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零ー30だいたい1光がのほほんとすると1光は墜ちていく

 △▽△▽△▽

 

『……ここは何処だ?』


 そこはとある荒野。

 茶の【グラール】は何処に行くかも決めず、ただ何となく降りた先が荒野であった。

 付近には何か小さな生物は居るがそれ以外の生物は全く見つからない。


 グラール、性格はしっかりしているが行動の大体の事が大雑把なのである。


『……ふむ、見事に何も無いな』


 己のの存在を知りに降りたというのにその聞く相手がいないのではどうしようもない。

 象の姿になっているグラールは取り敢えず辺りを探索してみることにするのだった。



『――この体は疲れを感じるのだな』


 丸一日歩いていたグラール


 少し疲れたらしく歩くペースを少し落とした。

 だが何も食べずに丸一日歩き続けていたのはさすがと言うべきだろう。まるで象の姿をした別の何かである(光だが)。


 と、歩いていると疲れが癒えたらしく、歩くペースを元に戻していた。

 タフで高速回復、グラールは耐久面では光達の中でも1番である。


 そんなこんなでグラールはその後も荒野をあっちこっちへペースを落としたり上げたりしながらも2日ほど歩き回っていた。


『む、……重いな――』


 ふと、足下に違和感を感じたグラールは歩くのを止め――



 ――ゥゥゥニャァッ!

 ――ゥ゛ーッ!

 ――ァァァッ!

 ――ニャアッ!


 褐色の何かがいた。


 グラールが最初に思った事はそれであった。自らの脚に噛み付きながらぶら下がっている小さき生物。


 いつの間に来ていた?

 何故噛み付いている?

 そもそもこの生物はなんだ?


 様々な疑問がグラールの中に巡る。


 巡り巡った末にグラールは、



『――害が無いならば問題は無いであろう』


 無視する事にした。


 本来なら問題ありありなのだが、幸いグラールはタフである。それは例えハイエナに噛まれていたとしても痛いと思わない程タフなのである。


『しかし……一体何をしたいのだ、小さき者達よ』


 ――ャァッ!


『……腹が減っているのか? ふむ……だが我はこの体では何も出来ぬのだ。すまぬな』


 ――ニィャッ!


『なら貴様を喰ってやろう? それは無理であろう。なにせ我に食べれる部分など無いのだから』


 ――ニャアッ!


『……ならば狩りを手伝えと? ふむ……我が何者なのかを教えるのならば手助けくらいは構わんよ』


 ――ァァ? ニーニァッ! ォォォ……


『何故そんな事も分からない? 貴様は象だろ! 唯の象では無いようだが……と? ……そうか、我は象というのだな……いいだろう、約束だ、我は何をしたらいい?』


 ――ニァャッ!


『……ついてこい、か』


 グラールは脚から離れた生物達に先導されながらも再び歩き出した。



『――ところで小さき者達よ。先は何故我の脚に付いていた?』


 ――ォォォ……二ーァォォニャァッ!


