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隣の席の男子が超能力者だった。
あまりにも荒唐無稽な話。
信じられなかったけれど、目の前で凄く嫌そうな顔をしながら次から次へと私の考えていることを一言一句当ててくる彼の言葉を信じないわけにもいかなかった。
私の気を引くために嘘をついているわけでも、自分を超能力者だと思い込んでいる精神異常者でもない。
正真正銘の人の心を読む超能力者だった。
私は思った。
──こいつ相手なら、どれだけストレスのはけ口にしてもいいんじゃないだろうか。
当たり前のことだけど、普通人の心なんて読めない。
私は完璧なので相手の顔や体の動きを見ればある程度考えていることは読めるけれど、世界を私基準で考えるなんてそんな残酷なことはない。私が優秀だからできるだけで普通はそんなことはできない。
でも、彼にはそれができる。
完璧な私が徹底して見せないようにしてきた天使様に相応しくない部分を的確に見抜くことができる。
しかも、それを彼が知ったところで彼にそれを周囲に知らせる術はない。
だって、私は徹底して天使様で、天使様がカラスは白だと言えばそれを疑う人なんていないのだから。
それを見越してのこの呼び出しだったのかもしれない。
隣の席でストレスを溜め込んだ私の怨嗟の念にさらされるのを避けるために彼が打つことのできる最善手だったのかもしれない。
ほんの少しでも流れ込む他人の思考から自分を守りたかったのかもしれない。
その結果がこれだ。
──決して誰にもバレない想うだけで通じるストレスのはけ口。
世界は私を愛している。
だから、こんなにも素敵な贈り物をしてくれた。
今日も私は完璧だ。
「私、とっても嬉しいよ、音無君。これから、よろしくね?」
久しぶりに心の底から出た本心での笑み。
鏡を見るまでもなく可憐で美しいに決まっているそれを見た音無君は、なぜか酷く怯えたような目でこちらを見た。




