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「天音さ~ん、ここ分かんないです~!」
「えっと……あぁ、ここは公式を応用して……」
打ち上げと聞いていたのだけど、手土産のケーキ食べて暫くしたらなぜか勉強会に様変わりしていた。
逆なら分かるけど、普通そうはならなくない?
なんで休日に勉強なんてしないといけないの?
いや、まぁ遥の勉強見てもらえるのは凄いありがたいんだけどさ。
「音無君も、分からないところがあったら聞いてね。その課題、私もう終わってるから(というかそれ月曜に提出の奴よね? なんで今日までやってないの?)」
もちろん提出する気がなかったからですけど?
……やめて、そんな目で見ないで。
射殺すような視線ってこういうのを言うんだろうなぁってくらいに鋭い視線。
またしても自室なのに感じる居心地の悪さに視線を逸らすと空になったマグカップが目に入った。
ちょうどいい。コーヒーでも淹れてこよう。ついでに甘めのお菓子も。
「ちょっとコーヒー淹れてきます。天羽さん、砂糖はいらないですよね?」
「あ、うん。ありがと」
「お兄ちゃん! 私はミルクも砂糖も欲しい!」
「知ってる」
マグカップを回収して、キッチンへ向かう。
戸棚からインスタントコーヒーの粉末を取り出してカップに注いでいると声がかけられた。
「コーヒー淹れるなら私の分もお願い」
「……おー、おはよう。ブラックでいいよね?」
「残業続きで胃が痛いからミルク入れて……」
「そんな状態でコーヒーって飲んでいいの……?」
「大丈夫よ。社会人は皆、常にストレスで胃が痛いものだから」
「マジかよ、絶対に働きたくないんだけど……」
目の下にくっきり隈を作りながら母さんがキッチンに顔を覗かせる。
見た感じ白湯とか飲んでゆっくり寝たほうが良さそうだけど、残念ながら昼から仕事らしい。
そんでもって母さんの目算によると終わるのは大体日付が変わった頃らしい。リモートワークだと終電とか気にしなくていいもんね!労働はカス!
「それより、誰か来てるの?」
「ん? あー、天羽さんが来てる」
「っ!? 天音ちゃん来てるの!? ど、どうしよ、こんな格好じゃ会えないよ……」
「……母娘ともに天羽さんのこと好きすぎでは?」
「正直、あんたより好き」
「それは思っても言うな」
追加で出したマグカップ。
ミルクを注いだコーヒーの入ったそれを渡して、適当なチョコレート菓子を拝借してその場を後にする。
自室の扉を開けるとなにやら話に結論が出たところだったらしい。
「うん、分かった。じゃあこれからは毎週来るね」




