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休み明け、月曜日。
すっかり片付いてしまったとはいえどうにも消えない文化祭の空気感の漂う教室は、しかしいつも通りに授業の開始を告げるチャイムを鳴らす。
「文化祭が楽しかったのは分かるが気持ち切り替えろー」
緩んだ顔をしていたか、あるいは心ここにあらずという様子だったのか。
現代文を担当する先生が教壇に立ってこちらを見た瞬間、苦笑いを浮かべてそう言った。
しかしながら恐ろしい。土日の休みを挟んでなおもこの空気感が消えないとは。
たしか去年の文化祭も盛り上がったはずだが、休みを挟んだらすっかり空気は切り替わっていたような気がする。
それが今年に限っては教壇に立った教師目線で分かってしまう程に色濃く余韻が残っているというのだから本当に大成功だったのだろう。
まぁもっとも、
「(ミスコンの天羽さん、マジで綺麗だったなー)」
「(チャイナドレスの天音ちゃん……可愛かったなー)」
「(バンドやってる天音さん、めちゃくちゃかっこよかったな―)」
こうなってくると文化祭の成功というよりは、天羽さん単体のスペックが高すぎたことがこの空気感の原因のような気もするけれど。
「(……? なに、どうかした?)」
周囲からの絶賛の嵐に半ば呆れながら何の気なしに件の人物へと視線を向ける。
向けられた視線に気づくと天羽さんはこちらを見やり、小首を傾げて思考だけでそう尋ねた。
別に何か用があるわけではない。小さく首を横に振って視線を前へと戻す。
しかし、どうやら天羽さんは俺に用があったらしく、続けて思考が語り掛ける。
「(今日も放課後暇よね? 文実の残務処理と……それから、ちょっと相談したいことがあるから図書室集合ね)」
「……」
文化祭は終わった。
しかしどうやら穏やかで何事もない平々凡々とした日常は帰って来てくれないらしい。
未だ文化祭気分が抜けず緩んだ顔をしているであろうクラスメイトのなかで、きっとただ一人俺だけが苦々しい顔をしていた。