『付いていのではなく噛んでいたんだよ、それに最近は変な余所者が入ってきたせいでまともに狩りか出来もしねえ! ……と。なるほどな……』


 ――ニャォォ……ャャアアッ


『俺らはそいつを追い出そうとしたんだが負けて仲間を失った、だから貴様の力を借りたい……具体的には我は何を?』


 ――ォォッ


『囮、か。まあいいだろう…………ん? 小さきもの達は何故我と同じ言葉を話せる?』


 遅い


 本当に今更ながらその事実に気付いた様子のグラール。

 普通に話していたせいで逆に違和感を感じる事が無かったが、ふと考えるとおかしいことに気付く。


『(この小さき者達は我と同じ存在? いや、そんな筈は無い。我等は6光しかいない、故にこの者達は…………いや、なんだ?)』


 徐々にグラールは自分が何を考えているのかが分からずちょっとしたパニックに陥ってしまった。


『二ー、ァァニァッ(いや、確かにそれは俺達も気になってた事だ)。ォォァニィァ(今まで象が俺らと同じ言葉なんて使ってるとこは見た事ねえからな)』

『???』


 グラールはますます何がなんだか分からず鼻をぶらんぶらんと揺らし、近くを歩いていた生物の横っ腹にヒットしたが、考えるのに夢中なグラールは気付かない。


『(我は象である筈だ。だが我以外の象? 小さき者達は皆とあった事があるのか? いや、我等が降りたのはこれが初めての筈だ。これは……)』


 と、グラールは考えの整理がつかない状態で歩きながらも思考に囚われ続けていると、


『ォ、ャォォァッ(ま、俺達からすればそんな事はどーでもいい)。ニャァッ(着いたぜ)』

『……ん?』


 グラールは声を掛けられたことにより思考の渦から戻ると、そこは相変わらずの変わらぬ荒野であった。


『……先の場所と変わらないではないか』

『ァァ、ニァャァッ(いいや、ここはアイツの寝床さ)。ニァァ(アンタには此処で寝ててもらいたい)。ァァァ、ャォォ、ニャァッ(俺達はアンタの後ろに隠れさせてもらう、アイツがアンタに噛み付いた瞬間、奇襲をかける)』

『ふむ? いいだろう』


 何となくニャアニャア煩いなと少しだけグラールは考えたが、それは関係ないと思い了承した。



 そんなこんなで夕暮れ時



 ゆっくりと、そして堂々と姿を現したのは、気の弱い者なら見られただけで倒れてしまいそうな鋭い眼光に鍛え上げられたがっしりとした身体、黒く大きな鬣を持つ それだけで他者を威圧してしまうような風格を醸し出している生物であった。


『……ガア、グルルル(そこのデカブツ、俺様の寝床で何をしている)』

『……』

『ガアァ、ガァァガ(俺様は今気分が良い、貴様が今逃げるのであれば見逃してやる)』

『……』

『グガァ! ガアァ!?(貴様……ッ! 俺様を舐めてるのか!?)』

『……』


 舐めているのではない、グラールは思いがけない出来事に再度パニックにに陥っているせいで構っている暇が無いのだ。


『(何故我はこの生物の言葉が分かる? 我は小さき者達だけが我と話せるものだと思っていたのだがここはそれが普通なのか? だがそう考えるとこの者達も人間と変わらない事になるではないか……そういう事なのか……? だが……いや、しかし……)』


 己は一体何なのだろうか……?


 グラールが再度思考の渦に囚われようとしていた時、腹に何かが当たっている感覚がしてそこを見てみると先程の生物が小さき者達と同じ様にくっ付いていた。


『どうした、何故我の腹に付いている?』

『グァグ!(付いてんじゃなくて噛んでんだよ!)グァァ!(貴様の腹はどうなっているんだ!)』

『……どうなっていると? ……創っただけなのだが……』

『グァァ!(腹が創れるものか!)』

『と言われてもな……』


 と、片や噛み付いたままで、片や口を開いていないのに話し、鼻をブンブン振っているという奇妙な光景が繰り広げられていた。


 すると、先程から様子を伺っていた小さき者達が動き出したのを認めると、グラールは未だに噛み付いているらしい生物に向かって脚を振り上げた――





『キャンッ――!?』


『……む?』


 腹に噛み付いていた生物は、同じく腹に脚が直撃――放物線を描き……


 ――バタッ……


 落下し、そのまま動かなくなってしまった。


『……』

『……ふむ』

『ォォォ……』


 今、その背から飛び出さんとしていた小さき者達は何が起きたのか分からず暫し呆然としていたが、やがて事態が読み込めて来ると歓喜の声を上げ始める。


『ャオッ! ニャォッ!(すげぇ! すげぇぜアニキ!)ォォアニャォッ!(まさかアイツを脚の一振だけで倒しちまうなんて!)』

『む、そうか?』

『ォォッ! ニャァァォッ!(ああ! その強さ惚れたぜ! 一生ついて行くぜアニキィ!)』


 そう言いながらニャアニャア鳴きながらグラールの周りをぐるぐると回り出す小さき生物達。

 己より小さな生物がちょこまか動いているのを見たグラールは、これまで感じた事の無い何かが新しく生まれたのを感じた。


『(これは何なのだろうか……。嬉しいというのか? いや、それに近い気もするのだがこれは違う。小さき者達を見ていると感じるこの温かさは、放っておけなくなるようなこの感覚は一体……)』


