62
思えば生徒会に入るまではほとんど毎日のように放課後は延々と愚痴を聞いていた。
生徒会に入ってからは基本的に生徒会室には誰かがいるし、そもそも天羽さんが忙しくていないことが多かった。
では、その間天羽さんは一切ストレスを貯めることなく過ごしてこれたのか。
んなわけあるか。
そんなことなら誰も苦労はしない。
「……天羽さん、なんか近くないですか?」
「なに、嫌なの?」
「……いや、全然嫌とかではないんですけど」
土曜日の真夜中……いや、ちょうど日曜日になった。
ベッドのすぐ側に置かれたデジタル時計が酷くシンプルな表記になるのを眺めながら問いかけた言葉はどこか圧を感じる返答に容易くねじ伏せられる。
自室のベッドという極めてプライベートな空間のはずなのに、どうにもこうにも居心地が悪い。
というか、天羽さんがうちに来るたびに自室で気まずい思いをさせられてる気がする。
たぶん、また何かあったのだろう。
週一で遥に勉強を教えに来てくれることも夕飯をうちで食べていくこともそろそろ我が家の日常になりつつあるがそれでも泊っていくのは珍しい。
何があったのか知らないし、本人がうっかり考えでもしない限りは無理やり踏み込むつもりもないけれど、自分の顔面の良さを自覚しているならあんまり寄ってこないでほしい。
なんで自分のベッドなのに端に追い詰められてんだよ。すぐ左壁だよ。これ以上逃げられないよ。
「なんか……最近雑じゃない?」
「え……」
天羽さんにしては珍しく要領を得ない質問だった。
いつもだったらもっと分かるように死ねとか言ってくるのに、じっとこちらを見るだけでそれ以上何か情報を与えてくれるわけでもない。
なんだ。なんか雑なことやったか。そもそも天羽さん基準だと俺のやること大概雑なんだが?
「なんかっ、私への対応っ、雑じゃないっ?」
「……えぇ……?」
わっかんねえなぁ。とりあえずどんどん部屋の隅に追いやられて行ってるのでこのままだと俺の部屋無くなっちゃうなぁ。
なんて考えながら向けられる責めるような視線から逃れようと目を泳がせていると、いよいよしびれを切らしたのかややお怒りの声が答え合わせをしてくれた。




