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零ー42 念には念をいれましょう

最初の方を見返してみると空白が多すぎて少々驚きました。上手くかけるように日々精進していきますのでよろしくお願いします。


いきなりの罠を苦しくもなんとか脱した俺達は取り敢えず()()で意見交換をしていた。


「まず俺から。相手は魔法の隠蔽を使う。俺がこの前使ったやつと同じだ」

「魔法の警戒は私に任せてください。ルイさんのと違ってまだ気付ける程度の魔法でした」

「俺は全くわかんねぇ!」

「……馬鹿ですからね」

「んだとぉ!?」


終了。


「――でさ、どうする?」

「どうする、とは?」

「いや、さっきからなんかいるよな」

「いますね」

「どうする?」

「ルイ、剣」

「はい」


俺はアストから預かっていた大剣を渡す。


「はぁぁぁぁっ!」


俺達が止める間もなくアストが剣をその何かに向かって横薙ぎに振るう。すると、その何かは咄嗟に剣を避けながらその姿を現した。


"カメレオン"


俺の目が確かなら姿を現したそれはカメレオン。ぎょろりとした目に全身を覆うざらりとした鱗。そして、やけに長い尻尾を持つそれを見てリレンとアストは「「……龍?」」と不思議そうな顔をしている。

それも無理はない。何せそれは――



「なんでこの世界は地球の生き物が巨大化して出てくるんだよ……」


その大きさは俺達の背丈を優に超えて俺達が見上げてしまう程。だいたい20メートルくらいだろうか? その全長は長い尻尾を合わせると100メートルはありそうな化物。


不思議そうな顔をしながらもリレンとアストは油断なく得物を構えている。


「はい、質問」

「どうしました?」

「俺が知るこの生き物は本来地上で行動するような生き物ではありません。なので通常なら問題なく勝てるでしょう。何せ本来1メートルすら越さないような生物ですから」

「変な口調だな」


うるさい。


「で・す・が、もしあれがこの生き物に影響を与えるとしたらどうなるのでしょう?」


落ちてきたこの空間にあった不自然なもの。それは――空。


加えて今は昼、太陽が出ていないとおかしいはずの時間。遺跡に空があるという事は棚に上げ、俺は今が薄暗い夜のようだと言うことに疑問を持っていた。


リレンとアストがそれに今気付いたかのように目を見開く。


カメレオンの怪物がその巨体に似合った太く、低い、鼓膜を震わせる大質量の咆哮をそれに向かって上げた。自らの存在を誇示するかのように。



雲がゆっくりと動き、それは姿を現した





――緑色の月が



「ッ――下がれぇぇぇぇぇ!!!」


瞬間、アストがこれまでにないほどの緊迫した声を上げる。

それに対し俺とリレンは疑問を持つ前にアストに従い怪物に背を向けながら全力で駆け出していた。それほどまでにアストの声には鬼気迫る物を感じさせたからだ。



「《隆起せよ-粉砕されとも再び我らを守護せよ――双岩璧》!」

「《汝何者も通さぬ風-我望むは鉄壁の暴風――風壁》!」


俺達の前を走っていたアストが止まったタイミングでリレンはカメレオンの方向に2つの岩の壁を、俺はそれに続いて風の壁を岩の後ろに作り出す。

時間にして10秒と少し。



それから一拍遅れて、何かが落ちたような音とともに俺達の体を衝撃が襲う。


俺はそれに吹き飛ばされたが、空中で2回3回と回転して勢いを殺し、着地した。


「すまん、距離見誤った」

「いえ、そもそもアストがなにも言わなかったら私達全員死んでいましたよ」


俺と同じように着地した2人が言葉を交わす。


アストがこれに気付いたことも凄いが、それに合わせて壁を作ろうとしたリレンも何故そのような考えに行き着いたのかが分からない。お陰で怪我もなくこうしていられるんだけどさ。


