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「うん、説明しておかないといけないのは大体こんなもんかな。……結局、庶務の子来なかったね。挨拶くらいはしておきたかったんだけど」
生徒会室を見渡して、引継ぎ事項は伝え終わったと判断したらしく愛染先輩は満足げにそう言った。
そして、少し残念そうにそう続ける。
「文化祭で少し羽目を外しすぎたみたいで、その反省で学校中の清掃を請け負ったみたいなんですけど……」
「……もう、文化祭終わってひと月経つよね?」
「……そうなんですよね。先生にも聞いてみたんですけど、とっくに言い渡した清掃は終わってるみたいで」
「……うーん?」
生徒会長、天羽さん。
副会長、俺。
会計、伊藤さん
書記、井口さん
今期の生徒会メンバーは実はもう一人いる。
とはいえ、俺は実際には会ったことがない。たしか名前は……
「さーせん! 遅れました!!」
「……お疲れさま、居崎君。ちょうどいいタイミングだったよ」
勢いよく扉が開き、その音に負けない声量で謝罪が室内に響く。
居崎海翔。今期の生徒会で庶務を務めるメンバー。
クラスも違うし、関わりもない。会うのだって今日が始めてだ。
初めて会って、その姿と中身を見てよくよく理解した。
めちゃくちゃ生徒会役員向きであり、同時にこんな奴入れちゃダメだろって感じの奴だった。
「いや、全然遅いし。ねぇ、あんた、居崎だっけ? なんで遅れたの?」
「遅れたのはマジでごめん! 掃除してたんだ!」
「もう罰としての掃除は終わったって聞いたけど?」
「ん? ……あー、たしかに最初は先生にやれって怒られたからしゃーなしやってたんだけどな。途中で気づいたんだよ」
「……は? なにが?」
「真面目に掃除してるとさ、それ見てる奴からの好感度がどんどん上がっていって俺のこと認めてくれるんだよ! そしたらなんか脳からどっぱどっぱ溢れてきてヤバいんだ! すっごい脳がじゅわーってなるんだよ! だから、罰とかは関係なく今はやってる! なるべく遅れないようには気を付けるけどちょっと甘く見てもらえると助かる! もちろん遅れる分の埋め合わせはちゃんとするからさ!」
「…………そう」
伊藤さんがよく分からないけどこいつヤバそうって目で居崎を見た。
俺も大体同じ感想だ。なんか目が据わってて怖いし。
悪い奴じゃないのは読めるから分かるけど、それはそれとしてちょっとおかしいんだよこいつ。
脳が承認欲求で支配されてる。




