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第十六話 水族館デート!!!!

無断転載・複製・商業利用禁止。

本作品の著作権は作者個人のものとする。

本作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件とは関係御座いません。

「わあっ⋯綺麗!」

俺がプレゼントした水色のトップスの裾のフリルと、白地に水色と黄色、黄緑色の小花柄模様のロングスカートが揺れる。オーガンジーの透明感がとても上品かつオシャレで、彼女によく似合っている。

左右の壁と、さらには天井まで水槽になっている、水族館内の少し薄暗い通路で、六葉さんは天井で泳ぐ魚を見上げて感嘆したり、軽い足取りで通路を進んでは、左右をキョロキョロと見て楽しそうにニコニコと微笑んでいる。

水の中で、光が揺れる。煌めく小魚の群れ、迫力のある大きなマンタ。その他さまざまな魚が、水槽内で悠々と泳ぎ、鱗を輝かせている。

そんな場所で、最も輝いているのは六葉さんだ。美人だというのもあるが、曇りの無い純粋な喜びに満ちた笑顔が、この上なく眩しいのだ。少し薄暗い通路が、神秘的な明るさを放っているように感じるほどだ。

(葉女と言うか、太陽みたいな人だ⋯何より、綺麗だ)

ドクン、と一際大きく心臓が脈打つ。

「誘ってくださってありがとうございます」

都会ではないからか、思ったよりも人が少ない静かな水族館内で、彼女の優しく綺麗な声が心地良く、耳にハッキリと届いた。

(他に相手もいないし⋯というのは事実だけど、そう口にするのはなんか違うよな。そんな言葉よりも、もっと大切な本心があるじゃないか)

「どういたしまして。でもお礼はいいよ、俺が六葉さんと来たかったから誘ったんだ」

六葉さんと同居生活を始めて一ヶ月が過ぎた。

この一ヶ月で、俺の心には特別な感情が生まれていた。

「嬉しいです」

俺の何気ない言葉にも喜び、破顔する彼女が愛おしい。

自分に笑いかけてくれることがとても貴いと思う。

彼女がくれる優しさを返したいと思える。

彼女といると心が安らぐ。

つまり俺は年甲斐もなく純粋に、そして心から______、


______六葉さんが、好きだ。


「ペンギンさんがお魚を食べる姿、可愛いですね!」

二人で水族館内を回っていると、六葉さんは一つ一つに無邪気なリアクションをして、可愛らしい。

(無反応だと楽しんでいるか不安になるしな。騒がしくはないし、むしろ丁度いい明るさというか、テンションが合うんだよな。俺は六葉さんほど、感情を出すのは得意ではないけど⋯)

「確かに、可愛いね」

(せめて、言葉を返すくらいはしないとな。実際、生で見るペンギンは思っていたよりも可愛い)

「は、はい!次、行きましょうか!」

何故か顔を赤らめる六葉さん。

その顔は、いつもよりさらに少し大人っぽくも可愛らしい。⋯というのも、以前ショッピングモールに二人で行った際、六葉さんがお手洗いに行った隙にこっそり店員のお勧めを買ったが渡しそびれていた化粧品を先日、ようやく渡したからだろう。メイクのことはよく解らないが、彼女のメイクにケバケバしさは無く、ナチュラルな感じでほど良い化粧感だ。

ちゅるちゅるとした唇が少し色っぽくてドキドキするのは仕方がない。

六葉さんは元々、唇は薄めで葉のような綺麗な形だが、リップを塗ると雰囲気がこうも変わるのか、と驚いている。

そして、たまたま六葉さんもこっそり俺にサプライズでプレゼントを用意してくれていたらしく、先日、流れでお互いにプレゼント交換をする形になった。

ちなみに、六葉さんがくれたプレゼントはオシャレで高級感のあるデザインの今治タオルハンカチだった。

イルカショーでは、後ろの方の席に座っていたにも関わらず、少々、水飛沫が飛んできたため、早速そのハンカチが役立った。

水に濡れても、六葉さんは俺に大丈夫かと聞きつつも無邪気にはしゃいでいて可愛かった。

水族館内を歩いていると、ふと冷房の風が肌を撫でた。

その風に乗って、“自分達”の香水の香りがした。

ショッピングモールで、二人でシェアして使おうと約束して購入した、あの香水だ。

爽やかな森林の香りと冷房の涼しさで、室内特有のちょっとした息苦さが楽になった。

(今朝、お互いに照れながら初めて一緒に使ったんだよな)

俺は六葉さんに、六葉さんは俺に、どこにつけるものなのだろうと二人で話しながらお互いに香水を振りかけた。

その時の六葉さんの照れ笑いも可愛かった。

「そう言えば私達、お互いにたくさんプレゼントを渡し合いましたね」

今朝の回想に浸り、羞恥心を思い出していると、六葉さんが水槽内の魚を優しい表情で眺めながらそう言った。

「そうだね」

確かに、短期間に何度もプレゼントを貰ったし、渡した。

(でも、六葉さんは人の生活を始めたばかりで、色々入り用だったからというのもあったけどな。六葉さんは俺にお世話になっているから、って気を遣ってくれていたからだし)

六葉さんは、少し気まずそうにおずおずと口を開いた。

「その⋯プレゼントはどれも凄く嬉しかったです。ただ、私はお返しがほしくて雄二さんにプレゼントをお渡ししているわけではないので、その⋯もっと気軽に受け取ってくださいね。毎回、お返しをするのは雄二さんにとって負担でしょうから」

「えっ?あぁ⋯確かに、そう思う人もいるだろうな。でも、俺は六葉さんとプレゼントし合うのは楽しかったよ。なんか、それこそプレゼント交換みたいでさ」

「⋯!ふふっ、実は私も同じことを思っていました!雄二さんはプレゼントに喜んでくださいますし、何をプレゼントするか考えたりするのも楽しいんです」

「分かる!なんなら、自分のための買い物をするときよりも、プレゼントを買うときのほうがワクワクする!」

六葉さんが顔を輝かせて、コクコクと頷いた。

「分かります!⋯えへへ、同じ考えだったなんて、嬉しいです」

「俺もだよ」

「ふふ⋯でも、必ずお返しはしないと、とかは思わなくて大丈夫ですからね?」

「もちろん。お互い、無理はせずに渡したい時に渡そう」

「はい!」

(世の人々がどうかはわからないけれど、俺って好きな人にはプレゼントを渡したくなるタイプなんだな⋯これって普通なのかな?誕生日プレゼントとかは普通な気がするけど⋯あれ?もしかして日常的なプレゼントって変かな??⋯まぁいいか。六葉さんがいいっぽいし、俺自身がプレゼントしたいんだから)

「私、雄二さんにプレゼントを渡すの好きです。いつも自然と渡したい気持ちになるんです」

「おぉ〜、同じ同じ!」

「気が合いますね!」

「ね!」

二人ではしゃぎ、その後はじっくりと水族館を堪能した。

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