野巫の祭 48
野巫の祭 48
まるで空にそびえる城のようにも見える神殿は、階段のゴールというよりも階段を遮るもののようでもあった。
展示のライトが高いところにある神殿にピンポイントで強く当たっている。
何かそこに意味があるような見せ方になってはいるが、そこに何があったのか何がなされていたのか、説明は無かった。
少し離れた所から見ると、やはり階段の方へ目が行ってしまう。
階段にはスケールを測るためだろうが神主のような格好をした人形が置かれていて、上の神殿で神事が行われていたかのような印象を受けるが⋯
はたしてそうなのだろうか。
もう一度ミニチュアの神殿全体を見てみるとスポットライトの当たっている高い高い所にある神殿は長く続く階段と、その先にある空との境界にあるようにも見え、本来ならその長い階段はどこまでも空に向かって伸びていくものなのではないのかと思えて仕方がない。
ドックン!
また胸が、今度は激しく鼓動した。
以前⋯これと同じようなものを見た。
いや、そんなはずはない。
見たことはないはずだ。
こんなもの見たことはない。
しかし⋯
何だ、この冷たい汗が出てくる感じは。
どこかで見ているのか。
記憶を手繰ってみても何も出てこない。
失っている小さい頃にでも見ているのか。
しかし小さい頃に出雲に行ったことはないはずだし、私が生まれた時にこんな建物があったはずもない。
ドックン!
まただ。
また激しく鼓動したが、今度はさっきとは違う。
鼓動が中ではなく外へ広がっていくような。
むっ!
いる。
周りに奴らがいる。
見られているのをハッキリと感じる。
暗い展示室では周りにいる人達の顔はよく見えない。
そもそも人が多すぎて探すのは無理だ。
しかしいるぞ。
近くにいる。
丸めていた背中を伸ばし、ゆっくりと周りを眺めるように身体を一周回す。
この人混みの中に一体何人が隠れているというのか。
もう見られることには慣れてしまったのか恐怖感は無くなっていた。
とにかくここを離れよう。
明るく広い場所へ移動するんだ。
出口へと向かって少し早歩きで人混みをかき分けるように進む。
展示室を出たところで後ろを振り返ると、薄暗く広くて人がたくさん動いているのを見たら、また冷や汗が出て止まらない。
まるで⋯
何かの「巣」の中を眺めているようにも見える。
そう、まるで奴らの「巣」のように。




