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【錬金術師の再臨】〜錬金術が消えた世界で、わしの知識だけが規格外だった〜  作者: 新生浮世
間章 長旅前の準備編

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第93話 この街のギルドは大丈夫なのかの?

 レーベンのギルドへ。


「えー……もしかして面倒ごとですかね……」


 リサはいつものやる気のなさを見せながらも、さすがに雰囲気を察したのか少し顔つきを変えた。


 ほんの少しだけ、じゃったが。


「依頼の途中で壊れた荷馬車を見つけての」


「へぇ」


「んで、近くに御者のこの男を保護して連れて帰ったのじゃ」


「なるほどー」


「で、男が盗賊に襲われた、というのでな。

 ついでに根城まで抑えて、その場所で縛って放置しておる」


「はい?」


 わしがそこまで言うと、リサはよく理解出来ずに、いや理解したくない……という顔をしておる。


「ボニフさん、それだけじゃ分からないと思いますよ?」


 アリアが横から口を挟んだ。


「そうかの?ありのまま、なのじゃが……」


「いえー、分かった上で、何言ってんだこいつ、とは思ってますよー」


 リサがそう返した。


「それはそれで、どうなんですかね?」


「よくはねぇが、言いたいことはなんとなく理解できるな」


 フレインが疑問を呈し、ドランが頷いておった。


「腑に落ちんのぅ」


「……とりあえずー」


 リサは、さして慌てもせずにゆっくり立ち上がった。


「こんな面倒っぽいのはマスターに投げちゃいますねー」


 そう言ってサッサとマスター室へと向かった。


 しばらくすると、レーベンギルドのマスターであるガルドが、やってきた。


「おう!なんだ、君たちか!」


 わしらを見ると、ガルドは豪快な笑顔を見せて、大声でそう言った。


「で?どうした?」


「え?リサさんからお話は……」


「ん?あいつがそんな説明するわけないだろう!

 「面倒なんであとはよろしくー」 と言われたから来てみた!」


「それでいいんですかね……」


 アリアが呆れておる。


「細かいことは気にせんでよい!

 とりあえず奥の客間で話を聞こう」


 そう言われ、御者の男と共に客間へと向かった。


****


「なんというか……」


 ガルドは腕を組みながら、こちらを見据えた。


「以前のラスティンの件で、君たちには助けてもらったが」


 そこで言葉を区切り、そして続けた。


「君たちは、何か大きな事件でも解決せんと気が済まんのか?」


「そう言われてものぅ」


「確かに、今回は本当に偶然ですしね……」


「まぁ御者は無事! 盗賊も自由を奪った!

 万事解決だろ?」


「確かに、結果を見るとそう言えますね」


 わしら四人は口々にそうこぼした。


「まぁ、結果だけ見ればそうだな!

 とりあえず盗賊の件は他のやつに捕縛に行かせる。

 しかし問題はだな……」


 ガルドは御者の男に視線を移した。


「逃げ出した冒険者パーティー……か」


「はい、私は隠れていたのでなんとか……

 この方々にも助けていただきましたので、事なきを得ましたが」


 男は、そこまで言って言葉をなくした。


「まぁ、ふざけんな!って気持ちはあるよな」


 ドランが男の様子を見て、代弁するように言った。


「とりあえず、そいつらに関しても、わしから王都ギルドの方へ情報をあげておく。

 まぁ恐らくは冒険者資格は剥奪。

 そして、禁固刑だろうな」


 ガルドがそう告げた。


 自分の命惜しさに逃げた結果禁固刑、か。


 少し厳しい見方をする奴もおるのかもしれぬが……


(逃げるなら護衛対象も連れて逃げるべき、じゃったのじゃろうな)


「すみません。

 あまり人のことを恨む、ということはしたくないのですが」


「いや、いい。

 君のその感情は正当なものだ。

 むしろギルドの一員として、わしからも謝っておく」


 そう言ってガルドは男に頭を下げた。


「おぬし前回もじゃがギルドの不祥事で謝ってばかりじゃのう」


「仕方ないだろう……」


 体格や声も大きく豪快な男が、少し体を小さくしながら呟いた。


「で、もう一つの問題、だがな……」


 ガルドは顔を上げて、わしらの方を見た。


「「「「もう一つの問題?」」」ですか?」


 わしら四人は心当たりがなく、同時に反応した。


「いや、お前ら一回で三つの依頼完了させただろ……その処理がな」


「いや、依頼の登録は《街道の魔物討伐》だけじゃぞ?」


「いや、それはそうなんだがな。

 実態は勝手に依頼を完了させた、っつーことになる」


「でもよ、マスター」


 ドランが口を挟む。


「偶然、倒れてた荷馬車があったら気になるだろ。

 そして男が倒れてたら助けるだろ。

 で、近くに盗賊がいたら危ないから対処するだろ。

 仕方なくねぇか?」


 時々、ドランはこうした核心を突くのぅ。


(そして核心をつくタイミングがうまいの)


 おそらくは天性のものじゃろうな。


「んー、あー、それはそうだな。

 リサではないが面倒臭い!」


「マスターがそれでいいんですか……」


 アリアは半目になっておった。


「もう、三つお前らが依頼完了したことにして報酬を受け取れ!

 "規定"の方は俺がなんとか押し通してやるわ!」


 ガルドはそう言って、がははと笑った。


「なんか、そこはかとなく不安ですね」


「それに関しては、わしも同意見じゃの……」


 アリアの言葉に、わしも口からそうこぼした。


「こういうのを臨機応変、というのですかね」


「お? そうだろう! そっちのエルフは分かってるじゃねぇか!」


 そう言ってガルドはまた笑った。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


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