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勢いでなんでもやるなんて言ってはいけない。
少なくとも期間だったり範囲だったり条件だったりはちゃんと設けておくべきだ。
それをしなかったせいで半ば奴隷契約のようなものを結ばされそうになっているような気がする。
一生だよね?とか小首傾げてしらばっくれていたが天羽さんがこちらの言葉の意図を取り違えるとも思えない。絶対わざとやってる。たぶんあの時の言葉を言質とれたとしか思ってない。
……これ、このまま放っておいたら本当に学校を卒業するまで一生擦られ続けるんじゃないだろうか。
「お兄ちゃん! そろそろ天音さん着くってさ!」
「……りょーかい」
わりと簡単に想像ができてしまう嫌な未来にげんなりしていると部屋の扉越しに声がかけられた。
兄と違って妹は悩みがなさそうで羨ましい。
「楽しみだね! 打ち上げ!」
「……そだね」
あの日の放課後、天羽さんからされた「お願い」がこれだ。
遥を含んでの三人だけでの文化祭の打ち上げ。
妹と仲良くしてくれるのはありがたいけれど、どう考えたってそれだけなら俺はいらない。
文化祭が始まってからの二日間、天羽さんはかなり忙しくしていた。
そのうえクラスの打ち上げでもずっと人に囲まれていたのでさぞストレスも溜まったことだろう。
つまりはそういうことだ。
一応は客人なので出迎えようと扉を開いたのと同じタイミングで玄関のチャイムが鳴る。
はーい!と音に応えて駆け寄ると勢いそのままに遥が玄関の扉を開く。
「こんにちは、遥ちゃん。それから、音無君も」
開かれた扉の奥で、もはや何度見たか分からない綺麗な笑みを浮かべて天羽さんはそう言った。