 グラールが感じた初めての感情、それは《保護欲》であった。


 己より小さな生物が、子供のようにニャアニャア鳴きながら己の周りをぐるぐると回る姿にグラールは心うたれていた。


『……ふっ、こういうのも良いものだな』

『?』


 自分達光以外とは違う生物との邂逅、感じた事の無い不思議な感覚。とても、とても良いものであった。


『……小さき者達よ、我はそろそろ帰らねばならない』

『ニャォァッ!?(アニキ帰っちまうのか!?)』


 小さき生物達は「え、マジっすか!」と驚愕の表情(?)を浮かべる。


『なに、心配はいらない。我は常に小さき者達を観ておるよ。それに、また会いに来ると約束しよう』

『ャァァ(アニキがそう言うのでしたら従いますぜ)ニャァォッ!(お元気で!)』

『ではな』



 そしてグラールは茶の光粒となって消えてゆくのだった。





『ニャォッ!(掃除の時間だぜ!)』

『『『ニャッ!(おう!)』』』





 ▼▲▼▲▼▲



「あのぉ……ぁ……」


 とある街にシーアスはいた。


 人の次々に行き交う夜の街、そこでシーアスは己の存在が何なのかを聞こうとしていたが、人見知りなのが災いし、中々聞けずにいた。



 あっちへふらふら、こっちへふらふら――



 歩き疲れたシーアスはベンチに座った。


「はぁ……どうして僕は人間と話せないのかな。皆さんとはしっかり話せるのに……」


 そう溜息を吐きながら項垂れていると、シーアスの周囲には黒い霧がかかり、それを見た人間等も最初は物珍しげに見るが、何故か皆ビクッと体を震わせると、何事も無かったかのように通り過ぎていった。


「世辞が辛いですね……僕が僕自身嫌いになってしまいそうです……このままでは皆さんに迷惑がかかってしまいます……」


 それは望ましい事ではない。


 そう考えたシーアスは勢いよく立ち上がる。


「もう少し頑張ってみましょう!」


 黒い霧が霧散する。


「と、言いましてもどうすればいいのでしょうか……?」


 それは最初から感じていた疑問。


 もし人間に話を聞けたとして、何を聞くか。


 己が誰か? それは今の姿から考えて間違いなく人間だと言われることであろう。

 だからといって元の力を使おうとしても何故だか今は使えない。姿を創造したことによる不具合なのかもしれないし、人間とは自らが使えない強大な力を目のあたりにすると恐れや欲望という醜い感情を生み出してしまう。人間の前で力を使ってその後はどうなる事だろうか?


