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野巫の祭  作者: 凡栄
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野巫の祭 71

野巫の祭 71




さっき繋いだばかりのFAXからプリント用紙が出てくる。


恐る恐る近寄ると何やら字がたくさん書いてある。


ぱっと見てはわからなかったが、最後に「浪江町役場」の文字がある。


さっきの人がもう何かを送ってくれたのか。

慌てて用紙を取り上げてみると、避難先の一覧が書いてある。

おそらく前もって用意してくれていたのだろう。


あの夜に着信履歴があったとき、すでに用意していたのだろうか。

えらい人だな⋯ありがたい。


ピーピピピ⋯


んっ、2枚目が出てきた。


今度は手書きだ。


「双葉郡浪江町の方たちの避難先は、加須市の借り上げ住宅が多く点在している状況です。高瀬さんと同じ学年だと思われる方のうち数名が近い場所におられて、その近くに公民館があり避難されてきた方たちの集まる場になっております。学生のボランティアなどが情報収集と整理を手伝ってくれてもいますので、出身学校ごとの情報も整いつつあります。もし現地へお越しになられるのでしたらご案内いたします。浪江町役場 益田伸吾」


なんということだ。

私のためにわざわざ。


申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいだ。


甘えるばかりはできないが、私では探せない人たちを見つけることができるかもしれない。

週があけたら連絡しよう。

自分でも憶えていない自分を知っている人がいるかもしれない。


不安もあるが、今は誰かに小さい頃の自分の事や両親のことを聞いてみたい。


今日明日ではこちらも気持ちが落ち着かないからな。

それに休まずに業務をこなしている益田さんの負担になってもいけない。


さて、とりあえず何をしよう。


と言っても、何もすることは無い。


こんなときに趣味でもあれば良かったのだろうが、チョコチョコ夢中になることはあったにはあったが続いているものは一つもない。


麦茶を入れ直してパソコンの置いてあるちゃぶ台へ。


こういう時はパソコンだな。


「趣味」


と入れただけで膨大な量の情報が出てきた。


「趣味 大人 年配 老人」


と入れ直してみる。


これまた膨大なページ数だが、先ほどとずいぶん変わっている。

流して見ていくと、裁縫や手芸、園芸や陶芸など確かに年配者でも手が出しやすいものが多くなっていた。


しかし今から始めるのに技を使うものっていうのも何だなぁ⋯。


それ以外でも山登りやハイキングコース巡りのようなものも多い。


しかし今から始めるのに体力を使うものはなぁ⋯。


これの繰り返しをしているうちに週末が終わっていた。









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