面を覆い尽くすように茨の茂みが現れ、次々と突き出した木の杭が辺りの地形を変えていく。何度も唱えられた呪文が彼らを中心として簡易的な砦を作り出した。

 「ふぅ、もうえむぴぃがないでな。すまんが、後は頼むな」

 そういって後ろへと下がるモリゾーのお里のメンバー。MPは時間経過かポーションか。MP回復効果のあるポーションは効果で希少である。彼らは当分の間アーツを使うことはできないだろう。

 「有り難う御座います」

 ひらひらと手を振る彼らを尻目に自らのパーティーメンバーを呼ぶコウショウ。彼らは築きあげられた要塞を見るなり、何をするべきなのか把握したようだった。

 「ここに呼び込めって事か?」

 「そうだな」

 そう言うとリクを含んだ全員がにやりと笑う。

 「こうなったらいいとこ全部もっていこうじゃないか」

 「おう!!」

 気合もそこそこに彼らは動き出した。一直線にボスモンスターへと向かう。大ムカデは纏わりつくプレイヤーを振り払うように動き回りながら電撃をそこらあたりに撒き散らしている。コウショウ達は最低限の防御を行いながら大ムカデへとむかう。

 「コウショウさんっ!!」

 自分を呼ぶ声が聞こえる。テンカちゃんの声である。

 「一体何を!?」

 「あそこにぶつける」

 一言後ろを指して答える。察しのいいテンカちゃんならばそれだけでわかってくれるだろうと期待しての行為だったが、コウショウの思惑通り、並走するように彼女たちは走り出した。

 「いっくよーっ!!」

 威勢のいい声とともに猫獣人のみいこちゃんが一歩先へと踊り出す。速さに長ける種族の通り、この中で最も早いキャラクターの一人である。横を並走するように走る機人もなかなかのものであった。

 「スカルヘッドと同じように!!」

 りっちゃんさんの指示が響く。その声を聞いた瞬間、何本もの投げナイフが機人の子の手から飛び出す。更に加速した猫獣人が飛び掛かる様に振り下ろした剣が投げナイフの当たった場所を切り裂く。

 「っ!!」

 土台を踏み抜くようにモンスターを蹴ると切り裂けなかった剣が引き抜ける。その勢いのまま、後ろ宙返りをしてこちらへと戻ってくる。

 「ひゅ~!!」

 下手な口笛が思わず出る。負けてられない。いつの間にか紫電を身に纏い始めていたモンスターを前にそう思う。

 「いくぞぉっ!!」

 合図とともに走りながらリクが盾を前へ構える。重装備のためか、他の面々に比べ見劣りする遅さだが、破壊力は随一である。横を並走するように鉄鎧が走っている。テンカちゃんの操る鉄鎧だ。

 その後ろにつけたテンカちゃんは「飛行」スキルを用いて宙を飛んでいる。発動されたアーツが指揮棒の先で槌のようにかたどられているのが見える。風魔法のアーツだ。

 鉄鎧の後ろから飛び出したテンカちゃんは急上昇する。その勢いのまま大ムカデの頭の高さまで上昇。指揮棒を振りぬき、槌で叩く。しかし、攻撃力の低い風魔法ではスズメの涙ほどしかダメージを与えられていない。その勢いのまま、大ムカデを通り過ぎる様にテンカちゃんは飛んで行った。「飛行」に慣れていないのだろう。

 そして、鉄鎧とリクの盾が大ムカデと激突する。その巨体は少しも揺れなかったが、うっとおしいと思う程度には気を引けたようだ。大ムカデの頭がこちらを見る。

 「クルルルルルルゥゥゥ!!!」

 無機質な瞳がこちらを見据え、宙を抱くように足が動く。突進をする合図だ。

 「その前に一撃ぃっ!!」

 出来ればこちらに来てほしいが、多くのプレイヤーが攻撃を加えている。どこへ行くのかはわからないがなるべくなら可能性を上げておきたかった。

 バグナグを振りぬく。当たった感触は先ほどよりも硬く感じられた。一撃くわえるとコウショウは離脱する。コウショウのパーティーメンバー達も同じように一撃咥えて離脱した。

 「クルルルアアァァァァ!!!!!」

 叫び声とともに大ムカデは動き出す。地面を削り取る様に動くさまは生きた要塞のようである。そして、大ムカデは………モリゾーのお里が作り出した砦に激突した。

 その硬い甲殻に茨のとげ程度では傷がつかないのかHPバーに大きな変化はなかったが、その茨は複雑にモンスターの身体を絡め取った。

 「クルルルアアァァァァ!?!?!?」

 想像以上に頑丈な茨はネットの様に大ムカデの身体を絡め取った。長い胴体から生えている何本も足は複雑に絡み合った茨の砦を抜けるには多すぎた。

 悲鳴のような声を上げる大ムカデは動けば動くほど茨が絡みついていく。

 「今だ!! いけぇっ!!」

 誰かがあげた声を合図にプレイヤー達は大ムカデへと群がっていく。

 

 そして、数分後。………ボスモンスターを含めたモンスター達は全て討伐され、平原にはプレイヤー達の歓声が鳴り響いた。

このゲームのバランスは大体狂ってます。

主人公が何とか戦えてるのは倒せそうな奴とだけ戦っているからですね。

えり好みできない状況だと何とか攻略法を見つけ出す必要があります。

テンプレ化したら簡単になりますけどね。

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