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隣の天使様が今日も心の中で信じられないくらい毒吐いてて怖い  作者: 日暮キルハ


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 文化祭まであと10日!!


 教室の黒板によく分からんイラストと共にでかでかと書かれた文字列。

 文化祭準備期間であるがゆえに本来であれば授業中にもかかわらずあちこちから聞こえる活気のある声。

 これらが否応なしに文化祭が迫ってきていることを思い知らせる。


「当日のシフトってどうなったんだっけ?」


「これ冷蔵庫足りるか!?」


「看板できた!! どこ置いとく!?」


「待って! これ絶対間に合わなくない!?」


「いけるいける!! 気合いだよ、気合い!」


 あちこちから聞こえる活気にあふれた声。

 当然うちのクラスも例外ではなく、クラスメイト達が自身の役割を果たすために奔走していた。

 基本文実での雑務がメインでろくに参加できていない上にたまに手伝ったら天羽さんの着せ替えイベントが始まるせいで進捗はあんまり把握できてなかったのだけど、どうやら若干の遅れはありつつもクラス展示の方はわりと順調に進んでいるらしい。


「……ん、そろそろか」


 文化祭準備期間中は授業がなくなる。むしろ文化祭の準備こそが授業になる。

 それは文実にとっても例外ではなく、文化祭前最後の定例会議の時間が迫っていた。


「……?」


 教室の装飾に使うらしい装飾品の内職を切り上げて、ふと視界に入った光景に首を傾げる。


 天羽さんが居た。

 いや、同じクラスなので居るのは当然なのだけど、どうにも様子がおかしい。


「……天羽さん?」


「……っ。……なに、音無君?」


「いや、そろそろ行かないと間に合わないと思うけど……」


「え……。あ……っ。ご、ごめん。行こっか」


「……うん」


 クラス展示の会計資料と思しき資料を前にペンを握ったまま動くことのない天羽さん。

 声をかけると柄にもなく驚いた様子でこちらを見上げる。

 そして、こちらの言葉の意味を理解すると慌てて会議室に向かう準備を始める。


「……あの、なんか手伝えることあったら手伝うけど」


「え、あ……大丈夫。ちゃんとやれるから。それに、もう手伝ってもらってるよ」


「……そう」


 ずっと忙しいのはそうだが、とくにここしばらくの天羽さんの多忙さはその比ではない。

 文実委員長、クラス展示、ミスコン、有志のバンド参加、その全てにおいて彼女は中心であることを求められそれに完璧に応えている。

 いつものことだ。


 でも、これはいつもとは少し違うように見えた。


「あ、天音! ちょっと待って。今日の放課後って合わせいける? 文実忙しい?」


「……ううん。大丈夫だよ。教室使えるように先生に話しておくね」


「ありがと! 助かる!」


「気にしないで。……じゃ、行こっか音無君」


「……はい」


 文化祭前最後の定例会議。

 いつも通り、天羽さんの見事な采配でそれは何の滞りもなく終わり、文化祭を成功させるにあたって各担当で必要な事項は素晴らしいことに例年よりも一週間前倒しで全てが完了した。

 じゃんけんなのか他薦なのか、半ば無理やりに集められてやる気なんてあるはずのない文実の面々はいつの間にか実に良い顔で自分の役割を果たさんと動いてくれるようになっていた。

 最後までやる気の欠片もなく天羽さんに怒られながら働いていたのなんて俺くらいのものだろう。


 まったくもって素晴らしい。さすがは天羽さんだ。

 皆が彼女を褒めそやし担ぎ上げ、天羽さんが居れば文化祭は成功間違いなしだと信じて疑わない。


 天羽さんが体調不良で休んだのは次の日のことだった。

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