65
「(……ねぇ、ちょっと思ったんだけどしばらく生徒会で孤立してみない?)」
放課後。
たしかに一人で運ぶには少々多いプリントの束を抱えて生徒会室に向かう最中、天羽さんはそう切り出した。
たぶんそんないいこと思いついたみたいなテンションで人にぶつけていい思想じゃないよねこれ。
「……一応聞きますけど、なぜ?」
「(あんたが誰かと喋ってるとなんかイライラするから。孤立させたらストレスなくなるかなって)」
「過激思想過ぎる」
「(あ、私とは喋っていいよ)」
そういうことじゃないんだよなぁ……。
やっぱりここ数日の天羽さんはどう考えてもおかしい。元から若干あれなところはあるけれどそれにしたっておかしい。
表面的な部分にはまだおかしさが侵食してないから取り繕えているけれど、そのうちそうもいかなくなるかもしれない。
「……念のために聞きますけど、嫉妬とかじゃないですよね?」
「(誰が、誰に、なんで?)」
「天羽さんが、伊藤さん達に……俺を取られるかも、みたいな」
「(…………は? 死にたいの?)」
「そこまで礼儀を欠いた発言でした?」
「(ごめん、言いすぎた。言い方を変えるね。音無君は想像力が豊かなんだね)」
「言葉尻の優しさに反して悪意が強すぎる……」
余計に気分を害してしまったらしい。
顔には笑顔が張り付いているのに、天羽さんの抱えるプリントの下部が指圧で歪んでいる。
早くなんとかしないと。




