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【錬金術師の再臨】〜錬金術が消えた世界で、わしの知識だけが規格外だった〜  作者: 新生浮世
第三章 帝国編

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第113話 会議は踊り、答えは一つ

 わしらは宿へと戻る。


 サーシャは「明朝にまた来るであります」と言って自宅へと帰っていった。


 夕食を宿で取った後、四人でわしの部屋に集まる。


「今日で二泊目ですね。

 明日は帝都方面に移動ですか?」


 アリアがはやる気持ちを抑えつつも、そう言った。


「そうじゃの。公務という体じゃったが、この街でのポーズは十分じゃろう」


「案内はサーシャに任せる。今ん所はそんな感じか?」


 ドランの言葉にわしは頷く。


「恐らくニクソン代官の監視役……じゃろうが帝国のことは正直分からん。

 少し面倒じゃが渡りに船というところもあるのう」


「しかし、サーシャ殿を見ていると監視されている……そんな感じは見受けられませんね」


 フレインは今日のサーシャを見た感想を、そう述べた。


「確かに、なんというか本当に案内役として張り切ってるって感じでしたね」


「いや、本当に案内役なんじゃねーのか」


 アリアとドランもサーシャに感じたことを言う。


 確かにあれで監視役──は不自然じゃな。


「案内役にしろ、監視役にしろ……

 わしらは別に帝国に何かをしようと言う意図はないからの。

 無事に入国するための名代という手段が、少し厄介になっただけじゃ」


「一旦、帝都までは普通に移動できますしね」


 アリアが笑顔で、わしの方を見てそう言った。


「それにしても、次の街でドランをどうするか……それは決めておく必要がありそうじゃの」


「元老院……そう言っていましたね」


 フレインがそう呟く。


 次の街は元老院の色が強い、そう言っておったな。


「公爵の手紙にも確かその言葉を書いてましたよね?」


 アリアが空を見ながら思い出すように言った。


「そうだったか? よく覚えてんな」


「確か"軍部、政治部、元老院で不穏な空気がある"──じゃったかの」


 わしもアリアの言葉で思い出しながら言った。


「その、元老院がどういったもので、その色が濃いとドラン殿にどう影響するのか……

 それが分かりませんと対策が難しいですね」


「元老院は分かりませんが、サーシャさんの様子からして、ドランさんへの視線も露骨になるってことですかね」


 フレインの悩みにアリアも続ける。


「そんなもん、無視すりゃいいだろ」


 ドランはそう言うが──


「無視、出来る程度なら問題ないんじゃが。

 露骨な排斥行為……つまり街に入れない、または街から追い出される。

 こうなると実害が出る可能性があるのう」


「そりゃ……厳しいな」


 わしの言葉にドランは少し考え、答えが出なかった。


「でもサーシャさんはあくまで公務として外に出さない方がいい、そう言ってましたよね。

 つまり街にはとりあえず入れるんじゃないですかね」


「恐らく。じゃが最悪のケースは想定しておった方がよい」


 わしの部屋は再び沈黙に包まれた。


 これはかなり厄介じゃな……次の街の雰囲気や制度が分からんと対策が取れぬ。


 サーシャに聞くか?


 いや、さすがにこれ以上口を滑らせるとは思えぬな。


 滑らせる可能性もあるが、それに賭けるようなことでもないしの。


「他の街、を経由するのはどうなんですかね」


 アリアがポツリとそう言った。


「サーシャの言ってた次の街を通らずに帝都へ、ってことか」


「選択肢としてはありじゃな。

 じゃが最短ルートでなくなるため時間はロスするの」


「それに他の街でも元老院という組織の色が強ければ同じですしね……」


「そう、ですよね」


 アリアが思いついた案も厳しそうということに肩を落とした。


「つーかよ」


 ドランが体を起こして口を開く。


「ボニフやフレイン、それにアリアが考えて分かんねーってことはよ」


 ドランがわしらへと視線を向ける。


「次の街に行って考えればいいんじゃねーか?」


 一拍。


「何かあったらその時はその時で考える。

 不味いことが起こればボニフがなんとか出来んだろ?」


 ドランが真っ直ぐな視線で、わしを見た。


 その目には強い"信頼"──その意思がこもっておった。


 わしは思わず笑った。


「そうじゃの。まぁなんとかなるか」


「そうだぜ。今までもそうやってきただろ」


「ドラン殿らしいですね」


 フレインもフッと笑った。


「ドランさんのお陰でふっきれましたね!」


「よせよせ、照れくせぇ」


 ドランはそう言ってベッドに横たわった。


 それ、わしの寝るベッドなんじゃがな。


 わしはそう思ってまた笑った。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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