幕間3 旅の途中のひととき
◆◆小休止
王都へ向かう街道の途中。
日が傾き始めた頃、わしらは小さな村に辿り着いた。
「今日はここで泊まるとしようかの」
「うむ。馬も休ませねぇとな」
「ミナ、ねむい……」
ミナがドランの腕にしがみつきながら、こくりと船を漕いでおる。
村の宿は質素だが清潔で、
旅人が時折立ち寄る程度の静かな場所じゃった。
◆◆アリアの髪結
部屋に荷物を置き、
ミナがベッドに座ると、アリアがにこりと笑った。
「ミナちゃん、髪ほどけてるよ。結び直してあげる」
「うん!」
ミナは嬉しそうに背を向ける。
アリアは器用に指を動かし、
ミナの髪を丁寧に梳きながら結い直していく。
「アリア、じょうず……」
「ふふ、ありがとう。
昔、妹の髪をよく結んであげてたんです」
「いもうと……?」
「うん。ミナちゃんと同じくらいの歳だったよ」
アリアの声は優しく、どこか懐かしげじゃった。
(アリアも……色々あったんじゃろうな)
◆◆ドランの決意
外ではドランが槍を構えていた。
夕暮れの光の中、
その動きは以前よりもずっと鋭い。
槍先が空を切るたび、
風がひゅっと鳴る。
「ドラン、随分と腕が上がったのぅ」
わしが声をかけると、
ドランは槍をくるりと回して地面に立てた。
「……ああ。
ミナを守るって決めてから、迷いがなくなった」
ドランは槍の柄を握りしめ、空を見上げる。
「王都に着いたら……ミナの両親を探すんだろ。
その時、何が起きてもいいようにしておきたい」
「うむ。心構えとしては十分じゃ」
わしは頷く。
ドランは再び槍を構え、
低く踏み込み、鋭く突きを放つ。
その一撃は、
以前の彼とは比べ物にならんほど“迷い”がなかった。
◆◆ボニフの薬草講座
宿の裏庭には小さな畑があり、
薬草がいくつか植えられておった。
「ミナ、これは何かわかるか?」
「んー……みどり!」
「それは見たまんまじゃ」
わしは苦笑しながら葉を摘む。
「これは“サルナ草”。
傷薬の材料になる。
葉を揉んで患部に貼ると痛みが和らぐんじゃ」
「すごい!」
「うむ、もっと褒めてよいぞ」
「また調子に乗ってる……」
アリアが呆れたように言う。
「でも、ボニフさんの知識は本当に助かってますよ」
「む……それは素直に嬉しいのぅ」
◆◆ミナ、がんばる!
夕食を終え、
ミナはアリアの膝の上で眠ってしまった。
「……すぅ……」
「ふふ、よく寝てますね」
「今日は色々あったからの」
ドランが毛布をそっとかける。
「王都に着いたら……ミナの両親、見つかるといいな」
「うむ。必ず見つけるぞい」
わしは静かに答える。
翌朝。
ミナは元気いっぱいに目を覚まし、
アリアは髪を整え、
ドランは剣を腰に下げ、
わしは馬車の準備を整えた。
「よし、行くかの」
「うむ!」
「はい!」
「おとうさんとおかあさんに……あいにいく!」
ミナの言葉に、
わしらは自然と笑みを浮かべた。
こうしてわしらは再び馬車に乗り、
王都へ向けて旅を再開した。
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