第88話 天丼というやつかの?
パーティー名決定の会議(?)が終わり、受付へと戻る。
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「《真理の導き》で登録でよろしいですか?」
ミレイが淡々と確認する。
わしら四人は、顔を見合わせ、頷いた。
「では、登録しますね」
色々な意見を出し合って、決まった名じゃ。
なんでもいいとは思うておったが……
(悪くないのう)
わしは顎をさすった。
「護衛は十三の刻の鐘で出発する、レーベン行きの乗合馬車になります。
馬車組合にはこちらから連絡しておきますので、出発前までには集合をお願いします」
ミレイはそう言って依頼書を差し出した。
わしはその言葉に頷き、それを受け取る。
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昼。
少し早めに昼食を摂り、十三の刻の鐘が鳴る前に馬車組合へと向かった。
御者であろう一人に声をかけ、依頼書を見せると、護衛対象である馬車への案内を受ける。
「あんたらが《真理の導き》で、あってるかい?」
「うむ、よろしく頼むぞい」
ギルドからの連絡があったようで、依頼のやり取りは難なく終わった。
(なるほど、こういった場合のためにパーティー名が必要、と言うことなのじゃな)
合理的じゃな、とわしは顎をさする。
「まぁ、レーベンまでは一日もかからんから、何もないとは思うがな!
よろしく頼む」
御者はそう言うと、馬の世話へと向かっていった。
わしらも護衛対象の馬車へと向かう。
客車からの死角や乗客の人数、レーベンへの道のりの確認を行う。
「ドランは前方の警戒。
わしは後方の警戒を行う。
アリアとフレインは客車内から周囲と乗客の警戒を頼むぞ」
「分かりました」
「問題ねぇ」
「承知しました」
わしが指示を出すと、アリア、ドラン、フレインが頷いた。
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十三の刻の鐘が鳴り、馬車はラグナールを出発。
道中、何度か魔物の襲撃はあったが──
「邪魔だ」
ドランの槍が一閃し、飛び出してきた魔物を叩き落とす。
続けて客車から放たれた矢が、木々の影に潜んでいたもう一体を正確に射抜いた。
「……問題ありません」
フレインが淡々と告げる。
それ以上の混乱もなく、馬車はそのまま進み続けた。
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「いやー、ギルドから腕前は確かだとは聞いていたが無駄がなく見事な護衛だった!」
御者はそう言いながら依頼書へ依頼完了のサインをした。
「うむ、確かに」
わしはそれを受け取り、御者と握手を交わす。
「また機会があったら頼むわー」
そして御者から離れ、わしらはレーベンの宿へと足を向ける。
「それにしても、フレインさんの矢は見事でしたね」
アリアが振り返ると、フレインはわずかに首を傾げた。
「当然のことをしたまでです」
「いやいや、普通はあんな距離で当てねぇって」
ドランが苦笑する。
フレインは少しだけ考え──
「……そう、なのですか?」
「うむ、大したものじゃわい」
わしらがそう言うとフレインは少し照れたように笑った。
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宿へと到着。
以前も泊まった宿じゃ。
「いらっしゃい!あら、また来てくれたのね」
宿の女将がそう言った。
「覚えておるのかの?」
「当たり前さぁ。一度泊まってくれた客のことは忘れないよ」
女将はそう言って、豪快に笑った。
「で、今日こそお嬢ちゃんとあんたは一部屋でいいのかい?」
女将は少しニヤリとしながら言う。
「いえ!前回と同じく別々です!」
アリアが顔を赤くして叫んだ。
「じゃぁ、そっちのエルフの方と……」
「そっちも違いますってば!」
「そうかい?若いのに……」
アリアは、女将に呆れた顔を向けた。
「絶対からかってますよね?」
「ふふっ、ついつい」
女将は悪びれるでもなく笑った。
「四部屋じゃが問題ないかの?」
「あいよっ、朝は食事付きでいいかい?」
わしは頷き、代金を支払う。
「ごゆっくり〜」
女将にそう言われ、わしらは部屋へと移動した。
明日は久しぶりにレーベン領主、エルンスト殿に会い、許可証の発行じゃな。
わしは頭の中で明日の予定を確認し、そのまま眠りについた。
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