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【錬金術師の再臨】〜錬金術が消えた世界で、わしの知識だけが規格外だった〜  作者: 新生浮世
第三章 帝国編

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第123話 言わぬ方がよいじゃろう

 翌朝。


 わしはアリアとフレインを伴いドランの部屋へ。


「なんだ? ようやく帝都へ出発か?」


 まだ一泊しかしておらんが、ドランがそう切り出した。


「出発は出発じゃが、伝えておくことがある」


 そう言うと、わしの言葉のトーンに三人は居住まいを正し、わしへの視線を集中させた。


「帝都にアルバートがおるらしい」


「「!!」」


 アリアとドランが即座に反応する。


「アルバート……とはどなたでしょうか?」


「アルバートは、フィオを誘拐した事件の黒幕、と言われていた男です」


 アリアがフレインの問いに答えると、フレインの表情がわずかに曇った。


「なるほど。それは私にも無関係ではありませんね」


「国外逃亡って、公爵が言ってたよな。

 逃亡先が帝国だったってことか」


 ドランが鼻息を荒くして言った。


「しかし、何故ボニフさんがその情報を?」


 アリアは少し落ち着きを取り戻し、わしへと聞いた。


「昨夜、ルークに聞いたんじゃ」


 わしがそう言うと、ドランが眉を顰めた。


「はぁ? またあいつか……いつの間に接触してたんだ」


「たまたま帝国でわしらを見つけたらしい。

 本当かどうかは知らんがな。

 で、昨夜向こうから接触しにきた」


「ルーク、というと森で会ったあの方ですか」


 フレインの言葉にわしは頷く。


「何故、ルークはわざわざボニフさんに?」


「アルバートの件で協力を要請された。

 目的や意図も分からんが」


「罠じゃねーのか?」


 わしの説明に、ドランがそう訝しむ。


 確かに、罠……その可能性もなくはないが。


「薄い、じゃろうな。

 罠ならばわざわざ接触して説明せんでも可能じゃろうしな」


「ま、そう言われりゃ確かに」


 ドランは納得したのか、肩の力を抜いた。


「ボニフ殿は、その要請に応えるのですか?」


「そのつもりじゃ。協力すれば帝国を抜けるのを手助けしてくれるらしいしの」


 わしがフレインの問いかけに答えると、次はアリアが聞いてくる。


「それは本当なんですかね……」


「あの様子じゃ恐らく本当じゃろうな」


「あいつにそれが出来る、と?」


 ドランの言葉に、わしは推測を話す。


「恐らく、あやつは帝国で何かしらの組織、または公的な機関に所属しておる。

 本人は答えんじゃったが、”帝国の人間"とは言っておったしな」


「教団の人間では、ないと?」


 フレインは森での一件からルークは教団の人間であると思っておる。


 それはわしも同じじゃったが。


「正確には分からん。じゃが、そう考えると辻褄があうのでな」


「まぁ、それが本当だとして……ボニフさんはアグリスまでの道のりのために協力を?」


 アリアの言葉にわしは小さく頷く。


「それだけではないがの。

 王国での誘拐事件、フィオの誘拐。

 その黒幕を放っておくと何が起きるか分からんしの」


 わしがそう言うと、三人は大きく頷いた。


(それだけでは断っておったことは言わん方が良いじゃろうな)


「それに、ルクセリアの獣人制度の件にもアルバートが関わっておるらしい」


 ──ガタッ。


 わしが言うとアリアが立ち上がった。


「それも……ルークの情報ですか?」


「そうじゃ」


「アルバート……許せない……」


 アリアは誰に言うでもなく、そう呟いた。


 わしはアリアの中にある魔力波動を見る。


(また、微かに魔力の波動が反応しておるの)


 まぁ、今はまだ観察までかの。


「まぁ、色んな理由はあるが、ルークの要請に応えて協力する方向で考えておるが」


 わしはここで一度言葉を切り、三人を見る。


「おぬしらもそれで良いかの」


「賛成です! 絶対に逃しません」


「当たり前だろ。ミナの件はまだ許してねぇからな」


「勿論お付き合いいたします。フィオの件もありますしね」


 三人はそう言って大きく頷いた。


「一応言っておくと、協力するだけじゃぞ……帝国内じゃし、出来ることと出来んこともあるしの」


 少し三人、特にアリアとドランの勢いが強いのでわしはそう言った。


「えぇ! 分かってます。分かってますよ!」


「次は逃さず、ギッタンギッタンにしてやる」


 あまり、効果はないようじゃな。


(帝都までまだ時間はかかるじゃろうし、そのうち冷めるとよいが)


 わしはそう思いながら、肩をすくめた。


「ちなみに、宿はルークが手配するらしいぞ。

 代金も向こうが持つらしい」


「それは、いいとこあんじゃねぇか」


 ドランは現金にそう言った。


「探す手間が省けていいですね」


「教団のお金……ではないですよね?」


 アリアも素直に受け取るが、フレインは代金の出所にひっかかったようじゃ。


「そこまでは分からんの。

 じゃが、帝国の経費、じゃろうな。

 わしの推測があっておれば、じゃが」


「そうですか。考えても分かりませんが、もしそうならあまり気持ちの良いお金ではないな、と思ったもので。

 すみません」


 フレインはそう言い、頭を下げた。


「その感覚は真っ当じゃ。

 じゃが、今考えても分からぬし、違うという前提で受け取っておく」


「分かりました」


 さて、伝えるべきはこんなもんじゃろうな。


「あ!」


 アリアがいきなり大声を上げる。


「なんじゃ?」


「えーと、サーシャさんはどうするんですかね?」


 アリアの言葉に、わしは視線を逸らした。


 そういえば完全に忘れておったわい。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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