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「なぁ音無。俺さ、インフルエンサーになろうと思うんだ」
「インフルエンザ? あんた元々ウイルスみたいなもんなんだからわざわざなろうとする必要ないでしょ?」
「なんか咲希ちゃん俺へのあたりキツすぎない?」
垂れ流された現実逃避の妄言は横から飛んできた罵倒に間髪いれず砕かれる。
球技大会当日の司会進行を担当する居崎君は他の役割と比較するとかなり前準備が少ない。
さっきまでは当日のスケジュール確認と進行方法の確認をしていたのだけど、どうやらそれもすっかり終わって暇を持て余しているらしい。
「居崎君。インフルエンサーはともかく、余裕あるなら伊藤さんのフォローお願いできますか? 支援統括、例年通り運動部に手伝ってもらいますけど、みんながみんなやる気があるわけでもないので管理が大変でしょうし」
「別に私は大丈夫。それより天音が──」
「よっしゃ! 任せとけ! 頑張ろうな、咲希ちゃん!」
「……まぁ、別にいいけど」
実際、支援統括は若干の問題を抱えている。
さっき言ったようにみんながみんなやる気があるわけではないという点だ。
例年の対応のせいでやりたくもないことをやらされているのだから仕方のない面はあるがそれでもやることはやってもらわないといけない。
今のところはまだ制御がなんとか利いているようだが、集団になった怠け者の面倒くささに多少は覚えがある。厄介ごとになる前に手は打っておくべきだ。
危うさに気付いていて、それでも天羽さんに気を遣って言えないのであれば口に出すのは俺がやればいい。
「海斗君、私も手伝って~」
「そっちは俺がフォロー入ります。俺が担当してる記録雑務もメインは当日の対応なのでそこまでやることないですし」
井口さんの担当する宣伝広報は今のところ大きな問題はない。
せいぜい今日に迫った期限日を井口さんが見落としている程度のものだろう。ポスターやら学内放送で流してもらう予定の原稿といったモノ自体の用意は済んでいるので問題にもならない。
さて、じゃあ今日中にやるべきことから手をつけていこうか。
そう思い、原稿へと手を伸ばしたタイミングで扉がカラカラと安い音を立てて開かれた。
「みんな、お疲れさま。さっきちょっと余裕があったから運動部の子達と話して来たよ。みんな今まで以上に頑張ってくれるってさ。あと、放送委員にも叶が作った原稿の写し持ってたから渡しておいたよ。少しだけ誤字脱字があったから修正しておいたけどよかったよね?」
薄い書類の束を片手に抱えて、薄汚れた扉には似合わない凛とした佇まいで天羽さんは小首を傾げてそう言った。
このハイスペめ。




