表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【錬金術師の再臨】〜錬金術が消えた世界で、わしの知識だけが規格外だった〜  作者: 新生浮世
第二章 エルフの国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/139

第74話 しくじったわい

 蒼白い光が収まり、森に静寂が戻った。


 だが終わりではない。


「まだ残っておる! 前衛、構え直せ!」


 ファルネスの声が響き、エルフたちが再び武器を構える。


 術式で半数以上は吹き飛んだが、

 残った魔物が散り散りになって森へ逃げ込んでいた。


「逃がすな! 森の奥へは行かせるな!」


 エルフたちが一斉に散開し、残党狩りに入る。


 アリア、ドラン、フレインはボニフの元へ駆け寄った。


「ボニフ殿、術式……見事でした」


「すげぇもん見たぜ……!」


 アリアは息を整えながら頷いた。


「でも……まだ終わってませんよね」


「うむ。魔物を誘導した“本体”が残っとる」


 わしは森の奥を見据えた。


「魔力の線は五本。

 それぞれに“誘導役”が一人ずつおるはずじゃ」


「じゃあ……分かれて向かうんですね」


「そういうことじゃ」


 ファルネスがこちらへ歩み寄る。


「魔物は我らで片付ける。

 お前たちは“導線”を辿れ。

 敵の術者を放置すれば、第二波が来る」


「任せるぞ、ファルネス」


「……お前が言うと嫌味に聞こえるな」


「褒めとるんじゃが?」


「余計に腹が立つわ!」


 ファルネスは肩をすくめ、再び戦場へ戻っていった。


****


「では、行くぞ。

 アリアは一番左。

 ドランはその隣。

 フレインは右。

 おぬしらはその隣。

 わしは一番中央を行く」


「了解です!」


「任せろ!」


「承知しました!」


 三人とこちらの対応に回ったエルフ達はそれぞれの方向へ駆け出した。


 わしも中央の導線へ向かう。


****


 森の奥、魔力の流れが一点に集まっている場所があった。


 そこにいた。


 黒いローブを纏い、顔を隠した男。


 魔物の誘導に使われた“歪んだ魔力”が、まだ周囲に漂っている。


「お主が誘導役か?」


 男は無反応。


 ただ、こちらを見ている。


「……喋らんか。

 まぁええわい」


 男が手をかざす。


 魔力が歪む。


 魔物の残滓が形を成し、獣の影が飛びかかってきた。


「遅いわ」


 わしは短剣を抜き、影を一閃。


 男の胸元へ杖を突きつける。


「終わりじゃ」


 魔力を叩き込むと、男は木の根元へ吹き飛ばされ、動かなくなった。


「……弱いの」


 わしは息を吐き、次の導線へ向かう。


****


 二つ目の導線へ向かうと、エルフの若者たちが立っていた。


「ボニフ殿! こちらは片付きました!」


 倒れた術者が一人。


「そうか。よくやった」


 わしは頷き、次へ向かう。


****


 三つ目の導線へ向かう途中、フレインが戻ってきた。


「フレイン、どうした?」


「終わりました」


「早いの。何をした?」


「矢を一発、射っただけです」


「……ほう?」


「胸に当たった瞬間、魔力が乱れて……そのまま倒れました」


「なるほどのう。

 お主の矢は“魔力を裂く”性質がある。

 あやつらのような“魔力依存型”には相性が良い」


「恐縮です」


 そこへドランが合流した。


「おーい! こっちも終わったぞ!」


「どうじゃった?」


「弱っちいやつだったな……何も喋らねぇし」


「ふむ……」


 わしは眉をひそめた。


(弱すぎる……全員が、じゃ)


「フレイン、ドラン。

 お主らは魔物の残処理に戻れ」


「了解です!」


「任せとけ!」


 二人は戦場へ戻っていった。


****


(……おかしい)


 五本の導線。

 五人の術者。



(全員、弱すぎる)


 誘導の規模からして、

 “末端だけ”で成り立つはずがない。


(主導者が……おらん?

 いや、そんなことはありえん)


 嫌な予感が背筋を走る。


「まさか……!」


 わしは全力で駆け出した。


 向かう先は──アリアの導線。


(読み違えたわい……てっきり中央に主導者がおるものじゃと)


 わしは歯噛みながらもアリアの元へ急いだ。


****


 アリアの導線に着いた瞬間、空気が変わった。


 重い。


 冷たい。


 そして──


「っ……!」


 アリアが短剣を構え、必死に攻撃を受け止めていた。


 その相手は黒い外套を纏い、仮面をつけた男。


 遺跡でアリアを攫った、あの男。


「……久しいのう」


 わしが声をかけると、男はゆっくりとこちらを向いた。


「遅れて……すまぬ」


 アリアが振り返り、弱く笑った。


「結構……頑張ったんですけどね……」


 そのまま、糸が切れたように気を失う。


「アリア!」


 わしは倒れたアリアを抱きとめた。


「……気絶したアリアを抱えるのは、これで二度目じゃのう」


 わしはゆっくりと立ち上がり、男を見据える。


「それも──あの時と相対する敵が同じとは、皮肉なことじゃ」


 男は、仮面の奥で静かに目を光らせた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


よろしければブックマーク・評価をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