「で、恐らく敵はさっきの化物と合わせて2体いるが……どうする? 俺が1体引き受けてその間に2人でもう1体をやるか?」


この中では魔法と剣を両方使える俺が1番1人で戦うのに適してると思い土煙の方を見ながら2人に提案する。


アストが首を振った。


「いや、俺があのでけぇ奴を相手にする。俺とリレンが一緒に戦ったら最悪俺がリレンにやられちまう」

「アストが私の射線上に入ってくるのではないですか」

「お前の魔法が無差別すぎるからだっての! 俺にあれをどう避けろと!?」

「飛べばいいじゃないですか」

「じゃあお前が前衛になれ!」

「後衛職の私に前衛をやれと? 馬鹿ですね」

「あぁ゛!?」


まーた始まった。

取り敢えずアストがカメレオンを相手にして俺とリレンが落ちてきた奴をやるって事か。



やがて土煙が晴れ始めると俺達はそれぞれの得物を構える。


が、パチパチパチと手を鳴らすような音と俺達ではない男の声がが聴こえ、俺達は眉を潜めた。


「いや〜まさか初見で僕のとっておきを防がれるなんてねぇ〜。ビックリビックリ、称賛に値するよっ。いや〜すごい凄い」


風が吹き、土煙が完全に晴れるとそこには緑髪の男が手を叩いて笑っていた。


一見するとどこにでもいるような普通の男。けれどその横にはあのカメレオンが大人しく付き従っていることから仲間、もしくはその上位者。だがそれにしては――



「貴方、少なくとも人間ではないですよね?」


リレンがそう言うと男は何を当然な事を、という顔をするが俺もリレンと同じような事を思っていた。何せこの男――()()()()()からだ。

強者特有の雰囲気もない、カメレオンからは感じる異界種特有の雰囲気も男からは感じない、神と同じ空気を纏っている訳では無い。それはここにいる者としては異質すぎる。


おまけに2つの岩の壁を破り、俺の風すら無視して俺達に衝撃を与えてきた存在はこの男以外考えられない。


そんな俺達の疑念を他所に男はやけに馴れ馴れしく手をひらひらと振りながら接してくる。


「そんな警戒しないでよ〜。大丈夫大丈夫、僕は他の異界種より話が通じるタイプだって自負してるからさ〜」


大丈夫という男の言葉に反して俺達の警戒は最大にまで引き上げられた。

この男は自らを異界種と言葉にした。そして俺達はそれに気付かなかった。それだけでこの男が誰かが容易に想像つく。



「……幻魔フェニックス」

「幻魔? まあ今は訳あって君たち人間と同じ姿になっちゃってるけど僕がフェニックスだよ。フェニさんとでも呼んでね? よろしく〜」


男は事も無げにそう言った。


"幻魔フェニックス"


俺は日本にいた頃にフェニックスの事なら少しだけ目にした事がある。それは自らの寿命が近づいた時、炎の中に飛び込み再び蘇るというものだ。

そのフェニックス。どうやらこの世界では死に瀕した際、風になってその存在を一時的に消すらしい。故に過去の人々はどうやっても倒せなかったので封印する事になったのだとか。


俺はそんな不死のような力を持つのならそこまで強い訳では無いと勝手に思っていた。不死がフェニックスの本質と。そして同じ風を使える俺ならそれにも対抗できるものだとも思っていた。風になった所を風作った檻にでも入れてリレンに凍らせれば良いと。



――けれどそれはあまりにも楽観的すぎた。


先程のあれで間違いなく不死だけがフェニックスの武器ではないと分かってしまったからだ。全てを破壊し尽くす風――それこそがこのフェニックスの1番の武器。


正直、相性最悪な気がしてならない。



「あ、勝てないって思ってる? 大丈夫大丈夫、僕の力は全盛期の3分の2くらいには落ちちゃってるから君たちでも十分勝ち目はあるよ〜」


あはははは、と自らの力が落ちている事を俺達に伝えなくてもいいはずなのに伝えてくる。


「舐められてるな」

「舐められてますね」

「そうだな」


「どうする?」

「どうしますか」

「どうするんだ?」



……



「「「まず殴る(ります)!」」」


幻魔フェニックスとの戦闘が始まった。

ルイ達は決して脳筋な訳ではありません。ただ、幻魔と遭遇した際にはどうするかを元から考えていて、ルイが提案した"力を出される前に叩く"という理由からです。第2形態第3形態なんてものがあったら面倒ですからね。

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