 今の状況ははっきりいって詰みである。


「――うぅぅ……どうしようもないじゃないですかぁ……」


 頭を抱え、座り込んでしまったシーアスは、再び黒い霧に包まれる。



 すると、運悪くシーアスの近くを歩いていた1人の男がその霧に触れてしまった――



「ぁがっ――」


 男は唐突な苦痛に襲われ、倒れ込んでしまう。

 それは体の中を一瞬で駆け巡り、その様はまるで体から針を刺されているような感じたことの無い――感じることが無い筈の苦痛であった。


 そして男は血を吐き倒れる。

 そこからは連鎖するかのように、子供から老人まで近くにいた人間は皆同じように苦しみ、血を吐き絶命していった。


「え、な、何が!?」


 突如、目の前で人が倒れるのを見たシーアスはたじろぐように後退し、ベンチによって体をもつれさせてしまう。

 しかし、それによって一瞬、意識が目の前の光景から逸れたことにより、シーアスはその光景を目の当たりにし、目を大きく見開いた。


「ヒッ――」


 街灯に照らされていたのは真っ赤な血とそれに重なるように倒れている人間、そして苦しみながら、今まさに血を吐き倒れた人。


 死屍累々


 それは、到底死というものを深く理解出来ていない、例え理解している者にとってしても悪夢でしかない、直視すら出来ないような光景――それはシーアスも例外ではない。


「い、いったい何が……?」


 目の焦点が合わず、体の均衡すら分からなくなったシーアスは、顔に手を当てしゃがみこんでしまう。


「(おかしいよ。人間はこんなにも唐突に、それも一斉に倒れ始める生物?)」


 思わずといった様子で、己に問い掛けたシーアスは、ふと、最初に倒れた男が視界に入り、何処か動いたように見え、恐る恐ると男に声を掛ける。


「あの、大丈夫……じゃないですね。どうしてでしょう、嫌な予感しかしません……」


 男を見て、ゾワッと、悪寒を感じたシーアスは男から反射的に距離をとる。

 そして十分な距離をとった時、男がグインッと、つま先だけでという、人間的ではない動きで立ち上がると、その体が肥大化していき、腕が太い爪のように黒く鋭くなり、やがて、獣のような人間とはかけ離れた姿に成り果てていった。


「変化した……? 人間にこんな機能なんて……いや、それよりも今は逃げ――」


 シーアスが、事態を読み込むよりも先に此処から離れなくては、と考えた時には、その判断は遅かった。


 大気が震えた――


 それは、異型の獣に成り果てた男がその誕生を歓喜するかのように上げた、必然的に恐怖を植え付けてくる咆哮。

 それが聴こえた次の瞬間、シーアスの体は横に飛ばされ、壁に叩きつけられていた。


「かはっ……い、一体何――」


 何が、と体を走る痛みに意識を明滅させながらも言おうとした時、見えた――見えてしまったその光景にシーアスは声も出せずに呆然としてしまう。


 歓喜の声を上げる、最初に生まれた獣と同じような姿をした者や蜘蛛のような姿をした者、元の姿のまま肥大化し、巨人とかした者等、それは人間が住んでた世界とは違う、別の世界がそこには出来ていた。


 シーアスは呆然としながらも、辺りを見渡しす。


 そして街灯に照らされた()()に気付く。


「黒い……霧……? ひぐっ――」


 辺りを覆うそれを見た時、ズドンッ、とシーアスの腹部に黒い爪が突き刺さっていた。

 シーアスはその苦痛に声を上げそうになるが、それよりも先に己の存在に何かが流れて来てしまった。


 聴こえてくるは怨嗟の声。


 見えてくるは死した数多の生物が己に寄ってくる姿。



「ひっ、こ、来ないでください! いや、あ、ああ……アアァァァァァ――!!」


 刺された爪から黒の【シーアス】が感じるのは〈恐怖〉そのものであった。




 1つ、世界が闇に包まれる――



 それは狭間を超えて連鎖する――



 最悪の厄災が生まれた――



△茶の【グラール】

荒野にて、ハイエナ達と出会い謎の保護欲が生まれた好々爺。何か話す時も基本何か考えてから話すので会話のテンポが微妙に崩れるのがちょっとした傷。


▼黒の【シーアス】

髪を短くしている事もあり中世的な容姿だが、ミーシアとは双子の様な存在。本人や周りも分かっていない事だが、その秘めたる潜在能力は光達の中でも頭一つ抜きん出ている。


△ハイエナ

とある荒野にいる人間で言うところの不良の集まり。仲間意識が高く何処か礼儀正しいが、その凶悪な顔から周囲に避けられる事が多くよくシュンとしている。

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