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野巫の祭  作者: 凡栄
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野巫の祭 79

野巫の祭 79




妻であり、母であり、恋人だった時の優しい笑顔に見えた。


胸の血豆のようなものからは静かに振動が感じ続けている。


ふつふつと、しかし確実に心の中で私の周りに起こっているおかしなことに対する決意のようなものが湧き上がってきた。


子供達、孫たちを巻き込まないためにも。


しかし街中で見つけたときに取り押さえて問いただすような荒事は私には出来ようはずもない。


忌々しい話だが、おそらくは結婚する前から奴らに見られていたのだろう。


だとすれば何かしらの理由があるはずだ。

秋葉原のお母さんに言われたこと。

私の胸に血豆をつけた女の子に言われたこと。


理由があっても今まで接触してこなかったのになぜ突然に私に接触してきたのか。

妻には、利与には接触していたのか。


わからない。


が、しかし、後ろ向きになってたまるか。


こちらに身に覚えが無くとも奴らはこれからも接触してくるだろう。


「もう守ってくれる者はいない⋯」か


秋葉原のお母さんに言われたことの意味はわからない。


これがこちらの、私の弱みだな。


自分のことで自信が持てないことが多い。


知らなくてもよかった。

それで困ったことはあってもさほど問題になることは無かった。


でも奴らは私がわからないでいる私を利与を知っているのだろう。


それに原因があるのかもしれない。


私には欠けている記憶がある。


まずはそこからか。


奴らが私に関心があるのなら原因なり始まりなりを探して対処する。


自分で対処できなくとも奴やが何者かわかれば警察など相談することも考えられる。


欠けている過去と記憶。


福島県浪江町


一人になってからあらためて自分の生まれを調べることになろうとはな。


その場に行っても今は何もない。

まずは私のことを知っている者に会ってみよう。

いや、探してみよう。


今の自分で出来ることをやるんだ。


トクン⋯


胸の血豆が静かに、深く震えた。
















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