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私は可愛い。
誇大広告でなく、この世で一番可愛い。
それだけじゃない。
頭もいいし、運動神経もいいし、性格だって温厚だ。
周囲は天羽天音にそれを求めて、私自身その期待に応えることは別に嫌なことではなかった。
たまに疲れたりムカついたりすることもあるけれど、誰も天羽天音にそんな姿は求めていないし、私だって周囲にそんな完璧でない姿は見せたくない。
溜まったストレスを発散できるような、本音を打ち明けてもいいような場があればとは思わないでもないけれど、そのためのありとあらゆる手段が天使様たる私のリスクになってしまうからもう諦めた。
別に我慢ができないわけでもない。自分の中だけで折り合いをつけ続けたらそれでいい。
だから、私はいつだって完璧だ。
完璧な天使様でいるためなら、辛いことも腹の立つことも全部胸の奥底にしまうことができた。
だって、私は完璧だから。
完璧な私は当然のごとくモテる。
だから、クラス替え初日にろくに話したこともない隣の席の男子から空き教室に呼び出された時も「またか」としか思わなかった。
私にとって告白は日常のよくあるイベントの一つに過ぎない。
周囲の求める天使様は誰かと付き合って特定の個人との関係を深めるなんてことはしない。
だから、私が告白に応じることは絶対になくて、答えが決まっている以上わざわざ放課後に空き教室に呼び出されるというのは時間の無駄以外のなにものでもなかった。
それでも、私にとっては無意味でも相手にとってそうとは限らない。
むしろ相手にとっては一世一代の大勝負なことが多い。
だから、せめて傷つかないように、明日からも学校に来ることが楽しいと思えるような振り方をしてあげないといけない。
たとえ、私にとってそれがどれほど疎ましくて煩わしいことであったとしても。
「俺は人の心の声が聞こえる。だから、いま天羽さんがどうやって俺からの告白を断ろうか考えていることも新学期初日から告ってんじゃねーようぜぇなって思ってることも知ってる」
…………は?




